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応募者・内定者へのパーソナリティ検査フィードバック実施の手引きハンドブック

オンライン選考などの活用が進む中で、企業と個人の特性のすり合わせ、相互理解がより重要になっています。応募者・内定者の自己理解を促進し、相互理解を深め、入社への意欲を高めるために、パーソナリティ検査のフィードバックをぜひご利用ください。
本資料では、選考途中の応募者・内定者に対するパーソナリティ検査のフィードバックの目的、注意点、流れから、実際の説明例・会話例、よくあるご質問までご紹介します。ぜひご活用ください(全15ページ)。

こんな方におすすめ

応募者や内定者の面談の重要度が増している
面談のポイントを体系的に知りたい
面談にアセスメントを活用したい

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能力開発サービスのご案内

タレントアセスメントにより、受検者の能力開発に適した職務と環境、受検者の強みと弱み、好む学び方などの情報が得られて、社員一人ひとりに最適な能力開発の機会を提供できます。
アセスメント結果の(本人と指導者への)フィードバックを通じて能力開発課題と目標を明確にして、行動計画を作り、本人に前向きな行動変容を促します。
サービスの詳細はダウンロード資料をご覧ください(全11ページ)。

こんな方におすすめ

人事アセスメントをキャリア開発やリスキリングに活用したい
キャリア自律施策を検討している
個人に最適化した能力開発の機会を提供したい

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セミナー・イベント

採用成功のカギを握るインターンシップ。
フィードバック面談の3つのポイント

インターンシップの位置づけが大きく変化している昨今、効果的なインターンシップの実施及びその後のフォローアップが採用成功のために必要であることは論をまちません。特にキャリアへの意識が全体的に高まっている中で、重要度が増しているのがフィードバックです。本講演では、フィードバックを行う際に押さえておきたい要点をご紹介します。

※本ウェビナーは2024年2月に録画したウェビナーのアーカイブ配信です。

こんな方におすすめ

インターンシップでの動機付けの方法を模索している
学生の意欲形成につながる効果的な面談方法が知りたい
インターンシップでアセスメントを活用してみたい

講師

清水 智昭

日本エス・エイチ・エル
HRコンサルティング2課 主任

オンデマンド配信概要

時間

約25分

視聴期限

2025年10月30日(木)まで

配信方法

Zoomによる録画配信

受講料

無料

受講対象

企業および組織の人事に携わる方

※同業者、学校関係者、個人の方のご参加はご遠慮ください。

お問い合わせ

日本エス・エイチ・エル株式会社 イベント事務局
TEL:03-5909-7207
Eメール: event@shl.co.jp

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コンサルティング

アセスメントセンター

経営幹部や次世代リーダーの選抜・能力開発を目的とした人材評価手法です。候補者に実際の仕事場面で起こり得る状況と課題を与え、解決に向けた行動プロセスを外部の評価者(アセッサー)が観察・記録・分類することで能力を評価します。アセッサーは人材評価の専門的な訓練と認定を受けたプロフェッショナルであり、候補者の強みや課題を客観的かつ定量的に明らかにします。

測定能力 リーダーシップ、対人積極性、分析力、創造力、手順化能力、ストレス耐性、完遂エネルギーなど
実施演習 コーチングロールプレイ、プレゼンテーション、イントレイ、ファクトファインディング、創造力テストなど
所要時間合計 半日~1日(休憩含む)

※測定能力や演習の数によって所要時間が変わります。詳しくはお問い合わせください。

SHLのアセスメントセンター

SHLグループの強みを活かし、世界中で共通に使われている測定項目による構造化された評価を行います。

あらゆる職位に対応したアセスメント

新任管理職候補から経営幹部まで、あらゆる職位のアセスメントに対応できる豊富なコンピテンシー項目と演習を用意しています。候補者の職位に適した項目、あるいは貴社固有のコンピテンシーと一致する項目を担当コンサルタントが選定し、最適なアセスメントプランをご提案します。

専門家による標準化された評価

評価を担当するアセッサーは当社で専門的なトレーニングを受け、アセッサー認定試験に合格した人材評価のプロフェッショナルです。主観や憶測を排除し、演習中に観察された行動事実をもとに評価を行います。

担当アセッサーによるフィードバック

評価の根拠となった「演習中の行動事実」をアセッサーから本人へフィードバックすることで、評価への納得性を高め、自身の強みや能力開発課題について気づきを促すことが可能です。

演習の種類と特徴

  • 演習
  • テスト
  • パーソナリティ検査

ロールプレイ演習

部下役を演じるアセッサーとの面談形式のコミュニケーション演習です。部下の抱える様々な問題に関するメモに目を通した上で面談を行い、上司として部下と向き合い、適切な対話を試み、動機づけをすることなどが求められます。

プレゼンテーション演習

市場調査のレポートなどを読み込んだ上で発表資料を作成し、アセッサーに自身の判断とその根拠をプレゼンテーションする演習です。発表後はアセッサーからの様々な指摘や反対意見に対する回答が求められます。

ファクト・ファインディング演習

課題解決に向けた情報収集、分析、解決案の作成を求める演習です。課題に関する断片的な情報が書かれた資料に目を通し、情報を補うために限られた時間でアセッサーに質問を行います。その後、得られた情報を吟味して、最も適切だと思う判断を文書で提出します。

イントレイ演習

前任者が残した未決裁の資料に目を通し、適切な判断やその根拠を記述する演習です。短時間で多くの情報を理解し、価値づけ、判断することが求められます。

利用料金

測定能力や演習の数によって料金は異なります。詳細はお問い合わせください。

お問い合わせ

ご不明な点がございましたら、担当コンサルタントまたは「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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ポストコロナの航空便需要の回復で、人財の確保が重要な経営課題となった鈴与スカイホールディングス。
採用数を増やすだけではなく、人財育成の強化に取り組みました。

※本取材は2024年10月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

鈴与スカイホールディングス株式会社

事業内容

航空輸送における空港地上支援業務

業種

航空業

従業員数

686名(2024年10月1日時点)

