導入事例

ブレークスルーを起こせる人材求む。ファイザーの人材要件定義プロジェクト。

ブレークスルーを起こせる人材求む。ファイザーの人材要件定義プロジェクト。

変化する製薬業界で大きな成果を出す、ファイザーの人材要件定義プロジェクトをご紹介します。

※本取材は2021年4月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

ファイザー株式会社

事業内容

医療用医薬品の製造・販売・輸出入

業種

医薬品製造業

従業員数

約3,600名 (直雇用社員数 2020年12月1日現在)

インタビューを受けていただいた方

岩崎聖子 様

人事・総務部門

インタビューの要約

製薬業界を取り巻く環境やビジネスモデルの大幅な変化を受け、採用要件を刷新。
優秀者の傾向分析や経営層へのビジョナリーインタビューを通し、採用要件を策定。新しい採用要件で選考できるように、評価シートの刷新と面接官へのトレーニングも実施。
今後は、トレーニングチームとの連携や配属先のマネジャーへのメッセージ発信を通して、受け入れ態勢の強化を行いたい。

変わりゆく製薬業界で、新たな人材像の必要性を実感。

私は新卒で入社し、営業と医薬品安全性統括部を経験した後、社内公募で人事企画グループに異動しました。人事企画グループでは、セミナー企画や就業規則の改定などの業務行い、その後再び社内公募で採用グループに異動し新卒採用と外部採用に従事しています。当社は同じ事業部内であっても業務を変える際は公募制を採用しており、各々が手を挙げることでキャリア形成を促します。

今回の採用要件の再定義を実施した背景には、ビジネス環境の激しい変化がありました。当社では10年ほど前に、日本エス・エイチ・エルに協力いただき、MR(医薬情報担当者)の採用基準を設計していました。しかし、医療業界を取り巻く環境に伴い、当社のビジネスモデルは、その頃と大幅に変化をしています。加えて、2年前にはCEOが交代し、企業目的も刷新しました。経営方針も、これまでは合併を繰り返して規模拡大を目指していましたが、サイエンスを原動力とする革新的なバイオファーマになるべく変わりました。

変わりゆく製薬業界で、新たな人材像の必要性を実感。

環境変化は医師への医薬情報提供活動にも影響が及んでいます。「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が2019年4月1日より施行され、今後のMRには今までにも増して新たな役割が期待されるようになりました。更に、コロナ禍以前から病院への訪問規制が厳しくなっており、MRは規制の多い中、オンライン面会などデジタルを活用した新しい手法の提案を余儀なくされました。以前のように足しげく通うのではなく、透明性のある正確な情報を、医師の求めるタイミングで適切に提供することが必要となりました。また、希少疾患などの薬剤開発に伴い、専門医に対してより高度な情報提供が求められるようになってきています。

製造・臨床開発部門は、専門性の高い部門のため、選考においては現場のマネジャーの判断に頼っている部分がありましたが、改めて議論がなされました。臨床開発部門は、世界で同時に発売を目指すため、複数の国や地域で同時に行われる国際共同治験に日本も進んで開発に参加し、ドラックラグを無くすことでいち早く患者様に新薬を届けるため、グローバルな環境でもチームをリードできる人材が必要です。製造部門も世界各国にある約40か所以上の製造拠点がつながっており、各拠点と連携できる社員が必要です。また日本の成功事例を海外へ発信し、ファイザージャパンがグローバルファイザーの中で存在感を高めることに貢献できる人材が重要になってきます。

各部門の新卒採用に対する共通ニーズは、現場で働くスタッフを採用するのではなく、将来のファイザーを牽引するリーダー候補となり得る人材を採用することです。当社は大量採用を行わず、少数精鋭の優秀な人材の発掘に注力しています。日本から世界に発信し、社内外でのファイザージャパンの存在感を高め、ブレークスルーを生み出すことができる人材を意識して採用する必要があります。

優秀者の分析と経営層へのインタビューを通し、採用要件を策定。

採用要件の定義を実施するにあたり、現在活躍している社員の特徴を把握するため、各職種のハイパフォーマーへのインタビューとパーソナリティ検査による調査を実施しました。また今後の展望を踏まえた要件にするため、各部門のトップに対するビジョナリーインタビューを実施しました。総合的に議論し採用時に評価すべきコンピテンシーを採用要件としました。

現在の代表取締役社長である原田からは、既存の枠組みで活躍している営業社員ではなく、より先進的な営業手法を取り入れている業界の社員の特徴を参照すべきではないかという提案がありました。一方で現在活躍している営業社員の傾向を分析したところ、環境変化に強く創造性やエネルギーも持ち合わせていることが明らかになりました。これは、他の産業界でもリーダー層として活躍している人材のコンピテンシーと共通していることがわかりました。このように、他業界の傾向なども参照しながら、近い将来求められる人材について慎重に協議を行いました。

「新しい評価基準ではマル、でも現場でやっていけるかな?」 そうした人材も、採ってみようと後押しする。

今回新しく設計した採用要件できちんと選考を進められるよう、日本エス・エイチ・エルの面接官トレーニングも実施しました。参加者からは、実施してよかったという意見を数多くもらいました。これまで正式な面接トレーニングを行ってこなかったからかもしれません。ロールプレイで専門家にアドバイスいただき、自分の癖を見直すきっかけになったという声が多くありました。

