
状況判断
テストは「状況」と「打開策」の2つからなっています。 受検者は「状況」の理解と、「打開策」が適切かどうかの評価が求められます。 現実場面のマネジメント状況を比較考量し、適切で有効な対処法を決定する判断能力と、管理職としての判断の特性であるマネジメント・スタイルを測定します。
羅針盤
実際のマネジメント場面を模した状況判断シミュレーションを行うオンラインの管理職適性テストです。
測定項目 | 状況判断 |
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所要時間合計 | 40分 |
ノルム | 管理職 |
羅針盤とは
実際のマネジメント場面を模した状況判断シミュレーションを行い、管理職に必要な「判断力」と「マネジメント・スタイル」を測定します。
どのような職種でも、管理職は職場の状況に応じて頻繁に決定を下さなければなりません。実際のマネジメント場面を模した課題について対応策を選択することで、判断力を測定できます。
マネジメント能力をスタイルとして捉え、受検者が「マネジメントをする際に何を重視して決断を下すか」を客観的に評価します。事前に管理職としてのスタイルを把握しておくことで、マッチングや受検者本人の能力開発につなげることが可能です。
羅針盤の科目と特徴
判断力とマネジメントスタイルを測定します。
テストは「状況」と「打開策」の2つからなっています。 受検者は「状況」の理解と、「打開策」が適切かどうかの評価が求められます。 現実場面のマネジメント状況を比較考量し、適切で有効な対処法を決定する判断能力と、管理職としての判断の特性であるマネジメント・スタイルを測定します。
利用料金
受検料
8,000円/名
※上記費用に消費税は含まれておりません。
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測定能力 | リーダーシップ、対人積極性、分析力、創造力、手順化能力、ストレス耐性、完遂エネルギーなど |
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実施演習 | コーチングロールプレイ、プレゼンテーション、イントレイ、ファクトファインディング、創造力テストなど |
所要時間合計 | 半日~1日(休憩含む) |
※測定能力や演習の数によって所要時間が変わります。詳しくはお問い合わせください。
SHLのアセスメントセンター
SHLグループの強みを活かし、世界中で共通に使われている測定項目による構造化された評価を行います。
新任管理職候補から経営幹部まで、あらゆる職位のアセスメントに対応できる豊富なコンピテンシー項目と演習を用意しています。候補者の職位に適した項目、あるいは貴社固有のコンピテンシーと一致する項目を担当コンサルタントが選定し、最適なアセスメントプランをご提案します。
評価を担当するアセッサーは当社で専門的なトレーニングを受け、アセッサー認定試験に合格した人材評価のプロフェッショナルです。主観や憶測を排除し、演習中に観察された行動事実をもとに評価を行います。
評価の根拠となった「演習中の行動事実」をアセッサーから本人へフィードバックすることで、評価への納得性を高め、自身の強みや能力開発課題について気づきを促すことが可能です。
演習の種類と特徴
ロールプレイ演習
部下役を演じるアセッサーとの面談形式のコミュニケーション演習です。部下の抱える様々な問題に関するメモに目を通した上で面談を行い、上司として部下と向き合い、適切な対話を試み、動機づけをすることなどが求められます。
プレゼンテーション演習
市場調査のレポートなどを読み込んだ上で発表資料を作成し、アセッサーに自身の判断とその根拠をプレゼンテーションする演習です。発表後はアセッサーからの様々な指摘や反対意見に対する回答が求められます。
ファクト・ファインディング演習
課題解決に向けた情報収集、分析、解決案の作成を求める演習です。課題に関する断片的な情報が書かれた資料に目を通し、情報を補うために限られた時間でアセッサーに質問を行います。その後、得られた情報を吟味して、最も適切だと思う判断を文書で提出します。
イントレイ演習
前任者が残した未決裁の資料に目を通し、適切な判断やその根拠を記述する演習です。短時間で多くの情報を理解し、価値づけ、判断することが求められます。
アセスメントセンターの活用法
アセスメントセンター手法による人材評価のアプローチは、様々な企業ニーズに柔軟に適用できます。
利用料金
測定能力や演習の数によって料金は異なります。詳細はお問い合わせください。
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測定項目 | 意欲(モチベーションリソース) |