インタビューを受けていただいた方

植松 謙治 様

鈴与スカイホールディングス株式会社
常務取締役

インタビューの要約

コロナ禍により人財流出が加速。航空便の需要回復により人手不足が経営課題となった。
既存の人財の流出防止と生産性向上のための育成に着目。属人的だった人財育成に対して組織的な支援を図る。
全社員に適性検査を実施。取得したパーソナリティデータから新たな気付きが得られた。
今後は、よりきめ細かく個人の育成にデータを利用する仕組みを構築し、アセスメントの活用を会社の文化として埋め込んでいく。

コロナ禍に人財が流出、需要回復に伴い人財不足に。

私は1982年に鈴与に入社し、まず物流業務を経験し、その後はシステム部門に長く在籍しました。2013年から全く経験のない航空事業に携わることになりました。鈴与グループに加わってから日が浅かったドリームスカイ名古屋と中部スカイサポートの管理業務を支援するためです。この2社は航空機の到着から出発までの様々な地上業務を分担しており、連携が求められます。2社を束ね求心力を高めるために2018年には鈴与スカイホールディングス(SSHD)が設立されて、現在この3社の役員を務めています。

2020年初頭から新型コロナの影響が出始め、その後の行動制限が厳しくなってからは、ほとんどの航空便がストップし、経営は致命的な打撃を受けました。雇用確保の取り組みを必死にしてきたものの、新型コロナ前は2社合わせて1000名弱いた従業員のうち相当数が離職してしまいました。そのため、パンデミックが落ち着いて航空便の需要が回復すると、極端な人手不足に陥りました。人財を確保するためのアプローチとしては、採用数の増加と人財流出の防止、従業員の生産性向上があります。ドリームスカイ名古屋と中部スカイサポートは業務の関係性は強いものの、それぞれの従業員のカラーや文化、仕事の性質はかなり異なります。採用に関しては各社で取り組んだほうが効率的なので、SSHDでは既存の従業員の育成や人財流出防止の中で各社が取り組みにくい領域にフォーカスすることにしました。

コロナ禍に人財が流出、需要回復に伴い人財不足に。

人が変わっても再現性のある仕組みを構築する

従来の人財育成は管理職や先輩社員の属人的スキル、言わば職人芸に依存している部分が多かったのは事実です。これに対して、システム化・効率化が可能な仕組みを会社が提供することによって人財育成を後押しし、その結果、従業員一人ひとりが意欲を持って能力を発揮できるような環境を作れないだろうかと考えました。人財流出防止のソリューションを調査していたところ、採用で適性検査を利用している日本エス・エイチ・エルのソリューションが目に留まり、当社では何ができるかを相談することにしました。紆余曲折がありましたが最終的には、採用時に取得したパーソナリティのデータを活用した育成を行うことができるよう、SSHDで育成の基礎的な枠組みを作成し、各社ではそれを状況に合わせて発展させてもらうことにしました。

まずは社員全員に適性検査を実施し、万華鏡リポートを出力しました。有難いことに、ほぼ全員が受検してくれました。そして各自が自分のデータを理解して腹落ちしてもらうために、結果の見方に関する講義動画を展開しました。加えて管理職に対しては、これまで自分の経験などから行っていた育成から万華鏡のデータに基づいた指導ができるように集合型研修を実施しました。

また、パーソナリティデータがあれば様々なリポートが出力できるため、ストレス耐性リポートなど個社のニーズに特化したリポートも出力しています。

アセスメントデータが新たな視点を提供

管理職向けの集合型研修のアンケートでは、自分自身の管理職としての特性に対しても、部下の特性に対しても「今まで気づかなかった視点が得られた」という声が比較的多くありました。同時に「結果をどのように育成に活かすかが難しい」という声もたくさんいただいています。実は、実施前には管理職の皆さんにどこまで消化してもらえるか不安もありましたが、幸いにも、人財育成には皆さんが問題意識を持っており、いかにデータを活用するかに目を向けてくれています。結果の読み取りは一朝一夕でできるようになるものではないので今後も浸透を図っていく必要があると思います。加えて、一人の管理職が20~30人の部下の万華鏡リポートを一人ずつ見ていくことは時間的にも難しく、管理職全員がコーチングやカウンセリングの経験を持っているわけでもないので、この点についてはさらに検討すべき点だと感じています。

また人事部門の責任者からは、人事異動を検討する際に、従来は「Aさんはこうだから」という個人の主観で議論を進める傾向があったものが、パーソナリティのデータを確認するようになって判断の参考情報として役立っている、という話も聞いています。

アセスメントデータが新たな視点を提供

客観データの活用を組織の人事プロセスに埋め込んでいく

今後は、この取り組みを継続していく仕組みが必要です。全員に受検してもらったのはよいですが、各人が結果を十分に理解して目標を持つところまでできているかというと、まだそこまでは到達していません。既存の年次別の研修などの機会に組み込んでいくことを検討しています。従来、このような研修では役割期待と自分とのギャップを検討し、今後の目標を立てていましたが、自分に関する情報は自分の思い込みだけでした。しかし、客観データが活用できるようになったので、パーソナリティの特徴と役割期待とをすり合わせて、目標や行動計画の立案に活かしていきたいと考えています。

私がシステム部門に在籍していた頃、電子メールの導入に携わったことありましたが、導入することでコストがどのくらい削減できるのかと問われることがありました。しかし、今となれば電子メールはインフラのようなものになり、コスト削減の効果という質問は意味を成さなくなりました。価値観が変わったのです。パーソナリティデータの活用も同様で、まだ社内で定着したとは言えませんが、一人一人の社員が能力を発揮する上で、こういう情報があって当たり前の世界になっていくと考えています。

具体的に育成に活かす仕組みをさらにブラッシュアップして、データを活用する文化を作っていければと思っています。そうすることで、当社において自分が腹落ちできる目標を持ち、その実現を目指して意欲を持って働くことができるようになるのではないかと考えているからです。そして、それが人財の流出を防ぐことにも繋がっていくのが目指す姿です。

日本エス・エイチ・エル様には、私たちが明確な答えを持っていない状態でご相談させていただくことになりましたが、よくここまでお付き合いいただけたな、丁寧に対応していただけたな、という印象を持っています。契約につながらなければ申し訳ないと思うほどに、非常にいろいろなことを対応していただきました。日本エス・エイチ・エルのアセスメントのデータはいかようにも活用できるという点も魅力です。半面、得体のしれないという側面もあるかもしれませんが、将来的に人事領域での新しい知見や枠組みが登場しても、それらに合わせてデータを利活用する方法を検討することができます。今後もデータの活用に関して、当社の文脈に即したご提案を期待したいと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 名古屋オフィス長

