コラム 人事コンサルタントの視点

【公式解説】ITエンジニア・デジタル人材向け適性検査CABとは?

今回は、当社日本エス・エイチ・エルが提供する、ITエンジニアやデジタル人材向けの適性検査「CAB」についてご紹介します。本コラムでは、私たち開発元が公式に、CABのコンセプト、含まれている科目や問題、結果と企業における活用方法を詳しく解説します。

ITエンジニア・デジタル人材向け適性検査CABとは?

CABはComputer  Aptitude test Batteryの略で、当社日本エス・エイチ・エル株式会社が提供するITエンジニアやデジタル人材向けの適性検査です。正式にはコンピュータ職適性検査と呼びます。イギリスで開発された問題形式を元に商品化された適性検査で、GABと同様、日本法人設立当時の1980年代から各科目が日本語にローカライズされ、こちらも長らく利用されているロングセラーの適性検査です。CABは名前の通り、ITエンジニアといったコンピュータ関係職の適性を予測するためのテストで、総合職採用が主流であった日本の採用市場において、画期的な商品でした。GAB同様、最大の特徴は、国や言語を問わず、コンピュータ関連の業務遂行に求められる普遍的な知的能力と性格を測定している点です。特に知的能力科目は一般的な「言語」や「計数」などと異なる特徴的な形式で、経験有無に関わらず、ITエンジニアやデジタル人材のポテンシャルを予測できるため、長らくIT業界で多く活用されています。加えて、近年のDXや生成AIの隆盛から、幅広い業界でデジタル人材が求められる昨今、IT業界以外の企業でも広く認知・利用されている状況です。

実際に入社後の業績やパフォーマンスとの関連性(妥当性)も証明されています。直近の学会発表で公開された事例として、複数社を対象に実施した分析の結果、IT関連の資格取得者はCABの知的能力科目において得点との関連が認められました。また、入社後のITスキル研修の習熟度評価との関連性が明らかになった事例もあります。CABは適性検査で最も重要な「妥当性」が担保されたテストといえるでしょう。

CABの構成と概要

「知的能力」を測定する知的能力科目と「パーソナリティ」を測定する性格検査から構成されます。
知的能力科目は、数値や図形を用いた科目が出題されます。いずれもITエンジニアやデジタル人材などにする関連する業務に必要な能力を測定しています。CABの高得点者は、コンピュータ言語への高い適応力やミスを発見する(デバック)能力などが期待でき、包括的で戦略的な思考に優れている傾向があります。
また性格検査では仕事に関わる30のパーソナリティを測定し、特にITエンジニアやデジタル人材などに関連する職種への適性を予測します。

CABの実施形式

CABは3つの実施形式があります。

Webテスト形式(商品名:WebCABなど)
自宅のパソコンから受検可能です。受検期間内かつ受検の推奨環境を満たしたPCとネット環境があれば、いつでも受検することができ、受検者にとって利便性の高い形式です。
テストセンター形式(商品名:C-CAB)
全国に設けられているテストセンター会場に行き、厳格な本人認証を経て受検します。海外のテストセンターもあり、留学中の応募者にも受検機会を提供できます。
マークシート形式(商品名:CABなど)
紙の問題冊子とマークシートを用いた形式です。受検者は、企業の会場など管理監督者のいる場所で受検します。

CAB 知的能力の問題

  • 四則逆算
    様々な等式中の、未知数の数字を求める問題を通して、おおよその答えを速く正確に求める能力を測定します。デジタル関連職に必要とされる基礎能力を見極めます。
  • 法則性
    流れを持った図形群の中に潜む法則性を、速く正確に見分ける問題を通して、プログラマーとしての優秀性を測定します。
  • 命令表
    与えられた指示・命令を速く正確に記憶し、使いこなす問題を通して、プログラミング言語への適応の度合いを測定します。
  • 暗号
    表面に現れている事象や現象から、背後に隠されている構造や関係を推理する能力を測定します。複雑なシステム・デザインへの適性、およびプログラミングにおけるミスを発見する(デバック)能力を測定します。
四則逆算は数値、それ以外の3科目は図形を使った問題です。実際の問題をご覧になりたい人事ご担当者様はお問い合わせください。

