効果的なミドルマネジメント教育を行うために、全管理職にアセスメントを実施した、菅公学生服の取り組みを紹介します。

※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

菅公学生服株式会社

事業内容

スクールウェア、スポーツウェアなど各種衣料の製造販売

業種

繊維製品製造業

従業員数

2,810名(グループ全体/2020年7月末時点)

インタビューを受けていただいた方

真鍋 洋志 様

菅公学生服株式会社
管理本部副本部長

インタビューの要約

ミドルマネジメント層の現状を正しく理解するため、採用で利用していた総合適性テストGABを約170名の全管理職に実施した。
個人として、集団としてそれぞれの強み・弱みが明確になり、現状が明確になった。個人に結果をフィードバックし、自身の強みを伸ばす方法、弱みを改善する方法について自己分析してもらった。
今後育てるべきは、仲間を承認し、組織を牽引できるミドルマネジメント。日本エス・エイチ・エルのアセスメントを、ゆくゆくは全社員に適用していきたい。

社員教育を見直す中で気づいた、研修目的の不明瞭さ。

現在、私は管理本部副本部長という役割を担っています。管理本部には、人事と財務と総務、3つの機能があり、日々の業務遂行上の判断をする立場にあります。また人事部部長と、採用と教育を担当している人材開発課の課長を兼務しています。人事に来るまでは、新卒でこの会社に入ってから、ずっと営業畑を歩んできました。

最初に人事部部長として着任した際、まずは採用と教育と配置という3つを強化したいと思いました。最初の大きな仕事は採用でした。その中で、日本エス・エイチ・エルのGABを使って面接をしたり、受検者の傾向を分析したりすることを半年くらい行った結果、「GABって素晴らしいな」と思いました。受検者の「見える化」というのでしょうか、自分の中で人物像の仮説を立てて面接の準備ができるし、この事前情報と実際にお会いしたときの印象が合っていることが多いなと、体感できたんです。

社員教育を見直す中で気づいた、研修目的の不明瞭さ。

同時に、教育についても見直しを始めました。今までの当社の人事の年間予算は、採用の予算がとびぬけて多い。教育の予算は、採用の半分程度でした。このバランスはおかしいんじゃないか、逆じゃないかと。これを転換するくらいの気持ちで、今後は教育に力を入れたいとメンバーに話していったんですね。その時点で、去年行った研修と、今期すでに計画済みのプログラムがありました。改めて、一緒に働いているメンバーに、「この研修はどういう目的で、どういう人に行うの?」「この目的と、どうつながるの?」と確認してみたところ、今までやっていたので、巷で流行っているので・・・というあいまいな部分があり、私たちの部署も、研修の目的を考え切れておらず、準備するだけで満足していたところがあったとわかりました。

効果的な社員教育・配置・採用のために、まずは社員を知ることから。

そこで、採用で使っていたGABの社内活用を経営会議で提案しました。効果的な社員教育、配置ならびに採用を行うためには、社員の特性を理解することが必須であると打ち出しました。まずは、ミドルマネジメント層に対する社内研修をしっかり行いたいので、管理職にGABを受けさせてほしいと提案しました。私は、陰でコソコソ動く人事になってはいけない、オープンに社員をバックアップする人事であるべき、と思っています。私たち人事がなぜこの研修を企画したのか、そのプロセスを共有するために、プロセスの見える化を図りたいと思いました。アセスメントを使って社員の特徴を把握すると、強みや弱みが定量的に把握でき、それをもとになぜこの研修をするのか説明ができます。また今の時代、配置に関しても、経営陣が鉛筆をなめて決めているだけでは、転勤だと言われても誰も納得できません。一つ一つの配置に経営陣の思いがあるなら、その思いを社員に共有しないといけませんし、あなたのこの能力を高く評価している、こんな仕事をしてほしいとしっかりと伝えることができなければ、転勤先で期待する成果を求めることなんてできません。本人のキャリアを踏まえた適材配置を実現する意味でも、アセスメントは必須でした。

「200年企業を目指して」熱意と粘り強さで、全管理職へのアセスメントを完遂。

管理職を対象にした理由は、ミドルマネジメントを鍛えないことには会社は伸びないなという個人的な思いからでした。しかし、管理職に受検してもらうのは思った以上にハードルが高かった。最初は何人か受けてくださらなかったのも事実です。でも、営業時代から業務で多くの人とつながりがありましたので、一人ひとりに連絡して、「お前の最初の仕事なら、しゃあないから付き合おうか」と言っていただき、一人残らず全員に受けてもらいました。時間はかかりましたが、目的と、会社がこの先180年、190年、200年と続いていくためには必要なんですと話をしました。

管理職の特徴を可視化したことで、強みや弱みが明らかに。

全管理職が受検した後、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントが、菅公学生服単体のGABの傾向値と、他の企業群の平均値との比較をしてくれて、会社全体の強みや弱みを分析してくれました。また、私たちのこれからの営業に必要なところ、モノづくりの管理職に必要なところ、といった判断軸で結果を解釈してくれて参考になりました。まずは自社の管理職の傾向を数値化できたこと、自分たちのポジションがわかったことが大きな収穫ですね。印象に残っているのは、当社の管理職の特徴として「目の前でケガをしている人がいたら、いろいろ手を尽くして治そうとする。でも、この人ケガしそうだなと、先のことを見通すことができない」と言われたことです。そういう自社の弱い部分を知ることができたのも大きいです。

また、特に重要視したのは、受験者本人へのフィードバックです。GABの結果は、本人にフィードバックして、全体の傾向値もオープンにしました。全体の傾向、他社との比較、営業の傾向、その中であなたはこう、とブレイクダウンしました。また、担当コンサルタントに相談して、GABの結果をもとに自分の性格分析と強みと弱みの把握をするための、「自己分析シート」を作ってもらい、受検者全員に記入してもらいました。そのあとに集合研修を企画し、問題解決、論理的思考、人間関係の研修と大きく3種類用意しました。それはGABの結果をふまえて、「ここの数字がいくつ以下の方は今年かならず参加してください、それはこういう理由です」と打ち出しました。参加率もかなり高かったですね。

当社のマネジメントには、自分自身の強みも弱みも把握した上で、自分らしいリーダーシップ像を描いてほしい。研修はそのための機会や知識提供の場だと考えています。だからこそ、GABの本人フィードバックをし、自己認識をしてもらう。そして、現状に応じた研修を準備し、納得した上で参加してもらうことにしました。

配置に関しても、経営の皆さんに対して、ぜひこのポストにこの人材を登用してもらいたいと提案したり、良いことも悪いこともストレートに情報共有してゆく中で、少しずつ配置への意見を求められることが増えてきました。わずかながら、人事として経営と社員をつなぐ役割に一歩が踏み出せたと思っています。

今後、マネジメント層がどのように変わるべきかというと、自分の中でひとつだけ確固たるものがあります。今会社は、変化を恐れずチャレンジしなさい、勇気をもって挑戦しましょうと言っていますが、挑戦に失敗はつきものです。前例のない新しいことが挑戦だからです。失敗を気にしていたら何もできない。経営層が挑戦しろと言っても、現場レベルでは「コストは?時間は?成果は?」と挑戦を承認する前にダメ出しや叱責をすることが多い。これでは次から挑戦できない。心理的安全性がないのに、挑戦しなさいと言っても続きません。会社として一気通貫で、経営層も、新入社員も、若手も、相互に立場や主張を理解して、相互に応援でき、皆が自分らしく働ける会社にしたいです。まずは心理的安全からはじめます。ミドルマネジメントは怒らない。チャレンジした部下を失敗しても褒め、認める。そして、次からはこうしようという肯定的なフィードバックをする。ミドルマネジメントが変わらないと職場は変わりません。それくらい影響力があるんだよと、ミドルマネジメントに伝えています。

日本エス・エイチ・エルのコンサルタントは、頼りがいがありますね。わからないことはなんでも相談しようと人事みんなで言っています。数年以内に全社員にGABを実施するよう進めています。採用で利用するだけでなく、異動したら受けるとか、キャリアを考える様々な場面で利用していきます。他者から見た評価と併せて、自分では見えていない部分に気づくという、相互理解につながるツールだと思っています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役

重原 公

タレントマネジメントという言葉が注目される中、客観的な指標として適性テストの活用を検討される企業様は増えています。しかし、関心はあれど実施や具体的な活用まで至っていないという企業様も多く、これは当社の力不足もありますが、大きくは①目的が何かが不明確であること②社内の合意がとりにくいことが課題となっているように感じます。菅公学生服様は、冷静な現状把握と、経営と社員を想う熱いお気持ちによってこの2つの課題をクリアされ従来の管理職教育から変革されています。
日頃より、真鍋様が人事メンバーの方々や私達に対して、常に優しく接して頂く姿が想い出されます。当社からは現状の可視化や、人事施策の方向性についてご提案いたしましたが、お取り組みが実を結んだのは、突然の施策に戸惑う社員の方に対し、真鍋様始め人事メンバーの方々に尽力いただいた結果です。今後もディスカッションを重ねながら、現状の可視化及び人事経営戦略にお役立ていただけるよう、微力ながら尽力してまいります。

導入事例

オンライン選考を有効なものにした、日立ビルシステムの採用基準作成。

オンライン選考を有効なものにした、日立ビルシステムの採用基準作成。

職種別採用への移行をきっかけに、職種ごとの採用基準を策定。
コロナ禍で効率的にオンライン選考を行う日立ビルシステムの取り組みを紹介します。

※本取材は2021年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社日立ビルシステム

事業内容

1.エレベーター、エスカレーター、空調装置、電気設備、 その他ビル設備に必要な機器の製造、販売、据付、保守、改造修理、更新及び設計
2.各種ビル設備の監視、制御並びにビル管理
3.冷凍空調装置並びにそれらの運転制御盤、遠隔監視装置、冷媒回収装置の製造 など