髙橋 朗

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を多大に受ける中、人財獲得、リテンションをあらゆる角度からご検討されておりました。そんな中、当社がその施策の一端を担えたことは大変光栄なことでした。僭越ながら、植松様の素晴らしいところは、アセスメントの効能にも限界があることをよくご認識いただき、また人間の行動や心理がそう単純ではないことを理解されている点かと思います。私も大変勉強になることが多く、長らくこの業界にいると、個々人のパーソナリティを分かった気になることがありますが人事のお立場ではそう簡単にはいかない場面の連続だったことでしょう。今後はそんな難しい場面で、意思決定の一助となれるように、一般論ではなく、鈴与スカイホールディングス様のために効果的な施策を、業界・企業理解の精度を高めながら行っていくことが求められていると思っています。

全社員にアセスメントを実施し、ポテンシャルやコンピテンシーの客観的情報をデータベース化。
あらゆる人事施策にアセスメント情報を活用している、理想科学工業の取り組みを紹介します。

※本取材は2021年3月に行いました。ご担当者の役職およびインタビュー内容は取材時のものです。

理想科学工業株式会社

事業内容

高速カラープリンターオルフィス、デジタル印刷機リソグラフのハード及び関連機器、消耗品の開発・生産・販売・保守を中心としたプリントワークソリューション

業種

機械製造業

従業員数

1,750名〔グループ全体 3,480名〕(2020年9月30日現在)

インタビューを受けていただいた方

小野 葉月 様

コーポレート本部 人事部 人事企画課 課長

インタビューの要約

人材情報に客観的な視点を取り入れるため、全社員にアセスメント(万華鏡30)を実施し、コンピテンシーやポテンシャルの情報をデータベース化するプロジェクトが発足。
全社員のコンピテンシーやポテンシャルの情報は、「プロフィールシート」として人事システム上で管理。海外マネジャー候補者プールや次世代リーダー候補者プールの作成、選抜型研修参加者の選定など、あらゆる人事施策にアセスメント結果を参考情報として活用。
今後実施したいことは、コンピテンシーとパフォーマンスに加えビジネススキルを加味した3軸での人材配置と、「スクリレ」をはじめとしたスタートアッププロジェクトへのメンバー選定にアセスメントを活用すること。

「人が人を評価する時のバイアス」を是正するため、 全社員のポテンシャル情報をデータベース化したい。

私は直販営業として入社し、営業支援スタッフ、広報、開発と様々な部門を経て、人事部に来ました。人事部では人事企画課長として着任し、人事課題を解決するための施策に着手しました。その中の一つである「全社員にアセスメントを実施し、ポテンシャル情報をデータベース化する」施策は着任後数か月で実施しました。当時、様々な人事上の課題(部長候補者の可視化など)がありましたが、課題の根本的な問題は、人が人を評価したり、登用したりするときに生じるバイアスを最小限に抑えなければならないというものでした。人が人を評価する際には、恣意的な判断や認知による歪みが必ず生じるので、それだけに頼るとどうしても不公平感が出てしまいます。人材評価を客観的に行うためには、アセスメント情報を活用する必要があります。アセスメント情報100%でもなければ、人の目100%でもない、自社にとってちょうどよいバランスに調整して、人材を評価し、育成することを目指しました。

「万華鏡30」の全社員受検を実施。

この考え方に基づき、当社の役員含め、全社員がパーソナリティアセスメントOPQ「万華鏡30」を受検しました。受検結果は賞与評価とは関係がないこと、受検結果による不利益はないことを説明して実施しましたので、社内からの否定的な反応はありませんでした。万華鏡30のフィードバック機能を使って、受検後すぐに自分の結果を見られるようにしました。今でも新入社員や中途入社社員にアセスメントを実施して、全社員のデータを維持しています。

全社員が受検した後、日本エス・エイチ・エルに職種別・階層別に社員のコンピテンシーとパーソナリティの傾向を分析してもらいました。データ分析の結果と自社のイメージには乖離がなく、納得感をもって受け入れることができました。たとえば営業職におけるハイパフォーマーの傾向なども、他社と異なる当社の事業環境が表れているな、という発見がありました。

「万華鏡30」の全社員受検を実施。

人事システム上でプロフィールシートとして管理されるほか、 本部ごとの人事施策の参考情報に。

万華鏡30の結果は、人事システム上にプロフィールシートとして格納されています。プロフィールシートには、顔写真、個人情報異動履歴、研修履歴などの人事データ、万華鏡30の結果(マネジャーポテンシャル、プロフェッショナルポテンシャル、アントレプレナーポテンシャル、チームタイプ)等が載っています。プロフィールシートは、役員とHR部門の部長、人事部の一部の社員にしか公開されていません。この結果は、選抜研修の参加者選定、海外マネジャーのプールの作成、次世代リーダー育成のための選抜などの参考にしており、人事場面で活用されています。
また、万華鏡30の結果は、各本部のHRスタッフのミーティングの中でもご説明しており、本部内での登用や異動の際などに、適宜参考情報として活用されています。

人事部が主催した、選抜型の女性管理職育成プログラム「エンカレッジ研修」。

万華鏡30の活用方法のうち、人事部で主催した研修についてご紹介します。女性活躍推進の一環として、「エンカレッジ研修」という、女性の非管理職者を対象にした選抜型の研修を、過去に2度実施しました。参加者候補は、万華鏡30のマネジャーポテンシャル得点とパフォーマンス評価点の2つの基準で選定しました。人事部が選出した参加者候補をベースに各本部が参加者を決定しました。

この研修の特徴は体験型という点です。自分が企画したプロジェクトを現場でやってみるというのがメインプログラムです。たとえば、自分の関わっている業務の改善プロジェクトを立ち上げ、プロジェクトリーダーとして業務改善を主導しました。研修で集まる時は、プロジェクトの情報共有、参加者間で相談や相互のアドバイスを行いました。期間は約2年間。比較的若い参加者や希望者には現職の女性管理職等がメンターとしてつき、月1回程度のミーティングを行いました。 実際に、参加者数名がマネジャーに登用されました。万華鏡30を用いてマネジャーポテンシャルを勘案した選抜を行ったことで、パフォーマンス評価だけの選抜よりも予測精度が上がったと思っています。

