コミュニケーションスタイル尺度の作成経緯

コミュニケーションスタイルは英語で「Selling Styles(販売スタイル)」という名称の項目です。もともとは営業トレーニングコースの一環として設計されたモデルで、売り手と買い手の関係性に着目し、数年にわたりOPQとの関連性を調査して、初期モデルが発展・構築されました。

「Selling Styles(販売スタイル)」という名称が使われていますが、これは単に製品やサービスの販売手法に限ったものではありません。多くの組織での活用を通じて、このモデルはより広い意味での「影響力(インフルエンス)」、特に「指示」ではなく「説得」に関与する場面においても有効であることが明らかになっています。

たとえば、新たな提案やコンセプトの提示、アプローチや方向性の見直しなど、他者を説得する必要がある職務や状況にも適用可能です。そのため、このモデルを「Influencing and Selling Style(影響・販売スタイル)」とより広く捉え、便宜上「Selling Styles(販売スタイル)」という名称が使われています。日本では、これを「コミュニケーションスタイル」という尺度名で取り扱っています。

基盤となる3つの型

コミュニケーションスタイルは階層構造を持っており、最下層では9種類のスタイルに分類されます。
基盤となるコミュニケーションスタイルは大別すると次の3つに分かれます。

人間関係重視型
:人間関係を親密にすることで人に対して影響力を働かせるタイプ
パワー型
:努力や意欲を通して人に対して影響力を働かせるタイプ
プロセス型
:話の内容や手順の適切さによって人に対して影響力を働かせるタイプ

細分化されたコミュニケーションスタイル:9つの型

さらに9つのコミュニケーションスタイルが定義されています。



以下は9つの型とその人物イメージです。

人間関係重視型

自信型
売り込むときに自信を持ってふるまうタイプ。フォーマルな状況やプレゼンテーションが求められる場面で特に優れたパフォーマンスを発揮する。落ち着いて自分のペースで話し、内容も明快で自信を持って話す。

共感型
相手との間で温かい人間関係を構築することに意欲を持つ。常に相手の立場や状況を理解し、それに応じたサポートを提供する。人に対する自然な興味があり、チームで働くことを楽しむ。

適応型
常にフレキシブルであろうとし、相手が持つ価値観やスタイルに自分を合わせて信頼や安心感を築く。自分の意見を強く打ち出したり、押しつけるようなことはしない。

パワー型

指導型
既存のカルチャーや考え方とは一線を画す立ち位置をとることで、インパクトを与えて自分の影響力を行使する。考え方の斬新さや有益性で相手を驚かせて自分を売り込む。変化を好む相手の場合、成功する度合いが強くなる。自分の立場を維持するための自信も求められる。

情熱型
エネルギッシュなタイプ。相手に対して積極的・意欲的にふるまい、その熱意で勝負する。陽気な性格からくる楽観主義がその原動力。考え方そのものに深さがなくても、影響力を行使できる。

忍耐型
断られても、断られてもあきらめないタイプ。忍耐が結果として成果を生み出すと信じている。あまりセンシティブではなく、自分の思うとおりの結果が出るまで執着して行動し続ける。結果的に「適切なタイミングで適切な場所にいる」ことが多い。

猟犬型
エネルギッシュで、目標達成につながる決断を素早く下す、獲物を捕まえようとするようなタイプ。競争心が強く、自信家でリスクを取りルールを柔軟に扱う姿勢が特徴。

プロセス型

説得型
知的なアプローチを好み、論理的に相手を説得したがる。相手のニーズを分析し、高度な解決策を提案する。言葉や数値の扱いにも優れており、適切な概念を武器に影響力を行使する。

手順型
アフターケアのようなフォローアップが得意なタイプ。決定的な場面で影響力を行使するよりは、裏方で計画をしっかり立て細部まで注意を払う。新しい相手を見つけるよりは、従来の関係を維持することに意欲を持つ。

細分化されたコミュニケーションスタイル:9つの型

おわりに

人は状況によって行動を柔軟に変化させるものです。ひとつのコミュニケーションスタイルに固執するのではなく、場面や相手に応じてアプローチを変えていきます。「〇〇型」という呼び方は便宜的なものですが、ひとつのタイプに人を当てはめてしまうと、理解を狭める危険があります。

その上で、誰しもが自然と自分にとって心地よいスタイルを取りがちであり、今回紹介した9つのタイプのいずれかに偏りが出るのも自然なことです。ひとつのタイプだけでなく、複数のスタイルを併せ持つ人も少なくありません。上記はOPQから出力されるオプションリポートCHXで各タイプの得点が算出可能です。

この概念を活かせば、説得したい相手のスタイルを意識しながら、より効果的なコミュニケーションが可能になります。また、周囲との関係性を見直したい時、自分がどんなスタイルを取りやすいかを振り返るきっかけにもなるでしょう。

アセスメント

CHX

CHX(チャックス)は、受検者の特徴を様々な観点で予測する総合リポートです。
パーソナリティ検査OPQの受検結果を用いて、出力が可能です。

測定項目 ベーシック・リポート:パーソナリティの特徴・職務適性・想定される強み・弱み
キャリア・リポート:上下関係適性、コミュニケーションスタイル、チームタイプ

CHXとは

OPQのデータから、様々な傾向が予測できます。

豊富な測定尺度群

6カテゴリ、87の尺度から受検者の特徴を多角的に予測します。

2種類のリポート構成

ご利用場面に応じた使い方が可能です。

受検データから出力が可能

既にパーソナリティ検査OPQのデータがあれば、出力に際し追加の受検は不要です。

リポートについて

CHXは2枚のリポート、6つの尺度群で構成されています。

  • ベーシック・リポート
  • キャリア・リポート

ベーシック・リポート

パーソナリティの特徴や職務適性といった、受検者の基本的な人物像を予測するリポートです。

利用料金

採点処理料

3,000円/名

※OPQを受検していない場合は、別途受検に関する費用が発生します。
※過去に受検したOPQ結果を使用して、CHXを出力することも可能です。
※上記費用に消費税は含まれておりません。

