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会社として求める人物像をより明確化したいという問題意識を抱えていたイムラ封筒。
採用から育成までをつなぐ人材要件定義のお取り組みについての事例を紹介します。
※本取材は2020年9月に行いました。事例記事は取材時のものです。
株式会社イムラ封筒
人事部人事課
1. 封筒・袋等の紙製品、文具等の製造・販売、
2. 不織布・フィルム等を素材とする封筒、袋類等の製造、販売、
3. 印刷物やダイレクトメールの企画・制作、封入、封緘、発送・保管及び情報処理業務の受託、
4. 広告代理業務、
5.コンピュータや周辺機器の販売、ソフトウェアの開発・制作、販売及び保守管理
パルプ・紙
868名(2020年1月末現在)
タレントマネジメント課題
会社として求める人物像をより明確化したかった。
採用、育成、ジョブローテーションが戦略的に行われていなかった。
導入サービス
人材データ分析とインタビューによる営業部門の人材要件定義を実施した。
営業部門の全社員にパーソナリティ検査OPQを実施して、人事評価とOPQの各因子得点との相関分析を行った。加えてハイパフォーマーに対してインタビューを行った。これらの結果を統合して営業部門3区分(上級、管理、一般)の人材要件を定義した。
得られた成果
人材要件を採用基準として活用することで、面接精度と面接官満足度が向上した。
現有社員の特徴を把握できたことで戦略的な人材育成施策を実行できた。
キャリアビジョンの提示、キャリア開発支援を行うための準備が進んだ。エンゲージメントとパフォーマンスの向上に向けての土台ができた。
目的/課題
イムラ封筒は、採用、人材育成、ジョブローテーションを行う上での方針や目標を明確にするため、会社として求める人物像をより鮮明にしたいという問題を抱えていました。
採用面接では、面接官は自身の判断基準によって評価するため、評価のバラつきが散見されました。人材育成においても、各職種、年次、階層の社員に対して目指すべき人材像、開発すべき能力、課すべき研修を明示できず、社員本人のキャリア意識や上長の育成力に依存した人材育成となってしまうことがありました。
ジョブローテーションについても、状況対応型の運用になりがちで、各職務の経験を能力開発に活かすためのより戦略的な運用が必要な状況でした。
このような状況下で、人事部は求める人物像の明確化を重要課題と位置付け、実行のための準備に入りました。
導入/経緯
人事部内での議論を進めていく中で、社内の視点だけではなく、第三者の視点を入れて人材像を作っていくべきとの結論に至り、日本エス・エイチ・エルに声をかけました。人材要件作成の経験が豊富であること、ベンチマークとなる人材データを豊富に保有していることを条件にコンサルタント会社を選定しました。
当初は、全社共通の人材モデルから各階層、各職種に至るまでの人材要件作成を考えていましたが、議論の末、営業部門の人材要件定義からはじめることにしました。最も業績向上にインパクトがあり、比較的短期間で効果が得られると判断したからです。また、ソリューション営業の定着が中期計画にも掲げられていました。
具体的な取り組みとして、営業職の職位を上級、管理、一般の3つに分け、各ポジションについて人材要件を定義しました。調査方法は、パーソナリティ検査OPQを用いた人材データ分析とインタビューを用いました。営業部門の全社員を対象に、OPQの各因子得点データと過去2年分の人事評価データの平均値との相関分析を行い、職位別の高業績者特徴を明らかにしました。インタビューは、各職位のトップパフォーマーに対して、ビジネス環境の予測と戦略、各職位に求められる役割期待や望ましい行動をテーマに、日本エス・エイチ・エルのコンサルタントが行いました。これらの結果を統合して、職位ごとのコンピテンシーモデルを作成しました。
成果
まずは、このコンピテンシーモデルを採用に活用しました。新卒採用で活用できるよう、採用用のコンピテンシーとして整理し、この採用基準にそった面接官訓練を行いました。その結果、評価のブレが軽減しただけではなく、面接官が応募者としっかり対話するようになり、より詳しく応募者を知ることができるようになりました。面接官から評価がやり易くなったと高評価を得ることができました。
また、OPQデータの取得により、現有社員の特徴を客観的にとらえられたことも大きな成果でした。この取り組みによって得られたコンピテンシーモデルに基づき、若手の能力開発、部長と課長を対象とした次世代リーダーとしての意識強化を行いました。今後人事制度を改善するための有益な情報も得られました。
このタレントマネジメント施策を通じて、人事部は新たな目標を設定しました。経営陣と危機感を共有し、高い熱量で頑張る社員を増やすことです。社員にTo doを指示する組織から、To beを提示する組織への変化を目指します。キャリアビジョンを見せ、キャリア開発を支援し、エンゲージメントを向上させ、現場の活性化とパフォーマンス向上を促進していきます。
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タレントの中居正広氏と女性とのトラブル報道に端を発する問題をめぐり、フジテレビは1月27日2度目の記者会見を行いました。10時間を超える異例の会見で私が感じたことは、経営トップの判断、言葉、行動により会社はいとも簡単に崩壊してしまうということでした。改めて経営トップの判断力の重要性を認識するとともに、いつ何時でも経営陣を刷新できるよう後継者を準備しておくこと、つまりサクセッションプランはすべての企業の最重要課題であると強く認識しました。

今回の問題はサクセッションプランの必要性を社会にはっきりと示す事例になりました。
