アセスメント

CCSQ

接客・販売・サービス職などの『カスタマーコンタクト職』に特化したWeb適性テストです。

              
測定項目 計数、シミュレーション、パーソナリティ(CCSQ)
所要時間合計 60分
ノルム 個人向けの接客を職業とする集団
実施形態 Web

CCSQとは

受検者のカスタマーコンタクト職の適性を「知的能力」「シミュレーション演習」「パーソナリティ」と多面的に測定する適性テストです。

実際の接客場面を想定したシミュレーション演習

顧客から寄せられる様々なクレームや要望など、具体的な接客場面を想定した課題について対応策を選択することで、カスタマーコンタクトタイプを予測できます。

カスタマーコンタクト職の適性に特化した設計

接客や販売職の業務に必要とされる能力を測定します。パーソナリティも職種に特化した特性にフォーカスして予測しています。

イメージしやすい結果帳票

受検者の特徴がコメント形式で報告され、面接時にチェックポイントも表示されます。短時間で受検者を具体的にイメージし、面接ガイドとしても活用できるように設計しています。

CCSQの科目と特徴

知的能力・シミュレーション演習・パーソナリティを実施し測定します。

  • 知的能力
  • シミュレーション演習
  • パーソナリティ(CCSQ)

知的能力

簡単な四則演算を組み合わせた等式中の未知数を求めるための、迅速で正確な「推理能力」を見ます。

CCSQの活用法

初期スクリーニング以外にも様々な活用方法があります。

利用料金

プランA

年間使用権料

250万円/年

受検料

500円/名

プランB

年間使用権料

100万円/年

受検料

1,000円/名

プランC

年間使用権料

5万円/年

受検料

3,000円/名

※上記費用に消費税は含まれておりません。

お問い合わせ

ご不明な点がございましたら、担当コンサルタントまたは「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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導入事例

「シミュレーション面接」で答えのない問題に立ち向かう力を評価。東急の採用プロセス改革。

「シミュレーション面接」で答えのない問題に立ち向かう力を評価。東急の採用プロセス改革。

前例のない環境変化に直面しても、常にビジネスチャンスを掴める人材を採用したい。
東急の「シミュレーション面接」導入の取り組みをご紹介します。

※本取材は2022年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

東急株式会社

事業内容

交通事業、不動産事業、生活サービス事業、
ホテル・リゾート事業、国際事業 等

業種

陸運業、不動産業

従業員数

1,461名(2021年3月31日現在)

インタビューを受けていただいた方

初田直美 様

東急株式会社
人材戦略室 人事開発グループ 採用センター 課長

インタビューの要約

採用における課題は、鉄道会社の保守的なイメージから起業家マインドを持った学生との接触が難しかったことと、創造力を評価するような選考手法を持っていなかったこと。学生の新たな側面を評価する手法として、「シミュレーション面接」の導入を決定。
シミュレーション面接とは、その場で考えさせる質問をし、回答の仕方で評価を行うもの。従来手法からの変更に一部懸念の声もあったが、環境変化における新しいチャレンジの一環として協力を仰ぐ。
シミュレーション面接によって、従来の面接では見極めきれなかった考えの広がりや新しいアイデア、「答えのない問題」に取り組む姿勢が評価できた。面接のマンネリ化を防ぎ、面接官からもポジティブな評価。
今後の課題はシミュレーション面接の精緻化と、採用とタレントマネジメントの連携。

鉄道会社の保守的なイメージを超えて、ビジネスチャンスを掴む人材を採用したい。

採用に関する課題は、求める人材像にアプローチすることが難しいことでした。当社は鉄道会社という側面ゆえに、安心・安全を志す保守的なイメージがあり、それは正しく一番必要な事ではありますが、事業の幅が広いため、ゼロから事業をクリエイトすることも多数あります。たとえば、コロナ禍で鉄道による人員輸送が減っても、一方で沿線に住んでいる方の滞在時間は増えます。ここで生まれた新たなビジネスチャンスに注目できるような人材が必要なのです。当社は最近「TsugiTsugi(ツギツギ)」という新サービスをリリースしましたが、これは次々とホテルを選んで旅をするように暮らせるというサービスで、若手社員が社内の起業家育成制度を使って立ち上げたものです。当社がもつ多種多様なアセットを連携させて、新しい事業を始めるチャンスが数多くあるため、ぜひそのような起業家マインドを持った学生に当社を知ってほしいと思っています。

もう一つの課題は、こうした事業創造ポテンシャルを持つ人材を採用するため、創造力の高さを評価する選考を行いたいということ。採用後、どのような選考プロセスを経てどのような学生を採用できたかという、振り返りの分析を日本エス・エイチ・エルに委託していますが、従来の選考では創造力の高い方を高く評価しているとはいえませんでした。面接方法や評価方法を刷新し、もっと適切に創造力の高い方を評価できないだろうか。そう模索する中で、浮上したのが「シミュレーション面接」でした。

その場で考えさせることで課題解決力を見る「シミュレーション面接」に挑戦。

シミュレーション面接とは、「その場で考えさせるような質問をあえて行い、その回答の仕方で評価を行う」という面接手法です。困難な課題や答えのない問題に直面した時の考え方や姿勢、説明の仕方によって、創造的な課題解決能力を評価できるという利点があります。回答自体だけでなく、どのようにその回答を導き出したのかというプロセスも重要になります。