業種

建設業

従業員数

約8,500名(2020年3月時点)

インタビューを受けていただいた方

北上誉之 様

株式会社日立ビルシステム
人事総務本部 人事企画部 採用・教育グループ 部長代理

インタビューの要約

職種別採用への移行をきっかけに、採用基準の明確化が課題に。社員受検データの分析と、管理職層へのアンケート調査によって、職種ごとの採用基準を策定した。
くしくもコロナ禍でオンライン選考へと全面移行。採用基準を策定しておいたことで有効なスクリーニングが可能に。またオンライン面接での情報不足をアセスメント結果の解釈によって補えた。
今後はチーム編成や、価値観をもとにした配属・任命によるエンゲージメント向上、またテレワークによる協働を円滑にするために、人材データを活用したい。

完全職種別採用に移行したことで、採用基準の策定をスタート。

私は2019年6月から採用業務に携わることになりました。すでに採用活動のピークは過ぎていましたので、次の21卒採用から本格的に参画する覚悟を決めていたところ、新型コロナウイルス感染症が蔓延。さらに未経験の要素が加わり、21卒採用は苦労しました。

日本エス・エイチ・エルには採用基準の設計を手伝ってもらいました。それは20卒採用から完全職種別採用を始めたことからでした。それまでは総合職事務系・技術系をそれぞれ一括で採用し、入社した後に面接で配属先を決定していました。職種別採用に切り替えたことで、どういう人材がその職場・その職種に必要なのかという明確な基準がなく、面接官の主観に頼った判断をしているという問題が浮き彫りになりました。実際に、私が採用業務に携わる中で、初期選考で高い評価を得た学生が最終選考で低い評価となったり、その逆もしかりで、採用プロセスを通して評価に一貫性がないと感じることがありました。会社がさらに成長していくためにはそれぞれの職種に適した人材の確保が大事だというところから、職種別にどういう人材を採用すべきか採用基準を策定することになりました。

完全職種別採用に移行したことで、採用基準の策定をスタート。

また、適性検査は長く利用していますが、面接官がパーソナリティ検査の結果などの事前情報を活かしきれていないという課題もありました。私も事業所総務を担当していた頃に面接官として対応したことがありますが、通常業務を行う中でたくさんの事前資料を見る時間が十分に確保できないというのが正直なところで、それを見ることの重要性を理解していませんでした。面接官に事前情報の重要性を訴えるには、内容や職務との関連性を明確に説明する必要がありました。

社員データ分析とアンケート調査の両面で、採用基準を策定。

採用基準の設計は、まず対象職種の社員にアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を受検してもらい、全体的な社員の特徴と、その中でも特に高いパフォーマンスを出している社員の特徴を統計分析で明らかにしました。また、職種ごとに求める人材像を明らかにするためのアンケート調査を、別途経営幹部や管理職や要職者に実施しました。一般的に、高いパフォーマンスを示す人の割合は多くはないので、少ない対象者で特徴が見いだせるのか不安はありました。

事前にしっかりと主旨をご理解いただいたため、取り組みには社内の協力を得ることができました。アセスメントに協力いただいた社員には、フィードバック用の帳票を返却しました。また面接官には、日本エス・エイチ・エルの担当者に結果解釈のための説明会をしてもらったところ、皆さんご自身の結果に関心を持ってご覧いただけたと感じました。年齢を重ねるとアセスメントを受ける機会も少なくなるので、あらためて自己分析結果を目にすることの新鮮さをお話しされていましたね。

職種ごとの要件と、全社共通の人材要件が見えてきた。

社員分析の結果について、職種ごとにハイパフォーマーの特徴もみられましたが、一番納得したのは、社員の全体傾向として「問題解決力」と「オーガナイズ能力」が高いということ。これは社風の影響です。基幹事業の一つであるエレベーター・エスカレーターのメンテナンス事業では、様々な情報を組み合わせて問題の原因を特定し、お客様の納期に合わせて限られた時間で計画的に作業を進めることが重要になります。この認識が社員に浸透していたため、このような特徴が現れたのだと思いました。面接官からは別の要素も重要だというコメントもありましたが、客観的に社員の共通性を示せたことは、面接官の間での評価差を解消するのに役立ちました。

新型コロナウイルス感染症の影響で、オンライン面接へ全面移行。
スクリーニング基準が整備されていたことが功を奏した。

21卒採用から一次の集団面接をやめて、書類選考に切り替え、エントリーシートと適性検査の結果で応募者の絞り込み、一次面接と最終面接を経て、合否判定を行うプロセスへと改定を計画していたところ、くしくも、新型コロナウイルス感染症の影響で、選考方法(オンライン面接)や時期への大幅な修正が必要になり、採用基準を策定しておいたことが功を奏しました。採用基準のおかげで、書類の合否判定と次の選考への参加順を客観的に決めることができました。共通要件がボーダーライン上のグループから、各職種要件を持つ人を優先に面接へと進めるなどの細かい調整ができてよかったです。また、今まで検査結果を活用しきれていなかった面接官のために、面接官教育に検査結果の解釈を含めたところ、検査結果から仮説を持ち、事前に質問を準備できるようになったという声が面接官から聞こえるようになりました。

21卒採用の面接はすべてオンラインに切り替えましたので、今までの対面面接では見えていた人となりや雰囲気といった情報は全く得られなくなりました。その観点では、パーソナリティ検査の解釈スキルを強化しておけたのは不幸中の幸いでした。もちろん、実際にお会いして雰囲気を感じ取ることは大事ですので、対面とオンラインの選考をどのように組み合わせていくかは、コロナウイルスが落ち着いた際に検討します。

日本の労働人口が減少していく中で、従業員のパフォーマンスを引き出すためにタレントマネジメントは重要です。ほとんどの従業員が組織で活動をしていることを考えると、良いパフォーマンスを引き出すための従業員同士の関係性や人材の組み合わせを体系化できれば役立ちます。我々は、安全性の観点からメンテナンスを行う際、主に二人以上で作業計画を組むので、その組み合わせもアセスメントで個人の特性を見ながら配置ができればとよいと思っています。

また、私が使いやすいと思ったのは、価値観のアセスメント(V@W)の結果です。本人が職務上で重視している価値観をマネジャーが把握することで、より適したフィールドで活躍してもらうことができます。仕事のアサイメントの渡し方やフォローアップなど、従来なら各人に適したやり方を把握するのに一定期間が必要だったものが、配置してすぐに把握することができるといったことにもつながると思います。

コロナ禍で急速に普及したテレワークが、コロナ終息後も完全に元の状態に戻ることはないと思います。上司と部下が離れて仕事をすることが多くなれば、社員の特徴を把握することはより重要になります。社員ひとりひとりの特徴に配慮したコミュニケーションの取り方や育成担当者の割り当て方などにアセスメントを活用できたらいいですね。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

武田 幸祐

今回の採用基準明確化のプロジェクトは、職種別採用の導入と面接評価の課題の解決という内的要因と、コロナ禍による採用環境の変化という外的要因がある中で、結果的に非常にいいタイミングで実施できました。変化が求められる難しい環境下でプロジェクトに携われたこと、非常に有難く思っています。
今回の取り組みから、主観と経験に頼るのではなく客観的なデータを用いて細かく分析することで、人材評価時の焦点を合わせることができ、より良い採用活動ができると改めて認識することができました。
とは言え、「採用」という人事に関するテーマの入り口が整理できた段階であり、今後、企業としてのさらなる生産性向上と社員の皆様の働きやすさのためには、人同士のマッチングやサービス領域ごとの適性人材など、様々な観点でのより深い分析や継続的なデータ蓄積が必要と考えています。
これからもお力になれるよう引き続き尽力したいと思います。

導入事例

「クリエイターファースト」なHappy Elementsの人事評価制度改革。

「クリエイターファースト」なHappy Elementsの人事評価制度改革。

ヒット作を支えるクリエイター集団がモノづくりに集中できる環境づくり。
人事評価制度改革とリーダーシップ開発の取り組みについてご紹介します。

※本取材は2022年10月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

Happy Elements株式会社

事業内容

モバイル向けゲームアプリの開発・運営

業種

情報通信業

従業員数

250名(2022年3月末現在)

インタビューを受けていただいた方

内藤 健次 様

Happy Elements株式会社
執行役員 人事グループ 人事グループリーダー

インタビューの要約

ヒット作品やテクノロジーの進化によって組織が拡大し、マネジメント層の育成が課題となる。人事評価制度を導入したものの、マネジメント嫌いを作り出す結果に。
組織内でマネジメント層ができる人材を育成するために、小グループのマネジメントから経験を積むことができるサブプロジェクト制度を実施。
社員が人事評価制度をより身近に感じられるように、横スクロールのアクションゲームのように制度を設計。
縦方向のみの硬直的な人事評価制度ではなく、機動性の高い、現在の社員集団に最適化した人事評価制度を構築し、マネジメントに対する意識変革を図る。