当社のミッションを「患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす」に刷新したことも相まって、面接官の意識が現場目線の選考(例:医師に良い印象を与える人材か)から、経営目線の選考(例:今後のファイザーの将来を担う人材か)へと変わってきました。今まさに進行している面接でも、今後必要となる人材やこれまで見られなかった価値観を持つ人材を評価できていると実感しています。「この人材は、評価シートでは全部マルがつく。でも、現場でやっていけるかな・・・」。そういった人材に関しても、「採ってみましょう」と後押しする方向に動いています。

「新しい評価基準ではマル、でも現場でやっていけるかな?」 そうした人材も、採ってみようと後押しする。

採用要件は作成して終わりではない。 人材の受け入れ態勢と継続的なブラッシュアップが必要。

今回、採用要件を刷新しましたが、このあとは新しいタイプの人材を定着させる取り組みが必要です。これについては、二つの施策を検討しています。一つ目は、トレーニングチームと情報共有し、コンピテンシー開発を重視した研修を行うこと。二つ目は、受け入れ先のマネジャーと情報共有し、現場での能力開発を行うこと。採用要件は定義して終わりではなく、こうした施策がうまく連動することにより、現実的かつ効果的に機能するものだと考えています。
また、一度作成した要件が全てではなく、議論を重ね、更により良い内容にしていくことが大切であると考えております。新しい採用要件を用いることで、採用結果にどのような変化を及ぼしたのか、しっかりと検証を行っていく予定です。何よりも、今回のプロジェクトを実施することにより、採用部門の責任者とマネジャー、人事の採用の目線合わせを行うことの大切さを、採用部門が再認識することができたことが大きな成果でした。この採用要件を独自にブラッシュアップしていこうとする部門もあり、よい機会になったと考えています。

これまで採用できていないが、今後必要となるようなInnovativeな発想をもつ人材を採用するには、社内データの分析や社内議論だけでは、固定概念に囚われて不十分です。日本エス・エイチ・エルのような外部の専門集団のサポートを得ながら、豊富な他業界のデータを参照しじっくりと議論を行うこと、常にブラッシュアップしていくことが非常に大切だと考えています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング2課 課長

横山武史

このプロジェクトはスタート前の議論に長い時間をかけました。リーダーを内部育成する組織において、現場スタッフに求められる人材要件と、リーダーに求められる人材要件を、どのように採用要件に織り込んでいくべきかが問題でした。
様々な案を検討した上で、今活躍している人材と未来に活躍する人材の違いを把握するため、各部門のハイパフォーマー調査(人材データ分析、インタビュー)と各部門トップへの調査(ビジョナリーインタビュー)を実施することとなりました。プロジェクト計画が立案された段階では、調査結果に基づきさらなる議論を行い、統合した採用要件を作成することとなっていました。しかしながら調査結果を見てみると、ハイパフォーマーの傾向が他業界のリーダーと多くの点で共通しており、また、ビジョナリーインタビュー結果とも多くの共通点が見られました。実行することの重要性を改めて認識しました。
今後もファイザーのタレントマネジメント施策の立案と遂行のお力になれるよう全力でサポートしてまいります。

導入事例

管理職候補者への動機づけとマネジメント教育を担う、大塚商会のリーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」。

管理職候補者への動機づけとマネジメント教育を担う、大塚商会のリーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」。

マネジャーの育成と動機づけのために、3階層からなるリーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。
大塚商会のタレントマネジメントをご紹介します。

※本取材は2021年12月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社大塚商会

事業内容

システムインテグレーション事業/コンピューター、複合機、通信機器、ソフトウェアの販売および受託ソフトの開発など。サービス&サポート事業/サプライ供給、保守、教育支援など。

業種

情報・通信業

従業員数

7,429名(連結子会社を含めた従業員数9,119名)※2020年末日現在

インタビューを受けていただいた方

閤師 敏晃 様

株式会社大塚商会
人材開発部 部長

インタビューの要約

「名プレーヤーは名監督にあらず」。管理職候補者に対する体系だったマネジメント教育と動機づけの必要性を実感し、リーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。
リーダーカレッジは3層構造。エントリーレベルである「次世代リーダーカレッジ」では、アセスメント(パーソナリティ検査OPQ)の結果をフィードバック。目指す姿とのギャップや能力開発課題を特定。
候補者のコンピテンシーやスキル、知識レベルなどはプログラム中に適宜評価。情報をデータベース化し、タレントマネジメントに活用する。
今後の課題は、候補者に対する評価をより構造化し、安定的に継続可能な仕組みを構築すること。

名プレーヤーは名監督にあらず。管理職候補者に対する リーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。

当社は2011年から、「リーダーカレッジ」というリーダーシッププログラムを運営しています。この背景には、「優秀なプレーヤーがそのまま優秀な管理職となるとは限らない」という大前提があります。たとえば、かつては売り上げの多い営業社員がそのまま管理職として登用される事例も多くありましたが、当然ながらセールスの能力とマネジメントの能力は別物です。この齟齬は、上司・部下間の関係性の悪化や、退職の増加など、目に見える形で表れていました。「部下は背中を見て育つ」という時代ではなくなりましたし、マネジメントやコーチングは管理職が仕事として行うべきものです。そこで、リーダー育成のためのプログラムを発足し、候補者を集めてリーダーシップについて学ぶ仕組みを構築したのです。

またリーダーカレッジは、管理職候補者に対する動機づけの役割も担っています。当社ではマネジャーにならずに専門職として活躍するキャリアを選ぶこともできますが、「マネジメントの面白さ・醍醐味」も積極的に伝えていきたいと思っています。リーダーカレッジをきっかけにして、管理職に興味を持ってくれる社員が増えたらありがたいと思っています。