シミュレーション面接を導入することを社内に告知した際、面接官からは「今まで通りガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を深堀りしたい」という声もあがりました。しかしガクチカは他の選考で取り上げていたので、今回の選考の目的を明らかにし改めて協力を仰ぎました。コロナ禍で前例のない環境変化が起きる中、柔軟な発想やチャレンジすることの重要性は実感されていたと思いますので、受け入れていただきやすい下地があったと思います。
シミュレーション面接の面接官トレーニングは、日本エス・エイチ・エルに委託しました。特に、シミュレーション面接では回答の深堀りがカギとなりますので、回答に対する質問の仕方や切り口、応募者を緊張させないための留意点などを学びました。

その場で考えさせることで課題解決力を見る「シミュレーション面接」に挑戦。

シミュレーション面接で見えた考えの広がり、答えのない問題に取り組む姿勢。

シミュレーション面接のメリットは、従来の手法では引き出しきれなかった人材の強みが、新たに見いだせるようになったことです。回答自体は一般的なものであっても、さらに深堀りをすることで考えに広がりが見えることもありますし、逆に底が見えてしまうこともあります。中には「こんな考え方があるんだ」と驚くこともありますし、創造力を評価するのに大変わかりやすい指標になっていると思います。また、「答えのない問題」に取り組むときの姿勢を見ることができますので、最後まで投げ出さないか、一緒に働きたいと思える人材かという点もクリアに見えてきます。

またこれまでは、面接に慣れている面接官ほど対話がマンネリ化してしまう傾向がありました。しかしシミュレーション面接を導入したことで、予想していなかった回答が飛び出すようになり、面接官も真剣にそれを聞き、深堀りを行うようになりました。面接官からも「面白いし、今まで見られなかった部分が見られる」とポジティブなフィードバックがありました。まだ導入初年度なので、今後は実施時間の再検討や評価指標の精緻化など、さらに面接精度を上げるための取り組みが必要だと思っています。

今後の課題は、AIなどのHR Techの活用や、選考ステップごとの多角的な評価、また入社時のアセスメントデータをタレントマネジメントデータとして連携し、様々な人材が適性を活かして活躍できる配置に活かすことなどです。中途採用の増加、リモートワークの導入などに伴い、人事が色々な角度から人材を把握する必要性があると考えています。どのタイミングで入社した社員も適切かつ公平に評価できる情報をもって、人材配置に活かせるとよいと個人的には考えています。

日本エス・エイチ・エルのアセスメントのいいところは、個人の違いがデータ上にしっかり表れるところ。また、データをどう読み解くか、他社と比べるとどうか、どのように活用するかなど、様々な方面からアドバイスをいただけるので、とても勉強になっています。人事のメンバーもよりデータの扱いに習熟していきたいと思っていますので、引き続きサポートしていただけると嬉しいです。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

藤田 夏乃子

今回の取り組みは新卒採用の選考において、今までとは異なる人材を採用していきたいというところから始まりました。
シミュレーション面接導入に向けて面接官トレーニングのご相談があったときは、ご要望に沿えるように何度も対話をさせていただき、トレーニングを設計しました。実際の面接官の方からポジティブなフィードバックがあったとお聞きしたときは、この取り組みに携われてよかったと感じました。
シミュレーション面接のような応募者にその場で考え、回答させるという面接を取り入れる企業は今後も増えていくと考えています。
面接官トレーニングに限らず、今後も東急様のお力になれるようにサポートさせていただきます。

新入社員から部店長までを網羅するキャリアプランと、各ステップで求められる到達レベルに沿った教育研修体系を構築しているみずほリースの事例を紹介します。

※本取材は2021年1月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

みずほリース株式会社

事業内容

リースを中心とする法人向け総合金融サービス

業種

金融業

従業員数

連結:1,804名、単体:735名 (2020年9月末現在)

インタビューを受けていただいた方

横山 幹彦 様

みずほリース株式会社
人事部 副部長

インタビューの要約

新入社員から部店長レベルまで、職系と経験年数・ステップごとに到達すべき行動レベルや知識/スキル、受講研修を紐づけた「キャリアプラン」を構築し、教育研修制度を整備・拡充した。
日本エス・エイチ・エルの担当する「ヒューマンアセスメント研修」は、管理職準備グレードが対象の研修。ロールプレイなどの演習によるアセスメントとフィードバックで、管理職となる上で求められる能力を認識することが目的。
今後強化していきたいことは、育成を主眼とした戦略的ジョブローテーションと、「3C(challenge、change、create)」の一層の推進。

新入社員から部店長までのキャリアプランを明示し、 教育研修制度の刷新に取り組む。

私が人事部に異動して、4年が経過しようとしています。着任してからは労務以外の人事領域に幅広く関わっています。

配属された当初、階層や職系で研修頻度に偏りがあるのが気になったことから、教育研修制度を大幅に見直すことにしました。まず、職系と経験年数に応じて求められるスキルとそのレベルを定義して、明確なキャリアプランを作りました。具体的には、新入社員から部店長レベルまで、職系とステップごとに到達すべき行動、経験、知識/スキル、受講すべき研修を明文化しました。このキャリアプランを作ったことで研修頻度の偏りが是正されました。拡充した主な研修としては、例えば、営業職のソリューション力を強化するために、仮説構築力、発想力、プレゼンテーション能力を鍛える営業系の研修、総合職と比べて手薄となっていた中堅業務職に対する研修などがあります。

