人事リーダーの60%1が、リーダーと管理職の有効性を最優先課題と見なしています。しかし、増大する責任に圧倒され、変化をリードする準備が整っていないケースが多々あります。多くの企業はこの問題を解決する計画を持っていません。
本コラムでは、SHLグループのクライアント事例をご紹介します。大手グローバル銀行のリーダー育成に360度フィードバックを活用しました。
360度フィードバックでポテンシャルを引き出す
イノベーションを推進し、競争力を強化するための戦略的取り組みの一環として、ある大手グローバル銀行は、世界中の1万人以上のリーダーの能力評価に着手しました。SHLとの提携により、同銀行は最先端の360度フィードバックプログラムを導入しました。このプログラムは、リーダーの主な強みと能力開発のギャップを信頼性と精度の高い方法で測定し、リーダーシップのポテンシャルを最大限に引き出すことを目的としています。

SHLが提供する正確なアセスメント
同銀行は、SHLの専門性を活用して世界中で多言語でアセスメントを実施し、リーダー層を大規模かつ効率的に評価しました。90%という驚異的な受検率を達成し、この取り組みがリーダーにとってどれほど価値があるか、そしてSHLのモバイルファーストの技術により受検が容易であることを改めて証明しました。
主な成果
- 360 度フィードバック:リーダーは、上司、同僚、直属の部下から各スキルに関するフィードバックの包括的な要約を受け取り、さまざまなグループから貴重な意見を得ました。
- データドリブンな能力開発:リアルタイムのダッシュボードにより、チームの強みとギャップが特定でき、しっかりと的を絞ったリーダーシップ開発が可能になりました。
- パーソナライズされた成長:リーダーにはカスタマイズされたインサイト(知見)と個人別の能力開発計画が提供され、リーダー自身で成長することができるようになりました。
主な発見
- データは、長期的なビジョンを達成するためのリーダーに関するユニークな知見を提供します
- リーダーシップの盲点を明らかにする
調査結果は、リーダーが他者からどのように見られているかと、リーダー自身がどのように見ているかを対比し、リーダーの潜在的な盲点を明らかにしました。例えば、全体の傾向として、リーダーは、リスクをとることを支援する能力については自分を過大評価し、協働の障壁を取り除いて幅広い視点を促すなどの実行スキルについては自らを過小評価していました。 - より深い観察のためにデータを再利用する
異なる視点を用いることで、同じデータを多角的に捉えることが可能となり、さらに結果が明確になりました。例えば、非常に評価が甘い傾向が確認された直属の部下のフィードバックは除外されました。 - 認識のギャップを埋めることで従業員の満足度が向上する
さらなる分析により、リーダー自身の自己評価と他者評価の認識ギャップが縮小するにつれて、チームの心理的安全性と従業員満足度が向上すること(逆もまた然り)が明らかになりました。これは、チーム内の心理的安全性を構築するメカニズムとして双方向のフィードバックが重要であることと、アセスメントの知見を活用して変化をもたらすことの重要性を示しています。 - 従業員がリーダーに何を求めているかを知る
数万件の自由記述式質問を分析した結果、従業員がリーダーシップの重要な資質として「集中力」「戦略性」「明快さ」を評価していることが明らかになりました。これにより、従業員が優れたリーダーシップに不可欠と見なす、リーダーが開発に注力すべき重点分野が浮き彫りになりました。
SHL の 360 度フィードバックには、リーダーのパフォーマンスに対する認識が時間の経過とともにどのように変化するかを示すデジタルレポートが含まれており、成長と影響をモニタリングするのに役立ちます。
SHL の インサイトダッシュボードは、人事が個人、チーム、または地域全体のリーダーシップ スキルを視覚化するのに役立ちます。

未来を形作る:世界に影響を与える力強いリーダーシップ
このグローバル銀行は、リーダーシップ開発への投資を通じて、リーダーのエンゲージメント、リテンション、そして効果的な配置への強い決意を明確に示しました。リーダーシップの行動を全体レベルと個人レベルの両方で継続的にモニタリングすることで、戦略および育成施策の効果を把握することが可能になりました。
これにより、柔軟で、的確な情報を持ち、市場で優位に立てるリーダーシップチームが、複数のグローバル市場で会社の成功を推進し、数百万の顧客に卓越したサービスを提供し続けます。
おわりに
SHLの360度フィードバックの結果リポートがデジタル化し、より結果を理解しやすくなりました。受検からリポート閲覧までの3~4分の短いデモ(英語)はこちらからご覧いただけます。
現時点では英語のみでのご提供ですが、ご興味をお持ちの場合には、ぜひお問い合わせください。
参考文献
1Gartner, 2022

このコラムの担当者
廣島 晶子
日本エス・エイチ・エル株式会社 主任