名プレーヤーは名監督にあらず。管理職候補者に対する リーダー育成プログラム「リーダーカレッジ」を発足。

リーダーカレッジのエントリーレベル「次世代リーダーカレッジ」では、 アセスメントのフィードバックを実施し、個々人の能力開発課題を明確化。

リーダーカレッジは3階層に分かれており、それぞれの層で志のある候補者に対し、数年間のプログラムでリーダーシップを育成していきます。アカウンティング、ファイナンス、経営戦略など、経営に必要な知識の習得もここで行います。課長になると、一番下の層である「次世代リーダーカレッジ」に入会する権利が付与されます。入会は手上げ式ですが、熱意のある方に入っていただけるよう、説明会で意識づけを行っています。その次の層はゼネラルマネジャーを、その次の層は役員を育成するプログラムとなります。

エントリーレベルである「次世代リーダーカレッジ」では、まず入会した段階で、日本エス・エイチ・エルのアセスメント(OPQ)を行い、現在の本人の状態、特徴をフィードバックします。また、大塚商会が目指すリーダー像を共有し、2年間のプログラムにおける個々人の能力開発課題を明らかにします。この個人データは、タレントマネジメントの一環としてデータベース化されます。なお、大塚商会の管理職に必要とされる資質・スキル・知識のうち、資質の部分は行動傾向の影響が大きいため、OPQをベースにして要件定義しました。

プログラム中のパフォーマンスも適宜、数値としてデータベース化されます。たとえば、リーダーシップやプレゼンや企画などのスキル、ファイナンスやマーケティングなどの知識。これらの情報はタレントマネジメントデータベースとして、活用しています。

今後の課題は、管理職候補者に対するポテンシャルの把握や評価を、構造化して長期的に継続可能な仕組みに落とし込むことです。その一案として今回、取り組むのが、管理職登用制度の構築です。この管理職登用制度では、まず管理職に求められる要件を定義し、足りないスキルや知識などを明確にしたうえで、1年間の教育を人材開発部が行います。そして最終的にアセスメントを行い、登用者を決めていくという内容になります。今後は管理職候補者の評価を人の目に頼らず、構造化・デジタル化し、継続可能な登用の仕組みとして運営していく必要があります。

日本エス・エイチ・エルとは30年近くお付き合いいただいています。最初にお願いしたのは採用テストでしたが、当時から高業績者の特徴をデータ分析で明らかにする手法を行っていました。要望に応じたきめ細かいカスタマイズに対応してもらえ助かっています。人材測定、サーベイなどで客観性を担保したい人事施策を検討する際には必ず声をかけています。当社にとってブレーン的な会社です

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 執行役員

清田茂

大塚商会は当社が最も長くお取引をいただいているクライアント様の1社です。閤師さんとは私が駆け出しのコンサルタントであったころにお会いしましたので、同志のような気持ちでお付き合いさせていただいております。閤師さんは常に人事改革に対して強い情熱を持っておられました。採用の改善、営業力の強化、マネジャー育成、次世代リーダー発掘、コミュニケーション改革など、時代の一歩先を行く改革を実践されています。微力ながら、これら改革のお手伝いができたことを大変うれしく思っています。
既にITは産業の中核を成す分野になっており、今後ますます重要性が高まっていきます。劇的な成長が続く業界ではさらなる組織人事の変革が必要となるでしょう。今後も組織の成長を支える人事戦略に貢献したいと考えております。

導入事例

船乗りの適性を見える化。商船三井の海上職採用要件定義プロジェクト。

船乗りの適性を見える化。商船三井の海上職採用要件定義プロジェクト。

安全運航を支える海のプロフェッショナル「海上職」の適性をデータから明らかにする、商船三井の取り組みをご紹介します。

※本取材は2021年6月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社商船三井

事業内容

ドライバルク船事業、油送船事業、LNG船事業、海洋事業、自動車船事業、コンテナ船事業、港湾ロジスティクス事業、フェリー・内航RORO船事業などを含む総合外航海運業

業種

海運業

従業員数

1,119名(陸上794名 海上325名):他社への出向者等を除く(2021年3月31日現在)

※SMBC日興証券単体

インタビューを受けていただいた方

小林 裕美 様

株式会社商船三井
人事部 採用チームリーダー

インタビューの要約

明確な言葉で定義しづらかった海上職の適性を、データを使って見える化することに挑戦した。
現有海上職社員にパーソナリティ検査を実施し、協力者には万華鏡30を使って結果をフィードバック。若手から役員までほとんどの社員が協力してくれた。
社員の分析結果をもとに採用要件を決定すべくディスカッションを行った。スキルを重視する海上職において、行動特性の重要性を解釈するのに苦労した。
新しい採用要件について社内でコンセンサスを形成し、コンピテンシーを構造的に見極めるために選考手法を改良した。
今後取り組みたいことは、エンゲージメントの向上や乗り合わせの検討を含めた、海上職に対するタレントマネジメント。

誰も言葉にできない「海上職」の適性。 俗人的な判断ではなく、定量的なKPIを設けたい。

私は入社から約10年で営業部、一度目の人事部での採用・育成業務、シンガポール駐在などを経験しました。その後、自分の専門領域として人事の仕事にもう一度取り組むことを希望し、現在は採用と若手の育成に携わっています。今はHRBPなど、10年前とは違う戦略人事の概念が出てきて、経営に近いコアな部分の業務を担える可能性があるということを魅力に感じています。現場と経営をつなぐような立場が担えたらと思います。