今後は、より効果的な人材配置を行うために、コンピテンシーとパフォーマンスだけでなく、ビジネススキルを取り込んだ3軸を人材情報として活用していきたいです。コンピテンシーとスキルが一部関連する部分もあると思いますが、基本的なビジネススキルをいくつか柱にして整理し、人材配置を行う必要性を感じています。

もう一点は、人間同士の相性に着目して、シナジーを生むチームの形成を行いたいと思っています。当社は新規事業「スクリレ」を立ち上げ、今年の4月よりサービスを開始します。このようなスタートアップの事業を、どのようなメンバーに任せるかの参考情報として、人材データを使いたいと考えています。また、各職務に適した人材を登用するだけではなく、メンバー同士のシナジー効果をデータで予測できるといいですね。

日本エス・エイチ・エルには、万華鏡30だけではなく、適宜いろいろなサービスをご提供いただいています。今後も何か当社に適したアセスメントツールがあれば、ぜひご紹介いただければと思っています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 マーケティング課 課長

水上 加奈子

まだタレントマネジメントという言葉があまり一般的ではなかった7年前、当時の人事課題をご相談いただき、全社員のアセスメント受検プロジェクトをご提案、実施することになりました。背景には、事業環境の変化による危機感と今いる従業員の方のパフォーマンスを最大限に生かしたいという強い想いがあったと記憶しています。役員の方々を始め、全従業員の方にご協力をいただき、様々な観点で分析を行い、私自身も大変勉強になりました。一過性のプロジェクトとして終わらず、7年たった今もアセスメントデータの価値と意味を適切に理解し、様々な場面で継続してご活用いただいていることを、何よりも嬉しく思います。今後も、理想科学工業の様々な人事施策の力になれるよう、精一杯支援を行ってまいります。

導入事例

変革を推進するためのキャリア開発・人材育成。4つのフェーズで構成されるポーラの「人材成長プログラム」

変革を推進するためのキャリア開発・人材育成。4つのフェーズで構成されるポーラの「人材成長プログラム」

創業100周年に向けて、多彩なValue Creatorが共創する組織へ。
社員一人ひとりのビジョンの実現をサポートする「人材成長プログラム」についてご紹介します。

※本取材は2022年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社ポーラ

事業内容

化粧品、健康食品、ビューティーケア、エステサービス

業種

化粧品製造販売業

従業員数

1,359名(2021年12月末現在

インタビューを受けていただいた方

岸 夏海 様

人事戦略部 ヒューマンバリューチーム

インタビューの要約

化粧品事業の枠に捉われない新たな挑戦や変革のため、多彩な社員一人ひとりのビジョンの実現に向けたキャリアサポートを行う「人材成長プログラム」が発足。
「人材成長プログラム」は4段階。まずは自身の強みを「知る」、次にビジョンや実行計画を「描く」、オンラインスクールやスキル開発プログラムで「学ぶ」、そして実際の業務で能力を「活かす」。
「知る」のフェーズでは、日本エス・エイチ・エルの万華鏡30を活用。個々人の自己理解が深まっただけでなく、強みを生かした現場でのアサインメントや、社内の人材の可視化が促進される効果も。
社内アンケートの結果、キャリアに対する社員の主体性がアップ。今後も施策全体のPDCAを回していきたい。

既存事業の枠を超えた挑戦のために、多彩な人材のキャリアデザインを支援する「人材成長プログラム」。

弊社は創業100周年の節目に向けて、これまでの化粧品事業の枠に捉われない、新たな挑戦や変革を進めています。組織としてのありたい姿は、多彩な「Value Creator」による共創。社員一人ひとりがValue Creatorとして、最大限能力を発揮し、個人と組織がお互いを高め合う関係の中で、ワクワクするような面白い挑戦により、価値を創出している組織を目指しています。

人事としてValue Creatorの挑戦と成長を引き出すためには、多彩な社員の個の尊重と、チームとしての創発力を最大化しつながりを高めること、そして社員一人ひとりのWillや自らがポーラを通して描いた未来に、自分の意志で向かっていく力強さが必要不可欠だと捉えています。そんな視点をもって打ち出したのが、「人材成長プログラム」という弊社独自のプログラムです。このプログラムは、「知る」、「描く」、「学ぶ」、「活かす」という4つのフェーズに沿って、キャリアを描く機会、成長する機会、そして能力発揮の機会までを提供する様々なコンテンツを実施しています。

「人材成長プログラム」は4段階。自分を知り、ビジョンを描き、 実現に向けて学び、能力を発揮する

「人材成長プログラム」の「知る」というフェーズでは、日本エス・エイチ・エルの「万華鏡30」を用いて、一人一人の個性や強み・弱みを可視化し、自己理解を深めてもらいます。次に「描く」では、今後の自分のキャリアビジョンと実行計画を描きます。具体的にはキャリアデザインのeラーニングや、世代別研修を実施しています。「学ぶ」では、ビジョンの実現に向けて、オンラインスクールや領域限定のスキル開発プログラムを活用しながら、能力開発を行います。最後が「活かす」です。実際に業務に携わる中でさらに成長し、高めた力を最大限発揮していただく。そのために、人事としては適切な異動配置を考えることも課題の一つです。弊社ではタレントマネジメントシステムに社員のスキルやキャリアプランなどを一元管理し、これまでの一律のジョブローテーションを少しずつ個人に合わせたキャリアとすることを目指しています。

これらを体系的に実施しながら、さらに効果を高めるポイントが、上長による定期的な1on1。それぞれのフェーズにおいて上長によるキャリア支援を必須とし、人事と上長は情報連携やフォロー体制を整えながら、人材成長プログラム全体を動かしています。

