当社が積極的にタレントマネジメントに関する情報発信を始めた2020年と現在(2025年)を比較すると日本企業にタレントマネジメントの考え方は浸透し、具体的な取り組みを進める企業も増えてきました。しかしながら、依然としてその実践は大手企業に限られていることも現実です。
タレントマネジメントは、人手不足が深刻化する日本において多様な人材や多様な働き方を受け入れ戦力にしなければならない企業を強力にサポートするものであり、すべての企業にとって有益です。
ここで改めてタレントマネジメントを導入するうえでのポイントについて整理します。

1. 戦略と目標の明確化

膨大な手間とコストをかけてタレントマネジメントの制度とシステムを導入したけれど、何も変わらなかったという事態は避けたいものです。そのためには組織の戦略遂行のためにどのような問題を解決するのか、どのような組織と人材を開発するのか、人材をどのように活用するのかなどを明確にしなければなりません。
まずは組織人事戦略の確認が必要です。組織人事戦略は、経営戦略や事業戦略に基づいて策定されるもので、企業や事業のビジョン実現に不可欠な組織と人材のあり方を示します。
次に、組織人事戦略を実現するための具体的な目標設定をします。タレントマネジメントは手段であり、導入の目的と達成すべき目標を明確にすることが重要です。

2. 人材要件の明確化

職務に必要な能力がわからなかったり、新しい事業や新設の部門、新しい職務に適した人材がわからなかったりといった悩みを抱えている方も多いかもしれません。高業績者の行動特性や新しいポストの職務内容を客観的かつ科学的に分析することで、人材要件を明らかにすることが大切です。
有力な情報源として職務記述書(ジョブディスクリプション)があげられます。これは職務分析によって作られ、職務内容や職責、職務遂行に求められる資格・知識・スキル・能力などが記載され、ジョブ型雇用の企業には必須のツールです。メンバーシップ型雇用の企業でも職務記述書の作成を進めることは有益です。

3. 社内の理解と協力

タレントマネジメントを成功させるには社内の協力が不可欠です。経営層だけでなく、各部門のマネジャーや全社員が納得し、施策を実行できるようにする必要があります。
新しい取り組みでは全員がすぐに賛成するとは限らないため、丁寧な説明が求められます。タレントマネジメントの目的、内容、方法、対象者、得られるメリット、発生しうる問題点とその対策、運用上の注意点、情報セキュリティ等をオープンかつわかりやすく説明し、社内の理解と協力を得られるようにしましょう。

4. フィードバックの実施

どのような施策を導入する場合でも参加者に対する建設的なフィードバックは極めて重要です。
例えば、サクセッションプランを導入する場合、後継候補者のアセスメント結果を人材委員会で検討するだけでなく、候補者本人にフィードバックすることで能力開発やエンゲージメントの向上につなげることができます。上司や部門責任者、メンターなどにアセスメント結果を正しく伝えることで、能力開発やキャリア開発、コミュニケーションの改善が期待できます。
人材可視化を目的に行う施策の場合、自ずと自己理解や相互理解が進みますので問題はありませんが、選抜や配置任用、チームビルディングなどにおいても、アセスメント結果に基づく「個人の強みや弱み」「指導の仕方」「コミュニケーションの取り方」などを関係者へフィードバックしましょう。社員一人ひとりを深く理解することは、組織が人材を活用するためだけでなく、働く人のやりがいやウェルビーイングにもつながります。

5. 検証と改善フローの構築

タレントマネジメントの導入はゴールではなく、スタート地点です。導入に際して設定した目標の達成に向け、客観的な検証を行い、必要に応じて改善を加えていきます。
導入後、想定とは異なる結果がでることもありますが、当初の目的と目標を忘れず、施策の最適化を進めていくことが求められます。常に最新の人材データを保持し、運用手順や手法を柔軟に見直す姿勢が重要です。
タレントマネジメントの効果を最大限に引き出すためには、検証と最適化を継続的に行うことが不可欠です。