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所要時間合計 | 15分 |
ノルム | 成人一般 |
実施形態 | Web |
MQとは
「どのような要因(モチベーションリソース)が受検者のモチベーションを増減させるか」を予測します。
時としてパフォーマンスにも大きな影響を及ぼすモチベーションリソースは、パーソナリティと比較して状況や環境によって変化する可能性があります。「その人が今まさに何を求めているか(もしくは、何に悩まされているか)」を定量化できるため、即時性の高い人事施策に応用することが可能です。
SHLグループでは、基礎的な動機づけ理論を含む様々な学術研究と、大規模データによる妥当性調査をもとに、MQは開発されています。これによって、①個人を強く動機づける要因(やる気を起こさせる要因)、②個人の動機づけを損ねる要因(やる気をなくさせる要因)、③いずれの効果も与えない要因を特定することができます。
15分の質問紙に回答するだけで、意欲に影響する環境要因を4領域18尺度に分類し、受検者のやる気がそれぞれの因子にどう反応しそうか、を測定できます。
MQの科目の特徴
モチベーションリソースを測定します。
4つの環境要因に関する記述の中から「自分が最もやる気になる仕事環境」を1つ、「自分が最もやる気がなくなる仕事環境」を1つ選択します。
意欲に影響する環境要因を4領域18尺度に分類し、受検者のやる気がそれぞれの因子にどう反応しそうかを測定します。
ご利用シーン
利用料金
受検料
2,500円/名
※上記費用に消費税は含まれておりません。
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測定項目 | 価値観 |
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所要時間合計 | 10分 |
ノルム | 成人一般 |
実施形態 | Web |
V@Wとは
キャリア開発の核となるのは自己概念です。中でも、仕事の「目的」とも考えられる価値観の自己概念を定量的に捉えることは、キャリア開発を進めるための一助となります。
仕事をする上で、 価値観やパーソナリティが仕事内容とマッチしているほど、やりがいを感じて生き生きと仕事をすることができます。一人ひとりのエンゲージメントを高めて適材適所を実現できます。
V@Wの科目の特徴
受検者が仕事にどんな価値観を求めているか測定します。
4つの異なる価値観の中から「自分が最も価値を置いているもの」を1つ、「自分が最も価値を置いていないもの」を1つ選択します。
仕事に関する価値観を4領域13尺度に分類し、受検者が仕事上で何を重視するかを測定します。
利用料金
受検料
1,300円/名
※上記費用に消費税は含まれておりません。
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測定項目 | コンピテンシーの重要度認識・発揮レベル評価 |
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回答時間 | ・重要度認識(上司・本人のみ) 約5分 ・発揮レベル評価(上司・本人・同僚・部下・その他) 約15分 |
MFS(Multi-Rater Feedback System)とは
コンピテンシーの発揮レベルを測定する多言語360度評価ツールです。
発揮レベルに対する認識差だけでなく、上司との重要度認識の差を踏まえ、「重要と認識していないため、発揮もされていない」「重要ではあるものの、発揮がされていない」等、複数の観点から行動改善を促進します。
ご契約プラン次第で、最大30言語の実施が可能なため、多国籍なチームで働く対象者にも問題なく実施できます。
ご契約プラン次第で、選択式、自由記述式の追加設問の設定が可能でオリジナルのアンケートを実施することができます。
MFSの科目と特徴
コンピテンシーにおける重要度認識・発揮レベルを評価します。
コンピテンシーについて、どの程度重要と認識しているかを回答します。
利用料金
Webテストシステムの利用権をご提供し、各種運用をお客様の手元で行っていただくプランです。
日英以外の言語への対応、追加設問の設定等、カスタマイズが可能です。
年間使用権料
30万円/年
(日英設定の場合)
被評価者1人あたりの評価料
3万円/名
※上記システム利用プランの年間使用権料は一部初期設定費をふくみます。
※上記費用に消費税は含まれておりません。
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パーソナリティ検査OPQのご案内