このキャリアプランは社内のポータルサイトに掲示されており、社員が全体感を把握したり、求められる到達レベルを目指して自己研鑽したりするのに活用されています。

管理職準備グレードが受講する「ヒューマンアセスメント研修」。

日本エス・エイチ・エルに委託している「ヒューマンアセスメント研修」は、管理職準備グレードに昇格した社員が対象です。この研修の目的は、受講者がリーダーシップや課題解決、企画立案など、管理職となった際に求められる能力の現在のレベルを知り、能力開発目標を定めることです。受講者は、ファクトファインディング演習(情報収集を通して真実を見抜き、課題解決をする演習)や、部下との対話のロールプレイ演習、プレゼンテーションの演習などを行った後、自身の今の能力や特徴について、日本エス・エイチ・エルのアセッサーから個別にフィードバックを受けます。

昇格者はプレーヤーとして実績を残してきた社員です。今後は、自分だけでなく周囲を巻き込んで組織を成長させていく意識を持ってもらい、今後求められる能力、今の状態とのギャップ、自分の管理職としての強みや弱みを考えてもらう機会にしています。アセスメントを、自分で認識している自分と他者から見た自分との違いを知り、あるべき姿とのギャップを認識するための“きっかけ作りの場”として位置づけています。

管理職準備グレードが受講する「ヒューマンアセスメント研修」。

受講者からは、「今までで一番疲れた研修だ」、「この年齢になってこんなにダメ出しされることはない」といったコメントが多く寄せられます。日常の業務で弱点を直接指摘されることは少ないので、この体験を成長の糧にしてもらいたいと思っています。また、「自分では手ごたえのあった課題で弱みを指摘され、改善すべき点を把握できた」「自分でも認識していない強みや弱みを知ることができた」などの前向きな声も少なからずあり、“気づき”を得ている実感があります。アセスメント結果は上司である部店長にも共有されますが、「弱みが丁寧に解説されているので、今後の育成に役立てたい」などの所見が寄せられています。

育成の今後の課題はジョブローテーション。 個人と組織の両面から「戦略的人事」を進めたい。

人材育成に関して完璧はありません。今後は、社員一人一人の能力、資質、職務経験、キャリアビジョンを踏まえた育成のため、戦略的なジョブローテーションを一層推進していく必要があると考えています。また、個人の能力開発だけでなく、疲弊しているチームがあれば、新しい人材を投入することで活性化させることも重要です。現場の事情や需給バランスなどが障壁となり、ジョブローテーションが社員や組織にとってベストではないケースもあると思います。タレントマネジメントシステムのリリースも間近に控えており、情報の一元化により、より戦略的な人事を行うための体制を整えていきたいと考えています。

2019年、みずほ銀行が出資比率を大きく引き上げ、旧興銀リースからみずほリースに商号を変えて、名実ともにみずほ系中核リース会社となりました。大きな転換期を迎えています。このことでビジネスチャンスが格段に拡がり、即戦力としてのキャリア採用を大幅に増やしています。

旧興銀リースを象徴する形容詞は「堅実」でした。安定している時代なら大きな強みですが、足元の環境は決してそうではありません。現在、challenge、change、createの「3C」を会社の行動指針にしています。変化するため、新しいものを生み出すための起点となるのはチャレンジだと考え、特に重要視しています。

採用に当たっては、「自律」と「多様性」を重視しています。新人と中途入社社員が現場に刺激を与えることで、チャレンジの推進・浸透が加速していくことを期待しています。

また、会社全体としてチャレンジを推進していますが、管理職の中には大きなチャレンジをするのにまだ慣れていない社員もいると思います。ミドルマネジメントの意識や行動を変えていく為には、心理的安全性の確保も欠かせないと思います。

課題は単純ではなくリンクしているので、関われる業務領域が幅広いのはありがたいことです。人事でチャレンジしたいことはまだ沢山ありますね。

私にとって、日本エス・エイチ・エルは「プロ集団」というイメージです。アカデミックで、自社のポリシーがあって、良い意味で迎合しない、プロ意識の高い集団という感じでしょうか。先述の通り、みずほリースはまさに変革のタイミングです。あまり範囲を限定せず、人事領域全般について総合的なお話をしていければと考えています。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

畔取 祐介

教育研修制度を改革していく中で、自己理解を能力開発のための重要な機会と再定義され、管理職準備グレードへの研修(アセスメントとフィードバック)を継続いただいたことは、決して単なる継続ではなく、意味と価値の再定義という点で大きなChangeでした。
また、アセスメントを継続してきたおかげで蓄積してきたデータの分析と活用が可能となりました。今後はデータを活用して、貴社のタレントマネジメントの最適化に貢献したいと考えております。横山さんのビジョンの実現に向けて微力を尽くします。

グローバルリーダー育成に力を入れるマツダ。グローバルリーダーを早期発見・早期育成するタレントパイプラインの仕組みづくりとグローバルリーダーシップ研修の取り組みをご紹介します。