採用と育成に加え、今取り組みたいのはタレントマネジメントです。当社はタレントマネジメントシステムを導入しており、配置における運用などは他のチームで検討していますが、私はタレマネシステムで管理されている評価・パフォーマンスデータと採用の人材要件をつなげることに着目しました。採用の人材要件を俗人的な判断ではなく「見える化」して、定量的なKPIを設けたい。これが今回の人材要件設計プロジェクトの始まりです。

誰も言葉にできない「海上職」の適性。 俗人的な判断ではなく、定量的なKPIを設けたい。

最も課題だと感じたのは、事務系の人材要件を海上職にも適用していたこと。海上職は、6カ月間船に乗りっぱなしの非常に特殊な環境で職務を遂行します。しかし、その適性は誰も明確な言葉で説明できませんでした。職務が変われば、当然人材要件も異なるはずです。採用時点のアセスメントデータを活用しようにも、アセスメントツールをころころ変えていたためデータ蓄積がなく、効果測定ができない状態でした。海上職において、採用時点で見極めるべき指標をきちんとしたアセスメントデータを取得して作るべきではないかと思いました。

海上職社員にパーソナリティ検査を実施し、パフォーマンスとの関連を分析。 結果の解釈に議論を重ねる。

海上職の現有社員にパーソナリティ検査OPQを受検してもらい、そのデータをパフォーマンスと紐づけて統計分析にかけることにしました。「社員の傾向をもとに採用要件を作成するため、受検にご協力をお願いします。協力してくれた方には、ご自身の検査結果をフィードバックします。」と社内告知しました。参加は任意でしたが、若手社員から役員までほぼ受検してくれました。最初は反発を受けるのではないかと心配しましたが、特にネガティブな反応はありませんでした。

収集されたデータを日本エス・エイチ・エルに分析してもらいましたが、この結果を解釈するのが今回一番難しかったところ。なぜこのような結果が出るのか読み解かなければならないのですが、私は海上職ではないので確信がもてず、海上職の社員も日頃アセスメントデータを扱うことはありませんので、結果は受け止めていただいたものの、議論をするとなると難しい。もともと海上職はスキルを持っているということが非常に重要であり、行動特性への着目が進んでおらず、これがディスカッションを困難にした一因であったと思います。人材要件に落とし込むまで、何度も人事部内でディスカッションを重ねました。

結果を一部共有すると、海上職は陸上職に比べて、きちんとプランニングして手抜かりなく職務を遂行するというコンピテンシーがとても大事でした。パフォーマンスを発揮する海上職の方は、危険を予知して事前に準備しリスクを最小化するための努力ができます。これは行動的資質の部分が大きく、採用時点で行動特性としてみないと、安全運航で人命を支えている海上職においてはクリティカルな問題になると感じました。

新しい人材要件を見極められるように、採用選考を構造化。

新しい採用要件について社内でコンセンサスを形成した後、選考プロセスを改良しました。日本エス・エイチ・エルの協力のもと、新しい人材要件をエントリーシートの設問から面接での質問事項まで落とし込み、これをベースに面接官トレーニングを実施し、さらに評価のブレを抑制するため、誰でもセルフチェックができるような面接マニュアルを作成しました。これまでの面接は、業務内容を説明して覚悟を問うような場になっていましたが、より構造的に必要なコンピテンシーを見極める場とすべく努めました。今期の採用活動を終え、優秀な方を採用できたと認識していますが、最終的には実際の職務での活躍を見て、検討を続けていく必要があります。

将来的な目標は海上職のタレントマネジメントを行うことです。海上職は就労環境の特殊性から、安定した人材定着に繋がりにくい側面があります。上司のマネジメントによって左右される部分も大きいので、管理職の人材育成・能力開発をする必要があると思っています。また現在、継続的なエンゲージメント調査を行っており、誰が不調を抱えている可能性があるかを人事部がモニタリングしています。このエンゲージメントとパーソナリティの関連を今年検証する予定です。もしかしたら、コンピテンシーに関連する部分で、エンゲージメント低下の原因が見えるかもしれません。また、船での乗り合わせ(メンバーの組み合わせ)も大事です。メンバーが変われば、同じ仕事でもエンゲージメントが回復する場合もあるのです。タレントマネジメントにおける適正配置という概念になると思いますが、乗り合わせの検討にも適性検査が使えるといいですね。

日本エス・エイチ・エルの良いところは、適性検査の信頼性・妥当性の高さ。今回、海上職の採用テストとしていくつかのベンダーの適性検査を比較しました。採用で使用する適性検査には必ず社会的望ましさ(回答者が自分をよく見せようとするために回答がゆがむ効果)の問題が生じますが、自己相対化をさせるアセスメント形式が用途に合っていると感じます。また、担当コンサルタントによるサポートが手厚く、問題を整理する際の議論相手になってくれるため、感謝しています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング2課 課長

横山 武史

小林さんが陸上総合職(事務系)の採用のみならず、海上職の採用も担当することになり、このプロジェクトはスタートしました。陸上総合職(事務系)では採用選考におけるデータ活用が進んでおりましたが、海上職では人材要件が明文化されておらず、採用選考が体系化されていないことに、小林さんは問題意識を持たれていらっしゃいました。
海上職の適性を説明できる人がいないというお話しを伺い、OPQの社員受検とハイパフォーマー分析をご提案申し上げました。ハイパフォーマー分析の結果、陸上総合職とは異なる特徴を見つけ出すことができ、海上職の人材要件定義に貢献することができました。当プロジェクトでは要件定義を行ったうえで、採用選考へ落とし込むところまでサービス提供を行いました。
ここからは効果検証に入ります。当プロジェクトを通して海上職採用の改善が見られたという証明ができるまで責任をもって取り組みます。また、今後は商船三井の採用戦略の立案と遂行だけでなく、広くタレントマネジメントのお力になれるよう全力でサポートしてまいります。