「人材成長プログラム」は4段階。自分を知り、ビジョンを描き、 実現に向けて学び、能力を発揮する

キャリアデザインの第一歩はアセスメントによる自己理解。 個人の内省だけでなく、適材適所が促進される効果も。

今回、「知る」というフェーズで日本エス・エイチ・エルの「万華鏡30」を活用させていただきました。受検対象は全正社員で、受検後に1時間の「自己理解研修」や上長との1on1での結果の活用を行うことで、さらに自分自身に対する理解や内省を深めています。

導入後の効果は大きく2つあります。一つ目は従業員同士のコミュニケーションです。チームや上司・部下間でお互いのアセスメント結果を見ながら、業務分担を行ったり、個人の強みを生かすようなアサインメントが行われたりするようになりました。二つ目は、人事視点での全社分析が可能になったことです。この万華鏡30の導入により、社員を同一基準で解釈することが可能になりました。

この結果を様々な分析にかけることで、社員の性格傾向がわかりやすく表現され、社内にどのような人材が分布していて、どのような人材が不足しているのかなど、人材分布から育成課題等も可視化されるようになりました。

これらの施策はすべて発展途上ですが、少しずつ変化の兆しが見えてきました。今年の社員アンケートの結果、「自ら主体的にキャリアを描き切り開くマインドが自身に備わっていますか?」という質問に「はい」と答える割合が、昨年と比べ10ポイント以上高まりました。組織として大きな変化が起きるのはこれからと認識しておりますが、今後も情報収集を続け、施策全体のPDCAを回していきたいと思っております。

先般、この取り組みを日本エス・エイチ・エル主催のタレントマネジメントウェビナーでご紹介しました。このウェビナー出演をきっかけに他社の人事担当者と情報交換の機会を得ることができました。お会いした各社さんとも、独自の工夫を凝らしたタレントマネジメント施策を導入されていて大変勉強になりました。今後も情報交換を続けていくつもりです。日本エス・エイチ・エルはアセスメントの専門性が特徴的な会社ですが、人事担当者のネットワークを提供してくれる点も魅力の一つです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング3課 課長

横山武史

多彩なValue Creatorによる挑戦と変革という今回のお取り組みは、当社の「人のポテンシャルを見いだし、登用することで能力の発揮を支援する」という考え方と一致しており、私としても大変共感を覚えます。
このお取り組みは2021年11月、岸さんをはじめとする人事戦略部の方に、トライアルで万華鏡30の1on1フィードバックを実施するところからスタートしました。トライアルから数か月間でここまでの仕組みを作り、施策を動かしておられる実行力に感服しました。
また、岸さんの他社と積極的に交流しオープンに情報交換する姿勢、自ら人材データ分析に取り組まれる熱意は、新しいHRパーソンの在り方を示してくれていると感じます。
これからも当社およびSHLのグローバルな知識と経験でお役に立てるよう全力で努めてまいります。

導入事例

初任配属への課題意識から、全社のコミュニケーション改善へ。岡谷鋼機の全社員アセスメント。

初任配属への課題意識から、全社のコミュニケーション改善へ。岡谷鋼機の全社員アセスメント。

「相手に自分の知らない一面があると思えば、かける言葉も変わるのでは。」初任配属での経験から、コミュニケーションにおける相互理解の重要さを再確認し、全社員アセスメントに踏み切った岡谷鋼機の取り組みを紹介します。

※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

岡谷鋼機株式会社

事業内容

鉄鋼、特殊鋼、非鉄金属、電機・電子部品、化成品、機械・工具、配管住設機器、建設関連、食品などの国内販売・輸出入

業種

卸売業

従業員数

連結:5,115名 単体:683名 (2020年2月期) 

インタビューを受けていただいた方

岡村卓也 様
小本紗由香 様

岡谷鋼機株式会社
人事総務本部 名古屋人事総務部 人事室 室長(岡村卓也 様:写真右)
人事総務本部 名古屋人事総務部 人事室 プロジェクトリーダー(小本紗由香 様:写真左)

インタビューの要約

新入社員の初任配属をもっとフォローしたいという思いをきっかけに、全社員のパーソナリティ受検を実施。新入社員とOJTの先輩の間のみならず、上司・部下間も含めた、全社的なコミュニケーションの向上を目指す。
社内の協力に不安があったが、予想以上の受検率。さらに、現場が率先して活用しコミュニケーションをとる様子も見られた。
今後は、パーソナリティの相互理解によってコミュニケーションを活性化する取り組みをもっと推進したい。目指したいのは、デジタル×アナログのタレントマネジメント。

初任配属でよいスタートを切ってもらうために、 新入社員のまだ見えていない側面が見たい。

当社は、採用段階から人をよく見て、どういったところに配属されると活躍するのか、いいスタートを切れるのかを一人一人時間をかけて検討しています。新入社員の初任配属に際しては、採用時に得た情報や入社後の様子、適性また配属先の仕事内容、先輩社員など可能な限りの情報を収集したうえで配属を決めます。その情報の一つとしてパーソナリティ検査OPQを活用したいなと思ったのが最初のきっかけです。配属先と新入社員をマッチングするために人事が新入社員一人一人と面談を重ねるのですが、新入社員のOPQを活用する事で、私たちが見えていない、表面的ではない部分の人物像が見えるのではないか、と考えました。

昨今の新入社員は自分のやりたいことがしっかりとあって、キャリアに関する理想像もあるので、「なぜこの部署に配属になったのですか」という質問に対して、フィードバックを行う事もあります。いいスタートが切れる事、その後しっかりと活躍する事を念頭に「君にはこういう良いところがあって、こういう仕事が合っていて、こういう先輩と一緒に仕事をすることで、なりたい自分に近づくよね」というメッセージを送っています。また、配属後は配属全部署の上長に対して、OPQや配属までに得た全情報を活用して、教育方法のアドバイス含めた申し送りを実施しています。