※本取材は2020年11月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

マツダ株式会社

事業内容

乗用車・トラックの製造、販売など

業種

製造業

従業員数

単体 23,203名 (男性: 20,947名 女性: 2,256名)
連結 50,479名

※2020年3月31日時点

インタビューを受けていただいた方

竹下 可奈子 様

マツダ株式会社
人事本部 人材開発部 組織開発グループ

インタビューの要約

海外販売会社の社長候補探しが難航し、グローバルリーダーの早期発掘・早期育成の課題が顕在化した。
GLDC(グローバルリーダー育成委員会)を立ち上げ、グローバルでのリーダーシップパイプラインの仕組みづくりを行った。半年に1回各領域の統括役員が参加し、タレントリストを元に育成計画を立案する。
次いで、GLDP(グローバルリーダー研修)を立ち上げ、業務と並行してグローバルリーダーを疑似体験できるようなプログラムを立案、運営した。SHLのアセスメント・育成計画・集合研修・約半年間のプロジェクトワーク・スキップレベルミーティング・リベラルアーツ社外セミナーの6つの施策を実施した。
今後は、より全社で一貫した評価基準で人材選抜を行い、参加者の動機付けを行いながらプログラムも効果的に運用していきたい。

突然空いた海外販売会社の社長ポジション。後継者探しに苦労した。

2014年当時、マツダグループのとある海外販売会社の社長ポジションが急に空き、後継者をすぐに探さなくてはいけないという出来事がありました。その販売会社では基本的に現地の社員が社長になっていましたので、すぐに現地の候補者たちと面談を行いました。しかし、面談の結果、すぐに社長になれるほど育っていないことがわかり、そこの販売会社外で後継者を探すことになりました。しかし、マツダグループの他拠点で、探そうとしたものの、どこに、どのような優秀人材がいるのかみえず、大変苦労しました。この出来事から、二つの問題点が浮き彫りになりました。一つは、海外拠点の社長候補が育っていないという問題、二つ目が、グローバルリーダー候補がグローバルにシェアされていない、また各拠点ごとの育成、活用にとどまっているという点です。

グローバルベースでリーダー候補者を早期に発掘・育成すべき、という課題意識に対して、優秀人材の見える化と計画的育成の仕組みづくりに取り組みました。まず、2014年にGLDC<Global Leadership Development Committee>、日本語ではグローバルリーダー育成委員会が立ち上がりました。続く2015年にはGLDP<Global Leadership Development Program>、グローバルリーダー研修がスタートしました。

突然空いた海外販売会社の社長ポジション。後継者探しに苦労した。

GLDC:個人にフォーカスしたリーダーシップパイプラインの実現。

委員会のゴールは、重要なポジションの候補者が常に充足され、ベストな人材をアサインできる、そういった環境の実現です。これによってリーダーシップパイプラインが連綿と続く状態にするということをゴールに置いています。

過去にも、グローバルの人材育成を目的とした会議体もありましたが、ポジションマネジメント型でした。ポジションにフォーカスするため、若手人材の早期選抜育成には、限界がありました。このGLDCでは、個人にフォーカスすることで、早期の優秀人材の選抜・育成を活性化しようとしたわけです。リストも人ベースになっており、委員会で共有している約60名のタレントリストでは、その人のターゲットポジション、ポジションまでに必要な経験、強み・育成課題、その対応策などが記載されています。

委員会の委員は、各領域の統括役員が担っており、審議される対象は、マーケティング・販売と、経営企画、財務領域の課長部長層に限っています。もともと、海外の販売会社の社長後継が育っていないという問題意識から発足したので、海外販売会社のトップになりうる人材がいるこれら領域に限っています。開催は、半年に一回。①人材の特定。②育成計画立案、③実行とフォロー、④評価のプロセスがあります。

各領域の統括役員が育成したい人材を特定し、部門の責任で育成計画を立案します。この計画立案において我々が重要視していることはできる限り多様なストレッチ経験をさせることです。クロスファンクション(領域をまたいだ経験)、クロスリージョン(国をまたいだ経験)、最後にハイヤーポジション(経営ポジションの経験)です。経営者になると、担当する領域は広がり、国境もこえた広い視野でビジネスを捉える必要が出てきます。多様な価値観に触れる機会も増えてきます。それを若いうちに早めに経験させたいという思いがあります。立てた育成計画を実現させるために、他本部、海外へ異動させたい人材がいれば、会議の中で取り上げ、委員会のネットワークを使ったポジションマッチングを検討します。ただ、現実のところ、成立ぎりぎりまで話は進むものの、最終的にはビジネスニーズやプライベートな理由で、成立できないケースが多いのも悩みです。どうすれば、育成目的のアサインメントを次々成立させることができるのか、仕組みを今後も考えていかなくてはいけません。評価については、取り組もうとしてまだできていない課題です。

GLDP:ストレッチの機会を疑似体験するグローバルリーダー研修。

実際の異動は難しい場合もあるので、ストレッチの機会を疑似的にでも提供するべく立ち上げたのがGLDP、グローバルリーダー研修です。先ほどの3軸(クロスリージョン、クロスファンクション、ハイヤーポジション)を疑似的に体験するため、プロジェクトチームは多国籍、多領域のメンバーで構成され、経営者視点でプロジェクトワークに取り組んでもらいます。参加者は20名程度、グローバルリーダー候補で各領域の統括役員が選抜しています。もともと委員会と同様に対象領域を限定していましたが、一部対象を広げ、今後は全社に展開する予定です。