顧客や社会へ価値を提供するために、事業部主導で採用や育成を進めてきたメディアフォース。ビジネスの拡大に伴って生じた管理職不足などの人事課題に、全社的に取り組む人材開発プロジェクトが発足しました。本インタビューでは管理職の要件定義についてご紹介します。

※本取材は2023年3月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社メディアフォース

事業内容

システムインテグレーションサービス、Webシステム構築、汎用系システム構築、インフラ構築

業種

情報処理サービス

従業員数

208名(2023年4月1日現在)

インタビューを受けていただいた方

家喜 章平 様 / 上村 潤 様

株式会社メディアフォース
取締役 執行役員 (写真左)
業務管理本部 総務人事グループ 課長 (写真右)

インタビューの要約

業界未経験者に自社の価値観を伝えプロとして育成する人材戦略であったが、ビジネスの拡大により管理職が不足。他の人事課題への対処も含め、全社横断の人材開発プロジェクトが発足。
現在活躍している管理職の特徴をデータ分析から導き、さらに今後のビジネスの変化に対応すべく社長や事業部門責任者へのインタビューを行って、管理職要件を定義。
管理職の要件を採用基準に反映して運用している。今後本格的に開始する経験者採用でも活用する予定。
管理職候補生の識別と抜擢、部門間の異動の要否など、今後タレントマネジメント施策を検討していく上で今回作成した要件や分析結果を活用していく。

事業の成長によって人材育成のスピードアップが喫緊の課題に。

当社が業界の未経験者を採用してきた理由は、顧客や社会に貢献する手段としてシステムを開発するという自社の価値観を体現できる人材を自らの手で育成したいからです。しかし、ビジネスが従来の受託開発からソリューション型へ変容する中で、人材育成をさらに加速し、事業成長のスピードに合わせる必要が出てきました。 人材育成を強化したくても管理職の数が足りず、管理職不足を補うことが喫緊の課題となりました。

当社は人事権が事業部にあり、基本的に配属や異動、キャリア形成は事業部の権限で行っています。そのため部門の垣根を超えた情報共有が不足していたり、育成の状況が十分に把握できないといった、人事制度の運用について全社を横断的に統制することが不十分な状態でした。これらの問題を解決するため、育成に限らず、採用や人事制度に関しても改善のスピードを高めるべく、責任者をおいてしっかり取り組んでいく全社的な人材開発プロジェクトをスタートさせました。

事業の成長によって人材育成のスピードアップが喫緊の課題に。

手始めに感覚で行っていることを定量化していこうと考えました。定量化しないと、言葉1つをとってもみんな捉え方が少し違います。例えば、「エネルギッシュな人が欲しい」など。人材に関する言葉を皆が同じ意味で用いることができるようにすることが必要だと考えました。そこで定量データを使用した管理職の人物像の明確化に取り組みました。投資に見合う価値があるのかという批判的な意見もありましたが、投資に見合う効果を得るためにやるべきだとの想いを伝え、納得してもらうことができました。

インタビューとデータ分析を用いて管理職の要件を定義。

ビジネスの変化にうまく適応し、活躍している管理職の特徴を、パーソナリティ検査OPQの結果を使用して分析しました。受検していただいたすべての管理職の方々には、自己理解を深めるために、結果をお返ししています。この分析の結果、大きな2つの事業領域において、管理職のタイプが明確に異なっていることが分かりました。感覚的なものが数値化され、客観的なデータで示されることで、納得感のある結果となりました。

ただ、この分析はあくまで現在の管理職を分析しているものであり、今後の事業戦略によって必要となる管理職像を見出すためのものではありません。そこで社長と事業責任者が今後の事業をどのように考えているかを尋ねるインタビューも実施しました。このインタビューから導き出された人材要件は、自分のこれまで持っていた感覚やイメージと全体的に合致していましたが、コンピテンシーとして適切に表現できていなかったと気付きました。特に「元気づけ」や「対人感受性」といった対人面のコンピテンシーが重要であることが明確になりました。これらのコンピテンシーが選ばれたのは、チームで働く際にはもちろん、顧客に接する際にも対人能力が重要だからです。システムを作ることは、どこまでいっても手段であり、本質は顧客との信頼関係にあるということがわかりました。

これら2つの手法から得られた結果を統合し、最終的に6つの要件に絞り込みました。

管理職の要件を採用活動に反映。経験者採用も開始予定。

定義された管理職の人材要件から採用基準を作り、採用選考に使用しています。採用ではWebCABを使用して、結果帳票から採用基準に照らして本人の強み弱みを把握し、面接で掘り下げて確認しています。悩ましいのは、基準を満たす人が限られてしまうことです。パーソナリティ検査と知的能力検査の結果を総合的に見ていますが、それぞれの検査結果において、どの水準をボーダーラインとすべきかについては、入社した社員の検査結果と業績の関係を調査したうえで慎重に検討しています。 また、部門によってシステムエンジニアの特性は異なり、求める人材も変わります。しかし、部門別ではなく一括に採用しているので、各部門の求める人材の平均値を採用することになり、焦点がぼやけてしまいます。もちろん会社に共通の部分もありますが、今回行った分析でも、2つの大きな事業部には異なるタイプの人が多いことがわかりましたので、どう採用し、どう配属するかについては今も試行錯誤しています。

