人材要件定義支援
特定の職種やポスト等の人材要件を定めるために、アセスメントを用いたデータ分析や経営者やキーポジションの方にインタビューを行います。定量的なデータと定性的なインタビューの情報を統合し、人材要件定義を作成します。今後必要とされる自社独自の人材要件とコンピテンシーのマッピング支援も行います。データ分析ではオリジナル尺度の作成も可能です。

ケース1
次年度の採用計画を作成するにあたり、採用基準の見直しを検討する企業は多いと思います。この検討に際して、活躍している社員の傾向を見出すために、在籍社員のパーソナリティと成績の関連を調べる分析がよく行われます。この結果を踏まえて現在の採用基準の妥当性を評価し、より適切な新しい採用基準を作成します。
「在籍社員のパーソナリティと成績の関連を調べる」ために最も頻繁に用いられる分析手法が「相関分析」です。相関分析がどのように行われるかについてご説明します。下の図を見てください。
ある企業で活躍している営業職の行動傾向をとらえるための分析を行いました。現職の営業職にパーソナリティ検査OPQを実施してパーソナリティの定量データを取得し、加えて営業成績を基準にハイパフォーマー(HP)、ミドルパフォーマー(MP)、ローパフォーマー(LP)の3群に分け、パフォーマンス評価点を付与しました。これらのデータを使ってパフォーマンス評価点とOPQの各因子得点との相関分析を行った結果が以下のグラフです。
図1:相関分析結果
図2:分散分析
ケース2
また、こんなケースもあります。下の二つの図を見てください。
図3:相関分析
図4:分散分析
ケース3
これらの因子得点を採用選考の初期段階で活用する場合、ヴァイタリティはHPのすくい上げに使えますが、LPの足切りには向かないことがわかります。逆に問題解決力はLPの足切りに向いていますが、HPのすくい上げには向きません。
さらにこんなケースもあります。
図5:相関分析
図6:分散分析
おわりに
このように、相関分析だけではテスト結果を正しく解釈し、運用するための情報として不十分なケースがあるのです。
分散分析、ヒストグラムなどの複数の分析手法やデータ集計方法を組み合わせることで、より適切な解釈を行うことが可能となります。相関分析だけでは活用ができないということではありません。分析を行う目的次第です。当社で請け負う分析の場合、成績とパーソナリティの関係を分析し、その結果をテストによる選抜に利用すること多いため、相関分析だけではなく他の手法も組み合わせることを推奨しています。
※図は全てイメージです。実際のデータから作成したものではありません。
ベンチャー経営者適性を評価する
ベンチャー経営者のコンピテンシーを以下4つに定めました。
対人的能力を評価する
対人的能力の評価は以下5つの視点で行います。
組織文化の形成能力を評価する
組織文化の形成力は以下5つの視点から評価します。
戦略的能力を評価する
戦略的能力の評価は以下6つの視点から行います。
統治的能力を評価する
統治的能力の評価は以下5つの視点から行います。
おわりに
今回ご紹介したコンピテンシーモデルは、当社が1990年代に行った調査に基づいて作られたものです。評価方法については少し現代風に書き換えましたが、ほぼそのままです。30年前に作られた起業家コンピテンシーですが、新事業創造が求められる現在においても違和感なく活用できると考えています。起業家の本質は時代による影響を受けづらいのだと思います。
このような方にオススメ
3つの特徴
本セミナーでは、代表的な分析手法である「ヒストグラム」「t検定」「相関分析」「分散分析」を取り上げ、人事での活用場面、Excelを使った分析手順、分析結果の解釈方法などを学びます。統計や数学が苦手な方でも理解しやすいように、難解な数式や専門用語は使わず、人事場面での例を挙げながら解説していきます。
講義で分析手順や解釈方法を学んだ後、Excelを使って演習問題に取り組んでいただきます。「採用面接官の評価は適切だったか?」「活躍している社員の特徴は何か?」など、人事担当者が直面する課題がテーマになっており、サンプルデータと分析手順書を使いながら作業を進めることで実践的な分析力が身につきます。
動画は1単元あたり最大7分なので、すきま時間を有効活用できます。パソコン、タブレット、スマートフォンでの視聴に対応しており、受講期間中はいつでも、何度でも視聴が可能です。
(受講時間の目安:80分)
1.はじめに
・研修のねらいと動画の概要
2.統計分析の活用場面
・統計とは何か
・なぜ統計分析を行うのか
・分析に用いるデータ
・人事における活用場面