OPQ(Occupational Personality Questionnaires)とは、受検者のパーソナリティの傾向から様々なポテンシャルを予測する、SHLが世界150か国でご提供しているアセスメントツール(適性検査)です。採用・育成・選抜・配置・異動など、あらゆる人事場面における判断を科学的にサポートします。詳細は、ダウンロード資料をご覧ください(全13ページ)。
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「やってみなはれ」精神で日本の園芸業界での新たなビジネスモデル展開などを成功させたサントリーフラワーズ。創業以来、持続的に新たな商品やビジネスを創り出してきました。今後のさらなる成長のため、継続的に次世代を担う人材が集う会社とすべく、社員のキャリア開発を強化しました。社員のキャリア自律を支援する取り組みについてご紹介します。
※本取材は2023年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
花苗・花鉢、野菜苗・野菜青果、および切花の開発・生産・販売
水産・農林業
60人(2022年)
インタビューを受けていただいた方
サントリーフラワーズ株式会社
経営企画部 部長
サントリーフラワーズは従業員約60名で、国内園芸事業(花苗・野菜苗)・切花事業(含む海外)・青果事業・海外ライセンス事業と幅広い事業を展開しています。かつ、新品種開発・品質保証・生産SCM・マーケティング・営業とフルバリューチェーンで事業を行っていますので、社員には多様なキャリアパスがあります。
各事業部のマネージャーは創業期からビジネスに関わってきた人材が中心となっており、今も新事業やビジネススキームを生み出し続けています。しかし、次のリーダーを育てる仕組みは整備されていない。非連続の視点、新しいチャレンジをする発想を求められる場面は限定的です。では何から着手するか。私は、キャリアを考える中で自分が何をしたいか、どうありたいかということを考えていくことが、仕事のやりがいを高めるとともに、非連続な発想のチャンスになると思いました。例えば、「私は人事の仕事が楽しいからもっと深めたい」では今の延長線上ですが、もっと根本的な「自分は植物の良さによって人生を満たされている。そうした価値を世の中の人にもっともっと届けたい」といった自身の価値観とキャリアが結び付けば、事業の新しい成長・変革の力になると考えました。また、「自分が何より嬉しい瞬間は、身近な人が笑顔になったとき。」といった自身のやりがいを見出し、それを実現できる仕事に携われば、当然仕事が面白くなり、一人ひとりの成果もより大きくなると考えました。
同時に、より現実的な課題もありました。採用において求める人物像が明確ではありませんでした。面接者をお願いしたマネージャーに「どんな人を採用したいのか」と聞かれても、例えば、「自主性が高い人、協調性が高い人」など、どこの会社にも当てはまる内容を答えている状態でした。会社のどこにどのような人がいるのか、どんな人が活躍しているのかを科学的に把握して、そうした人材を採用できる仕組みを作りたいと考えました。
各事業部を率いるマネージャーはビジネス推進力が極めて高く、人や組織にも関心がある。しかし、実務に追われ部下育成に時間を割きづらい状態。それは認識したうえで、今回の取り組みを推進するためにはマネージャーが担い手になることが不可欠なことから、意義や狙いの説明をしっかりと行うことを強く意識しました。そのうえで、マネージャーによるキャリアビジョン面談を実行しました。
社員はこれまでキャリアという言葉について説明をうけたり、考えたりする機会がほとんどなかったため、急にキャリアビジョンと考えようと言われても困ってしまうことは言うまでもありません。そこで、まずは万華鏡30を通して自分の価値観や仕事の癖、特徴を知ってもらうことにしました。受検は任意でしたがほとんど全員が受検し、受検後に開催した日本エス・エイチ・エルによるアセスメント結果活用の説明会には、経営陣も含め多くの方が参加しました。
また、2022年12月には全マネージャーが参加する「キャリアビジョン実現支援会議」を立ち上げました。部署に関わらず35歳以下の社員全員について、1人当たり30分ずつ、どんな強みや課題、ビジョンを持っているか、これから何を経験してもらい、どう育成すべきかを話し合います。例えば、「成長がS字カーブに来ているので部署横断プロジェクトのリーダーを任せてみよう」、「環境をかえて新しいチャレンジをしたら良いのではないか」など。サントリー在籍時に立ち上げた同様の会議を参考に企画を立案しました。個々人を深く理解するだけでなく、他部署を含めたメンバーを普段からしっかり見ており、良い育成やマネジメントをしているマネージャーから刺激を受けられることがこの会議の良い点です。
