コラム

人事コンサルタントの視点

人材要件定義に多様性を ~「タイプ分類」のすすめ~

公開日:2021/10/01

人材要件定義を行う際、適性検査データを使った統計分析を行うことは、当社が提供するソリューションとして一般的な手法です。一定以上の適性検査データが必要ではありますが、客観的に職務に必要なコンピテンシーを定義できます。(参考コラム:アセスメントデータ分析による人材要件定義(前編)

戦力性分析(ハイパフォーマーの特徴を見出すための分析)を行う際、はじめに“ハイパフォーマー集団とその他の集団”を作り、その違いを調べる手法を検討します。この手法でよい結果が得られれば問題ありませんが、結果が出なかったり、合理的な説明が難しい結果となったりすることがあります。理由は様々ですが、“ハイパフォーマーのタイプが複数ある”ケースを疑ってみてください。
本コラムでは活躍者を複数のタイプに分類する人材要件定義についてご紹介いたします。

多様性のある人材要件定義が必要なケース

ハイパフォーマーのタイプが複数あるケースは、頻繁なジョブローテーションを行う会社で起こる場合が多いです。つまり、総合職採用とジェネラリスト育成を行うことが一般的な日本企業では多様なハイパフォーマーを定義する必要があるのです。 ハイパフォーマーのタイプが複数ある場合、 “ハイパフォーマー集団”として1つの集団としてまとめてしまうと、各タイプの特徴が打ち消し合って結果的に有意な分析結果が得られなくなる可能性があります。

※イメージ

多様性のある人材要件定義の手順

複数のハイパフォーマータイプを抽出する手法についてご紹介いたします。

① 社員をタイプ分けする
社員の適性検査データを分析し、どのようなタイプが存在するか明らかにします。今回はクラスター分析を使ったやり方をご紹介します。
クラスター分析とは類似しているデータを集め、いくつかの集団(クラスター)を作る手法です。似た者集団を作るイメージです。


※樹状図からのタイプ抽出イメージ



例として、4つのタイプが抽出できたとします。



② タイプ別に高評価者とその他社員を比較する
タイプ分けが出来たら、それぞれのタイプごとに評価別グループ間の比較をします。使用すべき評価データは、査定、人事考課点、業績評価点、コンピテンシー評価点などの個人のパフォーマンスを示すデータです。評価データの信頼性が分析結果に影響するため、主観的な要素はできるだけ排除してください。評価の甘辛を補正したり、極端に偏ったデータを対象からは外すなどの調整が必要です。
評価別にタイプの該当率を集計したイメージ図がこちらです。



詳細の説明は割愛いたしますが、上記の集計は同一人物が複数のタイプに属することを可能とした集計です。「改革派インテリ」かつ「熱血型リーダー」であるという人がいるという考え方です。この集計方法では、集計対象となる全員を100%とした場合の全タイプの割合を合算しても100%にはならないことは言うまでもありません。
次に各タイプに該当する人の中で高評価者・その他社員の割合をみていきます。

③ 要件を抽出する
この分析結果から、「改革派インテリ」と「人気者リーダー」は高評価者がその他社員より該当率が高いことがわかりました。頭脳派でクリエイティブなタイプと周りから信頼され頼られるタイプの人は高評価を得やすいのではないかと考えられます。



この結果をどう解釈するかは会社によって異なります。例えば、社員のほとんどが営業パーソンの販売会社の場合、クライアントに対してロジックで説得するタイプと良い関係性を築いてお得意様となってもらうタイプがハイパフォーマーと解釈するかもしれません。また、営業部門と企画部門を頻繁にローテーションする会社の場合、営業部門ではクライアントと良い関係性を築けるタイプが評価され、企画部門ではクリエイティブで論理的思考が評価されると解釈するかもしれません。

おわりに

多様性のある人材要件定義は採用の場面だけでなく、入社後の配置・配属場面でも活用のできる指標になります。経営環境の変化が激しい昨今、人材の多様性を確保することは変化に強い組織を構築することにつながると考えています。

関 麻奈美

このコラムの担当者

関 麻奈美

日本エス・エイチ・エル株式会社
HRコンサルティング2課 主任

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