初任配属でよいスタートを切ってもらうために、 新入社員のまだ見えていない側面が見たい。

「相手に自分の知らない一面があると思えば、かける言葉も変わるのでは。」 初任配属での苦い経験をもとに、全社員受検に踏み切る。

初任配属でのミスマッチの問題は、OJTでつく先輩とのミスマッチとして表れることがあります。非常にタフな仕事であっても、OJTの先輩と合うメンバーは比較的頑張っていけますが、合わないメンバーはスタートでつまずいてしまうという印象があります。その中で過去に一人、人事としてもう少し違うフォローができたのではないかと悔やまれる事例がありました。事後的に、日本エス・エイチ・エルの担当者にこの事例を相談したところ、OPQの結果から配属前に私たちが見えていなかった本人の特徴が読み取れることがわかりました。もし事前にわかっていれば配属部署により良い申し送りができたのではないか、よいスタートを切れたのではないか、と悔しい思いをしました。
こうした経緯で新入社員のOPQをもっと活用したいと考えたのですが、そうなるとOJTの先輩の結果も気になります。さらに全社でOPQを活用すれば社内のコミュニケーションの質をもっと高められると考えました。初任配属の問題に限らず、上司が正しく部下の特徴を理解しないまま指導しているようなケースも存在すると思います。もし、相手に自分の見えていない一面があるかもしれないと思ったら、かける言葉も変わるでしょう。全社員にアセスメントを実施すれば、上司が部下の知らなかった一面を見る機会が生まれ、コミュニケーションや関係の質が向上していく。こんなことを考えていました。

この構想を上司に話し、育成者の対人関係能力を強化することを人事の目標として掲げ、世の中のビジネス環境を鑑み、OJTのあるべき姿を描いていきました。本部長から「そう思うのであればやってみたら」と即承認をもらいました。これは当社の社風です。一部、社内のコミュニケーション能力が低下しているとは思わないという反対意見もありましたが、ビジネス環境の変化に対応するためには今動き出さなくてはならないと主張し、プロジェクトを開始しました。

心配をよそに、驚異の受検率。背後には、社内共通の成長意欲も。

社員に受検を案内したら予想以上に多くの人が受けてくれました。初期の受検率は98%以上です。はじめは受けてくれなかった方も色々な方法でお願いしたところ、ほぼ全員が受けてくれました。受検後に返される結果報告書(万華鏡)のサンプルを提示したことも奏功し、社員の自分自身を知りたいという思いと強い成長意欲に繋がったのだと思います。

現場では予想以上に積極的に活用。今後はもっと仲間を増やしていきたい。

今後は課長に対してOPQ結果を用いた研修を行う予定です。
予想以上に現場はOPQを活用してくれています。私がOPQ活用の施策を出す前に、ある部署では部署内で結果を開示しながらコミュニケーションをとっているという話も聞きました。入社時の結果がある社員に対して上司がOPQを使ってパーソナリティの変化について対話したケースも出てきました。
私としては、OPQを使ってコミュニケーションを活性化しようとする仲間を増やしていき、全社に波及させたいと思っています。そのために1on1ミーティング等コミュニケーションの幅を広げるアイデアを社内に紹介していきたいです。

今後はデータとアナログを掛け合わせたタレントマネジメントをやっていきたいです。部署ごとに人材データを分析して、そこに敢えて違うタイプの人材を入れ、どのように組織が成長していくかを試していくのも面白いと思います。

従来の採用・配属の方法では特定の人材タイプを採用・配属しがちですが、実際には色々なタイプの人が活躍しています。職務や職場環境と活躍する人材の関係を構造的にとらえ、採用・配属等の人員配置に活用出来ればと考えます。また、アセスメントを定点観測のように活用し、育成目的のフィードバックで使いたいとも思っています。

日本エス・エイチ・エルのコンサルタントには、本当にお世話になっています。アセスメント結果の解釈に不安があるときは、担当コンサルタントに相談して助けていただいています。今後もサポートいただけるとうれしいです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

柳 成美

「気になる社員がいらっしゃるのであれば、OPQではどのように読み取ることができるか試してみませんか?」全社員受検のプロジェクトが決まる約1年前、その様にお声がけしたことを今でも覚えています。配属のミスマッチの問題に直面した時に、原因を社員だけに求めるのではなく、人事としてもっとやれることがあったのではないか?という想いを持ってご相談をいただけたこと、本当にうれしく思います。
この様な新しい施策を導入いただく際、取り組んだ内容がうまく社内に浸透する場合と途中で立ち消えてしまう場合があります。もちろん岡谷鋼機での施策は前者であると、その後の反響を追ってみても強く感じています。施策がうまく社内に浸透するためには、明確な「困った」を解決することを目的としていることと、その「困った」は経営・人事・現場等多様な立場にとって共通した問題であるということが重要です。今回はこの条件が揃っていたことに加え、岡谷鋼機という組織が長年社員一人一人を大切に育てるという風土で取り組んできたことによる賜物だと感じています。
今後は、OPQの活用がより進むような勉強会の実施やデータの分析などで少しでもお役に立てればと考えています。

採用基準の作成から全社員のポテンシャルを活かす適正配置まで、「人材マップ」を用いた森永乳業のタレントマネジメントをご紹介します。

※本取材は2020年8月に実施しました。インタビュー内容は取材時のものです。

森永乳業株式会社

事業内容

牛乳、乳製品、アイスクリーム、飲料その他の食品等の製造、販売

業種

食品製造業

従業員数

3,340名(連結従業員数 6,303名)(2020年3月31日現在)

インタビューを受けていただいた方

荒木 久宜 様

森永乳業株式会社
コーポレート本部 人財部人財戦略グループ マネジャー

インタビューの要約

全社員にタレントアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を実施して、採用基準の作成と人材の適正配置を行った。
4象限の人材マップを使って各職種のハイパフォーマーの人材タイプとその比率をとらえ、採用基準、職務適性基準を作成した。基準に基づく採用と配属を実施した。
社員に対してアセスメントの結果をフィードバックし、自分の適性とキャリアについて考える機会を与えると、従来あまり見られなかった他部門への異動希望が増加した。実際に異動した人たちはエンゲージメントが高く、活動が活性化している。

採用基準の作成から始まり、全体の最適配置へ。

私の初期配属は、リテール営業課で、スーパーやコンビニエンスストアへの営業を担当していました。8年間営業を経験した後、人事に異動し新卒採用を3年、社内昇格などを3年担当しました。そこから採用のチーフ兼人材配置担当・ローテーション担当となり、今は人事戦略、人事制度、人件費コントロール等を行っています。