アセスメントの受検を案内する際に、結果を採用基準作成の参考情報と使うと伝えました。結果データの分析方法は日本エス・エイチ・エルに相談しました。約60名の会社なので部署ごとの統計的な検定が難しい状態でしたが、最終的にクラスター分析を行いました。分析結果から求める人物像として2つのタイプを定義し、そうしたコンピテンシー特性を見極める為の面接評価シートを作成しました。23年2月には、面接者トレーニングも実施を予定しています。実際の採用での活用はこれからですが、私たちの会社で自身の個性を活かし、よりやりがいをもって働ける方と出会える確度が高くなることを期待しています。
キャリアビジョン実現支援会議後にマネージャーに行ったアンケートを見ると、キャリアビジョンの重要性が理解できたという回答が多く、ようやくスタートラインに立てたと感じています。「もっと対象を広げて実施しよう」という声も出ていて、この会議は今後も発展していきそうです。また、キャリアビジョンや職務経歴といった人材プロフィールを整理し、並行して今後はあるポストにはどういう人材が必要なのかも組織全体の共通認識としてまとめていきたいですね。そして、この会議で話し合った内容をもとに人員配置などが行われることによって、マネージャー自身も人・組織の取り組みに対する自己裁量感を高め、人の育成にますます積極的に取り組むようになることを期待しています。
マネージャー以外の社員からはキャリアビジョン面談中に万華鏡の結果を互いに共有して相互理解が深まったという声を聞きました。今はまだマネージャーに結果を開示するかどうかは本人に委ねていますが、今後は自然と共有されるような、より心理的安全性の高い組織にしていきたいと思っています。少しずつ階段を上っている状態ですが、社員がキャリアについて自己裁量感を持ち、新たな挑戦ができるように、引き続き取り組んでいきたいです。
日本エス・エイチ・エルは、一人ひとりの特徴をとらえ、解像度を上げることにこだわっている会社だと思います。自分自身も一人ひとりの個性を大切にすることを人生の柱にしているので、信頼できます。その上で科学的なアプローチをとるので、再現性や納得性が高いです。また、仕事をきちんと進めていく風土があるので、今後も一緒に仕事をしていきたいですね。加えて、日々新しいことを教えてくれます。2カ月後に同じ課題を相談したら、新たな提案をしてくれるのではないでしょうか。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント
本件はご相談から2か月間で社員受検が始まりました。竹舛様の意思決定の速さと実行力に、社員と会社に対する強い思いを感じました。アセスメント(万華鏡30)をフィードバックによる各人の自己理解促進とデータ分析による社員傾向の客観的把握にご活用いただきました。限られたサンプル数で実施した分析でしたが、結果をうまくご活用いただけた手応えがありました。今後もサントリーフラワーズのタレントマネジメントの改善のお力になれれば幸いです。
おすすめのセミナー・イベント情報
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現場で評価される技術者に偏っていた従来の人材選抜と育成体系。
これを一新して経営を担える人材を育てる、東京電設サービスの人材育成改革をご紹介します。
※本取材は2021年4月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
発電、送電、変電設備の保守に関する工事及び作業。発電、送電、変電設備の分析、試験、診断ならびに図面作成・整備業務。電気設備の運転、監視業務。電気設備機器類の製作、買取り、販売。建設業(電気工事業、土木工事業、とび・土工工事業、塗装工事業、鋼構造物工事業、電気通信工事業)。測量業、建設コンサルタント業。建物にかかわる空調、防災、電気設備の保守管理ならびに建物清掃、警備業務。労働者派遣事業。電力設備の技術に関する研修及び広報の企画実施。前各号に付帯関連する事業。
設備工事業
854名(2021年3月末現在)
インタビューを受けていただいた方
東京電設サービス株式会社
人財・技術開発センター 所長 (写真右)
人財・技術開発センター 採用・育成グループマネージャー (写真左)
