導入事例

「シミュレーション面接」で答えのない問題に立ち向かう力を評価。東急の採用プロセス改革。

「シミュレーション面接」で答えのない問題に立ち向かう力を評価。東急の採用プロセス改革。

前例のない環境変化に直面しても、常にビジネスチャンスを掴める人材を採用したい。
東急の「シミュレーション面接」導入の取り組みをご紹介します。

※本取材は2022年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

東急株式会社

事業内容

交通事業、不動産事業、生活サービス事業、
ホテル・リゾート事業、国際事業 等

業種

陸運業、不動産業

従業員数

1,461名(2021年3月31日現在)

インタビューを受けていただいた方

初田直美 様

東急株式会社
人材戦略室 人事開発グループ 採用センター 課長

インタビューの要約

採用における課題は、鉄道会社の保守的なイメージから起業家マインドを持った学生との接触が難しかったことと、創造力を評価するような選考手法を持っていなかったこと。学生の新たな側面を評価する手法として、「シミュレーション面接」の導入を決定。
シミュレーション面接とは、その場で考えさせる質問をし、回答の仕方で評価を行うもの。従来手法からの変更に一部懸念の声もあったが、環境変化における新しいチャレンジの一環として協力を仰ぐ。
シミュレーション面接によって、従来の面接では見極めきれなかった考えの広がりや新しいアイデア、「答えのない問題」に取り組む姿勢が評価できた。面接のマンネリ化を防ぎ、面接官からもポジティブな評価。
今後の課題はシミュレーション面接の精緻化と、採用とタレントマネジメントの連携。

鉄道会社の保守的なイメージを超えて、ビジネスチャンスを掴む人材を採用したい。

採用に関する課題は、求める人材像にアプローチすることが難しいことでした。当社は鉄道会社という側面ゆえに、安心・安全を志す保守的なイメージがあり、それは正しく一番必要な事ではありますが、事業の幅が広いため、ゼロから事業をクリエイトすることも多数あります。たとえば、コロナ禍で鉄道による人員輸送が減っても、一方で沿線に住んでいる方の滞在時間は増えます。ここで生まれた新たなビジネスチャンスに注目できるような人材が必要なのです。当社は最近「TsugiTsugi(ツギツギ)」という新サービスをリリースしましたが、これは次々とホテルを選んで旅をするように暮らせるというサービスで、若手社員が社内の起業家育成制度を使って立ち上げたものです。当社がもつ多種多様なアセットを連携させて、新しい事業を始めるチャンスが数多くあるため、ぜひそのような起業家マインドを持った学生に当社を知ってほしいと思っています。

もう一つの課題は、こうした事業創造ポテンシャルを持つ人材を採用するため、創造力の高さを評価する選考を行いたいということ。採用後、どのような選考プロセスを経てどのような学生を採用できたかという、振り返りの分析を日本エス・エイチ・エルに委託していますが、従来の選考では創造力の高い方を高く評価しているとはいえませんでした。面接方法や評価方法を刷新し、もっと適切に創造力の高い方を評価できないだろうか。そう模索する中で、浮上したのが「シミュレーション面接」でした。

その場で考えさせることで課題解決力を見る「シミュレーション面接」に挑戦。

シミュレーション面接とは、「その場で考えさせるような質問をあえて行い、その回答の仕方で評価を行う」という面接手法です。困難な課題や答えのない問題に直面した時の考え方や姿勢、説明の仕方によって、創造的な課題解決能力を評価できるという利点があります。回答自体だけでなく、どのようにその回答を導き出したのかというプロセスも重要になります。

シミュレーション面接を導入することを社内に告知した際、面接官からは「今まで通りガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を深堀りしたい」という声もあがりました。しかしガクチカは他の選考で取り上げていたので、今回の選考の目的を明らかにし改めて協力を仰ぎました。コロナ禍で前例のない環境変化が起きる中、柔軟な発想やチャレンジすることの重要性は実感されていたと思いますので、受け入れていただきやすい下地があったと思います。
シミュレーション面接の面接官トレーニングは、日本エス・エイチ・エルに委託しました。特に、シミュレーション面接では回答の深堀りがカギとなりますので、回答に対する質問の仕方や切り口、応募者を緊張させないための留意点などを学びました。

その場で考えさせることで課題解決力を見る「シミュレーション面接」に挑戦。

シミュレーション面接で見えた考えの広がり、答えのない問題に取り組む姿勢。

シミュレーション面接のメリットは、従来の手法では引き出しきれなかった人材の強みが、新たに見いだせるようになったことです。回答自体は一般的なものであっても、さらに深堀りをすることで考えに広がりが見えることもありますし、逆に底が見えてしまうこともあります。中には「こんな考え方があるんだ」と驚くこともありますし、創造力を評価するのに大変わかりやすい指標になっていると思います。また、「答えのない問題」に取り組むときの姿勢を見ることができますので、最後まで投げ出さないか、一緒に働きたいと思える人材かという点もクリアに見えてきます。

またこれまでは、面接に慣れている面接官ほど対話がマンネリ化してしまう傾向がありました。しかしシミュレーション面接を導入したことで、予想していなかった回答が飛び出すようになり、面接官も真剣にそれを聞き、深堀りを行うようになりました。面接官からも「面白いし、今まで見られなかった部分が見られる」とポジティブなフィードバックがありました。まだ導入初年度なので、今後は実施時間の再検討や評価指標の精緻化など、さらに面接精度を上げるための取り組みが必要だと思っています。

今後の課題は、AIなどのHR Techの活用や、選考ステップごとの多角的な評価、また入社時のアセスメントデータをタレントマネジメントデータとして連携し、様々な人材が適性を活かして活躍できる配置に活かすことなどです。中途採用の増加、リモートワークの導入などに伴い、人事が色々な角度から人材を把握する必要性があると考えています。どのタイミングで入社した社員も適切かつ公平に評価できる情報をもって、人材配置に活かせるとよいと個人的には考えています。

日本エス・エイチ・エルのアセスメントのいいところは、個人の違いがデータ上にしっかり表れるところ。また、データをどう読み解くか、他社と比べるとどうか、どのように活用するかなど、様々な方面からアドバイスをいただけるので、とても勉強になっています。人事のメンバーもよりデータの扱いに習熟していきたいと思っていますので、引き続きサポートしていただけると嬉しいです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

藤田 夏乃子

今回の取り組みは新卒採用の選考において、今までとは異なる人材を採用していきたいというところから始まりました。
シミュレーション面接導入に向けて面接官トレーニングのご相談があったときは、ご要望に沿えるように何度も対話をさせていただき、トレーニングを設計しました。実際の面接官の方からポジティブなフィードバックがあったとお聞きしたときは、この取り組みに携われてよかったと感じました。
シミュレーション面接のような応募者にその場で考え、回答させるという面接を取り入れる企業は今後も増えていくと考えています。
面接官トレーニングに限らず、今後も東急様のお力になれるようにサポートさせていただきます。

導入事例

ブレークスルーを起こせる人材求む。ファイザーの人材要件定義プロジェクト。

ブレークスルーを起こせる人材求む。ファイザーの人材要件定義プロジェクト。

変化する製薬業界で大きな成果を出す、ファイザーの人材要件定義プロジェクトをご紹介します。

※本取材は2021年4月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

ファイザー株式会社

事業内容

医療用医薬品の製造・販売・輸出入

業種

医薬品製造業

従業員数

約3,600名 (直雇用社員数 2020年12月1日現在)

インタビューを受けていただいた方

岩崎聖子 様

人事・総務部門

インタビューの要約

製薬業界を取り巻く環境やビジネスモデルの大幅な変化を受け、採用要件を刷新。
優秀者の傾向分析や経営層へのビジョナリーインタビューを通し、採用要件を策定。新しい採用要件で選考できるように、評価シートの刷新と面接官へのトレーニングも実施。
今後は、トレーニングチームとの連携や配属先のマネジャーへのメッセージ発信を通して、受け入れ態勢の強化を行いたい。

変わりゆく製薬業界で、新たな人材像の必要性を実感。

私は新卒で入社し、営業と医薬品安全性統括部を経験した後、社内公募で人事企画グループに異動しました。人事企画グループでは、セミナー企画や就業規則の改定などの業務行い、その後再び社内公募で採用グループに異動し新卒採用と外部採用に従事しています。当社は同じ事業部内であっても業務を変える際は公募制を採用しており、各々が手を挙げることでキャリア形成を促します。

今回の採用要件の再定義を実施した背景には、ビジネス環境の激しい変化がありました。当社では10年ほど前に、日本エス・エイチ・エルに協力いただき、MR(医薬情報担当者)の採用基準を設計していました。しかし、医療業界を取り巻く環境に伴い、当社のビジネスモデルは、その頃と大幅に変化をしています。加えて、2年前にはCEOが交代し、企業目的も刷新しました。経営方針も、これまでは合併を繰り返して規模拡大を目指していましたが、サイエンスを原動力とする革新的なバイオファーマになるべく変わりました。

変わりゆく製薬業界で、新たな人材像の必要性を実感。

環境変化は医師への医薬情報提供活動にも影響が及んでいます。「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が2019年4月1日より施行され、今後のMRには今までにも増して新たな役割が期待されるようになりました。更に、コロナ禍以前から病院への訪問規制が厳しくなっており、MRは規制の多い中、オンライン面会などデジタルを活用した新しい手法の提案を余儀なくされました。以前のように足しげく通うのではなく、透明性のある正確な情報を、医師の求めるタイミングで適切に提供することが必要となりました。また、希少疾患などの薬剤開発に伴い、専門医に対してより高度な情報提供が求められるようになってきています。