研修は、約1年間、業務を離れることなく参加してもらうプログラムになります。まずは、SHLのアセスメントから始まり、次に育成計画、集合研修、約半年間のプロジェクトワーク、スキップレベルミーティング、リベラルアーツ社外セミナーの6つの施策から構成されています。

SHLのアセスメントはオンラインで360度、能力テスト、OPQ、対面でロールプレイとインタビューを実施しています。研修開始時に各参加者に受検してもらっていますが、SHLはグローバルに展開されているので、参加者は現地の言葉で受検できます。また、グローバルで同じ物差しで定量的に結果が出てくるのでとても助かっています。このアセスメントの目的は二つ。まず一つ目は、自己認識を向上させるということ。二つ目に、マツダのリーダーに求められるリーダーシップにおける育成課題や強みの明確化です。結果は、マツダのグローバル経営リーダー要件に合わせて出るようカスタマイズをしていただいています。アセスメントの結果は、参加者本人だけでなく、上司もアセッサーから直接フィードバックをもらっています。事務局からは、各部門で活用してください、とお任せしたのですが、事後調査をしたところ、日々の業務に追われ、うまく活用しきれていない人がいるということがわかりました。せっかくの貴重なデータを活用しきれていないのはもったいない、ということで、2019年度から追加で個別育成計画という施策を導入しました。

マツダウェイの「共育」を大事にする研修プログラム

個別育成計画は2019年度から始まり、今力を入れて取り組んでいます。アセスメントの結果から見えてきた育成課題もしくは強みに対し、アクションプランを立ててOJTを通して1年間実行していきます。直属の上司だけでなく、経営者である本部長からフィードバックをもらい、アクションプランを立てています。経営者視点からのフィードバックをもらうことで、参加者の育成の質をさらに高められているのではと思います。また、この過程で、本部長や人事側もリーダー候補者を深く知ることができました。

集合研修は、海外メンバーも集めて、本社で約一週間実施します。外部講師による座学、マツダの理解を深めるセッション、役員との対話で構成されています。2019年度には、海外拠点から参加するメンバーから拠点の紹介や、取り組み課題をプレゼンしてもらいました。別拠点でも、皆同じ悩みを持っており、課題やベストプラクティスを共有できたことが参加者にとても好評でした。来年度は全領域から参加者がいる予定なのでお互いに学びあいながら視野を広げるチャンスを作りたいと思っています。マツダウェイにある「共育」=互いに教えあい、成長しあう取り組みがこの研修の根幹にあります。仲間同士でともに育てあえるようにと、メンバー同士のアセスメント結果共有も行っております。また、研修の最後には、自身が思う各チームメンバーの強みや育成課題をそのメンバーに伝える、という取り組みもしています。半年間一緒に頑張ってきた仲間からのフィードバックは、心に残るものがあるのではないでしょうか。

スキップレベルミーティングは、参加者と役員の一対一の面談です。目的は、参加者の視座向上、視野拡大と、役員と参加者のネットワーク構築です。フリートーク形式で、参加者が話したい内容を考えて面談を行いますが、毎年のアンケート調査では、参加者にとって一番好評な施策の一つです。一方で、参加者によって内容のレベルにばらつきがあり、期待するような成長につながっているか不明という役員からのフィードバックもありました。そこで個別育成計画の内容について面談の中でふれてもらうなど、一部ガイドを付けました。

この研修プログラムは、私自身にとってもやりがいがあります。役員とのやり取りを通して、高い視点に触れることができ、参加者を通して、多領域や海外拠点のことも知って、ネットワークを構築できます。将来の会社を背負うマネジメントの方の成長機会に、微力ながら携われることにやりがいを感じながら、これからもプログラムを進化させるとともに、私自身も成長していきたいと思います。

現在、参加者選抜を役員、各部門、各海外拠点に委ねているため、全社で一貫した基準はなく、主観的評価によるいわば一本釣り選抜のような状態です。今後はリーダー要件の活用や選抜目的でのアセスメント導入などを検討していきたいと思います。また、選抜で英語がネックになっている点も課題です。特に、開発・製造領域では、優秀人材であるにもかかわらず、英語ができないため研修に選抜されないこともあります。早くに海外赴任を経験させるなど、若いうちからの英語力向上に取り組む必要があります。動機づけにも課題があり、選抜研修がゆえに、上司に言われてきましたというやらされ感のまま参加する人もいました。モチベーションは研修の成果に大きく影響します。対応策として、2019年度はプログラムの開始時に三者面談、上司、本人、人事で、個別に説明会を実施して、上司への期待、本人への動機づけを行いました。その甲斐あってか、前年の参加者よりもモチベーション高く参加している人が多い印象でしたので、今後もそれを続けていこうと思っています。まだまだ課題も多い状態ですが、毎年改善しながらプログラムを作って行きたいと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 大阪オフィス 部長