3.統計分析の手順
サンプル視聴
・統計分析の手順と注意点
4.統計分析の種類
・4つの分析手法:ヒストグラム、t検定、相関分析、分散分析
・ヒストグラムとは
・Excelを使った分析演習【ヒストグラム】
5. t検定①
サンプル視聴
・t検定とは
・①仮説を立てる 帰無仮説と対立仮説
6. t検定②
・②確率を求める P値
・③仮説が正しいか判断する 有意水準
・Excelを使った分析演習【t検定】
7.相関分析
サンプル視聴
・相関分析とは
・相関係数とデータ分布
・相関分析の注意点
・Excelを使った分析演習【相関分析】
8.分散分析
・分散分析とは
・多重比較
・Excelを使った分析演習【分散分析】
9. (参考)無料分析ツールの紹介
・日本エス・エイチ・エル株式会社の「無料分析ツール」とは
10.おわりに
・統計分析を行う際のポイント
主催
日本エス・エイチ・エル株式会社
対象者
企業の人事・採用・育成業務に従事されている方(同業者、学校法人、個人の方はお申込できません)
受講費
受講者1名様につき5,000円(消費税等別)
※「受講人数無制限」の年間契約プランもございます。詳しくは、担当コンサルタントまでお問い合わせください。
受講期間
受講用URLメールの到着日から3週間
お申し込み方法
フォームよりお申込みください。お申し込み受付後、原則2営業日以内に受講用URLとログインID、及びログインパスワードの設定方法を記載したメールをお送りします。
※届かない場合は、事務局までお問い合わせください。
お支払い方法
受講用URL等を記載したメール送信後、当社他サービスの利用料金と併せて請求させていただきます。
※振込手数料は貴社ご負担にてお願いいたします。
動作環境
Windows
OS
Windows 10、11
ブラウザ
Microsoft Edge(最新版)、 FireFox(最新版)、Google Chrome(最新版)
Mac
OS
MacOS High Sierra 10.13 以降
ブラウザ
Safari(最新版)
iPhone/iPad
OS
iOS 14.0 以降 / iPadOS 14.0 以降
ブラウザ
Safari(最新版)
Android
OS
Android 8.0 以降
ブラウザ
Google Chrome(最新版)
注意事項
・1つのログインIDで、同時に複数の端末で視聴することはできません。
・ログインIDやパスワードの共有、第三者への譲渡を禁止します。また、セミナーの録画・録音、転載、第三者への公開等は固くお断りいたします。
・利用可能期間中にコンテンツの受講が完結しなかった場合や、サービスの利用が無かった場合にも、利用期間の延長や返金は行いません。
お問い合わせ
日本エス・エイチ・エル株式会社 セミナー事務局
Eメール training@shl.co.jp
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3つの特徴
数ある基準設計手法の中から、本セミナーでは汎用的な手法である「カードソートインタビュー」を中心に紹介します。短時間かつ手軽に実施できるメリットがあります。この「カードソートインタビュー」による採用基準設計について、「講義・模擬映像視聴・体験演習」を通して身につけます。
求める人材像や要件を導き出したら、次は選考でどう見極めるかを検討する必要があります。採用基準に関連するエピソードを応募者から引き出す質問、面接官同士の評価のぶれを低減する判別指標、面接官が使いやすい評価シートの設計手法をお伝えします。
単元ごとに細かく分かれているため、すきま時間を有効活用できます。パソコン、タブレット、スマートフォンでの視聴に対応しており、受講期間中はいつでも、何度でも視聴が可能です。
(受講時間の目安:100分)
1.はじめに
サンプル視聴
・動画の概要
2.採用基準の必要性
・なぜ採用基準が必要か
3.採用基準の種類
サンプル視聴
・採用基準の種類
・使いやすい採用基準とは
4.採用基準設計の手法
・採用基準設計の考え方と手法
・インタビューの種類
5.カードソートとは
サンプル視聴
・カードソートとは
・カードソートのメリット
6.カードソート(1対1)
・カードソート(1対1)を用いたインタビューの進め方
7.【サンプル映像】
カードソート(1対1)
・カードソート(1対1)のイメージ映像の視聴
・インタビュー(1対1)実施の注意点
8.【サンプル映像】
カードソート(1対複数)
・カードソート(1対複数)のイメージ映像の視聴
・カードソート(1対複数)の進め方のポイント