ヒット作やテクノロジーの進化に伴う組織の拡大。 ミドルマネジメントの育成が課題に。

私は大学卒業後、三洋電機で海外営業を1年半経験し、日本エス・エイチ・エルへ転職しました。HRコンサルタントとして企業の人事の方々にソリューションの提案を4年半ほど行っていたのですが、この時の経験は人事としての自分の原体験となっています。特に、パーソナリティ検査OPQの30項目のパーソナリティ因子を知ったことが私の人の見方に大きな影響を与えています。私は、人を典型的なタイプに分けてとらえるタイプ論より、人は色々な要素の組み合わせでできているという因子論の考え方が好きです。人事として仕事をする際に、色々な人がいて良い、様々な環境においてその人の持っている要素がどういう表れ方をするかという見方をするようになりました。個々人の背景を大事にしなくてはと思うのは、日本エス・エイチ・エルで働いたからだと思っています。
その後、株式会社ポケモン、株式会社あきんどスシローで人事部長を務め、2020年1月にHappy Elements株式会社に入社しました。

当社は2010年の創業以来、クリエイターがのびのびと仕事ができるようミドルマネジメントを置かずに組織を運営、アルバイトから登用した若手社員の発案から「あんさんぶるスターズ!」などのヒット作が生み出されました。ヒットタイトル創出に伴って、多くのコンテンツ制作、厳密な品質管理、新技術への対応等が求められるようになるとともに社員数が一気に増え、ミドルマネジメントの必要性が高まっていました。この課題を解決するべく2017年に外部のコンサルティング会社に依頼して人事評価制度を作りましたが、なかなかうまく機能しませんでした。当社は、純粋に絵を描きたい、モノづくりがしたいというクリエイターの集団です。この評価制度を経験した多くの社員は「あんな面倒くさいことをやらないといけないリーダーやサブリーダーにはなりたくない」と思い、それまで以上にマネジメントから距離をとるようになりました。そこで、私が人事評価制度の再構築をすることになりました。

クリエイター集団からマネジメント層を育成する

ミドルマネジメントを外部採用してもなかなかうまくいきません。クリエイターである社員が「この人の指示なら聞いてもいい」となる人は、そのカテゴリーで一番技量のある人です。しかし、技量のある人にマネジメントの役割を担ってもらうと、彼らはモノづくりに集中できなくなり、モチベーションを下げてしまいます。そのため、クリエイターの中からマネジメントに興味がある人を見つけることにしました。一番技量のある人でなくとも、一定の技術があり面倒みの良い人、OPQで言う「面倒み」が高い人は必ずいます。

次のステップでは、このマネジメント候補者に経験を積ませます。いきなり、大きなタイトルのマネジメントは難しいので、自分たちの発案した企画をマネジメントするサブプロジェクト制度を会社として準備しました。この制度は新タイトルの開発と社員のリーダーシップ開発の両方を企図しています。サブプロジェクトは比較的細かく目標を設定、会社からのサポートも入れながら、段階的にマネジメント経験を積む道筋を作っています。

クリエイター集団からマネジメント層を育成する

人事評価制度をゲーム化する ~パラメーターの設定~

私が入社して最初に行ったことは、全従業員に対するインタビューです。約2か月間かかりました。インタビューの後、どうしたらゲーム会社の人に人事評価制度が身近に感じてもらえるかを考え続け、人事評価制度にゲーム的な要素を盛り込めばいいと閃きました。

能力評価については、技術、ベース、マネジメントの3つに分けました。ゲームでいうところのパラメーターです。当社の中心は技術であり、技術のウェイトが高くなることが評価の基本です。ベースは、時間を守る、嘘つかないという最低限のマナー。マネジメントは、ヒトのマネジメントだけでなくコトのマネジメントも含みます。チーム管理、メンバー管理、工数管理、品質管理の4項目に分け、正社員以上はマネジメントを必須としました。4つのうちどれをやるかは人によって変わり、メンバー管理はないが、工数や品質管理はあるという人もいます。

この3つのパラメーターの比率を上司と部下で決めることにしました。人事はステージ(等級)ごとの各パラメーターの最低と最高の割合だけ決めます。あとは上司と部下が話し合って3パラメーターの合計が100になるよう割合を決めます。例えば、正社員以外はまずは技術を磨いてほしいので、ベース30、技術70、マネジメント0といった感じです。現場で社員の評価項目とその重みを調整できるようにしました。私はこれまで様々な組織で人事評価制度を作ってきましたが、どうしたら制度の機動性を上げられるかと考え続けてきました。このチューニングができる評価制度は私の発明だと思っています。

人事評価制度をゲーム化する ~ステージの設計~

次に、人事評価制度を一般的な縦型ではなく横スクロールのアクションゲームにしようと考えました。具体的には、ステージ(等級)に、5-1や5-2というようなサブステージを作りました。ステージ5から6とか、3から4へ移るときには、ゲームであれば中ボスが出てきますよね。中ボスとして昇格審査があります。職群毎にいるチーフが技術を確認し、人事がマネジメントを確認し、社長が会社全体の考え方・価値観とのマッチングを見ていきます。

マネジメントにそれほど興味がない人達にも機会を作りたかったので、ステージ周回ができるようにしました。ゲームのようにステージの初回クリアボーナスだけでなく周回ボーナスも用意しました。例えば4-5の2回目や3回目でも初回クリアほどではないですが昇給があります。以前の制度は、基本的にステージ4から5へ上がらないと昇給しないので、「上にあがれ」というメッセージが強く出ており、当社のカルチャーにあまり馴染みませんでした。他にもゲームならワープができる土管があるように、階段飛ばしもできるようにしています。ゲームデザイナー職種の社員が「ゲームデザインできていますよ!発明ですよ!」と喜んでくれています。

人事評価制度をゲーム化する ~ステージの設計~

これらの取り組みを通して、社員に「マネジメントもそれほど悪くない」と感じてもらえるといいなと思っています。自分が表現したいものがある人、ユーザーさんに喜んでもらうために制作をしたいと思う人の集まりですが、人が育つのをみて、こういう喜びもあるなと思ってほしいですね。

今後のアセスメント活用

日本エス・エイチ・エルのアセスメントは5年以上前から利用しており、採用選考と社員の傾向把握に使っています。全体傾向、職種別傾向、退職者傾向を分析しました。採用では面接の参考資料として使っています。社長はデータ好きなのでアセスメント結果をよく見ています。

今後はマネジメントポテンシャルの高いクリエイターを見出すための情報として、キャリアに関する対話の材料として、アセスメント活用の可能性を検討していきたいと考えています。

日本エス・エイチ・エルの持っている多様な人材を生かすためのノウハウは、中小企業にこそ必要なものだと思います。自分たちが大切にしていることをうまく表現できない会社に対して、彼らのいい部分を消さないように関わってくれると思いますので。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員

清田 茂

内藤さんとは約4年間、同じチームで仕事をしました。当社へは未経験者で入社したので、ゼロから人事業務、アセスメント、コンサルテーションを学んでもらいました。凄まじい吸収力ですぐにコンサルタントとして戦力となり、大阪オフィスの立ち上げに貢献してくれました。その後、当社子会社の社長に抜擢、退職後は複数社で人事を経験し、人事のプロとして活躍されています。
本インタビューは、急成長するゲーム業界のタレントマネジメントについて話をして欲しいとお願いしたところご快諾いただき、行うこととなりました。ここまでの人事評価制度設計に当社アセスメントは直接関わっておりませんが、今後の運用に関してはアセスメントの活用が検討されています。内藤さんの目指す組織人事改革に向けてお力になりたいと思っています。

通貨処理機等の製造を行うグローリー。昨今の電子決済化など事業環境の変化に対応するため、人材の計画的な発掘・育成・配置の必要性が高まり、タレントマネジメントの基礎として全社員のアセスメントデータを取得し、人材可視化を行いました。

※本取材は2023年5月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

グローリー株式会社

事業内容

通貨処理機・セルフサービス機器の開発・製造・販売・保守、電子決済サービス、生体認証ソリューション、ロボットSI等の提供

業種

機械

従業員数

3,498名(グループ連結:10,792名)※2023年3月31日現在

インタビューを受けていただいた方

永瀬 厚司 様

グローリー株式会社
人材開発部 人材教育グループ グループマネージャー

インタビューの要約

コア技術を新たな事業につなげることができる人材を計画的に育成すべくタレントマネジメントに着手。
全従業員共通のアセスメント(OPQ)を実施。説明会や動画にて自己理解の重要性を伝え、受検率100%を達成。
データ分析により全社および部門別の人材の特徴を可視化。
新任管理者研修内にてOPQの説明パートを設け、部下理解およびキャリア面談での活用を促進。
管理職の要件にPMCコンピテンシーを採用し、今後のさらなる人材育成施策を検討する。

未来に必要な人材を計画的に育成すべくタレントマネジメントに着手。

私は、ソフトウェア技術者として国内および海外での製品開発を経験した後、2019年4月に人材開発部へ異動しました。人材開発部のミッションは、効果的に人材の採用・教育・発掘・育成・配置することです。現在は人材教育グループマネージャーとして、各事業部にある教育部門と連携し、全社の教育を進めています。

グローリーは通貨処理機の開発製造からメンテナンスまで一貫して行う機械メーカーですが、培った技術を活かして電子決済サービスや生体認証、メカトロニクスを活かしたサービスなどの事業も行っています。海外では競合と資本提携を進め、この10年間で海外売上比率は半分以上を占めるまでになっています。キャッシュレス化が進み事業環境が大きく変化する中で、新しい事業の柱を作るビジネスリーダー、技術で牽引する開発のリーダー、資本業務提携先とのシナジーを創出できる人材などが必要となってきました。未来に向けて必要な人材要件の定義、その素養を持つ人材を社内で把握し、全社で共有し、計画立てて育成するには至っていませんでした。これらの課題に対処するために、まず現状把握のため人材可視化に取り組むことにしました。

