新卒から若手にかけて初任給を上げたのですが、中堅社員への恩恵がなく、「業務量や責任に差があるのに給与が変わらない」と不満が上がっています。 この状況を解消し、中堅層の納得感を得るためにはどうすればいいでしょうか。
最近の初任給アップ競争により、多くの企業で起きている問題です。中堅社員からすると「逆転現象」すら感じて大いに不満があることでしょう。ただ中堅社員も、将来の会社を担う優秀な人材獲得のために会社として対策を取らざるを得ないことを内心理解はしています。優秀な後輩は自分たちも望むものですから。
単純な金額の問題以上に、「自分たち中堅層に対して会社からの評価が低いのではないか」という不公平感がこうした不満につながっています。
会社は「新卒や若手の初任給引き上げ」と「中堅層社員の処遇改善」とを切り分けて考えるべきでしょう。初任給アップは人材獲得競争への対応であり、中堅社員の問題は、社内の役割・責任に対する処遇の問題です。初任給を上げた率だけ中堅も上げる、と機械的に対応すればよいというものでもありません。給与そのものではなく、評価制度・役割設計・報酬体系の見直し、再構築を行うことです。
例えば、会社が期待する役割を明確にし、役割給を検討してみてはどうでしょうか。育成責任手当、リーダー手当なども考えられますし、主任として育成とサブリーダーの役割を明確にした主任手当でも結構です。
次に昇給ロジックを明確にすべきです。「あなたの昇給はこの基準で行う」と示す必要があります。営業部門であれば売上予算・利益予算に対する達成度といった業績評価、チーム成果に対する貢献度評価、メンバー育成に対する貢献評価などの項目を明文化し、評価制度に組み込むことです。
長期的な視点での中堅層のキャリアパスを再設計し、管理職以外の専門職やリーダー職など複数のキャリアパスを提示することで、給与が上がっていく可能性とイメージを伝えて下さい。
こうした改善策を実行していくうえでも、どのように説明するかが重要です。「中堅層の皆さんの役割は会社にとって重要であり、今後その価値を正しく評価する仕組みを整えていきます」というメッセージを伝えて下さい。
このコラムの担当者
奈良 学
日本エス・エイチ・エル株式会社 代表取締役社長