東京電力グループは、徹底した収益力の改善と企業価値の向上を目指していくという全体方針があります。当社も、もともとは送変電設備の保守・点検業務などを行っていましたが、オフィスビルや工場などの電気設備でのメンテナンスや、工事・施工管理業務も行うようになり、それに耐えうる人材を育成していく必要がありました。従来、発注者が親会社であり、電気のプロであるため、作業に関する詳細な指示がありましたが、一般のお客さまは当社をプロだと思って任せてくださるので、自分から課題を発見し提案を行う必要があります。これからの人材は応用力や、新しい課題に対応する力を身につけなくてはならないと考えています。
日本エス・エイチ・エルのアセスメントツール「万華鏡30」を導入したのは、どの人材がどのようなタイプのコンピテンシーを持ち、各タイプのコンピテンシーを強みとする人がどれくらい社内にいるのかを客観的に把握するためでした。最初のきっかけは、管理職が事業や経営に関する視座を持てるよう、底上げが必要だという意見が社長から出たことです。当社の処遇や任用の仕組みが、現場技術者としての評価に偏っており、将来の管理者や経営に関与できる人材を育成し任用するという仕組みになっていなかったことが、根本的な原因と考えています。「人あたりがいい」「現場での動きがいい」といった評価だけではなく、例えば、アセスメントを用いて幅広いコンピテンシーを客観的に評価し、全社共通の目線で育成施策を打つことが、改善の第一歩になるのではないかと考えました。
日本エス・エイチ・エルのコンサルタントから説明を受け、アセスメント(万華鏡30)はたくさんの使い道があると感じました。たとえば、人事的な意思決定の資料にもなりますし、社員の全体傾向を見て、今後目指すべき人材像を特定したり、現状の不足部分を把握したり、今後の採用方針を決めたりすることもできます。当初の目的は管理職の底上げでしたが、今後会社を支える中堅や若手社員のポテンシャルを把握し育成することも重要ですので、一般職も含めてアセスメントを実施しました。
日本エス・エイチ・エルのコンサルタントに分析してもらったところ、管理職者は変化に適応したり、革新的なことを遂行したりするのがやや苦手な傾向があることがわかりました。中心になって組織を引っ張るべき管理職が変化を苦手とする傾向は、手を打つべき課題です。現状、社内で新しい施策の企画立案を担当するのは、親会社からの出向や転籍者が多い傾向がありますが、その役割をプロパー社員に伝承する必要があると感じます。実際に事業を回し、お客さまと直接向き合っているのは親会社の管理部門ではなく、子会社の担当者。ビジネスの源泉が子会社で生まれることもあるでしょうし、事業を最前線で担っている自負を持っていただく後押しができればと思います。
受検者自身がアセスメント結果を閲覧できるようにもしました。スタッフは自身の能力開発のために、管理職は部下育成のために、経営陣は全社員の傾向把握のために、アセスメント結果を参照できるようにしました。
また管理職を対象に、部下にアセスメント結果を活用したフィードバックを行うための研修を実施しました。この研修では、アセスメントの結果から人材タイプの大別方法、各タイプの強み弱みを踏まえた質問の仕方、育成目標を決める上で確認しておくべきこと(これからどのような仕事をやってみたいか、今後取得したい資格は何か、どのように強みを活かすかなど)を学びます。効果的に育成面談を進めてもらうことがねらいです。かつてのように、全員が一律に管理者を目指す時代ではなくなりました。スペシャリストとして技術や知識に磨きをかけることを志向する人もいると思いますので、自身の特徴をもとに、うまく気付きを促す機会になればいいと思っています。同時に、日ごろのOJTも踏まえ、マネジメントのポテンシャルが高い方は、適切に育成・任用します。この新しい育成の方針について、賛同を得られるか不安もありましたが、反対の声はありませんでした。実在する社員のアセスメント結果を使った解釈の例示もしており、一定の納得感を得られたため、受け入れられたのだと思います。
これまで当社は技術を重んじ、キャリア開発や人材育成も、技術的な知識の習得や技能の向上という観点で考えがちです。今後も技術力を磨いていくことに変わりはありませんが、こうした研修を機に、コンピテンシーという観点を加え、人材育成を推進できるよう、仕組みを変革したいと思っています。人材育成に関心のある管理職はアセスメントの導入をよい機会と捉えていると考えています。
現場でアセスメント結果が活用されるのは、まさにこれからです。現在、管理職は部下の評価を行っており、次の業績目標を立てるタイミングで育成面談を実施します。そして、その結果(社員の志向、興味関心)とそれに対する上司の所見などを人財育成管理システムに集約します。このシステムには、経歴や所持する資格、受講した研修、そして今回のアセスメント結果が入ります。これらの情報に基づいたOJT計画を各職場で作ることが目標です。ツールはそろっており、あとはいかに運用してくかが肝心です。