未来に必要な人材を計画的に育成すべくタレントマネジメントに着手。

全従業員共通のアセスメントデータを収集。受検率100%。

タレントマネジメントを実施する上で、行動特性を示すアセスメントデータは重要な情報の1つです。しかし、当時社内にあったアセスメントデータは対象層によって異なっていたため、全従業員を共通で見られるものさしが必要だと考えました。また、海外関係会社を含めると、外国人比率も高く、グローバル展開できる日本エス・エイチ・エルのOPQを導入しました。また、従業員への負担を考えたときに、受検にかかる時間なども適切でした。さらに、再受検をせずにより詳細のコンピテンシーが見られる万華鏡リポートを追加出力できることも魅力的でした。

従業員に受検を依頼するにあたっては、全員に受検してもらえるように「キャリア自律のために自己理解を深めよう」というメッセージを発信しました。説明会を10回開催し動画も用意し、受検してもらえるよう促した結果、2カ月かかりましたが、受検率100%を達成しました。

人材の特徴を可視化。キャリア面談でも活用。

受検結果は、人材データベースシステム上で本人と上司が確認できるようにしました。上司には、部下の理解促進のために年1回のキャリア面談でOPQを活用してもらっています。結果の解釈が難しいという声もありましたが、活用度合いに関するアンケートでは、「OPQを活用して部下と対話する」という段階までは60%の方が実施したと回答しており、概ね肯定的に受け入れられたと考えています。しかし、日頃の行動と照らし合わせてフィードバックをしたり、OPQを用いて能力開発計画を立てるなど、さらなる活用段階まで至っておらず、継続したOPQ自体の理解促進や部下とのキャリア面談、1on1のやり方など実践につなげていくための学びの場が必要と考えており、今後の課題です。現場からチームメンバー全員で結果を共有してフィードバックしあい、相互理解が深まったという嬉しい反応もありましたので、こういった活用事例を共有していくことも重要だと思っています。

人材開発部では、結果データを活用し、現状の従業員の全体傾向を可視化しました。具体的には、全体傾向と開発、営業、保守などの部門ごとの傾向を分析しました。結果は従業員の特徴がよく表れており、例えば、顧客と接する職務はOPQの人との関係の領域が高得点の傾向があり、開発は低得点の傾向がありました。また、考え方の領域はその逆でした。

この結果は経営層に報告しましたが、データでの可視化はあくまでも現状把握です。ここから見えてくる仮説と、会社のビジョン達成に向けて、これから必要な人材を計画的に発掘・育成・配置するために会社がすべきアクションにつなげていくことが、次の課題です。

また、会社の経営戦略に基づいて、来年から新たな人事制度の運用が開始します。その中で、管理職の行動評価に万華鏡のPMCの中から当社として重要視する項目をピックアップし、取り入れています。このように、人事戦略、従業員のキャリア形成支援とアセスメントを有機的に機能させることで、人事戦略として掲げている「個人の成長とともに、会社が成長し、一人ひとりがグローリーで働くことに強い魅力を感じ、誇りを持っている」状態を醸成し、会社の持続的成長につなげていきたいと考えています。

日本エス・エイチ・エルは私たちに寄り添い、課題の背景を踏まえて対応策を検討してくれるパートナーです。他社人事の方との情報交換の機会を提供していただけたのも有難いです。今後もタレントマネジメント推進のため様々なご支援をお願いしたいと思っています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

鈴木 悠太

今後の事業展開を踏まえタレントマネジメントの実施に踏み切り、文字通り全社員データを取得、そのデータを様々な人事施策に活用されている本お取組みはタレントマネジメントの好例ではないかと考えております。「アセスメントデータを余すことなく活用したい」、グローリー様が本お取組みに着手され受検率100%を達成し、全社員データを取得した後に永瀬様から改めてご相談いただいたことを今も強く覚えております。次なる人事施策に向けてアセスメントデータをどう活かせるか、都度ご相談を頂戴してお打ち合わせを続け、様々な施策の検討に携われていることは私自身とても大きな経験となっております。グローリー様の「パートナー」と仰っていただいたことに恥じぬよう、今後も微力を尽くして支援させていただきます。

ゲオからセカンドストリートへの事業ポートフォリオの転換を推進するゲオホールディングス。リユース事業であるセカンドストリート800店舗体制に向けて、人数を確保することに加え、質を担保すべく、活躍する店長の要件定義を行いました。

※本取材は2023年3月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社ゲオホールディングス

事業内容

メディア、リユース、モバイル、オンラインサービス事業

業種

小売業

従業員数

従業員数:5,314名(グループ全体)

インタビューを受けていただいた方

高橋 知寿 様

株式会社ゲオホールディングス
組織開発室 組織開発課 マネジャー

インタビューの要約

成熟したレンタル事業から成長しているリユース事業へと事業ポートフォリオの転換を行うために、リユース事業のセカンドストリートを800店舗まで増やすことを目指していた。
活躍する店長の特徴を明らかにするため、人事データ分析を行った。全社員のパーソナリティ検査結果から10タイプに分類し、そこに評価データを組み合わせて、最終的に3つのタイプを事業部と協議の上、採用ターゲットとして決定した。
人員要望書を作成し、異動・登用プロセスの標準化に着手。
今後の課題はターゲット人財を確保していくこと。また、変化し続ける事業に適応できる組織であり続けるため、未来を見据えた要員計画にも取り組んでいる。

経営戦略、事業戦略に必要な人財を供給する。

私は、2006年4月にゲオにアルバイトとして入社し、店長やエリアマネジャーを経験した後、2017年10月に人事に異動しました。人事への異動当初は、人事データを分析してほしいと言われていましたが、人事本来の役割とは何なのか疑問を持っていました。自分なりに書籍やセミナー、他社の方々と話していく中で、人事の役割は事業に必要な人財を用意すること、という答えにたどり着きました。この時、人事がどのように事業に貢献できるのかが分かって、モチベーションが高まりました。当時、会社としては、リユース事業であるセカンドストリートの800店舗体制を目標として掲げ、事業ポートフォリオの転換を目指していました。そのため、セカンドストリートで活躍できる人財を増やすことを目的にデータ分析を行うことにしました。

経営戦略、事業戦略に必要な人財を供給する。

活躍する店長の特徴をデータ分析で明らかにする。

まずは、どのような人が店長として活躍しているのかを明らかにすることが必要と考えました。日本エス・エイチ・エルのコンピテンシーデザインコースで学んだ、カードソートというインタビュー手法を使って、当時のセカンドストリートの責任者にヒアリングをしてコンピテンシーモデルを作成いたしました。また、OPQのデータを活用して、クラスター分析にて10タイプに分類を行い、タイプ別のハイパフォーマーの人数や割合がどのようになっているのか確認したところ、特定のタイプにハイパフォーマーが多く分布している点や、店長・エリアマネジャー・ゾーンマネジャーと役職が高くなるほど、割合が増える傾向が明らかになりました。事業部と作成したコンピテンシーモデルと比較すると共通点が多く、事業部と協議し今後の採用ターゲットに決定いたしました。

当時800店舗体制を目指し、年間50店舗規模の出店を計画、人事主導の採用は「量」が重視されていた中、「質」の視点を示すことができました。

データ分析の経験を異動・登用プロセスに活用。

2020年4月に人事異動の担当となりました。当時は各部門からどのようなオーダーがあったかといった過去の記録があまり残っておらず、異動に関する相談先も担当者だったり、マネジャーだったり、ゼネラルマネジャーとバラバラなことで人財要件が曖昧だったり、追加で確認が発生しながら人事異動が行われている状況でした。そこで、人員要望書(職務記述書のようなもの)を作成し、なるべく要件に合った人財を各部門に配置できるように環境を整えました。

要件がより明確になったことで、データ分析の経験も活かし、より要件に合った候補者の選出が出来るようになったこと、エラーが発生した場合でも何が良くなかったのか振り返りが可能になったこと、追加確認が少なくなったことにより、業務効率を高めることができました。

2023年2月に発表した通り、セカンドストリートは800店舗を達成し、中期的に1000店舗体制を目指しております。正直に申し上げると、当社に応募してくれる方々からターゲット人財に該当する人を量・質ともに継続的に採用し続けることは挑戦的なことで、今までの母集団形成や選考方法の仕組みを変えていく必要があると考えています。

また、未来の要員計画に取り組んでおり、店舗のみならず、間接部門の重点職種においても、将来どのような人財がどれくらい必要なのか、今どのような人財がいるのか、どのようにギャップを埋めていくのか、課題解決に取り組んでおります。日本エス・エイチ・エルは、相談がしやすく伴走してくれる会社だと感じています。我々の課題を解決するために、今後もご支援いただきたいと思っています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング3課 主任

内田 敬己

高橋さんは、「ビジネス」を前提とした人事を考え実行されているすごい方です。ただ、「考えて実行する」ために、様々な知識を獲得し続け、困難な社内外の交渉調整業務を乗り越えられている様子が垣間見え、ご苦労も多かったのではないかと拝察いたします。こちらからの各種ご提案に対して「そうはいっても実際のところ」をご教示いただけたのは何よりの学びになっております。約10年間、担当する中で数々の貴重な経験をさせていただき深く感謝しております。引き続き、有効な関わり方ができるよう当社として気を引き締めて対応させていただきます。