製造・臨床開発部門は、専門性の高い部門のため、選考においては現場のマネジャーの判断に頼っている部分がありましたが、改めて議論がなされました。臨床開発部門は、世界で同時に発売を目指すため、複数の国や地域で同時に行われる国際共同治験に日本も進んで開発に参加し、ドラックラグを無くすことでいち早く患者様に新薬を届けるため、グローバルな環境でもチームをリードできる人材が必要です。製造部門も世界各国にある約40か所以上の製造拠点がつながっており、各拠点と連携できる社員が必要です。また日本の成功事例を海外へ発信し、ファイザージャパンがグローバルファイザーの中で存在感を高めることに貢献できる人材が重要になってきます。

各部門の新卒採用に対する共通ニーズは、現場で働くスタッフを採用するのではなく、将来のファイザーを牽引するリーダー候補となり得る人材を採用することです。当社は大量採用を行わず、少数精鋭の優秀な人材の発掘に注力しています。日本から世界に発信し、社内外でのファイザージャパンの存在感を高め、ブレークスルーを生み出すことができる人材を意識して採用する必要があります。

優秀者の分析と経営層へのインタビューを通し、採用要件を策定。

採用要件の定義を実施するにあたり、現在活躍している社員の特徴を把握するため、各職種のハイパフォーマーへのインタビューとパーソナリティ検査による調査を実施しました。また今後の展望を踏まえた要件にするため、各部門のトップに対するビジョナリーインタビューを実施しました。総合的に議論し採用時に評価すべきコンピテンシーを採用要件としました。

現在の代表取締役社長である原田からは、既存の枠組みで活躍している営業社員ではなく、より先進的な営業手法を取り入れている業界の社員の特徴を参照すべきではないかという提案がありました。一方で現在活躍している営業社員の傾向を分析したところ、環境変化に強く創造性やエネルギーも持ち合わせていることが明らかになりました。これは、他の産業界でもリーダー層として活躍している人材のコンピテンシーと共通していることがわかりました。このように、他業界の傾向なども参照しながら、近い将来求められる人材について慎重に協議を行いました。

「新しい評価基準ではマル、でも現場でやっていけるかな?」 そうした人材も、採ってみようと後押しする。

今回新しく設計した採用要件できちんと選考を進められるよう、日本エス・エイチ・エルの面接官トレーニングも実施しました。参加者からは、実施してよかったという意見を数多くもらいました。これまで正式な面接トレーニングを行ってこなかったからかもしれません。ロールプレイで専門家にアドバイスいただき、自分の癖を見直すきっかけになったという声が多くありました。

当社のミッションを「患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす」に刷新したことも相まって、面接官の意識が現場目線の選考(例:医師に良い印象を与える人材か)から、経営目線の選考(例:今後のファイザーの将来を担う人材か)へと変わってきました。今まさに進行している面接でも、今後必要となる人材やこれまで見られなかった価値観を持つ人材を評価できていると実感しています。「この人材は、評価シートでは全部マルがつく。でも、現場でやっていけるかな・・・」。そういった人材に関しても、「採ってみましょう」と後押しする方向に動いています。

「新しい評価基準ではマル、でも現場でやっていけるかな?」 そうした人材も、採ってみようと後押しする。

採用要件は作成して終わりではない。 人材の受け入れ態勢と継続的なブラッシュアップが必要。

今回、採用要件を刷新しましたが、このあとは新しいタイプの人材を定着させる取り組みが必要です。これについては、二つの施策を検討しています。一つ目は、トレーニングチームと情報共有し、コンピテンシー開発を重視した研修を行うこと。二つ目は、受け入れ先のマネジャーと情報共有し、現場での能力開発を行うこと。採用要件は定義して終わりではなく、こうした施策がうまく連動することにより、現実的かつ効果的に機能するものだと考えています。
また、一度作成した要件が全てではなく、議論を重ね、更により良い内容にしていくことが大切であると考えております。新しい採用要件を用いることで、採用結果にどのような変化を及ぼしたのか、しっかりと検証を行っていく予定です。何よりも、今回のプロジェクトを実施することにより、採用部門の責任者とマネジャー、人事の採用の目線合わせを行うことの大切さを、採用部門が再認識することができたことが大きな成果でした。この採用要件を独自にブラッシュアップしていこうとする部門もあり、よい機会になったと考えています。

これまで採用できていないが、今後必要となるようなInnovativeな発想をもつ人材を採用するには、社内データの分析や社内議論だけでは、固定概念に囚われて不十分です。日本エス・エイチ・エルのような外部の専門集団のサポートを得ながら、豊富な他業界のデータを参照しじっくりと議論を行うこと、常にブラッシュアップしていくことが非常に大切だと考えています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング2課 課長

横山武史

このプロジェクトはスタート前の議論に長い時間をかけました。リーダーを内部育成する組織において、現場スタッフに求められる人材要件と、リーダーに求められる人材要件を、どのように採用要件に織り込んでいくべきかが問題でした。
様々な案を検討した上で、今活躍している人材と未来に活躍する人材の違いを把握するため、各部門のハイパフォーマー調査(人材データ分析、インタビュー)と各部門トップへの調査(ビジョナリーインタビュー)を実施することとなりました。プロジェクト計画が立案された段階では、調査結果に基づきさらなる議論を行い、統合した採用要件を作成することとなっていました。しかしながら調査結果を見てみると、ハイパフォーマーの傾向が他業界のリーダーと多くの点で共通しており、また、ビジョナリーインタビュー結果とも多くの共通点が見られました。実行することの重要性を改めて認識しました。
今後もファイザーのタレントマネジメント施策の立案と遂行のお力になれるよう全力でサポートしてまいります。

導入事例

船乗りの適性を見える化。商船三井の海上職採用要件定義プロジェクト。

船乗りの適性を見える化。商船三井の海上職採用要件定義プロジェクト。

安全運航を支える海のプロフェッショナル「海上職」の適性をデータから明らかにする、商船三井の取り組みをご紹介します。

※本取材は2021年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社商船三井

事業内容

ドライバルク船事業、油送船事業、LNG船事業、海洋事業、自動車船事業、コンテナ船事業、港湾ロジスティクス事業、フェリー・内航RORO船事業などを含む総合外航海運業

業種

海運業

従業員数

1,119名(陸上794名 海上325名):他社への出向者等を除く(2021年3月31日現在)

※SMBC日興証券単体

インタビューを受けていただいた方

小林 裕美 様

株式会社商船三井
人事部 採用チームリーダー

インタビューの要約

明確な言葉で定義しづらかった海上職の適性を、データを使って見える化することに挑戦した。
現有海上職社員にパーソナリティ検査を実施し、協力者には万華鏡30を使って結果をフィードバック。若手から役員までほとんどの社員が協力してくれた。
社員の分析結果をもとに採用要件を決定すべくディスカッションを行った。スキルを重視する海上職において、行動特性の重要性を解釈するのに苦労した。
新しい採用要件について社内でコンセンサスを形成し、コンピテンシーを構造的に見極めるために選考手法を改良した。
今後取り組みたいことは、エンゲージメントの向上や乗り合わせの検討を含めた、海上職に対するタレントマネジメント。

誰も言葉にできない「海上職」の適性。 俗人的な判断ではなく、定量的なKPIを設けたい。

私は入社から約10年で営業部、一度目の人事部での採用・育成業務、シンガポール駐在などを経験しました。その後、自分の専門領域として人事の仕事にもう一度取り組むことを希望し、現在は採用と若手の育成に携わっています。今はHRBPなど、10年前とは違う戦略人事の概念が出てきて、経営に近いコアな部分の業務を担える可能性があるということを魅力に感じています。現場と経営をつなぐような立場が担えたらと思います。

採用と育成に加え、今取り組みたいのはタレントマネジメントです。当社はタレントマネジメントシステムを導入しており、配置における運用などは他のチームで検討していますが、私はタレマネシステムで管理されている評価・パフォーマンスデータと採用の人材要件をつなげることに着目しました。採用の人材要件を俗人的な判断ではなく「見える化」して、定量的なKPIを設けたい。これが今回の人材要件設計プロジェクトの始まりです。

誰も言葉にできない「海上職」の適性。 俗人的な判断ではなく、定量的なKPIを設けたい。

最も課題だと感じたのは、事務系の人材要件を海上職にも適用していたこと。海上職は、6カ月間船に乗りっぱなしの非常に特殊な環境で職務を遂行します。しかし、その適性は誰も明確な言葉で説明できませんでした。職務が変われば、当然人材要件も異なるはずです。採用時点のアセスメントデータを活用しようにも、アセスメントツールをころころ変えていたためデータ蓄積がなく、効果測定ができない状態でした。海上職において、採用時点で見極めるべき指標をきちんとしたアセスメントデータを取得して作るべきではないかと思いました。

海上職社員にパーソナリティ検査を実施し、パフォーマンスとの関連を分析。 結果の解釈に議論を重ねる。

海上職の現有社員にパーソナリティ検査OPQを受検してもらい、そのデータをパフォーマンスと紐づけて統計分析にかけることにしました。「社員の傾向をもとに採用要件を作成するため、受検にご協力をお願いします。協力してくれた方には、ご自身の検査結果をフィードバックします。」と社内告知しました。参加は任意でしたが、若手社員から役員までほぼ受検してくれました。最初は反発を受けるのではないかと心配しましたが、特にネガティブな反応はありませんでした。