おわりに

これらのポイントを踏まえて効果的にタレントマネジメント施策を運用している企業の事例は、導入事例(https://www.shl.co.jp/casestudy/)に多数掲載しております。ぜひご覧ください。

面接は、適合度、資格、潜在的な貢献度を評価し、適切な人材を見つけるための入り口です。しかし、採用プロセスの他の部分とは異なり、一貫性、正確性、公平性に対する厳密さに欠けていることがよくあります。今こそ、それが変わる時です。 本コラムではSHLグループのブログ記事をご紹介します。

良いチーム作りは良い面接から始まる

効果的な人材獲得戦略では、面接はサイロ化され、トレーニング、ツール、測定への投資がほとんど行われないことがあります。面接は測定が難しい人間同士のやりとりと見なされているため(面接の ROI を測定している組織は半数未満)、またほとんどの人が自分は「人柄を判断するのが得意」だと考えており、面接を透明性が高い、データに基づいた科学的な評価手法にする方法をほとんど検討していないためです。

米国労働省は、不適切な採用により、企業は従業員の初年度収入の 30 パーセントを失う可能性があると推定しており、最初の採用で適切に採用を行うことが重要であり、面接は以下のような理由から、依然として選考プロセスの基礎となっています。
  1. 候補者の適合度: 面接は、候補者の資格、文化的適合度、コミュニケーション能力を評価する機会となります。
  2. 意思決定ツール: 面接により、採用担当者は認知テストや技術テストなどの定量的評価を補完する定性的な洞察を得ることができます。
  3. 候補者エンゲージメント: 面接により、候補者は組織と役割について知ることができます。候補者が入社するかどうかの決定に影響を与えます。

貴社の面接は採否の決定に役立っていますか、それとも悪影響を与えていますか?

ほとんどの組織は、面接とアセスメントを別のものとして考えています。しかし、真実は、面接はアセスメントです。そのようになっていない場合、採用プロセスに不必要なリスクをもたらすことになります。

面接がうまくいっていると思う方は、ぜひ以下の点を検討してください。
「面接は完全なブラックボックスです。何が質問されているのか、何が話されているのか全く分かりません。実際の記録も残っていません。」 (大手米国銀行の採用責任者)

面接をアセスメントとして扱うと何が起こるでしょうか?

面接は、他の採用アセスメントと同様に構造化され予測的なものとすることが可能です。企業が面接にアセスメントの科学を適用した場合に起こることは、以下の通りです。

おわりに

面接が採用プロセスの中核をなす場合、面接は他のアセスメントと同様に厳格で予測的である必要があります。構造化された科学的根拠に基づく面接は、採用の精度を向上させるだけでなく、プロセス全体をより公平で効率的、そして候補者フレンドリーにします。

貴社では面接を本当にアセスメントとして扱っていますか? そうでないなら、今こそ始める時です。

この「人事コンサルタントの視点」コラムでも客観的な面接については繰り返し取り上げてきましたが、SHLグループは2025年2月5日、新たな面接ソリューション、スマートインタビュープロフェッショナルをリリースしました。科学的な面接を一層推し進めるソリューションです。カスタマイズ可能な面接ガイド、構造化面接を支援する採点ツールやプロンプト、AIトランスクリプトと要約、スケジュール調整を容易にする仕組み、そして面接官の分析、被面接者向けのサーベイ、この二つを組み合わせた全体分析まで行うことが可能です。本ソリューションをリリースに先んじて導入いただいた企業では、分析を活用して面接の実践を改善し、競争優位性を得ています。日本語でのサービス展開は準備中ですが、ご興味をお持ちの方がいらっしゃいましたらぜひご連絡ください。

セミナー・イベント

2025年6月24日開催!
採用シンポジウム2025 「新卒採用 各社の挑戦」

人材の流動化が進み、新卒採用の難易度は年々高まっています。一方で、人材獲得は重要な経営戦略のひとつです。毎年ご好評いただいている本シンポジウムでは、今年もリーディングカンパニーの気鋭の採用担当者をお招きし、新卒採用の最新事例のご講演と、現状の課題や今後の展望についてのパネルディスカッションを行います。