導入事例

富士ゼロックスの「営業職5000人の“見える化”」を可能にしたタレントマネジメントの成果

富士ゼロックスの「営業職5000人の“見える化”」を可能にしたタレントマネジメントの成果

複合機ビジネスからの転換期を迎えた富士ゼロックス。現状の営業力の特徴と問題点の洗い出しのために、約5000名の営業社員の可視化に挑戦しました。この取り組みは、社内にどんな変化をもたらしたのでしょうか。

※本取材は2020年6月に実施しました。インタビュー内容は取材時のものです。

富士ゼロックス株式会社

事業内容

精密機器、コンピュータ・通信機器、ソフトウエア、印刷・印刷関連

業種

製造業

従業員数

39,825名(2020年3月 連結)

インタビューを受けていただいた方

石濱 健一郎 様

富士ゼロックス株式会社
販売戦略推進部 営業・SE力強化センター センター長

インタビューの要約

統合的なソリューション営業の強化に課題があり、営業職の「科学的管理=人材見える化」と、各自への動機づけ、および営業部門マネジャーによるフィードバック強化と全体の育成体制の整備に取り組んだ。
全営業職のアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を実施し、OPQ活用のためのトレーニングとOPQ分析結果の解釈・育成施策立案のためのコンサルテーションを受けた。
営業職の人材見える化を実現。誰がどのような能力を持っているかが、個別に把握できるようになった。また、メンバーの育成ポイントを、OPQのデータをもとに話し合う風土ができ、組織全体で「育成マインド」が向上した。

社長から「営業がまったく科学的でない」と言われ、 人材の「見える化」をスタート。

2012年から営業部門の人材育成を担当することになり、新人の導入教育からマネジャーの強化、新任部門長の強化と幅広く取り組んでいました。

当時、技術系出身の社長が就任して「営業がまったく科学的じゃない。行きたいお客さんにしか行かないし、情報ツールも脆弱。竹やりで戦わせているようなものだ。」と指摘されました。「まず、今の戦力がどのように分布しているか、問題点は何なのか示せ。」とも。技術系なら特許件数などデータを出せますが、営業は当時5000人くらい在籍しており、実績以外の情報は整理されておらず、どんな行動しているかはわかりませんでした。

そこで戦力を可視化すべく、パーソナリティ検査を使って行動指標をとっていこうというのが、このプロジェクトを始めたきっかけでした。

社長から「営業がまったく科学的でない」と言われ、 人材の「見える化」をスタート。

汎用性の高いパーソナリティ検査OPQと、 相談しやすさが日本エス・エイチ・エルの魅力。

もともと採用で日本エス・エイチ・エルの適性テストを使っており、新入社員のテスト結果データを採用チームからもらっていました。配属時には上司に新人のデータを渡して、一人ひとりの行動傾向とどんな指導やコミュニケーションが向いているかについて説明していました。あのデータが、まさに社長が言う可視化に繋がるんじゃないかとひらめいたんです。 当時、担当のコンサルタントが人事・人材開発担当の社員に対して適性テスト(パーソナリティ検査OPQ)の読み方講座を開いてくれて、営業のトレーナーも参加していたので、OPQのデータをどう読んで、どのように能力開発(新卒に対する個別の対応)に活かすかはイメージできていました。その経験から今回もOPQが使えるんじゃないかと思いました。

日本エス・エイチ・エルの良かったところは、パーソナリティ検査OPQの汎用性が高かったところ。あと、他社ではコンサルタントに相談する度、料金が発生したりするんですが、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントは常に自分たちの目線で相談に乗ってくれたところも。自分たちで作成した営業人材タイプの実用性を確認するため、自分で社員のOPQデータを分析したら、各タイプの違いがはっきりと出たんですね。そのときに「このタイプはこんな違いが出たが、違いとして扱っていいか?」「このデータは、どう見たらいいのか?」といった質問をしたのですが、すぐにわかりやすく答えてくれました。あとは、日本エス・エイチ・エルはもともとイギリスの会社なのに、あらゆるアセスメントやコンサルテーションで使われる言葉が私たち日本人にとって自然でわかりやすいものでした。

全営業職にOPQを実施、 個人の行動特徴を知ることで支店内のコミュニケーションが円滑に。

まず、全営業職5000人にOPQを受検してもらいました。その後、OPQの結果を含む「自己認識シート」を開発し、そのシートを部下にフィードバックをする際のやり方を学ぶために上司用の動画を作成しました。フィードバックの良い例と悪い例を入れて、「お前、なんで売れねえんだよ」と頭ごなしに言ったり、OPQを占いのように予言したりするのはダメだと伝えました。コンテンツ制作では日本エス・エイチ・エルにデータの見方を教えてもらいました。ほめればほめるほど動くタイプや具体的な見返りを示さないと動かないタイプとか、得点が高ければいいというわけではない尺度項目とか。そうした助言を参考にしながら、現場へのメッセージをまとめていきました。

現場への通知の仕方は、まず役員から部門長に目的と内容を周知してもらい、我々からはマネジャーに「みなさんの部下に自己認識シートを渡しているのでみなさんからフィードバックしてください」とガイダンスとともに連絡しました。
OPQの浸透をはかるため各拠点に赴いて、評価会議で私たちがOPQを活用したファシリテーションを行いました。会議で「○○君の情報について直属のAグループ長がこう指摘しているが、Bグループ長はどう見ていますか?」と投げかけると、Aグループ長が気付いていない強みや弱みをBグループ長が指摘したり、「せっかくだから、うちのグループの△△君と同行させようか」といった発言が出たりしました。OPQは各社員の行動の特徴を正確に言い当てているという声は多く、「自発的なタイプなので、目標を与えたら計画は自ら考えさせてください」とか、「指示する際には必ず前提となる目的を説明してください」といったコミュニケーションでの注意点は、素直に聞いてもらえました。

全営業職にOPQを実施、 個人の行動特徴を知ることで支店内のコミュニケーションが円滑に。

OPQが便利な点は、個人の行動特徴がきちんと数値化されていることと、本人の回答だから結果を本人が受け入れやすいこと。最近はグループ長より年上の部下も多くなっていて、実績が出ない年上の部下へのフィードバックは難しい。実績から離れて、行動特性や強み、弱みについて話すことでフィードバックのきっかけがつかめたという声が多かったです。 その他、部門長と支店内の優秀人材とそうでない人材の違いを、OPQデータをもとに話し合いました。どんな特徴に違いがあるか、どう対応すれば各人を優秀なセグメントにもっていけるかについて話し合いました。

人材の「見える化」が進み、 マネジャーの意識も大きく変化してきた。

人材の見える化はかなり進みました。営業部門全体で高業績者がどこにいるかわかりますし、例えば「セキュリティ案件に強いメンバーを集めろ。」と言われたら、すぐ適任者をリスト化できるようになっています。 またマネジャーの意識が変わったこともこのプロジェクトの成果です。部下のOPQデータを見ることで、個性にあわせた育成ができるようになったことは大きな成果です。

「自己認識シート」はマネジャーと部下が話し合うきっかけにすぎないのかもしれませんが、それだけでも役割を果たしていると思ってます。話し合いができているチームは評価への納得度が上がり、マネジメントのやり方の変化を少しずつですが実感しています。

今後はビジネスインテリジェンスツール(BIツール)を入れて、現場社員が自ら強みや弱みを踏まえた営業スタイルを考え、実行に移せるようにしたいと思っています。今の「自己認識シート」はこちらがデータを作って提供しているので、現場は決まったデータを見るだけしかできません。自らデータを扱うことで、自らやる気を起こし目標達成に繋がるようにしていきたいです。

今後も日本エス・エイチ・エルには、人材のデータに関する新しい知見やパフォーマンスを改善するために効果的なデータ活用法などの情報提供を期待しています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役

清田 茂

石濱さんからお話をいただいた時、営業プロセスとパーソナリティを結びつけることが営業活動の無駄を減らしていくだろうと直感しました。また、過去の経験から営業成績や営業のKPI、営業スタイルとOPQとの相関分析は、はっきりとした傾向がみられると確信していましたので、この取り組みは効果的なタレントマネジメント施策になると思っていました。
営業のパフォーマンスマネジメントにおいて社員のパーソナリティや営業スタイルを把握することは何よりも大切ですが、実際にOPQを活用している会社はまだ多くありません。何としても富士ゼロックスには成功していただき、その成功モデルを一緒に世の中に広めることができたらと考えておりました。
石濱さんの構想力とオーガナイズ能力のおかげで円滑にプロジェクトを進めることができました。心から御礼申し上げます。

導入事例

ソフトウェア技術者へリスキリング。デンソーの「キャリア転進プログラム」

ソフトウェア技術者へリスキリング。デンソーの「キャリア転進プログラム」

モビリティ社会において、一層大規模化・複雑化するソフトウェア開発。
不足するソフトウェア技術者を社内人材の職種転換によって育成する「キャリア転進プログラム」についてご紹介します。

※本取材は2023年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです

株式会社デンソー

事業内容

自動車技術、システム・製品の製造

業種

自動車部品製造業

従業員数

連結 167,950人、単独 45,152人(2022年3月末現在)

インタビューを受けていただいた方

広瀬 智 様
増子 敬 様

株式会社デンソー
電子PF・ソフトウェア統括部 ソフトキャリア支援室 室長 (写真右)
電子PF・ソフトウェア統括部 ソフトキャリア支援室 (写真左)