タレントマネジメントのスタートは、まず採用からでした。既存社員にアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を実施し、各職種で「どのような人材がハイパフォーマーとなるか」という分析を行って、それを採用に活かしたいと思いました。社員のアセスメントデータが手に入ると欲が出てきまして、「採用に使うのだけではもったない」となって。OPQの結果をもとに、社員本人に、自分の性格や職務適性を理解してもらい、「こういう仕事が向いているんじゃないか」「こういうチームで働きたい」という前向きな気持ちを持ってもらう機会になればいいと思って、全社員にOPQを実施することにしました。

採用基準の作成から始まり、全体の最適配置へ。

アセスメント結果を、受検者本人が見てわかりやすいことが一番のポイント。

OPQの結果を本人に渡し、月1回の上司面談の際に使ってもらう任意の仕組みを導入しました。年1回のキャリア希望調査時にOPQを受けてもらいます。キャリア希望調査では、5~10年先に何をしたいのか、その前に経験したい仕事は何か、という質問をして自分のキャリアについて考えてもらいます。それに併せて自分の適性について考えてみてくださいとOPQの受検案内をしました。

アセスメントについては他社も検討しましたが、ずっと採用で使っているOPQを信頼していましたし、このプロジェクトでは本人がキャリアを考える上で使いやすい結果リポートが必要と考えたため、OPQで行うことを決めました。OPQの万華鏡リポートは、アセスメント結果を見慣れていない一般の社員にもわかりやすく、今回の目的に合いそうだと判断しました。

取得したアセスメントデータを分析しようとなったときに、社内ではどうにもならないので、日本エス・エイチ・エルの担当コンサルタントに、適切な分析方法について相談しました。そのときに提案されたのが4象限のマップ上に人材をプロットするという方法。チーム編成の検討に使えるということだったので、やってみたいなと思いました。以前、アセスメントデータを使って部門ごとに得点の平均値を算出したことがありました。部門全体の傾向はわかりましたが、今回は個人の特徴をより正確に把握するため4象限へのマッピングをやりたいと思ったんです。

4象限で人材を分けると、社員にもいろいろなタイプの人が存在するということがわかります。4つのタイプが明示されたことで、経営陣も管理部門であれば「堅実頭脳タイプ」、営業なら「柔軟頭脳タイプ」と検討できるようになり、配属先にもなぜ配属したのかをより根拠をもって説明ができるようになりました。今後はチームを活性化させるための配属や、チームに適合させるための配属といった観点で、活用できないかと考えています。

アセスメント結果を本人にフィードバックすることで、 自己理解が促進され、異部門へのチャレンジが増加。

4象限の各象限に目標採用数を設定することで、人材の多様性が確保でき、新卒でスタッフ部門に適性がある人材も採用できるようになりました。事務系採用は営業職を中心に考えていて、とにかくヴァイタリティが高い人がいいという方針が以前はありました。4象限で人材をとらえるようになってから、「堅実頭脳タイプ」に管理部門のハイパフォーマーが多くいることがわかり、内定者にOPQの結果を示し、「あなたのこういう特徴が活かせるから」と説明して、納得してもらった上で管理部門に配属できるようになりました。また以前は営業のハイパフォーマーをマーケティング部門へ異動させることが多くありましたが、今は新入社員を配属することができるようになりました。去年、OPQの結果からマーケティング適性が高いと判断した学生をマーケティング部門に配属したところ現場から好評を得たという成功事例がありました。こうした取り組みは今後もやっていきます。

また、アセスメント結果を本人にフィードバックしたことで部門を超えた異動を希望する人が増えました。これまでのジョブローテーションは部門内での異動がほとんどでしたが、アセスメント結果から自分の職務適性や組織適性、強みや弱みを知り、自分の可能性に気づく人が増えたのでしょう。その年から、「自分は営業をずっとやってきたけど、マーケティングの仕事の方が向いているのではないか。」と上司に相談するようなケースが出てきました。正確に集計していませんが、こうした異動希望が、10ポイントくらい増えたのではないかと思いますし、実際に異動した方もいます。そういう人たちは異動後もモチベーションが高く、現場にすぐ馴染んで新しいことをやろうとします。このような人が増えることによって組織の活性化が進むと感じます。今後は、FA制度とか社内公募をやっていきたいと構想しています。

今後の課題は保有している社員データを活かしたタレントマネジメント施策を行うこと。まずはチーム編成、配置、ジョブローテーションからやっていきます。将来は、各社員が自分の特徴を理解した上で、どういう仕事をしたいか、そのためにどういう人が必要かを考え、自分で声をあげてチームを立ち上げることができるような会社にしたいと思います。

日本エス・エイチ・エルの良い点は、こちらの要望に対して必ずプラスアルファの提案をしてくれるところ。構想が固まっていない状態でのディスカッションにも根気よく付き合ってくれますし、結論がでないまま終了しても次の機会には必ず提案してくれます。ふと思いついたアイデアでも相談してみようかなと思えますし、一緒にやっていて楽しいですね。多くの企業や業界と取引されているので、異業種の情報をいただける点も助かっています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティングチーム 副部長

村井 泰裕

採用だけでなく、タレントマネジメントでも森永乳業のお役に立てないかと考えておりました。そんな時、採用の人財要件定義のため全社員アセスメントとデータ分析が決まり、タレントマネジメントが動き始める予感がしました。
このプロジェクトでは、誰が見てもわかりやすく活用しやすい人材データ分析を提供したいと考え、職種ごとに4象限のマッピングを行いました。この分析結果が人財部の意思決定と社員の自己理解のお役に立てて、とてもうれしかったです。また、プロジェクトミーティングでの荒木さんとの対話は、私にとって楽しく有意義な時間でした。
これからも、森永乳業の組織生産性向上と社員の幸福のために、お力になれるよう努力してまいります。

新入社員から部店長までを網羅するキャリアプランと、各ステップで求められる到達レベルに沿った教育研修体系を構築しているみずほリースの事例を紹介します。

※本取材は2021年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

みずほリース株式会社

事業内容

リースを中心とする法人向け総合金融サービス

業種

金融業

従業員数

連結:1,804名、単体:735名 (2020年9月末現在)