今後は、これまで行っていなかったエンジニアの経験者採用も行います。今までの人材よりも早くコア人材に成長するので、管理職としての人材要件も採用時に確認していくことになります。

タレントマネジメント施策としては、今回作成した人材要件を基にポテンシャル情報を活用し、管理職候補として適任な人材を特定し、抜擢することを人材開発プロジェクトで進めていきます。これが実現すれば、部門間の異動の判断にも役立てることができます。

人事データの収集と可視化による投資効果は即効性があるものではありません。人事としては客観データを共通言語にディスカッションできることが大事だと考えています。月に1度、幹部の集まる会議で人事データを提示してディスカッションをしています。この取り組みが部門の垣根を超えたコミュニケーションを促進し、全社的な人事課題の解決につながることを期待しています。

日本エス・エイチ・エルは、データを収集し分析するだけでなく、その結果をどう解釈し、活用するかに対して積極的にコンサルティングを提供してくれます。その結果、私たちが抱えている問題について有用なアドバイスをもらえることがあります。また、私たちの気づかなかった視点やアイデアを提供してくれるので、重要なパートナーとして位置付けています。ディスカッションの機会をたくさん持ってくれる一方で、過剰にサービスを勧められることはありません。「なぜこんなに親身になってサポートしてくれるんだろうか」と話し合うほどです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング1課

深津 寛

本プロジェクトが人材要件定義の事例の中で一段目を引くのは、以下の3つの要素を網羅している点にあります。
① 活躍者の人物像を、現在と未来とに分けて分析したこと。
② 活躍者のタイプは複数存在すると仮定したこと。
③ 定量的手法であるアセスメントデータ分析と、定性的手法であるインタビューとを組み合わせたこと。
活躍者を分析する上での、①「現在と未来」②「複数タイプ」という鋭い仮説は、当初からメディアフォースさまにお示し頂いていたものです。ここにアセスメントを専業とする日本エス・エイチ・エルの得意領域がクロスオーバーしたことで、非常に有意義な分析結果を得ることができました。
始動まで1年弱に渡って打ち合わせと検討を重ねましたが、いま改めて振りかえってみても、根底にある価値観は常に一致していたと感じます。
今回のプロジェクトに微力ながらも貢献できたことは大変光栄です。引き続き日本エス・エイチ・エルの専門性を活かして、メディアフォースさまの今後の課題に最善のサポートを提供してまいります。

中部電力グループ唯一のIT企業として、「エネルギーの安定供給」をシステムインテグレーターとして支える中電シーティーアイ。電力自由化等によって事業環境が変化し、DXのさらなる推進のために社員一人ひとりのキャリア形成を支援する人事制度改革を行いました。

※本取材は2023年8月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

株式会社中電シーティーアイ

事業内容

アプリケーション開発保守サービス、インフラセキュリティサービス、解析サービス、大量データ処理サービス、IT運用サービス

業種

情報・通信

従業員数

1,271名(2023年6月1日現在)

インタビューを受けていただいた方

林 達也 様
正村 宣美 様

株式会社中電シーティーアイ
経営管理本部 人事部 採用・人事企画グループ マネージャー(写真右)
様経営管理本部 人事部 採用・人事企画グループ 専門課長 (写真左)

インタビューの要約

サービスの高度化に合わせて、人材の配置や育成の仕組みを変革すべく、企画から1年で人事制度改革などの様々な施策の運用を開始。
社員のキャリア形成を支援するために、社長・役員も含めてアセスメントを実施。結果の見方研修や説明資料により社内への浸透を促進。
取得データは日々のマネジメントからプロジェクトへのアサイン、全社や部署の特徴の可視化など人事施策の様々な場面で活用。
一気呵成に行った人事施策について、社員の反応や声をしっかりと聞きながら定着させていく。

DX推進のため、人材の流動性を高め、キャリア形成を支援する。

電力自由化により、一層の経営効率や新規サービスに取り組むことが求められるようになりました。その中でITの力は戦略上欠かせません。DXを一層推進する必要があります。これまではどちらかといえば受け身でシステムを作る仕事がほとんどでしたが、より高度な仕事をすることが求められるようになり、仕事の仕方そのものを変えなければいけないという問題意識がありました。組織として人員をなるべく高度領域の仕事にシフトし、保守運用の仕事を海外を含めて外注するという大改革を行うことになり、人の配置育成の仕組みも見直しました。まず、IT技術者としてどのような人を求めるのかを定義し、人事制度と連動する高度IT技術の認定制度を構築しました。次に、個人のキャリア形成支援のために、社員向けにアセスメントを実施しました。さらに、従来は人事異動が硬直的でしたが、流動性を高めるために社内公募制やFA制などを導入しました。また、各職場において年度当初に掲げた業務執行計画を確実に達成させるために、人事評価の運用にクラウドを利用したシステムを導入し、上司と部下のコミュニケーションによる目標管理の手法をより強化しました。

現社長は人事業務の経験も深いため、一体となって変革を進め、21年度に様々な施策を企画して22年度に運用開始することができました。

DX推進のため、人材の流動性を高め、キャリア形成を支援する。

自己理解促進のため、アセスメントを実施。経営層が積極的に受検。

社員一人ひとりが成長することで会社も成長のチャンスが増えます。しかし、若手社員はキャリア形成の道筋やお手本を求めているものの、お客様の課題解決のために必要となるITスキルの変化が激しく、上司も経験がない仕事をしているために指導が難しい状態でした。そこで、人事アセスメントを活用することを考え、既に採用で使用していた日本エス・エイチ・エルのアセスメント、OPQを社員に実施しました。当初は若手IT人材のみを対象とすることを考えていましたが、社長が「対象者の上司が結果の扱い方をよく理解する必要がある」と、自らも率先して受検し、ほかの役員や管理職も積極的に受検してくれました。合計1,138名が受検し、受検率は約90%でした。受検を依頼する際には、「自身の適性を客観的に把握する」という目的を丁寧に説明するよう心掛けました。公募制、FA制度にチャレンジする際の自己PRに活用できることや、現状社内にあまり存在していないコンサルティングやプロジェクトマネジメントなどの業務に対する適性を知るのに役立つこと、今後も数年に1度、定期的に実施する予定であることを、社員の皆さんに伝えました。