こんな方におすすめ

企業の先進事例を具体的に知りたい
新卒採用を見直したい
新たな採用手法などを模索している

ゲスト講演・パネルディスカッション

牧村 夕貴 様

牧村 夕貴 様

アクセンチュア株式会社
人事本部 リクルーティング
新卒採用統括 マネージャー

笹倉 由衣 様

笹倉 由衣 様

大日本印刷株式会社
人財開発部 採用グループ

古澤 健太 様

古澤 健太 様

株式会社ニコン
経営管理本部 人事部 採用課

村田 祥太郎 様

村田 祥太郎 様

三井物産株式会社
人事総務第一部 採用企画室
新卒採用チームリーダー

開催概要

開催日時

2025年6月24日(火)14:00-17:00

アーカイブ配信

2025年7月31日(木)まで

配信方法

ZoomによるLIVE配信

受講料

無料

受講対象

企業および組織の人事に携わる方

※同業者、学校関係者、個人の方のご参加はご遠慮ください。

お問い合わせ

日本エス・エイチ・エル株式会社 イベント事務局
✉ Eメール: event@shl.co.jp
☎ TEL:03-5909-7207

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コンサルティング

人材要件定義コンサルテーション

職務遂行に必要なコンピテンシーをアセスメントデータ分析、インタビュー等で特定します。

人材要件定義とは?

選抜、配置、任用、能力開発などの人事施策を行うには適切な基準が必要です。人材要件を定義することで適切な基準と運用方法がわかります。

アセスメントデータの分析、高業績者へのインタビューなどを通じて各ポストの職務遂行に必要なコンピテンシーを特定します。調査対象の設定、調査(適性データ収集、データ分析、インタビュー、アンケートなど)の実施、コンピテンシーの決定、コンピテンシーの活用を支援します。

人材要件定義 2つのサービス

  • 人材要件定義支援
  • 人材要件定義のノウハウ提供

人材要件定義支援

特定の職種やポスト等の人材要件を定めるために、アセスメントを用いたデータ分析や経営者やキーポジションの方にインタビューを行います。定量的なデータと定性的なインタビューの情報を統合し、人材要件定義を作成します。今後必要とされる自社独自の人材要件とコンピテンシーのマッピング支援も行います。データ分析ではオリジナル尺度の作成も可能です。

人材要件定義のノウハウ提供

自社で要件定義を行うためのインタビュースキルトレーニングやアセスメントデータの統計分析手法のトレーニングを行います。当社の豊富な実績を元に、実践的なスキルや手法を学ぶことができます。 自社で主体的に要件定義を行うことで、今後の要件の変化にもすばやく対応することが可能です。

導入シーン

採用の求める人物像の作成や見直し

データを元に科学的に求める人物像を定義できます。経営戦略の転換や新たな事業で求める人材が変化した場合も、未来に必要な人材要件の定義が可能です。

昇格の選抜基準の作成

社内の人材選抜もその後のパフォーマンスの観点から妥当な選抜基準を作成することが可能です。

配置・配属の参考

社内の各ポストに求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現します。

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人材要件定義のご提案

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お問い合わせ

ご不明な点がございましたら、担当コンサルタントまたは「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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セミナー・イベント

2025年6月24日開催!
採用シンポジウム2025 「新卒採用 各社の挑戦」

人材の流動化が進み、新卒採用の難易度は年々高まっています。一方で、人材獲得は重要な経営戦略のひとつです。毎年ご好評いただいている本シンポジウムでは、今年もリーディングカンパニーの気鋭の採用担当者をお招きし、新卒採用の最新事例のご講演と、現状の課題や今後の展望についてのパネルディスカッションを行います。

こんな方におすすめ

企業の先進事例を具体的に知りたい
新卒採用を見直したい
新たな採用手法などを模索している

ゲスト講演・パネルディスカッション

牧村 夕貴 様

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アクセンチュア株式会社
人事本部 リクルーティング
新卒採用統括 マネージャー

