コラム 人事コンサルタントの視点

先進3社に学ぶ27卒採用戦略:採用シンポジウム2026報告

2026年6月24日、日本エス・エイチ・エル株式会社は、これからの新卒採用を牽引する企業様をお迎えし、ウェビナー「採用シンポジウム2026 新卒採用 変革の最前線」を開催いたしました。本シンポジウムでは先進的な取り組みを行う、株式会社日立製作所、丸紅株式会社、三井住友カード株式会社の3社をお招きし、早期化・長期化が進む新卒採用における具体的な取り組みや、インターンシップ、生成AI、データ活用の最前線について、赤裸々にお話しいただきました。

今回のコラムでは、各社の講演とパネルディスカッションから見えてきた、2027年・2028年卒採用に向けた注目すべき課題と打ち手について、ダイジェストでお届けします。


採用シンポジウム2026パネリスト

視聴者投票からみる27卒採用状況とAI活用

ライブ配信中、視聴者の皆様(約280名)に実施したアンケート結果は以下の通りです。

Q1. 前年同時期と比較し、現在の内定受諾率は?

高い 33.3% 変わらない 53.0% 低い 13.7%
高い
33.3% (56人)
変わらない
53.0% (89人)
低い
13.7% (23人)

「昨年より高い」が約3分の1、「変わらない」が半分強という結果になりました。市場全体としては堅調に推移しているものの、各社は学生の不安解消やアトラクトに腐心している状況がうかがえます。

Q2. 生成AI・採用支援AIツールの活用状況は?

回答者数:171件 / 延べ選択数:239件(複数選択可)
面接・評価 (自動書き起こし・AI面接・質問案生成など)
26.3% (45件)
母集団形成・広報 (スカウト文面作成・自動化など)
19.3% (33件)
採用活動全体のデータ分析・効果検証
19.3% (33件)
初期選考・スクリーニング (ESの自動評価・要約など)
14.6% (25件)
内定者フォロー・意思決定 (連絡文面作成など)
14.0% (24件)
その他
2.3% (4件)
選考 (グループディスカッション・その他)
1.8% (3件)
特にない / まだイメージが湧かない
42.1% (72件)

活用用途で最も多かったのは「面接の自動書き起こしやAI面接」で、次いで「スカウト文面の作成・自動化」と「データ分析」でした。一方で、全体の約40%は「まだ活用していない・イメージがわかない」と回答しており、活用の進展には企業間で差が出ている実態が浮き彫りになりました。

各社の最前線の取り組みとは?

インターンシップの高度化

学生との早期接点や「ジョブ(仕事)」への理解を深める場として、対面重視や職種特化のインターンシップを強化する動きが広がっています。シンポジウムでは、ジョブ(職務)を公開し、実際の職場体験や1on1を通じて仕事の解像度を高め、ミスマッチを防ぐ取り組みを行っている事例が紹介されました。営業現場の社員がメンターとして学生に付き添いながら、対面形式で戦略立案などを経験させてビジネスのリアルを体感してもらうなど、各社の工夫が光りました。

内定者フォロー(プレ・オンボーディング)

どの企業も毎年腐心する「内定者フォロー」は、単なる内定辞退防止にとどまらず、入社後の活躍を見据えた「プレ・オンボーディング」として施策を捉えていたことが印象的でした。毎月定期的な短時間の電話による対話を重ねるほか、社員食堂へ招待する体験会などを通じて心理的距離を縮める工夫をしている企業がある一方で、人事のほかに営業担当をメンターとして割り当て、月1回程度の面談を実施することで人事には言えない本音や不安を解消する体制を整えている企業もありました。各社ともに細やかなコミュニケーションを心掛けながら内定者をフォローしていました。

選考におけるAI活用

学生側が生成AIを使うことを前提に、企業側も選考の「高度化」や「効率化」にAIを導入しています。シンポジウムでは、ビジネスシナリオへの回答をAIが分析し、学生へフィードバックレポートとして返却する「AI面談」を導入しているリアルな事例が紹介されました。合否はAIと人の目の双方で判断する仕組みを構築している企業がある一方で、選考の「見極め」は人が行うことを前提に、面接官が評価に集中できるよう、AIによる面接記録ややり取りの自動作成に特化して活用する企業もあり、各社が模索しながら最適なバランスを追求している様子がうかがえました。

「スキルベース」への組織・採用変革

また、当社からは、最新のスキルベースアセスメント「Graduate +8.0 Job Focused Assessment」を紹介しました。AI時代において、従来のジョブを「タスク」や「スキル」に分解し、職務横断的に有効な「耐久スキル(行動スキル)」を測定・活用する「スキルベース採用」が、早期戦力化や柔軟な人材配置の鍵となります。

結びにかえて:これからの新卒採用を展望する

今回、各社の採用活動におけるAI活用から見えてきたのは、AIによる採用活動の効率化や高度化を進める一方で、最終的には候補者一人ひとりと深く向き合う泥臭いコミュニケーションの重要性でした。
AIやデジタルツールは単なる省力化の道具ではなく、定型業務や記録業務を自動化・効率化することで、人的リソースを人にしかできない対話やフォロー、意思決定に集中させることで真価を発揮します。
また、当社のセクションでも触れたように、インターンシップや選考の早期化に伴い限られた時間で学生のスキル・ポテンシャルを正しく見極める必要性が高まっています。
ここで鍵となるのが客観データに基づいた科学的な見極めです。アセスメントデータを選考で活用することで、面接官の評価のバラつきを防ぎ、求める人材をより確実に見極めることが可能になります。加えて、そのデータから得られた学生の特性を内定者フォローに活用することで、学生一人ひとりに寄り添った、パーソナライズされた内定者フォローが実現するのです。
アセスメントデータによる「科学的な見極め」と「血の通った対話」の両輪をいかに高次元で融合させるかが、これからの新卒採用成功の要諦と言えるでしょう。
今回ご登壇いただいたパネリストの皆様の先進的な試みは、まさにこの「科学と人間性の融合」を体現されているものであり、大変示唆に富む有意義なディスカッションとなりました。改めて深く御礼申し上げます。
弊社では、今後もデータとコンサルティングを通じて、変化の激しい時代に立ち向かう人事の皆様の「確かな意思決定」を強力にバックアップしてまいります。

当日のシンポジウムの全容や、各社の具体的なディスカッションの様子は、期間限定でアーカイブ配信を行っています。「他社の具体的な事例をより詳しく知りたい」「自社の新卒採用戦略をアップデートしたい」という人事採用担当者様は、ぜひこの機会にご視聴ください。

水上 加奈子

このコラムの担当者

水上 加奈子

日本エス・エイチ・エル株式会社 マーケティング課 課長

10年以上にわたりHRコンサルタントとして顧客と向き合う現場の最前線に立ち、大手企業の採用要件定義やデータ分析、育成研修等に従事。2016年に「イノベーション人材」をテーマに産業・組織心理学会で論文を発表。 その後、2020年のマーケティング部門立ち上げより現職。チーム責任者として科学的根拠に基づく発信を統括しつつ、現場知見を活かした多岐にわたるコンテンツ制作を指揮している。国家資格キャリアコンサルタント。

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