9.カードソートで得られた情報から採用基準を設計する
・情報の整理
10.演習1
・情報を整理し、採用基準を設計することを体験
11.演習1(解説)
・情報のまとめ方や進め方のコツを解説
12.採用基準を基に評価指標を設計する
・評価指標とは
・カードソートの結果から面接の評価指標を設計する
13.コンピテンシー面接
・コンピテンシー面接
・コンピテンシーを確認するための質問について
・掘り下げの手法(STAR手法)
14.演習2
・評価指標を作り、質問例を考えることを体験
15.演習2(解説)
・解答例をもとに振り返る
・面接評価シートのイメージ
16.おわりに
・おわりに
主催
日本エス・エイチ・エル株式会社
対象者
企業の人事・採用・育成業務に従事されている方(同業者、学校法人、個人の方はお申込できません)
受講費
受講者1名様につき5,000円(消費税等別)
※「受講人数無制限」の年間契約プランもございます。詳しくは、担当コンサルタントまでお問い合わせください。
受講期間
受講用URLメールの到着日から3週間
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※届かない場合は、事務局までお問い合わせください。
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お問い合わせ
日本エス・エイチ・エル株式会社 セミナー事務局
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本講座は、LIVE配信で実施いたします。
インターネットに接続されたPC、タブレット、スマートフォンから受講可能です。
受講者の方へは、事前に受講用のURLとパスワードをお送りいたします。
※Webカメラ、ヘッドセットをご用意ください。
(カメラ、マイクが端末に内蔵されている場合は不要です)
プログラム
本コースは、2日間通しでの開催となります(両日ともに10:00~17:00)。
※事前課題あり(プレコースガイドの読込とワークへの回答)
時間 | テーマ | 主な内容 | |
---|---|---|---|
1日目 | 講義 | コンピテンシーと職務分析法の概要説明、プレコースワークの回答確認等 | |
講義 | 演習 | カード分類法の理解と体験 | |
講義 | 演習 | クリティカル・インシデント手法の理解と体験 | |
講義 | 映像 | ビジョナリー・インタビュー手法の理解と体験 | |
講義 | 演習 | レパートリー・グリッド手法の理解と体験 | |
2日目 | 総合演習 | 総合演習の説明、準備 | |
総合演習 | インタビューの実施 | ||
総合演習 | コンピテンシーデザイン | ||
総合演習 | 発表と振り返り | ||
講義 | コンピテンシーデザインプロジェクトの進め方 | ||
講義 | 総括 |
参加者のご感想
インタビュー時に注意すべきことが、演習を通して実感ができました。(自身があまり先入観を持つと上手くいかない等)
広告
すべて活用できると感じました。今後に活用したいと考えています。また、少人数、個別対応に近い形式が非常に良かったと感じています。
金融
主催
日本エス・エイチ・エル株式会社
開催日時
対象者
企業の人事・採用・育成業務に従事されている方(同業者、学校法人、個人の方はお申込できません)
定員
6名(先着順受付)
開催人数に満たない場合、セミナーを中止させていただく場合があります。
開催中止の際は、10営業日前までにご連絡いたします。
参加費
参加者1名様につき350,000円(消費税等別)※2日間コース
お支払い方法
セミナー終了後、当社他サービスの利用料金と併せて請求させていただきます。
※振込手数料は貴社ご負担にてお願いいたします。
お申し込み方法
フォームよりお申し込みください。お申し込み受付後、原則2営業日以内に受付完了のメールをお送りいたします。
申込日程の変更及びキャンセルについては、10営業日前17時 までにご連絡ください。
それ以降は下記のキャンセル料を申し受けます。予めご了承ください。
10営業日前17時から1営業日前17時まで
半額
1営業日前17時以降から当日
全額
※お申込みいただきました場合には上記キャンセルポリシーを承諾したものとみなします。
お申し込み期限
セミナー開催日の10営業日前16時
お問い合わせ
日本エス・エイチ・エル株式会社 セミナー事務局
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人材要件定義とは?