収集されたデータを日本エス・エイチ・エルに分析してもらいましたが、この結果を解釈するのが今回一番難しかったところ。なぜこのような結果が出るのか読み解かなければならないのですが、私は海上職ではないので確信がもてず、海上職の社員も日頃アセスメントデータを扱うことはありませんので、結果は受け止めていただいたものの、議論をするとなると難しい。もともと海上職はスキルを持っているということが非常に重要であり、行動特性への着目が進んでおらず、これがディスカッションを困難にした一因であったと思います。人材要件に落とし込むまで、何度も人事部内でディスカッションを重ねました。

結果を一部共有すると、海上職は陸上職に比べて、きちんとプランニングして手抜かりなく職務を遂行するというコンピテンシーがとても大事でした。パフォーマンスを発揮する海上職の方は、危険を予知して事前に準備しリスクを最小化するための努力ができます。これは行動的資質の部分が大きく、採用時点で行動特性としてみないと、安全運航で人命を支えている海上職においてはクリティカルな問題になると感じました。

新しい人材要件を見極められるように、採用選考を構造化。

新しい採用要件について社内でコンセンサスを形成した後、選考プロセスを改良しました。日本エス・エイチ・エルの協力のもと、新しい人材要件をエントリーシートの設問から面接での質問事項まで落とし込み、これをベースに面接官トレーニングを実施し、さらに評価のブレを抑制するため、誰でもセルフチェックができるような面接マニュアルを作成しました。これまでの面接は、業務内容を説明して覚悟を問うような場になっていましたが、より構造的に必要なコンピテンシーを見極める場とすべく努めました。今期の採用活動を終え、優秀な方を採用できたと認識していますが、最終的には実際の職務での活躍を見て、検討を続けていく必要があります。

将来的な目標は海上職のタレントマネジメントを行うことです。海上職は就労環境の特殊性から、安定した人材定着に繋がりにくい側面があります。上司のマネジメントによって左右される部分も大きいので、管理職の人材育成・能力開発をする必要があると思っています。また現在、継続的なエンゲージメント調査を行っており、誰が不調を抱えている可能性があるかを人事部がモニタリングしています。このエンゲージメントとパーソナリティの関連を今年検証する予定です。もしかしたら、コンピテンシーに関連する部分で、エンゲージメント低下の原因が見えるかもしれません。また、船での乗り合わせ(メンバーの組み合わせ)も大事です。メンバーが変われば、同じ仕事でもエンゲージメントが回復する場合もあるのです。タレントマネジメントにおける適正配置という概念になると思いますが、乗り合わせの検討にも適性検査が使えるといいですね。

日本エス・エイチ・エルの良いところは、適性検査の信頼性・妥当性の高さ。今回、海上職の採用テストとしていくつかのベンダーの適性検査を比較しました。採用で使用する適性検査には必ず社会的望ましさ(回答者が自分をよく見せようとするために回答がゆがむ効果)の問題が生じますが、自己相対化をさせるアセスメント形式が用途に合っていると感じます。また、担当コンサルタントによるサポートが手厚く、問題を整理する際の議論相手になってくれるため、感謝しています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング2課 課長

横山 武史

小林さんが陸上総合職(事務系)の採用のみならず、海上職の採用も担当することになり、このプロジェクトはスタートしました。陸上総合職(事務系)では採用選考におけるデータ活用が進んでおりましたが、海上職では人材要件が明文化されておらず、採用選考が体系化されていないことに、小林さんは問題意識を持たれていらっしゃいました。
海上職の適性を説明できる人がいないというお話しを伺い、OPQの社員受検とハイパフォーマー分析をご提案申し上げました。ハイパフォーマー分析の結果、陸上総合職とは異なる特徴を見つけ出すことができ、海上職の人材要件定義に貢献することができました。当プロジェクトでは要件定義を行ったうえで、採用選考へ落とし込むところまでサービス提供を行いました。
ここからは効果検証に入ります。当プロジェクトを通して海上職採用の改善が見られたという証明ができるまで責任をもって取り組みます。また、今後は商船三井の採用戦略の立案と遂行だけでなく、広くタレントマネジメントのお力になれるよう全力でサポートしてまいります。

導入事例

急成長するLAVA Internationalの科学的人事戦略。

急成長するLAVA Internationalの科学的人事戦略。

日本市場で急速な成長をとげた、ホットヨガスタジオ事業のLAVA International。
組織の急拡大に伴う人事課題にどのように取り組んだのか、そのタレントマネジメント事例を紹介します。

※本取材は2020年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社LAVA International

事業内容

ヨガスタジオの運営、ヨガインストラクター養成スクール等の運営、ヨガウェアブランドの展開、ヨガイベントの運営

業種

サービス業

従業員数

グループ全体 5,877人(正社員4,256名、アルバイト1,621名)※2019年8月末現在

インタビューを受けていただいた方

的場 勝己 様

株式会社LAVA International
運営部 部長

インタビューの要約

急拡大に伴う大量採用が求められる中、採用数よりも採用の質を担保する必要性を感じ、入社後のパフォーマンスを予測できるアセスメントを探し始めた。
部長以下の全社員に日本エス・エイチ・エルの適性検査を実施し、データ分析を行った。インストラクター、店長職、SV職、本部系企画職の適性がそれぞれ明らかになった。
採用のフローにアセスメントを組み込み、質の高い採用活動が可能となった。また、インストラクターから本部系企画職へのキャリアチェンジにもアセスメントを導入し、適性に沿った異動が可能となった。また、社内にアセスメントの用語が徐々に浸透し、人材の能力や特徴を表現するための共通言語ができた。

ギリギリ合格した人材の中に、光る逸材がいる。 それがパフォーマンス分析に目を付けたきっかけ。

今の立場は、店舗運営の責任者ですが、日本エス・エイチ・エルのアセスメントを導入した当時は、人材開発部の採用グループのグループ長でした。大量採用のさなか、私の問題意識は、採用数を確保することも大事なのですが、今の採用は成功しているのか否かを、入社後のパフォーマンスで示すべきではないか、ということでした。

このような問題意識を持ったきっかけは、いくつかあります。私自身のキャリアは営業畑が多く、結果がすべて数字でわかる世界です。採用の結果は採用数はもちろんわかりますが、もっと違う形で採用の成果を表したかったというのがまず一つ。もう一つは、採用と教育、現場の立場の相違です。採用と育成は、育成がうまくいかないケースに対し、「なぜこの学生を採用したんですか」と葛藤が起こります。教育と現場は、現場でスムーズに業務が行えなかった場合に、「なぜこの状態で送り出したんですか」と、また葛藤が起こります。このような構造を解消するために、現場でのパフォーマンスをベースとして、こういう理由で採用したのだという根拠を出発点に持ちたかったのです。そのために、採用の視点と現場でのパフォーマンスに相関があることを示す必要がありました。

ギリギリ合格した人材の中に、光る逸材がいる。 それがパフォーマンス分析に目を付けたきっかけ。

もう一つ加えて言うと、大量採用で採用数を確保する必要があったので、ギリギリで受からせた人たちがその後どうなったのかを知りたくて、最終面接評価C-で合格した人材を、自分で追跡調査してみました。その結果、C-で合格した人材は、早期離職はたしかに多かった。でも、入社後パフォーマンスが高い人材の出現率も、C-が多かったのです。このような興味深い結果が表れたことも、パフォーマンス分析に踏み出したきっかけになりました。

選んだポイントはわかりやすさと汎用性、そして「当たっている」ということ。

「採用時のアセスメント結果と入社後のパフォーマンスとの相関をはっきりさせて、より質の高い採用をしたいので、そのための提案をください」と、6,7社くらいにお声がけしました。日本エス・エイチ・エルを選んだのは、最終アウトプットを自分たちがどう使っていくのかイメージしたときに、一番わかりやすかったから。あとは、「今回は入社後のパフォーマンスとの相関を分析するつもりだが、いずれは役職への登用や、本部系の企画職へのキャリアチェンジなどにも使っていきたい。その分析も可能か?」と聞いたら、ことごとくできると言っていただいたので。社員のアセスメントは何かを知りたいというたびに実施するものではないと思うので、一度の実施で色々な活用ができることは大きなメリットでした。

最後の理由は、導入前にモニターとして社員が受検した結果が、本人の特徴を正しく説明していて、役員が感動したからです。「本当だね、この子そうだよね」と。最初はインストラクター採用のためとしか考えていなかったのが、この最終決定に至る過程で上層部に見てもらった時に、これは面白いねとなって、部長以下全員に受検してもらう流れとなりました。

見えてきた各職種への適性をもとに、効率的な採用・異動を実現。

社員のアセスメントデータを分析した結果、インストラクターに必要な特徴に加え、店長職やSV職に求められる特徴、そして本部企画職に求められる特徴がわかりました。店長職やSV職には、インストラクターの資質に加えて求められる資質があり、また本部企画職の適性は、インストラクターの適性とは一部相反することなどがわかりました。