1on1から、アサインプロセス、人材可視化まで広範囲に活用。

取得したデータは目標管理のクラウドシステムに格納し、本人とその上司が結果を見ることができます。上司は部下の職種適性などを見て、キャリア形成のアドバイスや1on1ミーティングの材料などに活用してもらっています。結果の解釈の仕方については、解説動画を社内ポータルに用意しており、70%弱の方が視聴済みです。加えて、上司向け、全体向け、職種適性の能力開発ガイドなどの資料も配布しました。人事主導の施策ゆえ、結果の扱われ方に対する不安を払拭するためにも、なるべく多くの情報を提供しました。

客観的な物差しということもあり、結果はおおむね前向きに受け止められています。また、部署内でお互いに結果を共有することもあります。

人事側では、人事異動やプロジェクトへのアサインを検討する際、1つの参考材料として活用しています。人事内ではかなり浸透してきており、何か判断をする際に「(OPQの)結果はどうなっているの?」という声が聞こえてきます。また、全社あるいは部署ごとの特徴を把握するためにデータ分析も行い、実感を客観的なデータで再確認することができました。

また、これまでは人事異動が少なくずっと同じメンバーと仕事をしてきましたが、今後人材が流動化すると初対面の人々とプロジェクトを進めていくことが増えます。その際OPQという共通言語があれば、コミュニケーションも円滑になるのではないかと思います。

昨年は、盛りだくさんの人事施策を、短期間のうちに今までにないスピードで実施しました。社員にとっても目まぐるしい変化であったのではないかと思います。今後は、社員の反応や声をしっかりと聞き、必要なものを見極めて定着させていくことが大事だと思っています。社員が忖度せずに率直に意見を表明できる風通しの良さの表れなのか、毎年実施している社員の満足度調査では、人事評価結果に対して厳しい意見もありました。社長は常々「社員に何も言ってもらえなくなったら終わり。言ってくれるうちが華」と言っています。改革後の満足度は微増となりましたが、今後もアンケートなどで社員の声に気付くことができるようにしたいです。

日本エス・エイチ・エルは私たちのパートナーだと思っています。「言ってもらえなくなったら終わり」という言葉はどのような関係性にも言えることですので、今後も様々なアドバイスを期待しています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

改正 晃大

「社員一人一人がキャリアについて考えるきっかけを与えたい」という思いの下、細心の注意を払い進めていたことをとても印象深く覚えております。受検結果の開示だけでなく、OPQの解釈方法や活用に関する案内、部門ごとの分析結果の開示など、キャリアについて考えるための情報提供を惜しみなく行っており、皆様の思いがあって初めて実施できた取り組みだと考えております。これからも「パートナー」と言って頂けるよう、微力ながら尽力させて頂きます。

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配置・登用

各ポストの人材要件と従業員の人材情報を結びつけ最適な配置や人材選抜をサポートします。

配置・登用で適材適所を実現

社内の各ポストに求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現します。組織の生産性向上と社員一人ひとりのポテンシャル発揮とエンゲージメント向上を実現します。
階層、部門、職種に求められる人材要件を定義するための調査分析、社員の個人情報(業績、コンピテンシー、ポテンシャル)を収集するためのアセスメントの実施、各人材要件と個人情報との関連付けによる活躍予測モデルの作成、人材配置の仕組みづくりと運用を支援します。

配置・登用に役立つサービス

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スキル

ジョブからスキルを中心とした人事への変革に当社のアセスメントが活用できます。

スキルベースの組織とは?

ジョブではなくスキルを中心とした人事管理を行う組織です。ジョブを一人の人が行う組織の最小単位と捉えるのではなく、一つのジョブをスキルの集合体と捉え、スキルと人を結び付ける考え方です。プログラミングなどのハードスキルだけではなく、リーダーシップなどのソフトスキルを含んでいます。スキルから仕事を再編成することで、急速な環境変化に合わせた組織体制の変更が機動的に行えます。アセスメントでスキルを可視化することは、未来に対応する柔軟な組織作りに必要不可欠です。

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デジタル人材

アセスメントを活用して、デジタル人材のポテンシャル(潜在能力)を見極めます。

デジタル人材の発掘・育成

経験やスキルを持つデジタル人材をめぐる競争は激しく、採用が難しくなっています。アセスメントを活用して、未経験でも見込みのある人材の採用や育成をしませんか?SHLの科学的な知見を活用し、デジタル人材に必要なポテンシャル(潜在能力)を見極める支援を行います。

人的資本経営というキーワードとともに、近年、人材データやピープルアナリティクスがさらに注目されています。人材データとは具体的にどんな情報を用いるか?データをどのように活用すべきか?分析手法とはなにか?その際の注意点とは?・・・データ分析にまつまる様々な疑問をお持ちの皆さんに、今回は当サイトでこれまで取り上げたデータ分析やピープルアナリティクスに関する知見やベストプラクティスをまとめてご紹介します。
人材データ分析、ピープルアナリティクス、人材ポートフォリオなどにご関心のある方はぜひご覧ください。