また先述の通り、新しい事業領域に進出していくための人材発掘にも人材データを活用します。現在、当社の売上構成比を、親会社からの受注を中心としたものから、親会社以外を中心としたものへと変化させていく計画があります。お客さまが変わると、当然、仕事の内容も変わるので、従来からの人事制度も変えなくてはなりません。将来的な改定に向けて社内で協議しています。
日本エス・エイチ・エルは、様々なアセスメント会社がある中で、あまりセールス色の強い会社ではないので、相談しやすいです。フラットにいろいろと相談させていただける、良きパートナーだと思っています。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント
今回のお話をいただいたときに、東京電設サービスの「社員の育成体系の構築」、「新事業領域への進出」に携わることができるやり甲斐と責任感を感じました。
スキルや知識に加えて、ポテンシャルに焦点をあてた育成とキャリア開発の取り組みは、社員ひとりひとりが自分の強みを活かして自分らしく働くことができる会社になるためのものです。導入にあたって人材タイプの定義、各タイプの人材要件整理、各人材要件とアセスメントツールとの関連付けのために議論を重ねました。この議論が無ければ、石山さんと佐々木さんの目指すゴールにたどり着くことができなかったかもしれません。
まだこのプロジェクトはスタートしたばかりです。今後も東京電設サービスの皆様の声や思いに耳を傾け、本プロジェクトの成功のため支援させていただきます。
おすすめのセミナー・イベント情報
関連する導入事例
ポストコロナの航空便需要の回復で、人財の確保が重要な経営課題となった鈴与スカイホールディングス。
採用数を増やすだけではなく、人財育成の強化に取り組みました。
※本取材は2024年10月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
航空輸送における空港地上支援業務
航空業
686名(2024年10月1日時点)
インタビューを受けていただいた方
鈴与スカイホールディングス株式会社
常務取締役
私は1982年に鈴与に入社し、まず物流業務を経験し、その後はシステム部門に長く在籍しました。2013年から全く経験のない航空事業に携わることになりました。鈴与グループに加わってから日が浅かったドリームスカイ名古屋と中部スカイサポートの管理業務を支援するためです。この2社は航空機の到着から出発までの様々な地上業務を分担しており、連携が求められます。2社を束ね求心力を高めるために2018年には鈴与スカイホールディングス(SSHD)が設立されて、現在この3社の役員を務めています。
2020年初頭から新型コロナの影響が出始め、その後の行動制限が厳しくなってからは、ほとんどの航空便がストップし、経営は致命的な打撃を受けました。雇用確保の取り組みを必死にしてきたものの、新型コロナ前は2社合わせて1000名弱いた従業員のうち相当数が離職してしまいました。そのため、パンデミックが落ち着いて航空便の需要が回復すると、極端な人手不足に陥りました。人財を確保するためのアプローチとしては、採用数の増加と人財流出の防止、従業員の生産性向上があります。ドリームスカイ名古屋と中部スカイサポートは業務の関係性は強いものの、それぞれの従業員のカラーや文化、仕事の性質はかなり異なります。採用に関しては各社で取り組んだほうが効率的なので、SSHDでは既存の従業員の育成や人財流出防止の中で各社が取り組みにくい領域にフォーカスすることにしました。
従来の人財育成は管理職や先輩社員の属人的スキル、言わば職人芸に依存している部分が多かったのは事実です。これに対して、システム化・効率化が可能な仕組みを会社が提供することによって人財育成を後押しし、その結果、従業員一人ひとりが意欲を持って能力を発揮できるような環境を作れないだろうかと考えました。人財流出防止のソリューションを調査していたところ、採用で適性検査を利用している日本エス・エイチ・エルのソリューションが目に留まり、当社では何ができるかを相談することにしました。紆余曲折がありましたが最終的には、採用時に取得したパーソナリティのデータを活用した育成を行うことができるよう、SSHDで育成の基礎的な枠組みを作成し、各社ではそれを状況に合わせて発展させてもらうことにしました。
まずは社員全員に適性検査を実施し、万華鏡リポートを出力しました。有難いことに、ほぼ全員が受検してくれました。そして各自が自分のデータを理解して腹落ちしてもらうために、結果の見方に関する講義動画を展開しました。加えて管理職に対しては、これまで自分の経験などから行っていた育成から万華鏡のデータに基づいた指導ができるように集合型研修を実施しました。