その結果を受けて、採用ではかならずアセスメントを実施して、面接官と見方を共有して評価に使いました。また、インストラクターから本部系職種へのキャリアチェンジの際も、実施して見極めに使うようにしました。インストラクターと本部系職種は、業務内容がまったく異なりますので、アセスメントをして面接してみると、現場よりも本部に適性のある方もいたりします。そういう方を発見できる喜びもあります。

さらに、社内で実施している360度評価の結果を、さらに詳細に解釈する際にも、このアセスメントを組み合わせて使っています。360度評価は、あくまである人の視点なので、時期やペアリングの影響も受けますし、完全に鵜呑みにすべきではないと思っています。本人のアセスメントの結果も併せて参照し、なぜこのような360度評価の結果になったのか、というのを深く理解しようとしています。人には多かれ少なかれ多面性があって、何かきっかけがあれば誰でも異なる側面が出てくるものなので、なるべく客観的な視点をもつよう努力しています。

社内の人材を表す共通言語ができた。

採用や異動を効率的に行えるようになったということのほかに、アセスメントを入れてよかったことは、社員の特徴を的確に表す共通言語ができたことです。実際にアセスメントの結果を目の前にするのは人事系の役職者だけですが、彼らが各部門に対してもアセスメントに使われている用語を使って、採用や育成について話します。アセスメントに使われている表現が社内に浸透すると、他の社員のことを評価するときにその表現で話すので、社内にいる人のコンピテンシーを表すのに共通言語ができます。たとえば、プレッシャーへの耐力がある、というのが正確な表現だとして、それを単に「メンタルが強い」などと表現してしまうと、少し意味があいまいになってしまう。そういう共通言語ができることも、いい人材マネジメントにつながるのかなと思います。

今後の人事施策については二つあります。まず新しく着任した人材開発部長の言葉を借りると、「採用に際して、インストラクターを採るのではなく、全体を対象に利益創出ができる人材をとる」。インストラクターがゴールと見えないような入社後の広がりを感じる採用活動をすることで、良い店長が排出されるようにしたいです。女性が多い会社ですので、妊娠・出産・復帰のサイクルがあることを考えると、もっと役職者を輩出するペースを上げるべきですし、入社当時から自然とキャリアアップを目指したくなる採用をしたいというのは、まさにその通りだなと思います。

もう一つ、私の現在の役割である運営部の目線で言うと、採用を担当していたときから実施したかった、アセスメントを用いた配置や昇進は、まだまだ活用できる余地があると思いますので、今後は運営部でさらに力を入れていきたいと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

下越 千尋

社員の方々のアセスメントデータ分析結果を報告した際、その結果を裏付ける具体的なエピソードや意見が的場さんや役員の方から出てきて、活発なディスカッションとなったのが印象的でした。お客様の持つ仮説がデータによって検証され、それが具体的な言葉や数字となって共通認識された瞬間でした。分析結果を深く理解されようと、実際の現場で起きていることや既存の情報などを組み合わせて多角的に判断しようとされている点は、私自身勉強をさせていただいたことも多かったです。また、私どもが提供するアセスメントツールが現在も社内のコミュニケーションの道具となって活用されていることも、お客様の組織の発展に寄与できているという私たちの自信と誇りにつながっています。お客様がこのツールから得られる知見がより価値の高いものになるよう、引き続き支援させていただきたいと思っています。

導入事例

学力テストから適性テストへ。「くもんの先生」としての活躍の可能性を見極める、公文教育研究会の採用改革。

学力テストから適性テストへ。「くもんの先生」としての活躍の可能性を見極める、公文教育研究会の採用改革。

「くもんの先生」の特徴を、アセスメントデータで分析。学力を計る採用テストから、くもんの先生としての活躍の可能性を見極める採用へと舵を切った、公文教育研究会の取り組みをご紹介します。

※本取材は2021年9月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社公文教育研究会

事業内容

算数・数学、英語、国語(母国語)、フランス語、ドイツ語、日本語、書写、学習療法などのフランチャイザーとしての教材の研究開発、制作、指導法の研究、ならびに教室の設置・運営管理。児童書、絵本などの出版および教具、知育玩具など教育関連商品の開発ならびに販売。

業種

教育業

従業員数

KUMONグループ全体 4,091人(2021年3月現在)

インタビューを受けていただいた方

清原 久嗣 様 / 出口 恵子 様

株式会社公文教育研究会
教室ネットワーク推進部 リクルート・育成サポートチーム(写真左)
教室ネットワーク推進部 リクルート・育成サポートチーム(写真右)

インタビューの要約

コロナ禍で「くもんの先生」の採用活動をオンライン化することをきっかけに、「くもんの先生」としての活躍の可能性をより明確に把握できるよう、従来の採用テストの内容を見直した。
活躍するくもんの先生の人物像について社内のヒアリングを実施。実際の業務と紐づけてイメージできるよう面接サポートツールを整えた。
これまで利用していたテストを変更することに現場(以後、事務局)の担当者は戸惑いも少なくなかった。事務局へフィードバックするため、まずはモニターとして一部事務局で先行実施。「使ってみたら良かった」の声を各事務局に広げていった。
実施の結果、面接が行いやすくなった、教室開設後のサポートまでイメージできるようになった等、前向きな声を得ることができた。今後の展望は、運用面の継続的な改善と、先生の開設後のサポートに活用すること。

コロナ禍で「くもんの先生」採用をオンライン化。
これをきっかけに、現行の採用テストを見直す。

私たちの業務は、「くもんの先生」の募集、採用サポートです。面接は全国にある事務局で行いますが、私たちは募集の施策立案や、説明会に使うパンフレットや動画の作成、面接に用いるツールの案内等、採用業務のサポートをしています。

コロナ禍をきっかけに、これまで紙で実施していた「くもんの先生」の採用テストをオンライン化することを検討しました。従来のテストは来社が難しい方への利便性が低く、また面接後同日に実施するためテストの結果を面接に活用できないという点がありました。

また、学力を中心に測るものでしたが、テストのオンライン化をきっかけに、より応募者の強みや業務遂行能力を把握し、教室開設後のサポートにも、よりつなげていきたいと考えました。

「くもんの先生」としての活躍の可能性は学力だけでは測れない。
くもんの先生の特徴をアセスメントデータで分析するとともに、 社内ヒアリングを実施。

私たちはまず、すでに教室を開設している「くもんの先生」へのモニターテスト受検を実施し、それと同時に、社内のヒアリングによりくもんの先生としての活躍のイメージを改めて明文化し、これをパーソナリティ検査の結果と紐づけていきました。

データ分析によって見出された結果を、「活躍のイメージ」と結びつけ、先生の実際の業務内容に結びつけていくのに時間がかかったのですが、ここがイメージしづらくては実際のサポートに活用できないと考え、丁寧に検討をしました。

その後は、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントに協力いただき、この適性テストを面接の中でどのように活かすか、というツールを作成したり、仕組みを整えていきました。

「くもんの先生」としての活躍の可能性は学力だけでは測れない。<br>くもんの先生の特徴をアセスメントデータで分析するとともに、 社内ヒアリングを実施。

採用のテストの変更には戸惑いの声も。
本格実施の前にモニター運用し、 「使ってみたら良かった」の声を集めていった。

一方で、数十年にわたり使用してきた従来の採用テストを変えることに事務局の担当者からは戸惑いの声がありました。私たちは、そのような戸惑いの声に対して、より「くもんの先生としての活躍の可能性」を見極め、開設後のサポートにもつなげていくためにも、学力を測るテストから今回の適性テストに変えることにした理由を伝え続けてきました。

テストの運用について事務局からのフィードバックを受けるため、全国リリースの前に、一部の事務局で実際の応募者に対しモニター実施を行いました。すると、事務局の担当者から良い反応がたくさん得られたのです。モニターの事務局の担当者から、「実施してみたらよかったですよ!」と、これから使用する事務局にも伝えてもらいました。私たちが伝えるだけでなく、実際に応募者に使用した声を伝えていくことで、これから使う方にも具体的なイメージを持ってもらえることを実感しました。

まだ全国展開したばかりなので、全体での効果検証はこれからですが、先行実施を進めてきた事務局の担当者からは、事前のwebテストの実施で、より応募者の強みを深堀りできるようになったという声を多くもらっています。また、質問内容が明確になったという声、開設後のサポートをよりイメージしやすくなったという声もありました。さらにオンライン化したことで、応募者の方が参加しやすくなった、という効果もありました。

今後実施したいことは、webテスト運用状況の把握と改善、テスト結果を開設後のサポートに活用するための情報提供、採用時に把握した応募者の強みを教室開設のマッチングに生かすことです。今後の分析次第でより強みを生かし、より可能性を発揮できると思っています。

日本エス・エイチ・エルの良いところは、当社のこだわりや大事にしている部分を理解しようと努力してくださるところです。価値観を共有しながらプロジェクトを進められたので、本当にありがたいと思っています。また、これまで感覚でしか描けなかった人材像をデータで表せるということに手ごたえを感じました。これからの分析もお付き合いいただければと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

仲家 可帆

今回のプロジェクトは、くもんの先生採用テストのオンライン化に伴い、くもんの先生としてのパフォーマンスを予測することのできるテストに変更したいというご相談をいただいたことからはじまりました。当初はテストのみのご提案でしたが、データ分析結果を基に採用基準や選考内容全体の見直しについてもご支援させていただき、私自身もやりがいを感じるプロジェクトでした。
「これまで長くやってきた方法だから」「この方法に慣れているから」という理由でやり方を変えない選択をされる方も多い中で、今回数十年やってきた採用テストや選考内容を変えることは相当大変なことであったかと存じます。ですが、今回のプロジェクトを実施したことによってくもんの先生として適性のある人材が今までよりも多く採用され、より多くの子ども達の学力向上につながると思っております。
くもん教室の発展や先生方のやりがいへの貢献のため、引き続きご支援させていただきます。