笹倉 由衣 様

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大日本印刷株式会社
人財開発部 採用グループ

古澤 健太 様

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株式会社ニコン
経営管理本部 人事部 採用課

村田 祥太郎 様

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三井物産株式会社
人事総務第一部 採用企画室
新卒採用チームリーダー

開催概要

開催日時

2025年6月24日(火)14:00-17:00

アーカイブ配信

2025年7月31日(木)まで

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ZoomによるLIVE配信

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無料

受講対象

企業および組織の人事に携わる方

※同業者、学校関係者、個人の方のご参加はご遠慮ください。

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【中途採用】面接官のための
適性検査読み解きハンドブック

DXや新規事業推進などを背景に、中途採用比率を増やす企業が多くなっています。経験や業績を重視する傾向にある中途採用において、適性検査の情報はどのように活用すべきでしょうか。
本資料では、中途採用の面接官が適性検査を活用する意義、結果の読み方、解釈をする際の注意点、職務経歴書と適性検査の結果から面接の準備をする実践ワーク、その回答例などをご紹介しています(全10ページ)。
→新卒用はこちら

こんな方におすすめ

適性検査を中途採用面接に活用する方法が知りたい人事ご担当者様、および面接ご担当者様
中途採用面接官に適性検査の正しい使い方を案内したい人事ご担当者様
これまで中途採用で適性検査を用いていなかったが、今後は活用してほしいと考えている人事ご担当者様

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面接官のための適性検査読み解きハンドブック

面接の事前資料として、面接官が適性検査を活用することは非常に有効です。一方で、適性検査の誤用は不適切な先入観の形成につながり、適正な面接の妨げになります。
本資料では、面接官が適性検査を活用する意義、結果の読み方、解釈をする際の注意点、エントリーシートと適性検査の結果から面接の準備をする実践ワーク、その回答例などをご紹介します(全12ページ)。
→中途用はこちら

こんな方におすすめ

適性検査を面接に活用する方法が知りたい人事ご担当者様、および面接ご担当者様
面接官に適性検査の正しい使い方を案内したい人事ご担当者様
これまで面接官に適性検査を共有していなかったが、今後は活用してほしいと考えている人事ご担当者様

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面接の課題と対処法ハンドブック

面接官の評価にバラつきがある。本当に被面接者の見極めができているか確信が持てない。しかし、どこからテコ入れをしたらよいのかわからない。本資料は、このような課題意識をお持ちの方が、課題別に面接をブラッシュアップしていく方法についてご紹介しています(全12ページ)。

こんな方におすすめ

面接の評価基準がぶれている。
面接官の面接技術を向上させたい。
面接時の評価と実際に入社した後の印象にずれが生じている。

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面接官トレーニング・ 面接官マニュアルのご提案

採用活動におけるオンラインでの面接もよく実施されるようになり、従来よりもさらに「客観面接」の重要性が増しています。 本資料では、ブレない人材の見極めのために日本エス・エイチ・エルがご提供するオンライン対応の面接官トレーニング、1名から参加できる面接官セミナー、面接官が手元に置いて参照できる面接マニュアルなどのサービスについてご紹介します(全6ページ)。

こんな方におすすめ

面接官によって評価にバラつきがある。
面接官のスキルを向上させたい。
面接を改善する実践的な手法が知りたい。

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応募者・内定者へのパーソナリティ検査フィードバック実施の手引きハンドブック

オンライン選考などの活用が進む中で、企業と個人の特性のすり合わせ、相互理解がより重要になっています。応募者・内定者の自己理解を促進し、相互理解を深め、入社への意欲を高めるために、パーソナリティ検査のフィードバックをぜひご利用ください。
本資料では、選考途中の応募者・内定者に対するパーソナリティ検査のフィードバックの目的、注意点、流れから、実際の説明例・会話例、よくあるご質問までご紹介します。ぜひご活用ください(全15ページ)。

こんな方におすすめ

応募者や内定者の面談の重要度が増している
面談のポイントを体系的に知りたい
面談にアセスメントを活用したい

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