また、パーソナリティデータがあれば様々なリポートが出力できるため、ストレス耐性リポートなど個社のニーズに特化したリポートも出力しています。
管理職向けの集合型研修のアンケートでは、自分自身の管理職としての特性に対しても、部下の特性に対しても「今まで気づかなかった視点が得られた」という声が比較的多くありました。同時に「結果をどのように育成に活かすかが難しい」という声もたくさんいただいています。実は、実施前には管理職の皆さんにどこまで消化してもらえるか不安もありましたが、幸いにも、人財育成には皆さんが問題意識を持っており、いかにデータを活用するかに目を向けてくれています。結果の読み取りは一朝一夕でできるようになるものではないので今後も浸透を図っていく必要があると思います。加えて、一人の管理職が20~30人の部下の万華鏡リポートを一人ずつ見ていくことは時間的にも難しく、管理職全員がコーチングやカウンセリングの経験を持っているわけでもないので、この点についてはさらに検討すべき点だと感じています。
また人事部門の責任者からは、人事異動を検討する際に、従来は「Aさんはこうだから」という個人の主観で議論を進める傾向があったものが、パーソナリティのデータを確認するようになって判断の参考情報として役立っている、という話も聞いています。
今後は、この取り組みを継続していく仕組みが必要です。全員に受検してもらったのはよいですが、各人が結果を十分に理解して目標を持つところまでできているかというと、まだそこまでは到達していません。既存の年次別の研修などの機会に組み込んでいくことを検討しています。従来、このような研修では役割期待と自分とのギャップを検討し、今後の目標を立てていましたが、自分に関する情報は自分の思い込みだけでした。しかし、客観データが活用できるようになったので、パーソナリティの特徴と役割期待とをすり合わせて、目標や行動計画の立案に活かしていきたいと考えています。
私がシステム部門に在籍していた頃、電子メールの導入に携わったことありましたが、導入することでコストがどのくらい削減できるのかと問われることがありました。しかし、今となれば電子メールはインフラのようなものになり、コスト削減の効果という質問は意味を成さなくなりました。価値観が変わったのです。パーソナリティデータの活用も同様で、まだ社内で定着したとは言えませんが、一人一人の社員が能力を発揮する上で、こういう情報があって当たり前の世界になっていくと考えています。
具体的に育成に活かす仕組みをさらにブラッシュアップして、データを活用する文化を作っていければと思っています。そうすることで、当社において自分が腹落ちできる目標を持ち、その実現を目指して意欲を持って働くことができるようになるのではないかと考えているからです。そして、それが人財の流出を防ぐことにも繋がっていくのが目指す姿です。
日本エス・エイチ・エル様には、私たちが明確な答えを持っていない状態でご相談させていただくことになりましたが、よくここまでお付き合いいただけたな、丁寧に対応していただけたな、という印象を持っています。契約につながらなければ申し訳ないと思うほどに、非常にいろいろなことを対応していただきました。日本エス・エイチ・エルのアセスメントのデータはいかようにも活用できるという点も魅力です。半面、得体のしれないという側面もあるかもしれませんが、将来的に人事領域での新しい知見や枠組みが登場しても、それらに合わせてデータを利活用する方法を検討することができます。今後もデータの活用に関して、当社の文脈に即したご提案を期待したいと思います。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 名古屋オフィス長
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を多大に受ける中、人財獲得、リテンションをあらゆる角度からご検討されておりました。そんな中、当社がその施策の一端を担えたことは大変光栄なことでした。僭越ながら、植松様の素晴らしいところは、アセスメントの効能にも限界があることをよくご認識いただき、また人間の行動や心理がそう単純ではないことを理解されている点かと思います。私も大変勉強になることが多く、長らくこの業界にいると、個々人のパーソナリティを分かった気になることがありますが人事のお立場ではそう簡単にはいかない場面の連続だったことでしょう。今後はそんな難しい場面で、意思決定の一助となれるように、一般論ではなく、鈴与スカイホールディングス様のために効果的な施策を、業界・企業理解の精度を高めながら行っていくことが求められていると思っています。
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