導入事例

応募者エンゲージメントと選抜の精度を向上させた、川崎汽船の採用プロセス改革。

応募者エンゲージメントと選抜の精度を向上させた、川崎汽船の採用プロセス改革。

コロナ禍によってオンライン化した採用プロセスと応募者に生じた変化に危機感を覚えた川崎汽船。
応募者のチーム行動の特徴を理解するために採用プロセスの改革に取り組みました。

※本取材は2023年11月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

川崎汽船株式会社

事業内容

海上運送業、陸上運送業、航空運送業、海陸空通し運送業、港湾運送業等

業種

海運業

従業員数

単体:843名 (陸員638名、海員205名)  連結:5,458名

インタビューを受けていただいた方

橋本 征樹 様

川崎汽船株式会社
人事グループ 採用育成チーム

インタビューの要約

コロナ禍によりチーム活動の経験があまりない応募者が多かった。初対面した際、オンライン選考中に受けた印象と異なることも。
2次選考を対面のグループディスカッションと面談に変更。応募者一人ひとりにじっくりと時間をかけて対人面の行動を理解する。
選考の所要時間は大幅に増えたが応募者からは好評だった。面接を担当する社員からも肯定的な反応を得た。
今後は、応募者のニーズに答え、より多くの社員の生の声を聞ける機会を増やしていきたい。

パンデミックによる影響を色濃く受けた応募者と選考プロセス。

私は2018年に入社し、1年間グループ会社に出向して自動車輸送に関するドキュメンテーション業務を担当しました。その後本社に帰任し、極東から北米への自動車輸送に関わるオペレーションと営業を3年間ほど経験し、2022年4月に人事グループへ異動して採用と育成に携わっています。

すでに採用活動が始まっていた中での着任だったため、23卒採用は一人の面接官として関わりました。その中で、これまでの世代では部活動などチームで何かをするのが当たり前でしたが、コロナ禍で学生生活を過ごした23卒採用の学生はそうではなく、中には大学に友人がいないと聞くこともありました。また最終面接以外は全てオンライン選考でしたが、最終面接で初めて対面した際に応募者の印象が大きく異なるケースもありました。24卒採用においても同様の状況が生じる可能性があると考え、採用プロセスの改革に取り組みました。

パンデミックによる影響を色濃く受けた応募者と選考プロセス。

人を採ることに手間を惜しまない。

1次選考は、多くの人が参加できるようオンライン面接を維持し、2次選考を変更しました。1対1だけでなくグループの中でどのように他者と接し、チームに貢献するのかが分かるように、対面のグループディスカッションを実施しました。さらに、同日中に1対1の面談も行いました。グループディスカッションと面談を同日に実施することで、グループでは目立たなかったけれども、1対1で魅力が出てくる人(相手に良い印象を与えながら論理立てて話ができる人など)を見つけることができ、応募者の特徴を多面的に捉えることができました。

オペレーションの負荷は大きくなりますが、今日のような状況下では応募者を惹きつけたり理解したりすることに十分な時間をかけるべきだと考えています。これからはさらに労働人口は減少するので、人材確保はより重要な課題となります。

評価を担当する現場の管理職の方々には事前の評価者トレーニングや選考当日の終日拘束などで大きな負担をお願いすることになってしまったのですが、昨今の学生の事情を説明し、コミュニケーション能力を確認したいという思いをしっかりと伝えることで賛意を示していただくことが出来ました。

応募者のエンゲージメントを高めつつ、能力を理解する。

応募者の所要時間が長くなる点がこの選考プロセスの不安要素でした。しかし、参加者からは「他社のグループディスカッションでは一体何を見られていたのか分からなかったが、(川崎汽船では)面談もあったので自分のことをよく見てくれていると感じた」と肯定的な反応が多くありました。当社としては、所要時間が長い分、入社意欲の高い方が参加してくれること、休憩時間に応募者の自然な様子を知ることができてその後のサポートがしやすくなることがメリットです。

応募者のエンゲージメントを高めつつ、能力を理解する。

内定後も途切れることなく人事がコミュニケーションを取ります。当社では配属を決める際に、本人の希望を提出してもらい、日本エス・エイチ・エルのアセスメント結果も参考にしながら向いている部署を検討します。入社後も階層別研修を実施し、一貫して社員の成長をサポートしています。

今後の採用施策では、身近な社員の「生の声」を聞きたいという応募者の要望に応えていく取り組みを行います。社員との対話セッションを毎月行って社員と直に接する機会を増やしていきます。

私自身の今後の展望として、広範な人事業務に携わり、その後は現場で人事としての知見を活かしたいと思っています。

日本エス・エイチ・エルは私たちの課題によく耳を傾けて、目的にかなった最適なサービスを必死に考えてくれます。また、アイデア段階で今回の取り組みを伝えた際に「人にコミットしていますね」とコメントをもらいました。この言葉が後押しとなり自信を持って進めることができました。今後も引き続き宜しくお願いします。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

前川 智美

橋本様をはじめとする、採用担当の皆様のお考えがとにかく素敵です。採用担当は様々な業務をこなす必要があり、工数削減に目を向けるのは当然のことだと思います。しかし、川崎汽船様は工数がかかったとしても、応募者をしっかりと理解することに労力を惜しみません。この姿勢、魅力的です。
私は母集団形成や選考辞退のお悩みを持つお客様からご相談をいただくことが多くあります。採用選考自体が学生にとって有意義であること、学生を意欲形成するための仕掛けが含まれていることがこのお悩みを解決するための大事なポイントだとこのプロジェクトを通じて気づかされました。
より良い採用選考が行えるよう気を引き締めてご支援いたします。今後とも宜しくお願いいたします。

導入事例

オンライン選考を有効なものにした、日立ビルシステムの採用基準作成。

オンライン選考を有効なものにした、日立ビルシステムの採用基準作成。

職種別採用への移行をきっかけに、職種ごとの採用基準を策定。
コロナ禍で効率的にオンライン選考を行う日立ビルシステムの取り組みを紹介します。

※本取材は2021年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社日立ビルシステム

事業内容

1.エレベーター、エスカレーター、空調装置、電気設備、 その他ビル設備に必要な機器の製造、販売、据付、保守、改造修理、更新及び設計
2.各種ビル設備の監視、制御並びにビル管理
3.冷凍空調装置並びにそれらの運転制御盤、遠隔監視装置、冷媒回収装置の製造 など

業種

建設業

従業員数

約8,500名(2020年3月時点)

インタビューを受けていただいた方

北上誉之 様

株式会社日立ビルシステム
人事総務本部 人事企画部 採用・教育グループ 部長代理

インタビューの要約

職種別採用への移行をきっかけに、採用基準の明確化が課題に。社員受検データの分析と、管理職層へのアンケート調査によって、職種ごとの採用基準を策定した。
くしくもコロナ禍でオンライン選考へと全面移行。採用基準を策定しておいたことで有効なスクリーニングが可能に。またオンライン面接での情報不足をアセスメント結果の解釈によって補えた。
今後はチーム編成や、価値観をもとにした配属・任命によるエンゲージメント向上、またテレワークによる協働を円滑にするために、人材データを活用したい。

完全職種別採用に移行したことで、採用基準の策定をスタート。

私は2019年6月から採用業務に携わることになりました。すでに採用活動のピークは過ぎていましたので、次の21卒採用から本格的に参画する覚悟を決めていたところ、新型コロナウイルス感染症が蔓延。さらに未経験の要素が加わり、21卒採用は苦労しました。

日本エス・エイチ・エルには採用基準の設計を手伝ってもらいました。それは20卒採用から完全職種別採用を始めたことからでした。それまでは総合職事務系・技術系をそれぞれ一括で採用し、入社した後に面接で配属先を決定していました。職種別採用に切り替えたことで、どういう人材がその職場・その職種に必要なのかという明確な基準がなく、面接官の主観に頼った判断をしているという問題が浮き彫りになりました。実際に、私が採用業務に携わる中で、初期選考で高い評価を得た学生が最終選考で低い評価となったり、その逆もしかりで、採用プロセスを通して評価に一貫性がないと感じることがありました。会社がさらに成長していくためにはそれぞれの職種に適した人材の確保が大事だというところから、職種別にどういう人材を採用すべきか採用基準を策定することになりました。

完全職種別採用に移行したことで、採用基準の策定をスタート。

また、適性検査は長く利用していますが、面接官がパーソナリティ検査の結果などの事前情報を活かしきれていないという課題もありました。私も事業所総務を担当していた頃に面接官として対応したことがありますが、通常業務を行う中でたくさんの事前資料を見る時間が十分に確保できないというのが正直なところで、それを見ることの重要性を理解していませんでした。面接官に事前情報の重要性を訴えるには、内容や職務との関連性を明確に説明する必要がありました。

社員データ分析とアンケート調査の両面で、採用基準を策定。

採用基準の設計は、まず対象職種の社員にアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を受検してもらい、全体的な社員の特徴と、その中でも特に高いパフォーマンスを出している社員の特徴を統計分析で明らかにしました。また、職種ごとに求める人材像を明らかにするためのアンケート調査を、別途経営幹部や管理職や要職者に実施しました。一般的に、高いパフォーマンスを示す人の割合は多くはないので、少ない対象者で特徴が見いだせるのか不安はありました。