お問い合わせ

ご不明な点がございましたら、担当コンサルタントまたは「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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早期戦力化を促すオンボーディングハンドブック

テレワークなどの新しい働き方の普及に伴い、新入社員のオンボーディング(新入社員が組織になじみ、戦力化するためのサポート)に課題を抱える企業が増えています。本資料では、適性検査を活用し、新入社員の強みやつまづきやすいポイントを押さえ、効果的な配属やサポートを行う方法をご紹介します(全16ページ)。

こんな方におすすめ

新入社員の配属先決定や、相性の良い教育係のアサイン、配属先部署への申し送りのための情報がほしい。
新入社員個人の特徴をふまえた、強みや弱み、つまづきやすいポイント、有効な対応や指導の仕方を知りたい。
その他、適性検査を使った新入社員のオンボーディングに有効な施策を知りたい。

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応募者・内定者へのパーソナリティ検査フィードバック実施の手引きハンドブック

オンライン選考などの活用が進む中で、企業と個人の特性のすり合わせ、相互理解がより重要になっています。応募者・内定者の自己理解を促進し、相互理解を深め、入社への意欲を高めるために、パーソナリティ検査のフィードバックをぜひご利用ください。
本資料では、選考途中の応募者・内定者に対するパーソナリティ検査のフィードバックの目的、注意点、流れから、実際の説明例・会話例、よくあるご質問までご紹介します。ぜひご活用ください(全15ページ)。

こんな方におすすめ

応募者や内定者の面談の重要度が増している
面談のポイントを体系的に知りたい
面談にアセスメントを活用したい

ダウンロードはこちら

本ウェビナーでは、多様化する若手社員の「個」に合った育成を行うために、パーソナリティ検査結果を上手に活用する方法について情報提供いたします。

※2024年2月にSHLタレントマネジメントウェビナー「定着を促す「個」にフォーカスした若手社員育成とは」が開催されました。期間限定のアーカイブ配信でご視聴いただけます。

こんな方におすすめ

若手社員と上司や先輩社員とのコミュニケーションがうまくいっていない
新入社員が定着しない
アセスメントを活用した若手育成施策を知りたい

講師

森山 蓮

日本エス・エイチ・エル
HRコンサルティング4課 課長

オンデマンド配信概要

時間

約60分

視聴期限

2025年10月30日(木)まで

配信方法

Zoomによる録画配信

受講料

無料

受講対象

企業および組織の人事に携わる方

※同業者、学校関係者、個人の方のご参加はご遠慮ください。

お問い合わせ

日本エス・エイチ・エル株式会社 イベント事務局
TEL:03-5909-7207
Eメール:event@shl.co.jp

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テスト

パーソナリティから知的能力まで、あらゆる目的に合わせて多様な適性テストを提供しています。

「良い適性検査」とは?

良いテスト、良い適性検査の必須条件は「信頼性(測定の精度が高いか)」と「妥当性(測りたいものが測れているか)」です。アセスメントのリーディングカンパニーであるSHLは、これらを備えた質の高い適性検査を幅広く提供しています。パーソナリティ、価値観、意欲、知的能力など、人材要件や目的に応じて最適なアセスメントをご提案します。

テストに役立つサービス

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リクルーター

誰をマッチングすべきか?どう学生をフォローするか?リクルーターの活動も当社の知見でサポートします。

より良いリクルーター活動の支援

人材獲得競争が激しさを増す中、応募者と密に接点を持つリクルーターの存在は採用に欠かすことができないものとなっています。我々はリクルーターとしての適切な振る舞いや情報提供の仕方に関するトレーニングを提供できます。また、アセスメントを元に応募者とリクルーターのよりよいマッチングもサポートします。

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内定者フォロー

採用選考だけでなく、内定者の面談や研修でもアセスメントが活用できます。

内定者フォローとアセスメント

人材採用は内定がゴールではありません。きちんと入社し、一人ひとりが意欲を持って仕事に取り組めるよう、選考で実施したアセスメントデータが活用できます。我々はフィードバック用の適性検査帳票の提供や研修の実施を支援します。アセスメントによる内定者の特徴把握は、自己理解を深めて意欲形成につなげるだけでなく、入社後の配属情報としてミスマッチを防ぐ参考資料としても活用できます。

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配属

科学的知見を元に適材適所を実現する配属をサポートします。

適材適所を実現する配属

配属先に求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現することで、組織の生産性と社員のエンゲージメントを向上させます。配属先の人材要件定義や既存社員の人材ポートフォリオ作成などを実施、配属する人材のアセスメントデータを取得します。これらを掛け合わせ、適材適所を実現する配属をサポートします。

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インターンシップ

インターンシップの選考や参加者へのフィードバックなどのコンテンツにも活用できます。

インターンシップとアセスメント

限られたインターンシップの参加枠に多くの学生が応募する場合、採用選考と同様にアセスメントを活用した適切な選抜基準とプロセスが必要です。また、選考だけでなく、インターンシップ参加者にキャリア教育の目的で自己理解促進のためにアセスメントを活用できます。SHLの専門性や知見がインターンシップでも役立ちます。

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