選抜、配置、任用、能力開発などの人事施策を行うには適切な基準が必要です。人材要件を定義することで適切な基準と運用方法がわかります。
アセスメントデータの分析、高業績者へのインタビューなどを通じて各ポストの職務遂行に必要なコンピテンシーを特定します。調査対象の設定、調査(適性データ収集、データ分析、インタビュー、アンケートなど)の実施、コンピテンシーの決定、コンピテンシーの活用を支援します。
人材要件定義 2つのサービス
人材要件定義支援
特定の職種やポスト等の人材要件を定めるために、アセスメントを用いたデータ分析や経営者やキーポジションの方にインタビューを行います。定量的なデータと定性的なインタビューの情報を統合し、人材要件定義を作成します。今後必要とされる自社独自の人材要件とコンピテンシーのマッピング支援も行います。データ分析ではオリジナル尺度の作成も可能です。
人材要件定義のノウハウ提供
自社で要件定義を行うためのインタビュースキルトレーニングやアセスメントデータの統計分析手法のトレーニングを行います。当社の豊富な実績を元に、実践的なスキルや手法を学ぶことができます。 自社で主体的に要件定義を行うことで、今後の要件の変化にもすばやく対応することが可能です。
導入シーン
データを元に科学的に求める人物像を定義できます。経営戦略の転換や新たな事業で求める人材が変化した場合も、未来に必要な人材要件の定義が可能です。
社内の人材選抜もその後のパフォーマンスの観点から妥当な選抜基準を作成することが可能です。
社内の各ポストに求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現します。
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人材データ分析とは?
人材に関連するデータを集め分析することで、効果的にタレントマネジメントを行うための知識が得られます。分析によって高業績者のコンピテンシー、選考の評価基準、部署別の特徴や従業員のポテンシャルなど、様々な組織・人材における問題や課題を可視化します。採用、配置、育成、組織開発などの人事施策を改善できます。
お客様の課題を解決する方法をご提案
課題や問題意識などの目的を明確にするため、コンサルタントがヒアリングします。ご要望に応じて、分析対象の選定、目的変数・説明変数の検討、分析手法の採択、分析作業、分析結果の活用をサポートします。
導入シーン
特定の職種やポスト等の人材要件を定めるために、人材データ分析を行います。当該職種・ポストにおける人事評価等のパフォーマンスデータを用い、パフォーマンスを予測する一連の変数(知的能力・パーソナリティ特性など)を特定します。オリジナルの尺度を作成することも可能です。
社員の属性などの人材情報を可視化して、経営・事業戦略と人材・組織とのギャップを明らかにし、組織・人材に関する問題の発見、人事施策の導入や見直し、人事的な意思決定の改善などに役立てます。タレントマネジメントの基礎となる取り組みです。
採用選考や昇進試験等において、評価や判断に妥当性があったかを確認する振り返りの分析です。 選考における合格者と不合格者、高評価者と低評価者を分ける要因を検出し、当初の想定と一致しているかを検証します。人材要件定義分析の結果と照合すると、より効果的です。
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コンピテンシーモデリングのためのインタビューのご提案
採用要件の定義や、昇進・昇格要件の定義、集中的に育成すべき「ハイポテンシャル人材」の要件定義など、人材に求められるコンピテンシー要件の定義を行うことを総称して「コンピテンシーモデリング」といいます。 本資料では、未来志向の要件定義を行うために有効な手法の一つである「インタビュー」を用いた要件定義についてご紹介します(全9ページ)。
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変化する製薬業界で大きな成果を出す、ファイザーの人材要件定義プロジェクトをご紹介します。
