昨年度から新卒採用でも初期配属先を確約するようになり、入社後の全体研修がこれまでよりもやりづらくなりました。全体研修よりも部署別研修の比重を重くする方が良いのでしょうか。高卒・大卒のレベル感も異なるため、どこまで細分化すべきか悩んでいます。
配属ガチャによるミスマッチからの早期退職が問題になり、初期配属先確約型の採用が増えています。こうなると従来の全体研修(一律での研修)がやりづらくなるのも理解できます。しかし、すべてを部署別研修に移すのも問題が生じます。ここは全体研修の役割と意義を再定義すべきでしょう。
部署ごとに必要なスキルが違うので、部署別となれば研修も変わります。しかし、会社としての共通の基盤は同じはずです。パーパスに代表される会社としての価値、文化といったもの、ビジネスを行ううえでのマナー、常識、コンプライアンス意識、情報セキュリティなどは全員に共通です。全体研修ではこうした最小限の共通基盤に絞り、専門の部署別研修を厚くしていくのが現実的でしょう。高卒・大卒のレベル差も配慮すべきではありますが、部署別をどこまで細分化すればよいのかと同様に、運用側の負荷も踏まえてバランスを考えて下さい。
職種別は職種としての共通のスキルを揃えるのが目的であり、部署別も配属先ごとの実務に直結するスキルを習得するためのものです。初期配属先確約型であれば、この部分を厚くするのがもっとも効果的です。専門講師による講義型よりは、先輩社員による実務レクチャーの方が理解しやすいでしょう。
レベル差への対応は穏やかなクラス分けで行い、補完するためにeラーニングで個別に学べるような仕組みを作ることで対処できます。
すべてを満足させるために細分化しようとするよりは、現実的で運用しやすい研修体系を組み立てることです。
このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長