社長から「多様な人材を採用せよ」との指示を受けました。しかし、急に応募者を変えることは難しく、暗中模索の状態です。何から手を付けていくべきでしょうか。
「多様な人材」には二つの意味があります。性別・年齢・国籍など属性の多様性を指す「デモグラフィック・ダイバーシティ」と、思考様式・経験・認知スタイルの多様性を指す「コグニティブ・ダイバーシティ」です。社長の指示は後者とみてよいでしょう。事業成長や組織の硬直化打破を狙うなら、属性より思考の多様性が本質だからです。
であれば、応募者を変えなくてもよい。変えるべきは選考です。
まず社長の真意を確認してください。どの事業領域で、どんな強みを持つ人材が不足しているのか。経営戦略上の文脈を掴まずして、採用基準は設計できません。
選考方法は大幅に見直すべきです。ジェネラリスト採用の発想は捨てる。多様性を具体的に定義し、求める才能ごとにその強みをあぶり出す選考を設計する。面接官も社内から多様な人材を抜擢し、主観面接は社長面接以外では厳禁です。属人的な印象評価が、多様性採用にとって最大の敵になります。
最後に、定着と育成の体制整備を忘れずに。従来と異なるタイプの人材が既存の組織風土に馴染めず、早期離職するケースは少なくありません。採用を変える前に、受け入れ側が変わる覚悟を持てているか。そこが問われています。
このコラムの担当者
清田 茂
日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員