※本取材は2021年4月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。
医療用医薬品の製造・販売・輸出入
医薬品製造業
約3,600名 (直雇用社員数 2020年12月1日現在)
インタビューを受けていただいた方
人事・総務部門
私は新卒で入社し、営業と医薬品安全性統括部を経験した後、社内公募で人事企画グループに異動しました。人事企画グループでは、セミナー企画や就業規則の改定などの業務行い、その後再び社内公募で採用グループに異動し新卒採用と外部採用に従事しています。当社は同じ事業部内であっても業務を変える際は公募制を採用しており、各々が手を挙げることでキャリア形成を促します。
今回の採用要件の再定義を実施した背景には、ビジネス環境の激しい変化がありました。当社では10年ほど前に、日本エス・エイチ・エルに協力いただき、MR(医薬情報担当者)の採用基準を設計していました。しかし、医療業界を取り巻く環境に伴い、当社のビジネスモデルは、その頃と大幅に変化をしています。加えて、2年前にはCEOが交代し、企業目的も刷新しました。経営方針も、これまでは合併を繰り返して規模拡大を目指していましたが、サイエンスを原動力とする革新的なバイオファーマになるべく変わりました。
環境変化は医師への医薬情報提供活動にも影響が及んでいます。「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」が2019年4月1日より施行され、今後のMRには今までにも増して新たな役割が期待されるようになりました。更に、コロナ禍以前から病院への訪問規制が厳しくなっており、MRは規制の多い中、オンライン面会などデジタルを活用した新しい手法の提案を余儀なくされました。以前のように足しげく通うのではなく、透明性のある正確な情報を、医師の求めるタイミングで適切に提供することが必要となりました。また、希少疾患などの薬剤開発に伴い、専門医に対してより高度な情報提供が求められるようになってきています。
製造・臨床開発部門は、専門性の高い部門のため、選考においては現場のマネジャーの判断に頼っている部分がありましたが、改めて議論がなされました。臨床開発部門は、世界で同時に発売を目指すため、複数の国や地域で同時に行われる国際共同治験に日本も進んで開発に参加し、ドラックラグを無くすことでいち早く患者様に新薬を届けるため、グローバルな環境でもチームをリードできる人材が必要です。製造部門も世界各国にある約40か所以上の製造拠点がつながっており、各拠点と連携できる社員が必要です。また日本の成功事例を海外へ発信し、ファイザージャパンがグローバルファイザーの中で存在感を高めることに貢献できる人材が重要になってきます。
各部門の新卒採用に対する共通ニーズは、現場で働くスタッフを採用するのではなく、将来のファイザーを牽引するリーダー候補となり得る人材を採用することです。当社は大量採用を行わず、少数精鋭の優秀な人材の発掘に注力しています。日本から世界に発信し、社内外でのファイザージャパンの存在感を高め、ブレークスルーを生み出すことができる人材を意識して採用する必要があります。
採用要件の定義を実施するにあたり、現在活躍している社員の特徴を把握するため、各職種のハイパフォーマーへのインタビューとパーソナリティ検査による調査を実施しました。また今後の展望を踏まえた要件にするため、各部門のトップに対するビジョナリーインタビューを実施しました。総合的に議論し採用時に評価すべきコンピテンシーを採用要件としました。
現在の代表取締役社長である原田からは、既存の枠組みで活躍している営業社員ではなく、より先進的な営業手法を取り入れている業界の社員の特徴を参照すべきではないかという提案がありました。一方で現在活躍している営業社員の傾向を分析したところ、環境変化に強く創造性やエネルギーも持ち合わせていることが明らかになりました。これは、他の産業界でもリーダー層として活躍している人材のコンピテンシーと共通していることがわかりました。このように、他業界の傾向なども参照しながら、近い将来求められる人材について慎重に協議を行いました。
