更新日:2026/08/07
前回のコラム「AIを使いこなす『AIレディネス』を測定する」では、約9割の従業員がAIツールを利用している一方で、それを真の成果につなげられるAIレディネスを備えた人材はわずか3割にとどまるというギャップについてお伝えしました。
先週当社が開催したウェビナー「AIを使いこなせる人材を、どう見抜き、育てるか」では、AIレディネスの定義や構成する8つのスキルを詳細に解説し、どのように測定・可視化できるのかについてご紹介しました。AI時代のスキル定義や評価方法に関心のある方は、ぜひアーカイブ動画をご覧ください。
「AIを使う」から「AIで成果を出す」へ
個人のAIレディネスを高める取り組みが進む一方で、多くの企業が次なる壁に直面しています。従業員がAIを使い始めても、組織全体のイノベーションや成果に結びつかないという課題です。
今年5月、SHLグループはグローバルイベント「SHL Virtual Summit: Talent Intelligence in an AI-driven World」を開催しました。このイベントの主軸となったテーマもまさに、AIをいかに組織の成果や意思決定に組み込んでいくかでした。
成果を生むために必要な仕事の再設計
イベントに登壇したGartner社の分析によると、多くのHRリーダーが「AIツールや研修を提供しても、ビジネス価値を生み出せていない」と感じている実態が明かされました。
その最大の要因は、テクノロジーや個人のスキルの問題ではなく、従来の業務プロセスや役割定義が変わっていないことにあります。ツールを追加するだけでなく、AIを前提としてチーム全体のワークフローそのものを刷新する仕事の再設計を行うことが必要です。
仕事の再設計においてリーダーに求められること
業務プロセスを再設計し、AIを組織へ統合していくプロセスにおいて、重要なのはリーダーの存在です。
イベントでは、AI時代の変化を導くリーダーに対し、特に以下の役割が求められていることが示されました。
- タスクの整理と再配分(Work Redesign):
どのタスクをAIに任せ、どこに人間が集中すべきかを判断し、チームの業務フローを組み替える力。 - 成果基準と方向性の提示(Trust & Direction):
AIのアウトプットを批判的に見極める判断力を持ち、倫理的かつ効果的な活用ガイドラインを明確に示す力。 - 人間ならではの価値の発揮(Humanity):
AIによって効率化された分、チームの共感、信頼関係の構築、不確実な状況での決断といった「人間にしかできない役割」により注力すること。
おわりに
個人のAIレディネスを組織の成果につなげるには、業務プロセスを再設計し、リーダーが正しい方向性を示すことが欠かせません。
本イベントでは、Gartner社による詳細なAI活用に関する調査分析の解説に加え、Lloyds Banking GroupやHoneywellといったグローバル組織のHRリーダーが登壇し、各社が現場でどのように業務や役割を見直し、データ(タレントインテリジェンス)を活用して組織変革や人材の配置・育成を進めているのかを語っています。
自社のAI戦略をツールの配布で終わらせず、組織的な成果へと進化させたい人事・経営層の皆様は、ぜひ以下よりイベントの録画をご覧ください。イベントは英語で実施されていますが、自動翻訳が利用できます。
▶ SHL Virtual Summit: Talent Intelligence in an AI-driven World
また、SHLでは上述したAI時代に求められるリーダーシップを反映した「AIリーダーシップ」モデルを開発しており、パーソナリティ検査OPQによる客観的な測定・可視化が可能です。
今後、本コラムやウェビナー等で詳細をご紹介していく予定です。より詳しい情報をご希望の際は、貴社担当者までお気軽にご連絡ください。
このコラムの担当者
廣島 晶子
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント 主任
入社以来、アセッサーとして延べ100名以上の管理職アセスメントやフィードバックに従事。面接・グループ討議等の行動観察評価に精通し、評価シート設計や評価者養成も多数手掛ける。現在は、SHLグループ海外拠点との連携や最先端ナレッジのローカライズを推進。グローバル認定講師として、適性検査解釈コースの講師も務める。実務現場の評価視点と世界標準の知見を融合させた、科学的根拠に基づくHRソリューションの発信に注力している。