人材データ分析に関するお役立ちコラム

データ分析の基礎知識:

分析手法の知見:

データ分析のヒント:

人材データ分析お役立ちダウンロード資料

各社の人材データ分析に関する事例

各社の人材データ分析や人材可視化に関するお取り組みをインタビューや事例でご紹介しています。

タレントマネジメント

育成

採用

おわりに

当サイトでは、データ分析の専門的な知識から各企業の実践的な事例まで、様々な情報を提供しております。「分析」や「アナリティクス」という言葉から、少し敷居が高く感じている人事担当者の方は、当社コンサルタントがご相談にのります。ぜひ当社までお問い合わせください。

人材アセスメントに対しての疑問

なぜ多くの企業が人材アセスメントを各人事施策に活用しているのか。そしてその必要性はどこにあるのか。それらの疑問に対して、ルメルト著:『良い戦略、悪い戦略』(2012年)に書かれている「良い戦略」をもとに考えていきたいと思います。

良い戦略の基本構造

まずは、著者の考える良い戦略の基本構造とは何か。曰く、良い戦略とは下記3つの要素を含んでいます。

(以下、著書より引用)

①診断
 ➡状況を診断し、取り組むべき課題をみきわめる。良い診断は死活的に重要な問題点を選り分け、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐす。

②基本方針
 ➡診断で見つかった課題にどう取り組むか。大きな方向性と総合的な方針を示す。

③行動
 ➡ここで行動と呼ぶのは、基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のことである。すべての行動をコーディネートして方針を実行する。

上述の3つの要素を人事戦略立案の場面で想定してみると、「診断」は現状の経営状況やそれに関わる外部環境、ステークホルダーの関係性の変化などを的確に捉え、その企業にとって致命的な課題を人事的側面から認識すること。「基本方針」はその診断で認識した課題に対してどのような施策が効率的かつ効果的にポジティブな影響を与えるのかを考え方針を決めること。「行動」はその決めた方針に従って必要な資源やその配分を整理し、方針の実行に移すことだと言えるでしょう。
一見当たり前に見える要素ですが、これまでのクライアントからのご相談などから、決してすべての戦略が上述3つを満たしているわけではないと考えます。著書内では、良い戦略に対して「悪い戦略」(上述3要素を満たしていない戦略)と呼ばれていますが、なぜその悪い戦略が現実に存在してしまうのかが書かれています。つまり、悪い戦略がはびこってしまう背景には、現状の分析や調査にはかなりのハードワークが求められるからであり、そんな“重く面倒な”ことなどしなくても戦略は立てられるという願望もあるそうです。当然のことですが、正しく「診断」ができなければ、その後の正しい「基本方針」の決定や正しい「行動」はできません。

人事戦略の基本方針を打ち出す際の一番の土台となる「診断」について、様々な視点から分析することが重要になりますが、その一助となり得るのは人材アセスメントであると考えます。

人事戦略の基盤となる「診断」へのアセスメント活用

現状を分析し課題を見つけ出す手法は様々ありますが、人事戦略に関連する現状分析という文脈では、その企業が抱える人材についての可視化が肝となります。言わずもがなですが、そもそもどのような人材が組織に存在するか、それは経営戦略を遂行する上で必要十分なリソースか、今後中長期的にどのような人材が必要か、また今いる人材をどのように育成すべきなのか等を適切に把握しない限り、現状の課題を診断することは困難です。また、人材の可視化に用いる尺度(物差し)も重要となります。基準が毎回異なる物差しであれば、いくら定量的に物事を推し量ろうとしても意味を成しません。
そこで人材可視化の一助となり得るのが、アセスメントによる人材の定量化です。今日では多種多様なアセスメントが存在していますが、裏を返せば企業の人材可視化ニーズの高さを物語っています。

人材アセスメントの活用により、社員のコンピテンシーやポテンシャルをデータ化することで下記のような情報を得ることができます。

―現状の人材ポートフォリオ
―自社のハイパフォーマーや活躍人材の特徴
―各ポジションやポストでの要件
―開発や育成が必要なコンピテンシー(能力) etc.

上述のような情報を基に、現状の人材を適切に把握しその後の人事戦略・各種施策へと繋げていくことが可能となります。例えば、人材ポートフォリオを作成後、キーポジションの要件を満たす人材が社内に存在しなかった場合、採用を見直し外部から補填するか、ポテンシャルのある社員に対して育成や研修を実施しプロパーの社員を登用するのか等、見えなかった重要な課題を浮き彫りにし、今後の基本方針を決定する指標ができます。

なお、人材可視化のための当社アセスメント(OPQや万華鏡)についての詳細は他ページの『SHLのキーテクノロジー「OPQ」とは』『マネジャー&シニアマネジャーノルム搭載!アセスメントツール「万華鏡30」』をご参照ください。

最後に

著書曰く、「良い戦略」は良い「診断」から始まります。現状をいかに分析し課題を見出せるかは大切です。前述した通り、人材の可視化はハードルが高く、コストもかかる面倒な作業となる可能性から、わかってはいてもなかなか手が出せず効果的な「診断」をできずにいる企業があることも実情です。しかし、人事の「良い戦略」を導き出すためにはその要素は必要不可欠です。まずはその一歩として、ぜひこの機会に人材アセスメントを「診断」に活用いただくのはいかがでしょうか。

参考文献:リチャード・P・ルメルト. 良い戦略、悪い戦略. 日経BPマーケティング, 2012, p.410