岡松 太郎

次世代リーダーの育成は、今や多くの企業で取り組まれている重要テーマですが、誰を選抜しどのように育成するかは各社とも試行錯誤の連続です。マツダグローバルリーダー研修(GLDP)において、当社は2015年からグローバル体制で側面的支援をさせていただいております。2020年現在は、新たにリーダー要件の見直しに着手されるなど、更なるブラッシュアップも検討されています。ご担当の竹下さんは海外でのご経験も長く、グローバルとローカルの絶妙なバランスをお持ちの方と、常々感じております。人材選抜、育成については、日本と海外ではその捉え方の違いもある中、常に全体最適を目指して、改善を重ねていらっしゃいます。今後も、候補者の選抜・測定はもちろん、育成プログラム終了後の効果検証など、あらゆるシーンで、SHLグループの知見と各種アセスメントでマツダの人事・経営戦略のお役に立てるよう努めてまいります。

導入事例

応募者エンゲージメントと選抜の精度を向上させた、川崎汽船の採用プロセス改革。

応募者エンゲージメントと選抜の精度を向上させた、川崎汽船の採用プロセス改革。

コロナ禍によってオンライン化した採用プロセスと応募者に生じた変化に危機感を覚えた川崎汽船。
応募者のチーム行動の特徴を理解するために採用プロセスの改革に取り組みました。

※本取材は2023年11月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

川崎汽船株式会社

事業内容

海上運送業、陸上運送業、航空運送業、海陸空通し運送業、港湾運送業等

業種

海運業

従業員数

単体:843名 (陸員638名、海員205名)  連結:5,458名

インタビューを受けていただいた方

橋本 征樹 様

川崎汽船株式会社
人事グループ 採用育成チーム

インタビューの要約

コロナ禍によりチーム活動の経験があまりない応募者が多かった。初対面した際、オンライン選考中に受けた印象と異なることも。
2次選考を対面のグループディスカッションと面談に変更。応募者一人ひとりにじっくりと時間をかけて対人面の行動を理解する。
選考の所要時間は大幅に増えたが応募者からは好評だった。面接を担当する社員からも肯定的な反応を得た。
今後は、応募者のニーズに答え、より多くの社員の生の声を聞ける機会を増やしていきたい。

パンデミックによる影響を色濃く受けた応募者と選考プロセス。

私は2018年に入社し、1年間グループ会社に出向して自動車輸送に関するドキュメンテーション業務を担当しました。その後本社に帰任し、極東から北米への自動車輸送に関わるオペレーションと営業を3年間ほど経験し、2022年4月に人事グループへ異動して採用と育成に携わっています。

すでに採用活動が始まっていた中での着任だったため、23卒採用は一人の面接官として関わりました。その中で、これまでの世代では部活動などチームで何かをするのが当たり前でしたが、コロナ禍で学生生活を過ごした23卒採用の学生はそうではなく、中には大学に友人がいないと聞くこともありました。また最終面接以外は全てオンライン選考でしたが、最終面接で初めて対面した際に応募者の印象が大きく異なるケースもありました。24卒採用においても同様の状況が生じる可能性があると考え、採用プロセスの改革に取り組みました。

パンデミックによる影響を色濃く受けた応募者と選考プロセス。

人を採ることに手間を惜しまない。

1次選考は、多くの人が参加できるようオンライン面接を維持し、2次選考を変更しました。1対1だけでなくグループの中でどのように他者と接し、チームに貢献するのかが分かるように、対面のグループディスカッションを実施しました。さらに、同日中に1対1の面談も行いました。グループディスカッションと面談を同日に実施することで、グループでは目立たなかったけれども、1対1で魅力が出てくる人(相手に良い印象を与えながら論理立てて話ができる人など)を見つけることができ、応募者の特徴を多面的に捉えることができました。

オペレーションの負荷は大きくなりますが、今日のような状況下では応募者を惹きつけたり理解したりすることに十分な時間をかけるべきだと考えています。これからはさらに労働人口は減少するので、人材確保はより重要な課題となります。

評価を担当する現場の管理職の方々には事前の評価者トレーニングや選考当日の終日拘束などで大きな負担をお願いすることになってしまったのですが、昨今の学生の事情を説明し、コミュニケーション能力を確認したいという思いをしっかりと伝えることで賛意を示していただくことが出来ました。

応募者のエンゲージメントを高めつつ、能力を理解する。

応募者の所要時間が長くなる点がこの選考プロセスの不安要素でした。しかし、参加者からは「他社のグループディスカッションでは一体何を見られていたのか分からなかったが、(川崎汽船では)面談もあったので自分のことをよく見てくれていると感じた」と肯定的な反応が多くありました。当社としては、所要時間が長い分、入社意欲の高い方が参加してくれること、休憩時間に応募者の自然な様子を知ることができてその後のサポートがしやすくなることがメリットです。

応募者のエンゲージメントを高めつつ、能力を理解する。

内定後も途切れることなく人事がコミュニケーションを取ります。当社では配属を決める際に、本人の希望を提出してもらい、日本エス・エイチ・エルのアセスメント結果も参考にしながら向いている部署を検討します。入社後も階層別研修を実施し、一貫して社員の成長をサポートしています。

今後の採用施策では、身近な社員の「生の声」を聞きたいという応募者の要望に応えていく取り組みを行います。社員との対話セッションを毎月行って社員と直に接する機会を増やしていきます。