インタビューを受けていただいた方

横山 幹彦 様

みずほリース株式会社
人事部 副部長

インタビューの要約

新入社員から部店長レベルまで、職系と経験年数・ステップごとに到達すべき行動レベルや知識/スキル、受講研修を紐づけた「キャリアプラン」を構築し、教育研修制度を整備・拡充した。
日本エス・エイチ・エルの担当する「ヒューマンアセスメント研修」は、管理職準備グレードが対象の研修。ロールプレイなどの演習によるアセスメントとフィードバックで、管理職となる上で求められる能力を認識することが目的。
今後強化していきたいことは、育成を主眼とした戦略的ジョブローテーションと、「3C(challenge、change、create)」の一層の推進。

新入社員から部店長までのキャリアプランを明示し、 教育研修制度の刷新に取り組む。

私が人事部に異動して、4年が経過しようとしています。着任してからは労務以外の人事領域に幅広く関わっています。

配属された当初、階層や職系で研修頻度に偏りがあるのが気になったことから、教育研修制度を大幅に見直すことにしました。まず、職系と経験年数に応じて求められるスキルとそのレベルを定義して、明確なキャリアプランを作りました。具体的には、新入社員から部店長レベルまで、職系とステップごとに到達すべき行動、経験、知識/スキル、受講すべき研修を明文化しました。このキャリアプランを作ったことで研修頻度の偏りが是正されました。拡充した主な研修としては、例えば、営業職のソリューション力を強化するために、仮説構築力、発想力、プレゼンテーション能力を鍛える営業系の研修、総合職と比べて手薄となっていた中堅業務職に対する研修などがあります。

このキャリアプランは社内のポータルサイトに掲示されており、社員が全体感を把握したり、求められる到達レベルを目指して自己研鑽したりするのに活用されています。

管理職準備グレードが受講する「ヒューマンアセスメント研修」。

日本エス・エイチ・エルに委託している「ヒューマンアセスメント研修」は、管理職準備グレードに昇格した社員が対象です。この研修の目的は、受講者がリーダーシップや課題解決、企画立案など、管理職となった際に求められる能力の現在のレベルを知り、能力開発目標を定めることです。受講者は、ファクトファインディング演習(情報収集を通して真実を見抜き、課題解決をする演習)や、部下との対話のロールプレイ演習、プレゼンテーションの演習などを行った後、自身の今の能力や特徴について、日本エス・エイチ・エルのアセッサーから個別にフィードバックを受けます。

昇格者はプレーヤーとして実績を残してきた社員です。今後は、自分だけでなく周囲を巻き込んで組織を成長させていく意識を持ってもらい、今後求められる能力、今の状態とのギャップ、自分の管理職としての強みや弱みを考えてもらう機会にしています。アセスメントを、自分で認識している自分と他者から見た自分との違いを知り、あるべき姿とのギャップを認識するための“きっかけ作りの場”として位置づけています。

管理職準備グレードが受講する「ヒューマンアセスメント研修」。

受講者からは、「今までで一番疲れた研修だ」、「この年齢になってこんなにダメ出しされることはない」といったコメントが多く寄せられます。日常の業務で弱点を直接指摘されることは少ないので、この体験を成長の糧にしてもらいたいと思っています。また、「自分では手ごたえのあった課題で弱みを指摘され、改善すべき点を把握できた」「自分でも認識していない強みや弱みを知ることができた」などの前向きな声も少なからずあり、“気づき”を得ている実感があります。アセスメント結果は上司である部店長にも共有されますが、「弱みが丁寧に解説されているので、今後の育成に役立てたい」などの所見が寄せられています。

育成の今後の課題はジョブローテーション。 個人と組織の両面から「戦略的人事」を進めたい。

人材育成に関して完璧はありません。今後は、社員一人一人の能力、資質、職務経験、キャリアビジョンを踏まえた育成のため、戦略的なジョブローテーションを一層推進していく必要があると考えています。また、個人の能力開発だけでなく、疲弊しているチームがあれば、新しい人材を投入することで活性化させることも重要です。現場の事情や需給バランスなどが障壁となり、ジョブローテーションが社員や組織にとってベストではないケースもあると思います。タレントマネジメントシステムのリリースも間近に控えており、情報の一元化により、より戦略的な人事を行うための体制を整えていきたいと考えています。

2019年、みずほ銀行が出資比率を大きく引き上げ、旧興銀リースからみずほリースに商号を変えて、名実ともにみずほ系中核リース会社となりました。大きな転換期を迎えています。このことでビジネスチャンスが格段に拡がり、即戦力としてのキャリア採用を大幅に増やしています。

旧興銀リースを象徴する形容詞は「堅実」でした。安定している時代なら大きな強みですが、足元の環境は決してそうではありません。現在、challenge、change、createの「3C」を会社の行動指針にしています。変化するため、新しいものを生み出すための起点となるのはチャレンジだと考え、特に重要視しています。

採用に当たっては、「自律」と「多様性」を重視しています。新人と中途入社社員が現場に刺激を与えることで、チャレンジの推進・浸透が加速していくことを期待しています。

また、会社全体としてチャレンジを推進していますが、管理職の中には大きなチャレンジをするのにまだ慣れていない社員もいると思います。ミドルマネジメントの意識や行動を変えていく為には、心理的安全性の確保も欠かせないと思います。

課題は単純ではなくリンクしているので、関われる業務領域が幅広いのはありがたいことです。人事でチャレンジしたいことはまだ沢山ありますね。

私にとって、日本エス・エイチ・エルは「プロ集団」というイメージです。アカデミックで、自社のポリシーがあって、良い意味で迎合しない、プロ意識の高い集団という感じでしょうか。先述の通り、みずほリースはまさに変革のタイミングです。あまり範囲を限定せず、人事領域全般について総合的なお話をしていければと考えています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

畔取 祐介

教育研修制度を改革していく中で、自己理解を能力開発のための重要な機会と再定義され、管理職準備グレードへの研修(アセスメントとフィードバック)を継続いただいたことは、決して単なる継続ではなく、意味と価値の再定義という点で大きなChangeでした。
また、アセスメントを継続してきたおかげで蓄積してきたデータの分析と活用が可能となりました。今後はデータを活用して、貴社のタレントマネジメントの最適化に貢献したいと考えております。横山さんのビジョンの実現に向けて微力を尽くします。