インタビューの要約

モビリティエレクトロニクス事業においてソフトウェア技術者に対するニーズが質・量ともに高まる一方、社内にはスリム化が求められる事業もある中、社内で職種転換を行う「キャリア転進プログラム」が立ち上がった。
推薦と社内公募を併用し、応募者にeラーニングと適性検査WebCABを実施。その後、ソフトウェア開発の基礎研修を行い、仮配属期間を経てソフトウェアの開発現場へ送り出している。
プログラム開始から約2年が経過し、現在は年間100名弱を輩出するペース。転進者の中には、目覚ましい活躍をしている人材もいる。
リアリスティック・ジョブ・プレビューも含め、ソフトウェア技術者として現場で活躍できる人を見極める精度を引き続き高めていく。今後もソフトウェア技術者に求められるスキルは変化するため、教育内容をアップデートし、組織の要請にこたえていきたい。

高まるソフトウェア技術者へのニーズに対応するために、社内人材の職種転換をサポートする「キャリア転進プログラム」。

私たちの所属するモビリティエレクトロニクス事業グループでは、ソフトウェア開発の規模がどんどん拡大し複雑化していく中、ソフトウェア技術者の不足が深刻化しています。一方、モノづくりの事業は非常に成熟しており、今後、電動化が進んでいく中でスリム化が必要な事業もあります。そこで双方の課題を解決するための一つの手段として、社内での職種転換「キャリア転進プログラム」の検討を始めました。20年7月にソフトキャリア支援室が組織化され、準備期間を経て、2021年1月から本格的にプログラムの運営を開始しています。

このプログラムは、社員のキャリア自立・自律と開発を支援する「キャリアイノベーションプログラム」における、継続的な学習を支援する「リカレントプログラム」の一部として位置づけています。「キャリアイノベーションプログラム」は、ソフトウェア技術者をいかに質と量の両面で強化していくかという課題へ対処するために作った仕組みです。デンソークリエイトに在籍していた頃に培ったノウハウを活かしつつ、デンソーの課題に即した形にしています。まずソフトウェア技術者のスキルを可視化しました。そこから社員が自らキャリアを描き、学び続け、活躍することを支援します。プログラムにおいては、ソフト技術者としての適性を見極めるために、日本エス・エイチ・エルのオンラインアセスメント(WebCAB)も利用しています。

高まるソフトウェア技術者へのニーズに対応するために、社内人材の職種転換をサポートする「キャリア転進プログラム」。

「キャリア転進プログラム」で、未経験者のポテンシャルを見極め、基礎教育を行い、実戦配備する。

「キャリア転進プログラム」の当初は組織の推薦だけでしたが、なかなか人数が増えなかったので、社内の公募制度も併用しています。応募者はハードウェア技術者だけでなく事務職も含みます。

応募者にはソフトウェア技術のリテラシーを向上するためのeラーニングとオンラインアセスメントを実施しています。オンラインアセスメントは、すんなりとソフトウェア的な技術を身につけられるというより、ソフトウェア的な考え方ができる人かどうかを見極める必要があると考えたためです。オンラインアセスメントとしてはWebCABを活用して、ソフトウェア技術者の適性を判断しています。そして、やる気と適性のある人に2カ月半の教育研修を行います。統計分析の結果、WebCABの得点と研修で実施するプログラミング言語テストの得点との強い相関が確認できています。また、結果リポートはご本人にも通知し、能力開発に役立てもらっています。

「キャリア転進プログラム」で、未経験者のポテンシャルを見極め、基礎教育を行い、実戦配備する。

教育内容は、新人と同様にソフトウェア技術者として最低限必要なものだけにしました。このプログラムではソフトウェア技術者として共通に必要な基礎を学んでもらい、部門や製品によって必要な技術や知識は少しずつ異なるので、それらは配属後にOJTで学んでもらいます。

また、研修後、すぐにソフトウェアの現場でやっていけるかは分かりませんので、仮配属期間を設けて実際の業務を体験します。私たちもフォローして、本人と配属先がやっていけそうだとなったら正式に配属します。配属先は、会社のリソース計画をもとにいくつかの部署を提示します。その中で本人の希望も踏まえて決定します。応募から配属までに約半年で行っています。

年間約100名のソフトウェア技術者を輩出。活躍する社員も。

プログラム開始から約2年が経過し、現在は年間100名弱を輩出するペースです。プログラム出身者のなかには際立って活躍している人がいますし、いろいろなソフトウェア分野のイベントでもキャリア転進プログラム出身の方が出ていたりします。潜在していたソフトをやりたい人がその仕事に就けて活き活きと活躍されている様子を見るとよかったなと思います。そういう機会を提供して活躍や成長していくことに携われているのは1つのやりがいですね。

一方、途中で「やっぱり厳しいね」となる人もいます。華やかな仕事を思い描いて現場に入ると、思っていたのと違うと頑張れない人もいます。やってみて「こんな仕事だと思わなかった」となるとお互いに不幸になってしまうので、厳しいけれどもやりがいのある世界をよく理解してもらおうと説明していますが、それでも「やっぱり現実は違った」となる人はいます。ゼロにはできないとは思いますが、減らすことが課題です。仕事環境の大きな変化は誰にとってもストレッサーです。加えてプログラム参加者の職位が高い場合、受け入れ側がリーダークラスとしてのパフォーマンスを期待してしまい、それがプレッシャーになるケースもあります。どうケアするかを検討しています。

また、今後もソフトウェア技術者に求められるスキルは変化するため、教育内容をアップデートし、組織の要請にこたえていくことが必要になると考えています。

日本エス・エイチ・エルのアセスメントはデンソークリエイト在籍時の人材可視化から活用しており、人の特性を計測する仕組みとして信頼しています。今後は自社と業界平均との比較をしたいですね。また、プログラミングとマネジメントという主要な点だけでなく、様々な職種への適性を見極めたいと思っています。特に開発全体を見て指南していく人材である、ソフトウェアアーキテクトなどは、もともと素質がないとできない職務です。どんな人材か、日本エス・エイチ・エルの診断ツールで絞り込めたらと期待しています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

松波 里奈

ソフトウェア技術者の獲得は様々な企業で喫緊の課題です。その中でも今回は、高い専門性が求められる技術者の自発的な職種転換という先進的なお取組みに参画させて頂けましたこと、大変有難く思っております。「年間100名弱のソフトウェア技術者を輩出」という成果は、広瀬様、増子様がアセスメントデータの活用に留まることなく、キャリア自律促進のための前向きかつ挑戦的な取組みを続けたことによるものと感じております。今後もアセスメントの活用に留まらず意見交換させて頂き、効果的なタレントマネジメントの立案と運用のために尽力いたします。

中部電力グループ唯一のIT企業として、「エネルギーの安定供給」をシステムインテグレーターとして支える中電シーティーアイ。電力自由化等によって事業環境が変化し、DXのさらなる推進のために社員一人ひとりのキャリア形成を支援する人事制度改革を行いました。

※本取材は2023年8月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社中電シーティーアイ

事業内容

アプリケーション開発保守サービス、インフラセキュリティサービス、解析サービス、大量データ処理サービス、IT運用サービス

業種

情報・通信

従業員数

1,271名(2023年6月1日現在)

インタビューを受けていただいた方

林 達也 様
正村 宣美 様

株式会社中電シーティーアイ
経営管理本部 人事部 採用・人事企画グループ マネージャー(写真右)
様経営管理本部 人事部 採用・人事企画グループ 専門課長 (写真左)

インタビューの要約

サービスの高度化に合わせて、人材の配置や育成の仕組みを変革すべく、企画から1年で人事制度改革などの様々な施策の運用を開始。
社員のキャリア形成を支援するために、社長・役員も含めてアセスメントを実施。結果の見方研修や説明資料により社内への浸透を促進。
取得データは日々のマネジメントからプロジェクトへのアサイン、全社や部署の特徴の可視化など人事施策の様々な場面で活用。
一気呵成に行った人事施策について、社員の反応や声をしっかりと聞きながら定着させていく。

DX推進のため、人材の流動性を高め、キャリア形成を支援する。

電力自由化により、一層の経営効率や新規サービスに取り組むことが求められるようになりました。その中でITの力は戦略上欠かせません。DXを一層推進する必要があります。これまではどちらかといえば受け身でシステムを作る仕事がほとんどでしたが、より高度な仕事をすることが求められるようになり、仕事の仕方そのものを変えなければいけないという問題意識がありました。組織として人員をなるべく高度領域の仕事にシフトし、保守運用の仕事を海外を含めて外注するという大改革を行うことになり、人の配置育成の仕組みも見直しました。まず、IT技術者としてどのような人を求めるのかを定義し、人事制度と連動する高度IT技術の認定制度を構築しました。次に、個人のキャリア形成支援のために、社員向けにアセスメントを実施しました。さらに、従来は人事異動が硬直的でしたが、流動性を高めるために社内公募制やFA制などを導入しました。また、各職場において年度当初に掲げた業務執行計画を確実に達成させるために、人事評価の運用にクラウドを利用したシステムを導入し、上司と部下のコミュニケーションによる目標管理の手法をより強化しました。

現社長は人事業務の経験も深いため、一体となって変革を進め、21年度に様々な施策を企画して22年度に運用開始することができました。

DX推進のため、人材の流動性を高め、キャリア形成を支援する。

自己理解促進のため、アセスメントを実施。経営層が積極的に受検。

社員一人ひとりが成長することで会社も成長のチャンスが増えます。しかし、若手社員はキャリア形成の道筋やお手本を求めているものの、お客様の課題解決のために必要となるITスキルの変化が激しく、上司も経験がない仕事をしているために指導が難しい状態でした。そこで、人事アセスメントを活用することを考え、既に採用で使用していた日本エス・エイチ・エルのアセスメント、OPQを社員に実施しました。当初は若手IT人材のみを対象とすることを考えていましたが、社長が「対象者の上司が結果の扱い方をよく理解する必要がある」と、自らも率先して受検し、ほかの役員や管理職も積極的に受検してくれました。合計1,138名が受検し、受検率は約90%でした。受検を依頼する際には、「自身の適性を客観的に把握する」という目的を丁寧に説明するよう心掛けました。公募制、FA制度にチャレンジする際の自己PRに活用できることや、現状社内にあまり存在していないコンサルティングやプロジェクトマネジメントなどの業務に対する適性を知るのに役立つこと、今後も数年に1度、定期的に実施する予定であることを、社員の皆さんに伝えました。