事前にしっかりと主旨をご理解いただいたため、取り組みには社内の協力を得ることができました。アセスメントに協力いただいた社員には、フィードバック用の帳票を返却しました。また面接官には、日本エス・エイチ・エルの担当者に結果解釈のための説明会をしてもらったところ、皆さんご自身の結果に関心を持ってご覧いただけたと感じました。年齢を重ねるとアセスメントを受ける機会も少なくなるので、あらためて自己分析結果を目にすることの新鮮さをお話しされていましたね。

職種ごとの要件と、全社共通の人材要件が見えてきた。

社員分析の結果について、職種ごとにハイパフォーマーの特徴もみられましたが、一番納得したのは、社員の全体傾向として「問題解決力」と「オーガナイズ能力」が高いということ。これは社風の影響です。基幹事業の一つであるエレベーター・エスカレーターのメンテナンス事業では、様々な情報を組み合わせて問題の原因を特定し、お客様の納期に合わせて限られた時間で計画的に作業を進めることが重要になります。この認識が社員に浸透していたため、このような特徴が現れたのだと思いました。面接官からは別の要素も重要だというコメントもありましたが、客観的に社員の共通性を示せたことは、面接官の間での評価差を解消するのに役立ちました。

新型コロナウイルス感染症の影響で、オンライン面接へ全面移行。
スクリーニング基準が整備されていたことが功を奏した。

21卒採用から一次の集団面接をやめて、書類選考に切り替え、エントリーシートと適性検査の結果で応募者の絞り込み、一次面接と最終面接を経て、合否判定を行うプロセスへと改定を計画していたところ、くしくも、新型コロナウイルス感染症の影響で、選考方法(オンライン面接)や時期への大幅な修正が必要になり、採用基準を策定しておいたことが功を奏しました。採用基準のおかげで、書類の合否判定と次の選考への参加順を客観的に決めることができました。共通要件がボーダーライン上のグループから、各職種要件を持つ人を優先に面接へと進めるなどの細かい調整ができてよかったです。また、今まで検査結果を活用しきれていなかった面接官のために、面接官教育に検査結果の解釈を含めたところ、検査結果から仮説を持ち、事前に質問を準備できるようになったという声が面接官から聞こえるようになりました。

21卒採用の面接はすべてオンラインに切り替えましたので、今までの対面面接では見えていた人となりや雰囲気といった情報は全く得られなくなりました。その観点では、パーソナリティ検査の解釈スキルを強化しておけたのは不幸中の幸いでした。もちろん、実際にお会いして雰囲気を感じ取ることは大事ですので、対面とオンラインの選考をどのように組み合わせていくかは、コロナウイルスが落ち着いた際に検討します。

日本の労働人口が減少していく中で、従業員のパフォーマンスを引き出すためにタレントマネジメントは重要です。ほとんどの従業員が組織で活動をしていることを考えると、良いパフォーマンスを引き出すための従業員同士の関係性や人材の組み合わせを体系化できれば役立ちます。我々は、安全性の観点からメンテナンスを行う際、主に二人以上で作業計画を組むので、その組み合わせもアセスメントで個人の特性を見ながら配置ができればとよいと思っています。

また、私が使いやすいと思ったのは、価値観のアセスメント(V@W)の結果です。本人が職務上で重視している価値観をマネジャーが把握することで、より適したフィールドで活躍してもらうことができます。仕事のアサイメントの渡し方やフォローアップなど、従来なら各人に適したやり方を把握するのに一定期間が必要だったものが、配置してすぐに把握することができるといったことにもつながると思います。

コロナ禍で急速に普及したテレワークが、コロナ終息後も完全に元の状態に戻ることはないと思います。上司と部下が離れて仕事をすることが多くなれば、社員の特徴を把握することはより重要になります。社員ひとりひとりの特徴に配慮したコミュニケーションの取り方や育成担当者の割り当て方などにアセスメントを活用できたらいいですね。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

武田 幸祐

今回の採用基準明確化のプロジェクトは、職種別採用の導入と面接評価の課題の解決という内的要因と、コロナ禍による採用環境の変化という外的要因がある中で、結果的に非常にいいタイミングで実施できました。変化が求められる難しい環境下でプロジェクトに携われたこと、非常に有難く思っています。
今回の取り組みから、主観と経験に頼るのではなく客観的なデータを用いて細かく分析することで、人材評価時の焦点を合わせることができ、より良い採用活動ができると改めて認識することができました。
とは言え、「採用」という人事に関するテーマの入り口が整理できた段階であり、今後、企業としてのさらなる生産性向上と社員の皆様の働きやすさのためには、人同士のマッチングやサービス領域ごとの適性人材など、様々な観点でのより深い分析や継続的なデータ蓄積が必要と考えています。
これからもお力になれるよう引き続き尽力したいと思います。

導入事例

学生のWill(意志)を尊重し、「選び、選ばれる関係」を目指す、住友商事の新卒採用。

学生のWill(意志)を尊重し、「選び、選ばれる関係」を目指す、住友商事の新卒採用。

応募者のキャリア観の変化に合わせて、配属先確約型のWILL選考を採り入れた住友商事。
同時に自社をよりよく理解してもらうための様々な取り組みを行いました。

※本取材は2024年7月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

住友商事株式会社

事業内容

全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における顧客・パートナーとの信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開。

業種

総合商社

従業員数

5,152人(連結ベース79,692人)

※2024年3月31日時点

インタビューを受けていただいた方

佐々木 亮 様

住友商事株式会社
HR企画戦略部 フューチャータレントアクイジションチーム チーム長

インタビューの要約

学生の立場に立った広報施策の実行と初期配属先を確約する選考形式で多様な応募者の惹き付けをはかった。
面接を構造化し、面接官にはロールプレイを含むトレーニングを実施。面接受験者から面接体験アンケート結果を回収し、面接のさらなる質の向上に取り組む。
今後も、採用広報・選考・オンボーディングにおいて、十分に自社の魅力を伝えられるように試行錯誤と挑戦を続ける。科学的なトラッキングも実施したい。

ポテンシャルの高い人財を獲得し、その力をアンロックする

住友商事は2019年に創立100周年を迎えました。そのタイミングでリリースされたコーポレートメッセージが「Enriching lives and the world」です。住友商事グループの社員一人ひとりがこの言葉を抱きながら、世界中で日々業務に励んでいます。

そして、当社の人財戦略では、“Unlock Your Power“という言葉を掲げています。変化が激しく複雑で予測のつかないビジネス環境下において、多様な知識・経験を持つ社員一人ひとりが、これまで以上にエンパワーされ、Enriching lives and the worldの実現に向けて夢中になる職場で、新たなビジネス創出や課題解決にあたることを追求しています。

このような考え方の下、新卒採用とキャリア採用のベストミックスで採用活動を行っています。数年前までは新規採用の大半が新卒採用でしたが、ここ数年でキャリア採用者数もかなり増加してきています。
新卒、キャリアに関わらず、当社の未来を支える能力、ポテンシャルの高い挑戦意欲に溢れる人財に入ってきていただき、それぞれが持っているパワーをアンロックし、最大化する。そういうことをこれから更に加速していきたい、と考えています。

ポテンシャルの高い人財を獲得し、その力をアンロックする

応募者のニーズをとらえた施策を実行、「選び、選ばれる関係」を目指す

さて、ここからは当社が新卒採用において抱えている課題と打ち手についてご紹介させていただきます。

まず、我々として抱えている課題感としては、「学生のキャリア観が大きく変化してきていること」、「ミスマッチを減らすこと」、「女性管理職比率向上させること(2030年に20%が目標)」、「自社の実態とイメージの乖離を払しょくすること」、「新たな事業を創っていける人財を獲得すること」等があります。

このような課題に対し、私たちの求める人財がもつニーズに対して何ができるかを考えてスピーディに実行し、結果として応募者の方と当社が「選び、選ばれる関係」になることを目指してきました。ここでは具体的に行った取り組みを3つご紹介します。

1.Sumisho Career Seminar
主に女性の求職者にターゲットを絞ったSumisho Career Seminarというセミナーを実施しました。Web形式のセミナーで、女性の人事執行役員と若手社員がパネルディスカッション形式で仕事、働き方、キャリア、プライベートについてざっくばらんに語ってもらうイベントです。一部の学生にとって、総合商社業界は、「ハードワーキング」「体育会」「男社会」というような古いイメージがまだ残っており、ハードルが高いと感じてしまう方が少なくないようです。そのようなイメージを払しょくしたい!そして、もっと女子学生にもご応募いただきたい、という想いから企画しました。セミナー当日は、非常にカジュアルな雰囲気でトークが展開され、当社の魅力や女性社員が活躍しているイメージがよく伝わったようで、セミナー後のアンケート結果を見ても、大変好評な企画になりました。

