面接官の評価にバラつきがある。本当に被面接者の見極めができているか確信が持てない。しかし、どこからテコ入れをしたらよいのかわからない。本資料は、このような課題意識をお持ちの方が、課題別に面接をブラッシュアップしていく方法についてご紹介しています(全12ページ)。
こんな方におすすめ
面接の評価基準がぶれている。
面接官の面接技術を向上させたい。
面接時の評価と実際に入社した後の印象にずれが生じている。

優秀な候補者に感じる”違和感”の正体
採用面接で出会う「優秀な候補者」に違和感を感じたことはないでしょうか。スキルや経験は申し分なく、話しぶりも堂々としていて即戦力としての期待も高まる。しかしどこかで「この人が本当にチームに馴染むだろうか」という一抹の不安が拭えない。それは”対人関係面のリスク”のサインかもしれません。
たとえば傲慢さや過度な自己主張、他者批判といった特徴を持つ候補者は、短期的には成果を上げるかもしれませんが、長期的には組織に摩擦をもたらすことがあります。しかし、リスクがあるからといってすぐに不採用と決めつけてしまえば、優秀な人材を逃す可能性もあります。かのスティーブ・ジョブズ氏も性格的には自己中心的で協調性に欠けるなどの問題があったと言われていますが、一度は追い出されたApple社に復帰して、同社を世界有数の企業に成長させています。
そこで本稿では、候補者が持つ”対人関係面のリスク”を正しく見極めつつ、それを上回る価値をもたらす人材かどうかという、より現実的な視点での人材評価について考えてみます。
「対人関係面のリスク=悪」とは限らない
対人関係面のリスクとは、ある人物の性格的傾向や価値観に基づく言動で、周囲に悪影響をもたらし、組織の生産性を低下させる危険性があるものを指します。典型例としては、「優秀だが他者を見下す」「目的達成のために他者を利用する」「自分の考えややり方を押し付ける」といった行動が該当します。
こうした特徴は応募書類には表れず、候補者が自ら進んで申告することもありません。だからこそ採用面接では「表面的な優秀さ」に引き込まれず、その背後にあるリスクの兆候を丁寧に拾い上げる必要があります。
一方で、リスクは必ずしも“悪”ではありません。たとえば、自我が極端に強い人でも、それを補うだけの実行力や成果への執着心があれば、組織に大きな利益をもたらす可能性があります。また、自社のビジネスや組織が危機に瀕しているときは、多少強引でも改革を断行できる強い意志を持った人物が求められます。ある研究では、治安の悪い地域に住む人は、品行方正なリーダーよりも手段を選ばずに悪と対峙する”ダークなリーダー”に救いを求め、その実行力に期待するという傾向が見られました。ご存じの方は、ゴッサムシティとバットマンの関係を思い浮かべてみるといいかもしれません。
大切なのは「対人関係面のリスクをもつ人材を排除すること」ではなく、「そのリスクを把握したうえで、自分たちの組織で許容できる範囲内か、それ以上に得られる価値があるか」を冷静に見極めることです。
採用面接における確認方法
対人関係面のリスクを採用面接で見極めるには、単なる印象ではなく、候補者の過去の行動や反応から手がかりを得る必要があります。その際、過去の経験を尋ねるだけではなく、「どのように人と関わってきたか」に注目することが重要です。特にチーム内での対立や調整、目上の人との意見の食い違いといった場面を深堀りすることが有効で、たとえば、「メンバーや上司(先輩)と意見が衝突した経験を教えてください。そのとき、あなたはどう対応し、結果的に何を学びましたか?」といった質問は人との関わり方が見えやすくなります。
また、「成果を出すためにチーム内で妥協した経験」や「苦手なメンバーと協力する上で工夫した点」を尋ねることも効果的です。そして、候補者から語られるエピソードの中身に加えて、候補者が使う「言葉」にも注目してください。たとえば、相手の反対意見を「文句、反抗」と表現すれば、自分が常に正しく、相手が間違っていると決めつける人物である可能性があります。また、自分がとった行動や決断を相手がどう感じたか尋ねたときに「たぶん○○だと思う」と答えれば、相手に確認はしておらず、他者の感情変化に関心が薄いことが分かります。
対人関係面のリスクについては、ダークトライアド(サイコパシー、マキャベリアニズム、ナルシシズム)、組織機能阻害行動など国内外で様々な研究がなされていますが、採用面接で比較的確認しやすいリスクは以下の5つです。
①共感性の欠如(相手の立場、意見、感情への共感が乏しい)
②他者利用(目的達成の手段として他者を利用する)
③攻撃的な自己主張(自分の考えややり方を押し通す)
④他者批判(他者を見下し、批判する)
⑤反抗的な態度(指示やアドバイスに従わない)
これから採用面接を受ける方もいるので詳細な評価項目をここで紹介することは差し控えますが、対人関係に関する候補者のエピソードや使う言葉から、周囲をどうとらえ、どう関わっていく人物なのかを予測することができます。ただし、繰り返しになりますが、「対人関係面のリスクを持った人材の排除」をゴールにしないことです。
全ての人材には長所と短所があります。リスクを正しく把握した上で、配置や育成、マネジメントで補うことができないかを検討し、能力とリスクのバランスを考慮して採否を判断することが重要です。
