コラム 人事コンサルタントの視点

帳票カスタマイズのヒント

はじめに

適性検査は、人事に関わる様々な用途で利用されています。同じ受検者の結果でも、選考時の面接支援と、入社後の育成・配置検討とでは、人事が知りたい情報は異なります。また、人事担当者・面接官・受検者本人など、読み手によって分かりやすい表現も変わります。
エス・エイチ・エルのパーソナリティ検査「OPQ」では、こうした多様なニーズに対応するため、多数の尺度群と、それらを活用した利用用途別に開発された複数の定型帳票があります。
とはいえ、実際の運用は企業ごとに異なり、定型の帳票では足りない、または情報が多すぎる場合があります。そのような時には、企業ごとの運用に応じて帳票をカスタマイズできます。
ただ、このカスタマイズには落とし穴もあります。単純に必要な情報を詰め込むだけでは、現場でうまく機能しません。今回は、当社のコンサルタントが帳票カスタマイズで意識している「設計のポイント」をご紹介します。

はじめに

帳票カスタマイズでできること

はじめに、「帳票カスタマイズ」でどのようなことができるのか、簡単にご紹介します。
この例では、「面接官(現場社員)向けに、面接で評価してほしいポイントを伝える資料」として、全部で3種類のカスタマイズが行われています。

重要ポイントの強調表示

職種や選考基準に合わせて、注目すべき尺度に網掛けをしたり、枠線を太くしたりできます。また、表示位置を通常の尺度群から独立させて目立たせることも可能です。

コメント形式での出力

尺度をより理解しやすくするために、結果をコメント形式で出力できます。この例では、受検者の特徴と、重要ポイントの面接質問例が表示されています。
この他、受検者の強み/弱みや、能力開発支援・育成支援向けのコメントなど、用途別に様々なコメントが出力可能です。

オリジナル適性尺度/フラグの作成

自社の選考基準としてより分かりやすい指標を求める場合、自社社員(高業績者など)を対象とした分析やインタビューを実施し、それを基にオリジナル適性尺度(10段階)やオリジナルフラグ(該当/非該当)を作成・掲載することも可能です。

この他にも、知的能力科目の組み合わせ変更、属性情報の変更など、運用に応じた多様なカスタマイズが可能です。

面接官(現場社員)向けに、面接で評価してほしいポイントを伝える資料

帳票カスタマイズの落とし穴

このように、カスタマイズは自由度と柔軟性が高く、企業の課題に応じた帳票にすることができます。一方で、「どうせならできるだけ多くの情報を盛り込みたい」「用途ごとに細かく帳票を分けたい」といった考え方で設計を進めると、かえって使いにくくなり、最終的に現場で使われなくなることがあります。

よくある失敗パターンには、以下の3つが挙げられます。

失敗例1:情報を詰め込みすぎる

1枚の帳票で完結させようとして、採用面接で確認したいポイント、配属時の留意点、昇進昇格用の判断基準……など、異なる人事場面で必要になる多数の情報を盛り込んでしまったケースです。読み手が必要とする情報以外も並んでいるため、「結局どこを見ればいいのか分からない」状態になります。また、場面によって重視する点が異なるため、採用基準上では高く評価される一方で、昇進昇格基準上では慎重な判断となるなど、方向性の異なる判断材料が帳票内で同時に並び、どの情報を重視して判断すべきか迷うこともあります。

失敗例2:運用場面に合った配置(並び)になっていない

情報の並びが実際の活用の流れに沿っていないケースです。例えば、「応募者理解→評価→意欲形成」と進める面接に対して、「意欲形成コメント」が帳票の冒頭にあるような構成です。情報量が適切でも、実際の活用にそぐわない配置では、読み手は「今どこを見ればよいのか」が分かりにくくなります。

失敗例3:帳票の枚数が増えすぎる

用途に応じたカスタマイズは重要ですが、用途別に帳票を追加し続けた結果、インターンシップ用・採用選考の一次面接評価用/二次面接用/役員面接用・内定者フォロー用・配置配属検討用・配属後のメンター用・上司向け育成用……と増えすぎ、使い分けが複雑になることもあります。

このように、適切な設計がされていない帳票はやがて、「あるけれど使われない」という状態になりがちです。せっかく追加した情報も活用されず、カスタマイズにかけた時間やコストが無駄になってしまいます。

設計の軸は「誰が・いつ・何のために」

こうした事態を避けるため、当社のコンサルタントは事前に「誰が」「いつ」「何のために」利用するのかを詳しくお伺いしてから、帳票案をご提案します。また、現在の帳票の運用状況も併せて確認します。

例えば、

目的:「面接官」が「面接時」に「応募者を評価する材料を得る」

  • ー 面接官の経験や評価スキルには、どの程度ばらつきがあるか?
    (ばらつきがあるならば、評価項目や評価基準を明確に示す設計が有効)
  • ー 面接のどの段階で利用するのか?事前準備か、面接中か、面接後の評価タイミングか。
    (準備や読み込み時間によっては、文字数の調整が必要)
  • ー 面接ではどのような点を重点的に確認したいか?
    (確認したいポイントに合わせて、表示方法や出力内容を変える設計が有効) など

目的:「受検者本人」が「社内研修時」に「自己理解を深める材料を得る」

  • ー 受検者はどのような立場(新入社員/若手社員/管理職候補など)か?
    (対象によって、期待される役割や必要な情報が異なるため、調整が必要)
  • ー 帳票はどのように利用されるか?配布するだけなのか、研修内で活用するのか。
    (利用方法によって、最適な情報量や分かりやすい表現が異なるため、調整が必要)
  • ー 研修の実施目的は何か?実施が決った背景は何か?
    (研修のゴールに合わせて、必要な情報を出力する設計が有効)
    など

重要なのは、情報量や帳票数を増やすことではなく、必要な情報を必要な人へ適切な形で届けることです。

設計の軸は「誰が・いつ・何のために」

おわりに

「面接をもっとスムーズにしたい」「育成に活用したい」など、実現したいことがあれば、ぜひ担当コンサルタントへお聞かせください。
「こんな運用をしたい」「こんなことで困っている」といった漠然としたご相談でも構いません。お話を伺いながら、一緒に課題を整理し、ご予算や運用状況も踏まえて、定型帳票の活用も含めた最適な方法をご提案いたします。

稲澤 未穂

このコラムの担当者

稲澤 未穂

日本エス・エイチ・エル株式会社 テスト開発・分析センター

入社以来15年以上、テスト開発・分析部門にて適性検査の開発・品質管理に従事。言語・英語科目の作問から妥当性検証までを専門的に担い、これまでにのべ900件以上のデータ分析に携わる。産業・組織心理学会で「管理職のパーソナリティ傾向(2021年)」等の研究発表を行うなど学術的知見も豊富。現在は顧客データや業界横断の分析・検証を通じ、アセスメントの信頼性と妥当性を担保し、技術・品質の両面から当社ソリューションを支えている。

メールマガジン登録

日本エス・エイチ・エルのメールマガジンではタレントマネジメント・人材採用に関する様々な情報を発信しております。

メールマガジンに登録する

組織人事や採用の問題解決は
日本エス・エイチ・エルに
ご相談ください

サービスをもっと知りたい方

資料ダウンロード

サービスの導入を検討している方

お問い合わせ