2.Sumisho Radio
学業や課外活動、アルバイト等、大変お忙しい日々を過ごしておられる学生の皆さんは、所謂「タイパ」を意識して効率的に就職活動をされています。そこで、我々としても、限られた時間の中でも当社のことを効率的に上手く伝えることができないかと考え、Sumisho Radioというイベントを企画しました。こちらもWeb形式のセミナーで、学生の隙間時間であろうランチタイムや放課後の時間帯を狙って開催しました。セミナーは、若手採用担当者数名が掛け合いをしながら、セミナー中にリスナー(学生)から投稿される質問にリアルタイムで回答するというイベントです。リスナーは、必ずしも画面を見る必要はありません。隙間時間に耳だけ傾けていただくことで、当社のこと、就職活動の進め方、キャリアに対する考え方等の情報を効率よく入手いただけたのではないかと思います。こちらの企画も非常に評判が良く、視聴者は平均で毎回300人程度、その中で数多くの質問が寄せられました。結果的に複数の内定者からもSumisho Radioを視聴していた、という声を聞きましたし、良い企画になったと考えています。 なお、この企画は、当時入社一年目だった採用担当者が提案してくれたものです。やはり、「若い人の気持ちがわかるのは若い人だな」とあらためて実感する機会となりました。

3.WILL選考の導入
冒頭でも少し触れましたが、昨今、学生のキャリア観や会社選びの基準は変化してきていると感じます。私は十数年前も当社で新卒採用を担当していたのですが、その頃の当社への学生の志望動機の多くが「グローバルな環境で働きたい」「スケールの大きな事業に携わりたい」「経営者になりたい」といったものでした。一方で近年は、「入社して、具体的にどのような仕事をしたいか」が明確な方が増えてきています。当社でも、一部の学生からは「入社後、自分の希望とは異なる部署に配属されるのではないか」と思われ、所謂「配属リスク」を危惧して、最終的に他社を選ばれてしまうということはこれまで少なからずありました。 そこで、25卒向けの新卒採用より、学生の意志(Will)を尊重した形での、配属先決め形式の採用選考方式である「WILL選考」を導入しました。現場の理解や選考運営の複雑化等、様々な困難はありましたが、結果としてこれまで十分にリーチできていなかった応募者層(理系大学院生等)にも多くご応募いただくことができ、当社の新卒採用活動にも非常にポジティブなインパクトをもたらしてくれたと実感しています。今後の課題としては、募集部署それぞれの募集内容について、情報提供をさらに充実させることだと考えています。25卒のWILL選考では、応募人数は部署によって濃淡があり、イメージが先行して魅力を伝えきれていないと感じる面がありました。

面接の構造化と応募者アンケートで質の向上を目指す

「面接の質の向上」に向けた取り組みについても少し紹介させていただきます。25卒新卒採用では面接官への案内について一部内容の変更を行いました。当社では今まで、「総合商社で活躍してくれるポテンシャルを持った人財」を選んでもらうよう面接官には案内していました。多様な人財に入ってきていただきたい当社にとって、以前のガイドも決して悪かったとは思いませんが、評価基準が曖昧であるという課題感がありました。そこで、25卒からは評価軸を明確に定め、面接の進め方のガイドをより具体的にしました。所謂、面接の構造化です。また、面接官予定者については原則全員に事前の面接官トレーニングを受けてもらっているのですが、そのトレーニングの中で、ロールプレイを導入、その時間を長く取る等の変更も行いました。

加えて、新たに選考受験者向けの面接体験アンケートを導入しました。面接後すぐのタイミングで、第三者機関から面接を受けてくださった学生へアンケートを発信、無記名で答えていただくもので、面接の雰囲気等に関する質問が含まれています。結果はまだ分析中ではありますが、当社の面接における改善すべきポイントのようなものも見えてきている気がしますので、この結果を今後の面接官へのガイド等にも活かしていければと考えています。
応募者の皆さんは貴重な学生生活の一部を使って住友商事に会いに来てくださっていますので、当社での面接の時間が有意義な時間となってもらえればと強く思います。面接の質の向上に向けた取り組みは、引き続き積極的にチャレンジしていきます。

面接の構造化と応募者アンケートで質の向上を目指す

社会の変化とともに、新卒採用を取り巻く環境もどんどん変化していますので、今後もトライアンドエラーを繰り返しながら、様々なチャレンジを積極的にしていきたいと思っています。
採用広報活動と選考活動の領域では、当社のビジネス、仕事、キャリアについて、今よりもっと学生の皆さんに理解いただけるような取り組みを行うこと、当社ならではの独自性をより効果的に伝え、求職者を惹きつけるブランディングを展開すること、そして、行った活動の成果を可能な限り定量化してPDCAを回していきたいと考えています。なお、ちょうど今月(2024年7月)にインスタグラムの公式アカウントを開設しました。我々の新たなチャレンジです。こちらでも採用関連の情報を積極的に発信していきます。

オンボーディングの領域では、内々定から入社までの間の情報提供をさらに充実させて、内定者にとって当社で働くことの解像度を高めてもらえるような取り組みを検討しています。

また、今後の大きな課題の1つとして、これまで蓄積しているOPQデータの活用があります。今は採用選考時の参考資料のひとつという位置づけですが、採用時のデータが入社後にどうなっているか科学的にトラッキングする、初期配属のマッチングをより合理的に行う、要員配置計画の参考にするなど、様々な場面で活用できるのではないかと考えています。実際にどのようなことができるかエス・エイチ・エル様と相談しながら模索していきたいです。

エス・エイチ・エル様の当社担当の清水様は非常に真摯で信頼できる人だと感じています。以前、選考でとある相談をした際に、率直かつ丁寧なアドバイスをしてくださったことがとても印象的でした。良いことも悪いことも当社のために伝えてくれるありがたい存在です。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

清水 智昭

2025年卒の新卒採用活動は住友商事様にとってチャレンジングな年だったと思います。キャリアセミナーや入社1年目の採用メンバー発案によるSumisho Radio、WILL選考や新たな採用クールの実施、面接精度向上の施策。求職者のニーズに寄り添いつつ、人財戦略の達成に向けた新たな試みの数々は、常に新鮮な取り組みを実施していこうとするスタンスを強く感じます。
OPQデータの科学的な活用を通じて、住友商事の活動を最大化(Unlock your power)できるように今後もご支援してまいります。

導入事例

「経営理念を体現できる人財」を獲得へ。SMBC日興証券の挑戦。

「経営理念を体現できる人財」を獲得へ。SMBC日興証券の挑戦。

様々な応募者の志向に応える部門別採用を採り入れているSMBC日興証券。
経営理念の価値観を体現できる人財を獲得すべく、部門別採用の新たな挑戦と求める人財像の再定義を行いました。

※本取材は2024年7月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

SMBC日興証券株式会社

事業内容

金融商品取引業。資産運用コンサルティング業務、投資銀行業務、セールス・トレーディング業務、リサーチ業務など

業種

証券業

従業員数

9,251人(2024年6月30日現在) 

※SMBC日興証券単体

インタビューを受けていただいた方

吉原 淳一郎 様

SMBC日興証券株式会社
人事部 第一人事課 採用担当リーダー

インタビューの要約

経営者から機関投資家まで、幅広い顧客を支援するための様々な職務がある。採用チームのメンバーの多くが新卒採用・中途採用を兼任し、シームレスに事業に必要な人財を確保している。
部門別採用とオープン採用を併用。専門性の高さへの期待から高専卒採用も実施。
経営理念をベースに採用要件を見直し、面接官を増員。
今後はデータ活用を一層進めていくと共に、リクルーター増員で学生の業務理解をより深めていく方針。

経営者から機関投資家まで様々な顧客の支援に必要な人財を確保する

私は2010年に入社し、金融市場マーケティング部で債券を扱う業務や投資銀行部での大手企業向けのフロント業務などを経て、2019年に人事部に異動となりました。その後は人事評価や人事異動、そして人事関連施策の企画に携わり、2023年より新卒・キャリア採用及び採用企画を担当し、今春からは採用担当リーダーとして新卒・キャリア採用を統括しています。

SMBC日興証券の社員数は約9,250名で、100を超える部署があります。大別すると、直接お客さまと関わるフロント部門である「リテール」「投資銀行」「グローバル・マーケッツ」の3つ。投資家や経営者、上場企業から機関投資家までサポートやコンサルティングを行っています。そしてフロントを支えるミドルバック部門である「クオンツ」「システム」「コーポレート」の3つとなります。採用においても、部門別に採用するコースを用意しています。インターンシップやワークショップも部門別に行い、各部門の社員(以下「部門社員)の協力の下でそれぞれの業務内容を体験し理解を深めてもらうイベントを実施しています。

経営者から機関投資家まで様々な顧客の支援に必要な人財を確保する

採用人数としては、投資への社会的な関心の高まりもあり、目標人数を確保できています。新卒の割合が多く24年4月には約300名が入社しました。通年採用を行っており、数は多くありませんが10月入社者もおります。中途は従来60-70名でしたが、昨年より積極的に取り組んでおり、約100名を採用しました。新卒は6~8名、中途は4~5名の採用担当者がおりますが、新卒とキャリア採用を兼任しているメンバーが多いという点が当社の特徴です。

オープン採用と部門別採用に加え、高専卒採用を開始

10年以上前に始まった部門別採用は、現在では5つの部門別採用とオープン採用を合わせて全8つの募集コースがあります。最も採用人数の多いオープン採用は、各人が様々なキャリアを構築していくことを前提としており、金融のプロフェッショナルを目指す働き方ができるコースです。初期配属は主にリテール部門となります。オープン採用の中でも特徴的な点は、25卒採用から追加した高専卒採用コースです。入社後は、IT・デジタル等の業務のみならず、幅広い業務に従事していただくことを想定しています。もともと、当社のオープンイノベーションチームが行っているイノベーター人財創出のエコシステムを目指すプログラム「高専インカレチャレンジ」で、高専生と接点があり、高専生の専門性の高さを評価していたため、このプログラムをきっかけに高専卒採用に挑戦しようと考えました。本取り組みは、当社が掲げる「人財ポリシー+1」内の「継続的な人財投資」に基づいており、人事担当役員も含めて全関係者が「やってみよう」と前向きであったため、導入が実現しました。