今回新しく設計した採用要件できちんと選考を進められるよう、日本エス・エイチ・エルの面接官トレーニングも実施しました。参加者からは、実施してよかったという意見を数多くもらいました。これまで正式な面接トレーニングを行ってこなかったからかもしれません。ロールプレイで専門家にアドバイスいただき、自分の癖を見直すきっかけになったという声が多くありました。
当社のミッションを「患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす」に刷新したことも相まって、面接官の意識が現場目線の選考(例:医師に良い印象を与える人材か)から、経営目線の選考(例:今後のファイザーの将来を担う人材か)へと変わってきました。今まさに進行している面接でも、今後必要となる人材やこれまで見られなかった価値観を持つ人材を評価できていると実感しています。「この人材は、評価シートでは全部マルがつく。でも、現場でやっていけるかな・・・」。そういった人材に関しても、「採ってみましょう」と後押しする方向に動いています。
今回、採用要件を刷新しましたが、このあとは新しいタイプの人材を定着させる取り組みが必要です。これについては、二つの施策を検討しています。一つ目は、トレーニングチームと情報共有し、コンピテンシー開発を重視した研修を行うこと。二つ目は、受け入れ先のマネジャーと情報共有し、現場での能力開発を行うこと。採用要件は定義して終わりではなく、こうした施策がうまく連動することにより、現実的かつ効果的に機能するものだと考えています。
また、一度作成した要件が全てではなく、議論を重ね、更により良い内容にしていくことが大切であると考えております。新しい採用要件を用いることで、採用結果にどのような変化を及ぼしたのか、しっかりと検証を行っていく予定です。何よりも、今回のプロジェクトを実施することにより、採用部門の責任者とマネジャー、人事の採用の目線合わせを行うことの大切さを、採用部門が再認識することができたことが大きな成果でした。この採用要件を独自にブラッシュアップしていこうとする部門もあり、よい機会になったと考えています。
これまで採用できていないが、今後必要となるようなInnovativeな発想をもつ人材を採用するには、社内データの分析や社内議論だけでは、固定概念に囚われて不十分です。日本エス・エイチ・エルのような外部の専門集団のサポートを得ながら、豊富な他業界のデータを参照しじっくりと議論を行うこと、常にブラッシュアップしていくことが非常に大切だと考えています。
担当コンサルタント
日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルティング2課 課長
このプロジェクトはスタート前の議論に長い時間をかけました。リーダーを内部育成する組織において、現場スタッフに求められる人材要件と、リーダーに求められる人材要件を、どのように採用要件に織り込んでいくべきかが問題でした。
様々な案を検討した上で、今活躍している人材と未来に活躍する人材の違いを把握するため、各部門のハイパフォーマー調査(人材データ分析、インタビュー)と各部門トップへの調査(ビジョナリーインタビュー)を実施することとなりました。プロジェクト計画が立案された段階では、調査結果に基づきさらなる議論を行い、統合した採用要件を作成することとなっていました。しかしながら調査結果を見てみると、ハイパフォーマーの傾向が他業界のリーダーと多くの点で共通しており、また、ビジョナリーインタビュー結果とも多くの共通点が見られました。実行することの重要性を改めて認識しました。
今後もファイザーのタレントマネジメント施策の立案と遂行のお力になれるよう全力でサポートしてまいります。
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