理想的な報酬制度とはどのようなものでしょうか?
「理想的」とは、どちらから見た場合でしょうか。
会社側からすれば「社員が納得し、かつ会社の成長につながるような持続性のある報酬制度」ですし、社員側から見れば「人件費倒産にならない範囲で、会社に負担をかけず最大の金額をもらえる安定的な報酬制度」ということになるのでしょう。
理想的な報酬制度では、一般的には基本給、賞与、昇給といった要素が考えられます。
基本給は、同じ役割ならほぼ同じはずです。賞与は成果に基づくものですから、個人目標の達成度、チーム・会社業績との連動性など、数値化できる部分を明確にすることがポイントです。昇給は、短期成果だけではなく長期的な貢献を反映するもので、会社の価値観に合った行動を評価し、育成や組織文化の醸成に効果があります。この3つをきちんと分離することで、報酬制度が整います。
報酬制度は会社ごとに違います。その会社の文化、戦略、人材の特性にあったものが理想の報酬制度です。その実現には、次の条件が必要です。
まず公平性です。同じ役割、同じ成果には同じ報酬です。不透明な裁量や属人的な判断が入り込むことがあってはなりません。公平性が欠けるとどんなに高額でも不満が生まれます。
次に納得性です。評価プロセスが透明で、どうしてこの評価なのか説明できるものでなければなりません。
戦略との整合性も大切です。会社が伸ばしたい行動、成果を報酬に連動させます。新規事業を伸ばしたいなら挑戦行動を評価すべきですし、生産性の向上を目指すなら成果指標を明確にして評価すべきです。報酬制度は、会社の戦略実現のための道具なのですから。
報酬制度は持続可能なものであるべきですが、スピード感のある時代についていくことも必要です。柔軟性も求められます。こうしたことを踏まえると、どんなに理想的であっても複雑で運用できない制度では、ダメということですね。
このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長