「経営理念を体現する人財」へ評価項目の見直しと部門社員の動員拡大

選考フローは比較的スタンダードで、エントリーシート提出後にweb適性検査実施、その後複数回の面接を経て内定、となっています。選考に関しては2点工夫しました。1つ目は評価項目の変更です。私自身も選考活動を行う中で評価項目や求める人物像をより明確にしたいという意識があり、採用計画を策定する中で求める人物像を「経営理念を体現できる人財」と再定義しました。経営理念の中に5つの価値観がありますが、日本エス・エイチ・エルの協力のもとで、5つの価値観に近いコンピテンシーは何か、限られた面接時間で確認すべきコンピテンシーは何かの優先順位付けを行いました。

もう1つは部門社員の活用です。コロナ後、部門社員が面接官になるのは部門別採用だけでしたが、オープン採用でも部門社員に面接官を務めてもらうことにしました。入社後、上司になるかもしれない課長や支店長と接することが応募者の動機形成につながるためです。面接経験の有無にかかわらず、面接官をお願いする部門社員に対して、事前の面接官トレーニングを行いました。新たな評価項目の説明も含め、面接実施のポイントを資料にまとめてレクチャーしました。レクチャーにあたっては、事前に人事部メンバーで受講した日本エス・エイチ・エルの面接官トレーニングが大変参考になりました。

「経営理念を体現する人財」へ評価項目の見直しと部門社員の動員拡大

今後の採用活動に向けて取り組みたい課題は2点あります。1点目はデータ活用で、よりデータに基づいた採用活動へのシフトです。アセスメント結果だけで合否を決めるのではなく、最後は人が判断するものですが、アセスメントデータを積み重ねて様々な検証を行いたいと考えています。日本エス・エイチ・エルの協力で、これまでに自社社員のアセスメントデータ取得とパーソナリティ傾向の把握はできました。より包括的かつ頻繁に人財データを取得し、採用や育成に活用していきたいです。2点目はリクルーター施策の充実です。部門社員にリクルーターとして協力してもらうことで応募者との接点を増やし、会社と業務の理解促進に努めたいと考えています。当社社員は採用活動に協力的な方が多く、今回面接官をお願いできなかった社員から「面接に協力したかった」という声もありました。今後も会社の未来を創る採用活動の重要性を社内に伝えていきたいと考えています。

日本エス・エイチ・エルは、共感・納得できるアドバイスを的確にしてくれるパートナーだと感じています。担当コンサルタントの関さんはとても頼れる方で、安心してディスカッションをしたり、提案をお聞きしたりすることができました。また、必要な情報を濁すことなく率直に伝えてくれる点も評価させていただいており、多くの学びを得ることができました。今後も当社の採用の形や進め方は変化していくと思いますので、末永くご協力いただきたいと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

関 麻奈美

採用活動の根幹となる求める人財についてご相談いただけたことを大変ありがたく思います。「経営理念」というある種抽象的な概念を採用のコンピテンシーに落とし込むのは一筋縄ではいかず、何度もディスカッションをさせていただきました。結果、価値観が合致している内定者を採用できたことは大変嬉しく、プロジェクトが成功したことに安堵しております。VUCAの時代、採用への考え方はこれからも年々変化することと思いますが、状況に合わせたご提案とサポートを引き続き行ってまいります。

導入事例

社員の行動特性可視化によって科学的根拠に基づく採用と人財活用を実現した日揮ホールディングス

社員の行動特性可視化によって科学的根拠に基づく採用と人財活用を実現した日揮ホールディングス

優秀社員との対話でみえてきた採用基準の問題点。
真の優秀人財を採用するために日揮ホールディングスが取り組んだ活躍する人財の可視化プロジェクトをご紹介します。

※本取材は2020年7月に実施しました。内容は取材時のものです。

日揮ホールディングス株式会社

担当部署名

グループ人財・組織開発部 人財開発チーム

事業内容

国内における各種プラント・施設のEPC事業および保全事業

業種

プラントエンジニアリング

従業員数

7,607名(2020年3月31日現在 連結)

タレントマネジメント課題

業務への適応力が高く、多様性に富む魅力的な人財を、将来にわたって採用する。
面接官の勘や経験によらない客観的な面接評価の仕組みを導入する。
多様な人財を採用するための新しい採用基準を作る。
採用活動を短期に終えるため効率的な選考プロセスを設計する。

導入したタレントマネジメントソリューション

入社10年目以上の社員にタレントアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を実施
社員アセスメントデータを分析し、社員の傾向を把握
分析結果に基づく採用プロセス設計支援(面接評定表の改善、面接官トレーニングの実施)

得られた成果

職種ごとの行動特性と活躍している人財の行動特性が明らかになった。
採用選考の合否判定の信頼性が高まり、選考を効率化できた。
社員の行動特性を可視化したことにより、問題が浮き彫りになり人事課題が明確になった。
マネジメント層の人や組織に対する関心が高まり、社員の多様性を活かそうとする意識が芽生えた。

目的/課題

プラントエンジニアリング業界は、韓国企業、中国企業の参入でコモディティ化が進み、厳しい競争環境にありました。人財は特に重要な競争力の源泉です。当社では「業務に対する適応力が高く、多様性に富む魅力的な人財」の獲得を方針に採用活動を続けてきました。また、入社後もこの方針に基づいた人財育成を行ってきました。しかしながら、この採用と育成の活動は人事と現場管理者の「勘と経験」によって支えられており、科学的な根拠に基づく採用基準・育成基準、選考プロセスや面接手法、研修内容やOJTプログラムは存在しませんでした。
優秀な人財を採用するには、優秀な社員を知らなければいけません。当時の担当者はこう語ります。「私は現場に足を運び、たくさんの優秀な社員と積極的に対話しました。そこで気付いたのです。今まで採用面接で重視していた人財要件と実際の優秀社員の特徴は違う。話せば話すほどその違和感は大きくなっていきました。採用面接では「リーダーシップ」「チームワーク」を評価していましたが、これらの能力に長けていなくても大きな成果を生み出し、周囲からの人望が厚い社員はたくさんいました。」
もう一つの違和感は、採用面接の経験の中で生じました。「面接基準である「リーダーシップ」「チームワーク」に定義が示されておらず、面接官によって評価の視点はバラバラでした。リーダーシップを人望で評価する人、影響力で評価する人、責任感で評価する人のように面接官は好き勝手に面接基準を定義して自分の好みの学生を合格にしていました。」
データ分析に基づく妥当な採用基準を持つことと、採用基準を誰にでもわかるように定義すること。この二つが求められていました。

採用基準を改善するきっかけとなった2つの違和感
・今まで採用面接で重視していた人財要件と実際の優秀社員の特徴は異なる
・面接官によって面接基準「リーダーシップ」、「チームワーク」の定義が異なる

導入/経緯

社員のパーソナリティを役職、等級ごとに把握するため、タレントアセスメント(パーソナリティ検査OPQ)を実施して、結果データを集計・分析しました。
タレントアセスメントに日本エス・エイチ・エルのOPQが選ばれた理由は、グローバルに認知されているツールであること、科学的な手法で開発されており、品質に関するデータが開示されていること、人事部員で実施したトライアル受検の結果の主観的納得感が他のツールより強かったこと、の3つでした。パーソナリティの個人差を客観的なデータで把握することが期待されました。

OPQが選ばれた3つの理由
 1.世界中で知られており、使われているアセスメントツールであるため。
 2.科学的な開発と開発データが開示されているため。
 3.トライアル受検の結果が納得感のあるものだったため。

アセスメントの対象者を入社10年目以上にしたのは、業績、能力、特徴の個人差がはっきりするのに10年かかると判断されたためです。社長からの働きかけで、多くの社員が受検し、統計分析に十分なサンプル数が確保できました。
分析では、役職・等級ごとの特徴を明確化することに加え、多様な人財がいることを検証するため、パーソナリティタイプ別の社員数を集計し、優秀社員はどのタイプに何人存在しているかを調べました。これらの分析結果をもとに人事部内で議論し、採用基準が完成しました。さらに、多くの面接官や現場マネジャーに興味を持ってもらうため、分析結果に関する説明会が開かれました。

成果

社員全体の特徴として「問題解決力が高い」という結果が得られたため、「問題解決力」を採用基準としてました。一方、これまで重視してきた「チームワーク」は職務遂行能力とあまり関係がないことが判明しました。「問題解決力」型人財が多くいる集団に「チームワーク」型人財が入ってくることのメリット・デメリットについて、既に発生した人事上の出来事に照らしながら有益な議論が行われました。
職種、役職、等級ごとの差異も明らかになり、採用以外の人事施策を考える材料となりました。OPQによって社員のポテンシャルが可視化されたことで、部門マネジャー、プロジェクトマネジャーが人や組織により強い関心を持つようになり、上司部下の相互理解が進み、多様な部下の持ち味を活かそうとする意識が芽生えました。