私自身の今後の展望として、広範な人事業務に携わり、その後は現場で人事としての知見を活かしたいと思っています。

日本エス・エイチ・エルは私たちの課題によく耳を傾けて、目的にかなった最適なサービスを必死に考えてくれます。また、アイデア段階で今回の取り組みを伝えた際に「人にコミットしていますね」とコメントをもらいました。この言葉が後押しとなり自信を持って進めることができました。今後も引き続き宜しくお願いします。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

前川 智美

橋本様をはじめとする、採用担当の皆様のお考えがとにかく素敵です。採用担当は様々な業務をこなす必要があり、工数削減に目を向けるのは当然のことだと思います。しかし、川崎汽船様は工数がかかったとしても、応募者をしっかりと理解することに労力を惜しみません。この姿勢、魅力的です。
私は母集団形成や選考辞退のお悩みを持つお客様からご相談をいただくことが多くあります。採用選考自体が学生にとって有意義であること、学生を意欲形成するための仕掛けが含まれていることがこのお悩みを解決するための大事なポイントだとこのプロジェクトを通じて気づかされました。
より良い採用選考が行えるよう気を引き締めてご支援いたします。今後とも宜しくお願いいたします。

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各ポストの人材要件と従業員の人材情報を結びつけ最適な配置や人材選抜をサポートします。

配置・登用で適材適所を実現

社内の各ポストに求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現します。組織の生産性向上と社員一人ひとりのポテンシャル発揮とエンゲージメント向上を実現します。
階層、部門、職種に求められる人材要件を定義するための調査分析、社員の個人情報(業績、コンピテンシー、ポテンシャル)を収集するためのアセスメントの実施、各人材要件と個人情報との関連付けによる活躍予測モデルの作成、人材配置の仕組みづくりと運用を支援します。

配置・登用に役立つサービス

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その他の選抜手法

グループ討議など予測力の高いシミュレーション演習を提供しています。

その他選抜手法とは?

グループ討議など、多様なシミュレーション型アセスメントを提供しています。候補者に課題を与えて実際の行動を観察するため、妥当性の高い評価が可能になります。SHLでは科学的知見を元に様々な演習を用意しています。どのような手法が定義された要件を適切に評価できるか、クライアントのニーズに沿って最適なアセスメントを幅広くご提案します。

その他選抜手法に役立つサービス

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選考設計

人材要件を元に適切な基準の運用と選抜方法をご提案します。設計から選抜手法の提供支援も行います。

成功確率を上げる選考設計とは?

人材要件を元に、適切な選抜方法とそのプロセスを設計し、実行と運用を支援します。タレントアセスメントツール(テスト、演習など)を提供するだけでなく、クライアントが自立的に選抜(タレントアセスメント)を改善できるよう面接官や社内アセッサーの訓練もサポートします。妥当な基準と選抜方法を用いることで人材選抜の成功率を高めることができます。

選考設計に役立つサービス

採用は企業にとって極めて重要です。適切な人材を採用することは、現在の業績に貢献するだけでなく、企業文化の形成を通じて、将来の成功を左右します。採用選考では面接が広く行われていますが、従来の面接手法だけでは応募者のポテンシャルや実際の働き方を完全には把握し切れない場合があります。そこで注目されるのが「逆面接」です。このコラムでは、逆面接の特徴と利点について解説します。

逆面接の概念

逆面接は、文字通り面接官と応募者の役割を逆転させる面接形式を指します。この手法は、管理職アセスメントで用いられる「ファクトファインディング演習」に基づいて開発されました。ファクトファインディング演習は事実確認を目的としたインタビューを模擬的に行う模擬面談演習です。「当社のサービスに対して顧客からクレームを受けている」など、何らかのトラブルが起きている状況が応募者に与えられます。応募者はその解消に向けて、問題解決の糸口となる様々な情報を保有する「ファクトホルダー(評価者が演じる)」に質問して情報を収集します。ファクトホルダーは応募者の質問に応じた情報を提供しますが、重要なのは、ファクトホルダーが自ら情報を提供することはなく、適切な質問がなされなければ解決策に至る情報が得られない点です。

逆面接の実施方法

逆面接では、面接官が応募者に「当社があなたの就職先として適切かどうか、質問してください」などのテーマを提示します。応募者は制限時間内で自由に質問を行い、その質問の仕方で質問力や対応能力を評価されます。質問力とは、限られた時間で求める情報を引き出し、自身の仮説を検証して適切な結論に至る能力です。これは、不確実なビジネス環境において極めて重要なスキルです。

逆面接のメリット

1. 質問力の評価
通常の面接では評価しにくい質問力を直接測ることができます。ビジネス場面では、仕事に必要な情報が最初から揃っている状況はまずありません。質問力は、上司の曖昧な指示や顧客の隠れたニーズを理解するために不可欠です。

2. ストレス耐性の確認
不明瞭な質問や脈絡のない質問がなされた場合、面接官は「要点がよく分からなかったのですが、具体的に何を知りたいのでしょうか」「なぜ、今それを聞きたいのですか」と聞き返します。これらの「逆質問」への対応から応募者のストレス耐性や臨機応変さを評価できます。