1on1から、アサインプロセス、人材可視化まで広範囲に活用。

取得したデータは目標管理のクラウドシステムに格納し、本人とその上司が結果を見ることができます。上司は部下の職種適性などを見て、キャリア形成のアドバイスや1on1ミーティングの材料などに活用してもらっています。結果の解釈の仕方については、解説動画を社内ポータルに用意しており、70%弱の方が視聴済みです。加えて、上司向け、全体向け、職種適性の能力開発ガイドなどの資料も配布しました。人事主導の施策ゆえ、結果の扱われ方に対する不安を払拭するためにも、なるべく多くの情報を提供しました。

客観的な物差しということもあり、結果はおおむね前向きに受け止められています。また、部署内でお互いに結果を共有することもあります。

人事側では、人事異動やプロジェクトへのアサインを検討する際、1つの参考材料として活用しています。人事内ではかなり浸透してきており、何か判断をする際に「(OPQの)結果はどうなっているの?」という声が聞こえてきます。また、全社あるいは部署ごとの特徴を把握するためにデータ分析も行い、実感を客観的なデータで再確認することができました。

また、これまでは人事異動が少なくずっと同じメンバーと仕事をしてきましたが、今後人材が流動化すると初対面の人々とプロジェクトを進めていくことが増えます。その際OPQという共通言語があれば、コミュニケーションも円滑になるのではないかと思います。

昨年は、盛りだくさんの人事施策を、短期間のうちに今までにないスピードで実施しました。社員にとっても目まぐるしい変化であったのではないかと思います。今後は、社員の反応や声をしっかりと聞き、必要なものを見極めて定着させていくことが大事だと思っています。社員が忖度せずに率直に意見を表明できる風通しの良さの表れなのか、毎年実施している社員の満足度調査では、人事評価結果に対して厳しい意見もありました。社長は常々「社員に何も言ってもらえなくなったら終わり。言ってくれるうちが華」と言っています。改革後の満足度は微増となりましたが、今後もアンケートなどで社員の声に気付くことができるようにしたいです。

日本エス・エイチ・エルは私たちのパートナーだと思っています。「言ってもらえなくなったら終わり」という言葉はどのような関係性にも言えることですので、今後も様々なアドバイスを期待しています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

改正 晃大

「社員一人一人がキャリアについて考えるきっかけを与えたい」という思いの下、細心の注意を払い進めていたことをとても印象深く覚えております。受検結果の開示だけでなく、OPQの解釈方法や活用に関する案内、部門ごとの分析結果の開示など、キャリアについて考えるための情報提供を惜しみなく行っており、皆様の思いがあって初めて実施できた取り組みだと考えております。これからも「パートナー」と言って頂けるよう、微力ながら尽力させて頂きます。

導入事例

タレントマネジメントシステム×適性検査データの広範的活用。ブラザー販売の人材可視化プロジェクト。

タレントマネジメントシステム×適性検査データの広範的活用。ブラザー販売の人材可視化プロジェクト。

人事データ・適性データをタレントマネジメントシステムに統合し、キャリア面談、採用基準作成、プロジェクトへの抜擢など様々な活用をするブラザー販売の取り組みをご紹介します。

※本取材は2021年11月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

ブラザー販売株式会社

事業内容

インクジェット複合機、モバイルプリンター等情報機器、家庭用ミシン等の商品企画・広告宣伝・営業・営業企画・アフターサービス等、ブラザーグループの国内マーケティング事業

業種

卸売業

従業員数

347名(2021年3月31日現在)

インタビューを受けていただいた方

山内 優 様
渡部 しのぶ 様
舩橋 優太 様

ブラザー販売株式会社
人事総務部 人財戦略グループ シニアマネージャー(写真中央)
人事総務部 人財戦略グループ チームリーダー(写真左)
人事総務部 人財戦略グループ(写真右)

インタビューの要約

ダイバーシティ推進と人事業務効率化のために、タレントマネジメントシステムを導入。いわゆる人事データのみならずポテンシャル適性データも統合して全体最適な人事を行うべく、「万華鏡30」の全社員受検を実施。
適性データをタレントマネジメントシステムで統合し、社員が自身のポテンシャルや似た特徴を持つ社員の分布を把握できるように構築した。またキャリア面談での上司とのトークテーマとし、適性データを見ながら能力開発や能力発揮の支援に活用できるようにした。
勉強会のメンバーの推薦や、採用基準の再設計にも適性検査データを活用。ローテーションや次世代リーダー発掘に生かすため、今後は質的なディスカッションを重ね、各部門で求める人材像を策定する予定。
目指すのは、受け身ではなく主導的な立場で提案できる人事。人事が能動的に動くためのツールとして、今後も人材データを活用していきたい。

ダイバーシティ推進において、大局的視点の必要性を実感。 散在する人事データを統合するため、タレントマネジメントシステムを導入。

もともとダイバーシティ推進において、個人の特性を生かし全社的に最適な人事判断をするための材料が不十分であることに問題意識がありました。当社内の人材を俯瞰することができないと、どうしても局所的な視点から人事異動やリーダーの抜擢が行われてしまう懸念があります。本当のダイバーシティを実現するためにどうすればいいかと考えていたところ、タレントマネジメントシステムが盛り上がりを見せ、興味を持ちました。

様々な人事データが散在しており、業務効率化の観点でも人事データを統合したかったところに改善活動推奨の追い風もあり、タレントマネジメントシステムの導入を決めました。タレントマネジメントシステムをローテーションなどの人事施策に活用するためには、人事データだけではなく、ポテンシャルやモチベーションなど適性データも統合する必要があります。そこで、直接雇用の全社員に対して万華鏡30を実施しました。

ダイバーシティ推進において、大局的視点の必要性を実感。 散在する人事データを統合するため、タレントマネジメントシステムを導入。

最初は新しいシステムの導入にハードルがあるのではないかと思いましたが、社内で反対はまったくありませんでした。折しもコロナ禍でリモートワークが始まり、DXやデータ活用の機運が高まっていたため、とんとん拍子でプロジェクトが進みました。

全社員の適性検査データをタレントマネジメントシステムに統合し、 いつでも自分の情報を見られるように。
コロナ禍で減ったフィードバックの効果も期待。

直接雇用の全社員に対して万華鏡30を案内し、約95%の社員が受検してくれました。受検に際して、「全社的な適材適所を実現するために、個々人の職務に関連する行動スタイルを可視化したい。今後は採用基準やローテーション、育成計画のためにデータを活用する。」という趣旨の案内をしました。 受検結果をタレントマネジメントシステムに取り込み、本人と本人の上司、および事務局のみが結果を見られるようにしました。自分のポテンシャル値が領域ごとにレーダーチャートで表示され、似た波形をもつ社員を把握できるようにしました。加えて、自分の能力開発ニーズに基づいて上司とキャリア面談をできるようにしました。

高い受検率の背景には、コロナ禍の影響もありました。リモートワークが始まり、他者からフィードバックを受ける機会が減りました。その中で、「自分はどのような人間なのだろう」「どのような強み・弱みがあるのだろう」ということを見つめなおしたいというニーズがあったのだと思います。

キャリア面談、特定のプロジェクトへの抜擢、採用基準設計など 広範囲にデータを活用。
今後はディスカッションも併せ、求める人材モデルを作りたい。

タレントマネジメントシステムに集積したデータは、職務を離れて上司と価値観やキャリアなどをディスカッションするキャリア面談に活用されています。本人が自分の結果をもとに、「発揮できている能力」「もっと発揮したい能力」「克服したい能力」「工夫で乗り切りたい能力」などを選び、その情報をもとに上司と面談できるようにしました。キャリアを描く際に、科学的に推測された自分の強み・弱みの情報を活用できることは、社員にとってメリットが大きいと思います。

また、DXに関する自主勉強会の企画が持ち上がった際に、万華鏡30のあるコンピテンシー群の数値をもとに、若手社員の中から推薦者を抽出してみました。浮上したメンバーは事務局のイメージした人材像に近く、前向きな人ばかりでした。人材を探そうとなったときに、特定の条件ですぐに抽出できることの利便性を感じました。

キャリア面談、特定のプロジェクトへの抜擢、採用基準設計など 広範囲にデータを活用。 <br>今後はディスカッションも併せ、求める人材モデルを作りたい。

さらに、集積したデータをもとに、採用基準の見直しも実施しました。データを使ってローテーションや次世代リーダーの発掘も行う予定でしたが、これはサンプル数の問題もあり、まだ着手できていません。しかし最近、コンピテンシーの書かれたカードを使ったディスカッションの方法(カードソート法)をご提案いただき、まずは3年目に求める要件、DX人材に求める要件、そしてマネジャーに求める要件とディスカッションを重ねたところ、共通した人材像が見えてきて手ごたえを感じました。今は各部門で求める人物像や次世代リーダーの人物像を明確化し、採用や育成にフィードバックしていこうと思っているところです。