経営陣の能力は企業に大きな影響を与えます。今回は経営幹部の判断がフジテレビの信用を失墜させ、会社崩壊の危機に追い込みました。
SHLのグローバルな調査では、CEOの後任探しが難航すると平均18億ドルの株主価値を失い、さらにCEOの指名が長期化すると業績が悪化すると指摘されています。今回の場合、社長の交代は円滑に行われましたが会長の後任は不在のままです。これはサクセッションプランが不十分であったことの証左と言えます。そしてこの体制はフジテレビの業績にさらなる悪影響を及ぼすでしょう。もし、会長不在が何ら影響を及ぼさないとしたら、今まで会長職を設けていたことの妥当性が問われます。
経営陣の刷新が絶対必要とは思いませんが、今回経営陣を総入れ替えしなかったことと後継者の準備が不十分であったことは関連していると考えます。

サクセッションプランの前提となるもの、経営陣の理想とビジョン
昨今、日本ではサクセッションプランを導入する大手企業が増えています。導入企業には共通の問題意識があります。さらなる成長のため、生き残りのため、経営を改革する必要に迫られているという点です。新しい事業を作り育て、経営を刷新する必要がある。だから、新しい理想とビジョンを実現するリーダー候補を選び育てるのです。
つまり、サクセッションプランは企業を存続させるために円滑な経営陣の引継ぎを行うためだけの手段ではなく、より高い理想、大きな目標に向かって企業を成長させるための手段とも言えます。
理想とビジョンを示すことができない経営陣にとってサクセッションプランは邪魔なものに映るでしょう。自らの権力維持を危うくするための取り組みに他ならないからです。
コンテクストとは
サクセッションプランを考えるにあたって「コンテクスト」について説明します。
コンテクストとはリーダーが活動する文脈的な環境、課題と言ってもいいでしょう。SHLはこれを4つ要素(役割、チーム、組織、外部環境)で捉えています。同じ企業であってもリーダーの役割によって異なる課題を持っています。つまり、コンテクストが異なるのです。各リーダーポストのコンテクストを知ることで、各ポストで直面する課題を乗り越える能力と経験を持つ候補者が誰であるかをきめ細やかに特定できるようになります。
このコンテクストを発見するためにSHLはグローバルリーダー9000名に対して3年間をかけた研究を行いました。この研究の結果、リーダーを登用する際にコンテクストを考慮すると、コンテクストを考慮しない時に比べて4倍以上の確率で正しい人材を登用できることがわかりました。また、製品、戦略、チーム、組織など何百のコンテクストの中から、どの階層のリーダーにおいてもパフォーマンスに影響を与える27のコンテクストを発見しました。
リーダーの成功に影響する27のコンテクスト
SHLがリーダーの成功に影響を与える27のコンテクストを4つの分野に分けました。
- 1. チームのパフォーマンスを推進する
- 2. 変革をリードする
- 3. リスクと評判をマネジメントする
- 4. 結果を出す
全27のコンテクストについてはコラム「リーダーシップコンテクストの選び方~サクセッションプランの実践」をご覧ください。
加えて、人材の特徴(パーソナリティ)がどのようなコンテクストに影響を及ぼすかを突き止めました。つまり、個人のパーソナリティとコンテクストとの適合度を見ることで、リーダーの成功の予測精度を大幅に向上させたのです。リーダーポストのコンテクストを特定すれば、候補者の中からそのポストで最も成功する可能性が高い人を選抜できます。不確実な未来に対応するため我々は複数の戦略上のシナリオをもっています。このような場合、戦略シナリオごとにリーダーとして最適な人材を準備することができます。コンテクストを用いることで不確実な未来に対応し、複数のシナリオを想定した後継者の準備が可能となります。
コンテクストを選ぶ
今回の会見で、清水賢治新社長の選任理由はフジテレビの編成、経営企画、他社、持ち株会社とオールラウンドな経験があること、と説明がありました。他の候補者との比較や決め手となった個別的な事情の説明はありませんでしたし、その点を質問する記者もおりませんでしたので、詳細な検討内容は不明ですが、現在の危機的状況を打開できるリーダーシップを持っていることが理由として述べられていなかったことに一抹の不安が残ります。
27のコンテクストの中から、私が考えるフジテレビ経営陣の現在のコンテクストは以下の7つです。
- 変革をリードする
- 新しい戦略を立案し、推進する
- 不確実性が高くあいまいな状況で業務を遂行する
- 頻繁なリーダー交代に適応する
- リスクと評判をマネジメントする
- 人や業務の安全とセキュリティを確保する
- 対外的に組織を代表する
27のコンテクストの中ですべてのリーダーのパフォーマンスに悪影響を及ぼすものが4つあるのですが、そのうちの2つがフジテレビ経営陣のコンテクストに含まれます。その2つとは、頻繁なリーダー交代に適応する、不確実性が高くあいまいな状況で業務を遂行する、です。これらのコンテクストに直面するリーダーの多くが実際にパフォーマンスの問題に悩まされています。ましてや既に逆境にいるフジテレビの経営リーダーですから、これらから道は茨の道であることは確実です。
おわりに
今回のフジテレビ問題ははからずも多くの企業に経営リーダー選抜の重要性を深く考えさせる機会となりました。VUCAの時代の経営リーダーは、今まで経験したことのない想定外の問題に対応し、新しい課題を遂行していくことが求められます。
私たちは日本企業が新しいリーダーを発掘し、育成するためサクセッションプランに貢献いたします。
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