CAB性格検査の問題

CABに搭載されている性格検査は「OPQ」と呼ばれるパーソナリティ検査です。OPQはOccupational Personality Questionnairesの略で、職務上の性格に関する質問紙という意味です。仕事に関わる30のパーソナリティを測定します。
OPQの最大の特徴は、その回答形式です。1つの設問に社会的望ましさを揃えた行動に関する記述を4つ並べ、「自分に最もあてはまるもの」と「最もあてはまらないもの」を1つずつ選ぶイプサティブ(強制選択)形式を採用しています。これによって、受検者が自分を良く見せるための回答をしようとする傾向(社会的望ましさバイアス)を抑制し、作為的な回答がしにくい形式となっています。

CABの結果表

CABの得点は標準点と呼ばれる10段階の得点ですべて算出されます。知的能力の得点や、一部性格検査の特徴もふまえて関連する4つの職務(SE・プログラマー・カスタマーエンジニア・プロジェクトマネージャー職)の適性を予測します。また、「ヴァイタリティ」「チームワーク」などの一般的に仕事で求められるコンピテンシーの予測や、受検者の強みや弱みに関するコメントも出力されます。結果表サンプルは当社までお問い合わせください。

CABは対策可能か?

CABは、受検者側のちょっとした対策によって、得点が大幅に変わるような知的能力の形式ではありません。一方で、真の能力を正しく測定するためには、問題形式、問題数、制限時間、必要な道具、問題の解き方、進め方をよく理解し、練習した上で受検することが望まれます。そのため、当社の適性検査はすべて本題の前に例題が用意され、受検者は必ず練習問題を経て受検します。なお、SHLグループでは模擬テストができるWebサイトを公式に提供しています。

性格検査は、上述の通り作為的な回答を極力防止する仕組みが取られています。その上で、一般的なIT関連職の適性値を予測するものの、全社で共通する正解の「性格」は存在せず、各社求める人物像が異なります。また、面接を含めたその後の選考で性格検査の結果との整合性を確認するプロセスが入るため、受検者側の対策という概念があまり当てはまりません。知的能力と同様、結果が自分自身を正しく反映されることを目的に、内容をよく理解して受検することが望まれます。

CABの活用法

    CABは一般的にイメージされる選抜の際のツールだけでなく、様々な活用が可能です。例えば、
  • 面接での活用
    面接時にCABを事前に確認しておくことで、候補者の特徴を定量的に把握して質問のポイントを絞ることができ、限られた面接時間を有効に活用することができます。
  • 応募者のキャリア支援や内定者フォロー
    正しい知識を身に着けた上で、CABの結果を応募者に返却すれば、応募者にとって自己理解促進の機会につながります。採用する企業側にとっては、CABを介して応募者や内定者の意欲形成の補助ツールとして用いることができます。
  • 採用プロセスの効果検証
    受検データを用いて集計や統計分析をすることで、採用活動を客観的に振り返ることができます。母集団の特徴や面接の評価基準がCABのデータから確認できます。
  • 配属・マネジメントの資料
    採用選考だけでなく、入社前のオンボーディングのフォローのポイントや初期配属時の補完情報としても活用できます。性格検査の結果から、基本的な特徴のほか、ストレスに感じる要因や相性のよい上司タイプなども予測することが可能です(有料オプションとなります)。
導入事例では、面接や分析などにCABを活用している株式会社情報戦略テクノロジーのお取り組みを詳しくご紹介しています。

おわりに

私たち開発元が公式に、ITエンジニア向けの適性検査CABについて詳しく解説しました。当社の適性検査にご興味を持たれた人事担当者様はお気軽にお問い合わせください。サンプル受検も可能です。実際に受検していただくとより深く理解していただけると思います。

水上 加奈子

このコラムの担当者

水上 加奈子

日本エス・エイチ・エル株式会社
マーケティング課 課長

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