おわりに:能力と人柄の両輪で採用を
人材採用において、候補者の能力の評価は今も昔も、そしてこれからも欠かせない判断基準の1つです。しかし、それだけでは組織にとって“持続可能な人材”とは言えません。人柄や価値観が組織文化と調和できるかを見極めることも、長期的な人材活用には欠かせません。対人関係面のリスクは、時に強さや個性の裏返しでもあります。採用場面では、それを“排除すべき不安要素”として断じるのではなく、“マネジメントすべき特性”として冷静に受け止め、リスクを上回るだけの能力や将来性があるかを総合的に判断することが、優秀な人材の採用には必要不可欠だと言えるでしょう。
面接の課題と対処法ハンドブック
面接官の評価にバラつきがある。本当に被面接者の見極めができているか確信が持てない。しかし、どこからテコ入れをしたらよいのかわからない。本資料は、このような課題意識をお持ちの方が、課題別に面接をブラッシュアップしていく方法についてご紹介しています(全12ページ)。
あわせて読みたい
【中途採用】面接官のための
適性検査読み解きハンドブック
DXや新規事業推進などを背景に、中途採用比率を増やす企業が多くなっています。経験や業績を重視する傾向にある中途採用において、適性検査の情報はどのように活用すべきでしょうか。
本資料では、中途採用の面接官が適性検査を活用する意義、結果の読み方、解釈をする際の注意点、職務経歴書と適性検査の結果から面接の準備をする実践ワーク、その回答例などをご紹介しています(全10ページ)。
→新卒用はこちら
あわせて読みたい
採用担当者向け
採用要件定義ハンドブック
採用活動に必須のプロセスといえば「採用要件定義」ではないでしょうか。しかし、その粒度や精度、鮮度に関しては、各企業でばらつきがあるはずです。「今の採用要件がどのような経緯で設定されたかわからない」「時代に即したものに変えろと言われたが、何から手をつけていいかわからない」「大規模なデータ分析を行えるような人材データがない」など、採用ご担当者のお悩みは尽きないと思います。
本ハンドブックでは、採用要件を定義(もしくは再定義)するメリット、採用要件定義を行う方法(量的アプローチと質的アプローチ)、定義した採用要件を採用活動に活かす方法、各ステップで日本エス・エイチ・エルがサポートできるサービスの内容、そしてお客様の事例をまとめました。
詳細は、ダウンロード資料をご確認ください(全17ページ)。
あわせて読みたい
面接官のための適性検査読み解きハンドブック
面接の事前資料として、面接官が適性検査を活用することは非常に有効です。一方で、適性検査の誤用は不適切な先入観の形成につながり、適正な面接の妨げになります。
本資料では、面接官が適性検査を活用する意義、結果の読み方、解釈をする際の注意点、エントリーシートと適性検査の結果から面接の準備をする実践ワーク、その回答例などをご紹介します(全12ページ)。
→中途用はこちら
あわせて読みたい
面接官トレーニング・ 面接官マニュアルのご提案
採用活動におけるオンラインでの面接もよく実施されるようになり、従来よりもさらに「客観面接」の重要性が増しています。 本資料では、ブレない人材の見極めのために日本エス・エイチ・エルがご提供するオンライン対応の面接官トレーニング、1名から参加できる面接官セミナー、面接官が手元に置いて参照できる面接マニュアルなどのサービスについてご紹介します(全6ページ)。
あわせて読みたい
基本の客観面接ハンドブック
採用においてほとんどの企業が取り入れている選考手法である面接。特別な知識や訓練がなくても容易に実施できますが、経験の浅い面接官の中には、会社が掲げる採用要件を満たすか否かを適切に判断できているのだろうかと不安に感じる方も少なくないでしょう。
本資料では、要件の見極めに適した客観面接の基本的な進め方と注意点についてご紹介します(全8ページ)。
あわせて読みたい
採用活動における構造化面接の重要性
採用活動における面接は、応募者の評価と動機づけという2つの側面を持っています。特に評価に関しては、好き嫌いや第一印象などによる面接官の判断の歪みを防ぐために、意図的で系統立った面接である「構造化面接」の実施が重要になります。そのためには、まず求める人材像や採用基準を明確にすること、次に、応募者がその基準を満たしているか確認するための質問や判別指標、マニュアルを整備し、評価の観点や面接の進め方をできるだけ統一する必要があります。
※求める人材像や採用基準の明確化に関するサービスはこちら
面接に役立つ判別指標やマニュアルをご提供
当社では、国内外でのアセスメントの知見を基に、整備されたコンピテンシーのリストとそれらを面接で評価する指標や質問例を持っています。また、長年のノウハウを活かし、面接評価シートの設計や面接マニュアルの提供も行っています。
面接支援ツール
面接質問例・判別指標
ビジネスパーソンに求められる”職務遂行に必要な能力”を見極めるための具体的な質問例・判別指標のリストを提供します。自社で面接評価シートを作成する際、素材として利用することができます。
関連する導入事例
関連するコラム