上司から「適性テストで人間の約何パーセント分かるのか」との説明を求められている。感覚値でよいので何パーセントくらい把握できるのか教えていただけないでしょうか。
なかなかの難問です。一緒に暮らしている家族でも、一緒に働いている同僚でも、その人のことを何パーセントわかるのかとたずねられたら答えに困ってしまいます。ましてや適性テストで人間の何パーセントがわかるのでしょうか。
一般に普及している自己申告形式のパーソナリティ質問紙は、回答した人の自分に対する認識があらわれるもので、測定している要素はせいぜい10から30項目程度、質問数は200問から600問程度です。正確にはわかりませんが、日本語の形容詞は数千語あるでしょうから、特徴を表す言葉としても1パーセント未満でしょう。人間がわかるとは特徴を捉えるだけではないですので、その人の歴史や内面を含む全てを対象に考えるとさらに比率は小さくなります。端的にいえばほとんどわからないかもしれません。
しかしながら、適性テストを採用選考で使う場合、入社後の業績を予測することが目的としていますので、人間の全てを知る必要はありません。適性テストは入社後の職務評価との間で相関係数0.3~0.5の有意な相関が見られています。仕事をするために必要な要素はカバーされているとお考えください。