3. 応募者の志望意欲と興味の把握
質問の内容や具体性から、応募者がどの程度会社や業界に興味を持っているかが明らかになります。また、どのような情報を求めているのかによって、応募者の価値観やキャリア志向を知ることもできます。例えば、社風や人間関係を尋ねる応募者は職場環境を、仕事内容を詳しく尋ねる応募者は仕事の価値や身に付くスキルを重視していると予想できます。

4. 会社の魅力のアピール
応募者の質問に応じて、自社の利点や特色を効果的に伝えることができます。例えば、面接官が研修体制の充実度を強く訴えても、仕事そのものの魅力を知りたい応募者には響きません。一方的に情報を発信するよりも、応募者のニーズに応じた情報を提供することで、会社への興味を更に深めることが可能です。

従来の面接は、過去の経験を掘り下げてスキルやポテンシャルを評価しますが、逆面接は現在の応募者に注目します。緊張する場面で面識のない(または浅い)相手に冷静かつ的確に質問できるか。面接官の想定外の反応に機転を利かせて柔軟に対応できるか。これらの「その場で示される行動事実」を確認できるという点で、逆面接は従来の面接では測りきれなかった要素を評価、補完することができます。そのため、逆面接の活用によって採用の質の向上が期待できるでしょう。

ハイブリッドワークが一般化し、24卒採用においても対面での選考プロセスが増えてきています。
こうした流れを受け、コロナの影響で中止、あるいはオンラインで代替していた「グループ討議」を「対面」で復活させる動きが徐々に現れ始めています。
グループ討議を「対面」で実施する場合と、「オンライン」で実施する場合、それぞれにメリット・デメリットがあります。「オンライン」と「対面」ではどのような違いがあるのか、注意すべきポイントは何なのか、改めて整理してみましょう。

グループ討議はオンラインと対面でどのように変わるか?

ここでは「参加の手軽さ」「環境の違い」「評価の内容・質」の3つに焦点を当ててみます。

1.参加の手軽さ

1-1.学生の離脱防止
グループ討議にかかわらず、オンライン選考の最大のメリットは場所・時間を自由に決められるため、参加しやすいことです。選考に参加できる時間や場所がないという理由での離脱を防ぎ、不要な選考辞退を防止します。
一方で、対面のグループ討議をあえて課すことで入社意欲の高い学生を集める効果を期待する企業もあります。

1-2.現場社員の協力を仰ぎやすい
スケジュール調整の問題は、評価者にとってもハードルとなる場合があります。
現場社員に評価への参加を依頼しても、業務が多忙で協力を得られない方が多くいるのであれば、オンライン選考を推奨できます。単発的な参加要請であれば、「その時間だけなら…」と協力を得やすくなります。

2.参加者の環境

2-1.地理的な制約
対面で実施する場合は、開催場所が決まっているため、参加者が地理的な制約を受けることがあります。
一方、オンラインで実施する場合、インターネット環境と必要な機器があれば、参加者はどこにいても議論に参加できます。

2-2.物理的な環境の影響
対面で実施する場合は、参加者全員を同じ環境下に置くことが前提ですが、それができない場合(人数が多く複数の会場で実施する場合など)物理的な環境の違いが議論に影響を与える場合があります。たとえば、会場の広さや温度、音響環境などです。

オンラインで実施する場合は、参加者が自分で環境(場所、機器など)を選択できますが、使用するデバイス(PC、スマートフォンなど)、ディスプレイの大きさ、音声出力の方法などによって、得られる情報に差が生じる可能性があります。やり方によってはデバイスの差が有利・不利を生むケースも考えられます。

3.評価の内容・質

3-1.コミュニケーションの質
オンラインと対面では、相手の表情、身振り、手振りなどの非言語コミュニケーションから得られる情報量が大きく異なります。対面形式のほうが圧倒的に非言語情報を多く得られます。さらにオンラインの場合、回線状況による遅延から、スムーズなコミュニケーションが阻害される可能性があることは言わずもがなです。

3-2.評価項目の違い
オンラインと対面では、同じ題材を用いた同じ演習でも評価できる項目が変わります。
参考までに、日本エス・エイチ・エルのグループ討議題材では、以下のように評価項目を設定しています。

【対面形式の評価項目】
・影響力:説得力のある提案をし、自分の立場を堅持する。提案に対して他者の理解や協力を得ることができる。聞き手に合わせてアプローチを変え、意見の対立を解決する。
・チームワーク:チーム全体の目標に向かって、協力・協調ができる。情報を独占することなく、支援を惜しまない。
・分析力:問題を構造的に捉え、本質的なものとどうでもいいものに分ける。情報を整理し、合理的な手順で、適切な推論を行う。

【オンライン形式の評価項目】
・参加姿勢:討議に積極的に参加し、議論を先に進める。
・発言内容:他者に分かりやすく考えを伝え、発言で議論の活性化に貢献する。
・他者への配慮:他者が議論に参加しやすいように配慮を示す。

終わりに

日本の新卒採用を取り巻く環境は日々変化し続けており、選考フローもあわせて変えていく必要があります。求める人材を見極めるためのグループ討議として対面とオンラインのどちらが適切か、そもそも本当にグループ討議が必要なのか?この機会に、是非皆さんの所属するグループで討議してみてください。