適性検査データの解釈には注意すべき点もあります。たとえば、ある部門に求める人材像を定義しても、すべてを満たす人材はほとんどいません。理想的な人材像を定めた上で、その中での優先順位や、能力開発で伸ばしやすい部分、素養として持っているのが望ましい部分などを細かく選定しておくことが、運用上必要でしょう。また、個々人がデータをどう解釈するかも重要です。若い社員が「このデータが私のすべて」というような解釈をしてしまうと、自己認識を必要以上に固定化するリスクもあります。結果はあくまで現時点のポテンシャルであって、自分に限界を定めないように啓発することも併せて必要だと思います。

上司が部下の適性データを解釈できるようになるためのサポートも必要です。リモートワークで上司が部下を直接見る機会が減ったため、データの重要性は高まっています。また、コンピテンシーに関する理解は、今後求める人材像をディスカッションしてゆく中でも必要な土台になると思われます。

今までの大きな問題は人事が受け身だったこと。今後は情報を出してと言われて開示するのではなく、主導的な立場でデータを提供して判断を仰ぐ、もしくは人事から提案するべきと考えます。人事が能動的に動くためには集積したデータが必要です。タレントマネジメントシステムには、適性データ以外にも様々な人事データが統合されていますので、それを概観してタレントマネジメントの判断材料にしていきたいです。

日本エス・エイチ・エルには適性検査の見方や他社の事例など、今後もご提案をいただけると助かります。打ち合わせで様々なディスカッションができるのを毎回楽しみにしています。これからも良き伴走者になっていただけるとうれしいです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

松波 里奈

人材可視化から人材データ分析、活用支援までを行う重要なプロジェクトをご依頼頂いた際には、ワクワクすると同時に身の引き締まる思いで毎回の打合せに臨んでいました。 お打合せでの議論においても、当社からのご提案について多様な観点でご質問を頂くなど、社員のポテンシャルを引き出したい、より組織を活性化させたいというお三方の強い思いを感じさせる時間でした。現有社員の特徴を踏まえて、必要とされる人材要件を定義し、採用基準を一新できたことは、皆様と一緒に作り上げた一つの成果だと思っています。一方でタレントマネジメント施策には終わりがなく、よりよい人材配置や人材育成を実現する為に次の議論をスタートさせて頂いていることは、大変光栄に感じております。よき伴走者として頼って頂けるように、私自身も尽力して参ります。

導入事例

「経営理念を体現できる人財」を獲得へ。SMBC日興証券の挑戦。

「経営理念を体現できる人財」を獲得へ。SMBC日興証券の挑戦。

様々な応募者の志向に応える部門別採用を採り入れているSMBC日興証券。
経営理念の価値観を体現できる人財を獲得すべく、部門別採用の新たな挑戦と求める人財像の再定義を行いました。

※本取材は2024年7月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

SMBC日興証券株式会社

事業内容

金融商品取引業。資産運用コンサルティング業務、投資銀行業務、セールス・トレーディング業務、リサーチ業務など

業種

証券業

従業員数

9,251人(2024年6月30日現在) 

※SMBC日興証券単体

インタビューを受けていただいた方

吉原 淳一郎 様

SMBC日興証券株式会社
人事部 第一人事課 採用担当リーダー

インタビューの要約

経営者から機関投資家まで、幅広い顧客を支援するための様々な職務がある。採用チームのメンバーの多くが新卒採用・中途採用を兼任し、シームレスに事業に必要な人財を確保している。
部門別採用とオープン採用を併用。専門性の高さへの期待から高専卒採用も実施。
経営理念をベースに採用要件を見直し、面接官を増員。
今後はデータ活用を一層進めていくと共に、リクルーター増員で学生の業務理解をより深めていく方針。

経営者から機関投資家まで様々な顧客の支援に必要な人財を確保する

私は2010年に入社し、金融市場マーケティング部で債券を扱う業務や投資銀行部での大手企業向けのフロント業務などを経て、2019年に人事部に異動となりました。その後は人事評価や人事異動、そして人事関連施策の企画に携わり、2023年より新卒・キャリア採用及び採用企画を担当し、今春からは採用担当リーダーとして新卒・キャリア採用を統括しています。

SMBC日興証券の社員数は約9,250名で、100を超える部署があります。大別すると、直接お客さまと関わるフロント部門である「リテール」「投資銀行」「グローバル・マーケッツ」の3つ。投資家や経営者、上場企業から機関投資家までサポートやコンサルティングを行っています。そしてフロントを支えるミドルバック部門である「クオンツ」「システム」「コーポレート」の3つとなります。採用においても、部門別に採用するコースを用意しています。インターンシップやワークショップも部門別に行い、各部門の社員(以下「部門社員)の協力の下でそれぞれの業務内容を体験し理解を深めてもらうイベントを実施しています。

経営者から機関投資家まで様々な顧客の支援に必要な人財を確保する

採用人数としては、投資への社会的な関心の高まりもあり、目標人数を確保できています。新卒の割合が多く24年4月には約300名が入社しました。通年採用を行っており、数は多くありませんが10月入社者もおります。中途は従来60-70名でしたが、昨年より積極的に取り組んでおり、約100名を採用しました。新卒は6~8名、中途は4~5名の採用担当者がおりますが、新卒とキャリア採用を兼任しているメンバーが多いという点が当社の特徴です。

オープン採用と部門別採用に加え、高専卒採用を開始

10年以上前に始まった部門別採用は、現在では5つの部門別採用とオープン採用を合わせて全8つの募集コースがあります。最も採用人数の多いオープン採用は、各人が様々なキャリアを構築していくことを前提としており、金融のプロフェッショナルを目指す働き方ができるコースです。初期配属は主にリテール部門となります。オープン採用の中でも特徴的な点は、25卒採用から追加した高専卒採用コースです。入社後は、IT・デジタル等の業務のみならず、幅広い業務に従事していただくことを想定しています。もともと、当社のオープンイノベーションチームが行っているイノベーター人財創出のエコシステムを目指すプログラム「高専インカレチャレンジ」で、高専生と接点があり、高専生の専門性の高さを評価していたため、このプログラムをきっかけに高専卒採用に挑戦しようと考えました。本取り組みは、当社が掲げる「人財ポリシー+1」内の「継続的な人財投資」に基づいており、人事担当役員も含めて全関係者が「やってみよう」と前向きであったため、導入が実現しました。

「経営理念を体現する人財」へ評価項目の見直しと部門社員の動員拡大

選考フローは比較的スタンダードで、エントリーシート提出後にweb適性検査実施、その後複数回の面接を経て内定、となっています。選考に関しては2点工夫しました。1つ目は評価項目の変更です。私自身も選考活動を行う中で評価項目や求める人物像をより明確にしたいという意識があり、採用計画を策定する中で求める人物像を「経営理念を体現できる人財」と再定義しました。経営理念の中に5つの価値観がありますが、日本エス・エイチ・エルの協力のもとで、5つの価値観に近いコンピテンシーは何か、限られた面接時間で確認すべきコンピテンシーは何かの優先順位付けを行いました。

もう1つは部門社員の活用です。コロナ後、部門社員が面接官になるのは部門別採用だけでしたが、オープン採用でも部門社員に面接官を務めてもらうことにしました。入社後、上司になるかもしれない課長や支店長と接することが応募者の動機形成につながるためです。面接経験の有無にかかわらず、面接官をお願いする部門社員に対して、事前の面接官トレーニングを行いました。新たな評価項目の説明も含め、面接実施のポイントを資料にまとめてレクチャーしました。レクチャーにあたっては、事前に人事部メンバーで受講した日本エス・エイチ・エルの面接官トレーニングが大変参考になりました。

「経営理念を体現する人財」へ評価項目の見直しと部門社員の動員拡大

今後の採用活動に向けて取り組みたい課題は2点あります。1点目はデータ活用で、よりデータに基づいた採用活動へのシフトです。アセスメント結果だけで合否を決めるのではなく、最後は人が判断するものですが、アセスメントデータを積み重ねて様々な検証を行いたいと考えています。日本エス・エイチ・エルの協力で、これまでに自社社員のアセスメントデータ取得とパーソナリティ傾向の把握はできました。より包括的かつ頻繁に人財データを取得し、採用や育成に活用していきたいです。2点目はリクルーター施策の充実です。部門社員にリクルーターとして協力してもらうことで応募者との接点を増やし、会社と業務の理解促進に努めたいと考えています。当社社員は採用活動に協力的な方が多く、今回面接官をお願いできなかった社員から「面接に協力したかった」という声もありました。今後も会社の未来を創る採用活動の重要性を社内に伝えていきたいと考えています。

日本エス・エイチ・エルは、共感・納得できるアドバイスを的確にしてくれるパートナーだと感じています。担当コンサルタントの関さんはとても頼れる方で、安心してディスカッションをしたり、提案をお聞きしたりすることができました。また、必要な情報を濁すことなく率直に伝えてくれる点も評価させていただいており、多くの学びを得ることができました。今後も当社の採用の形や進め方は変化していくと思いますので、末永くご協力いただきたいと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

関 麻奈美

採用活動の根幹となる求める人財についてご相談いただけたことを大変ありがたく思います。「経営理念」というある種抽象的な概念を採用のコンピテンシーに落とし込むのは一筋縄ではいかず、何度もディスカッションをさせていただきました。結果、価値観が合致している内定者を採用できたことは大変嬉しく、プロジェクトが成功したことに安堵しております。VUCAの時代、採用への考え方はこれからも年々変化することと思いますが、状況に合わせたご提案とサポートを引き続き行ってまいります。