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本コラムでは、ハイポテンシャル人材を選抜する際に重要な3つの要件について説明します。
ハイポテンシャル人材とは
SHLの調査によって経営幹部として成功する人材は共通する3つの要素を持っていることがわかりました。3つの要素は以下の通りです。
組織の上位職に就きたい、重職を担いたいという野心や意欲、上昇志向です。仕事の高い能力を持っていてもアスピレーションが無い場合は昇進したくないと考えます。仮にハイポテンシャル人材プログラムに参加したとしても途中で離脱してしまいます。
経営幹部として成功するための能力です。現在の職務でよい結果を出していても上位職としてよい結果を出せるとは限りません。リーダーとして成功する人材はハイパフォーマーの約15%しかいないことがSHLの調査でわかっています。また、組織での昇進を強く望んでいたとしてもリーダーとしての能力・スキルが弱ければ、経営幹部として高いパフォーマンスを出すことは不可能です。
エンゲージメントは企業や組織に居続けたいと考える愛着心のことです。エンゲージメントが弱い人は仕事、組織、人に対する思いが弱く、退職する可能性が高まります。競合他社からの誘いに乗りやすい傾向があります。
これら3つをすべて持っていて、現在の職務で成功しているハイパフォーマーがハイポテンシャル人材です。
アスピレーションの見分け方
経営幹部として成功している人のアスピレーションを調査すると以下に述べる6つのモチベーションリソースと2つの行動特性がアスピレーションに影響を与えていることがわかりました。モチベーションリソース
モチベーションリソースとはやる気の出方に影響を与える職務の環境や条件を表しています。モチベーションリソース検査MQで測定できます。
忙しいほど仕事のやる気になる。精力的に仕事をすることを好み、時間のプレッシャーがある方が生き生きする。常に活動的で物事をやり遂げることに意欲を燃やす。
大きな権限を行使できるとやる気になる。人を動かしたり権限を行使したりする職務を求める。大きな責任が与えられると意欲的になる一方で、責任が与えられないと意欲を失う。
公私の境なく常に仕事をしている状態を好み、意欲的になる。常に仕事に携わっていると感じることを糧とする。仕事に全精力を注ぎ込み、残業や休日の業務も進んで引き受ける。
興味をそそられる仕事に対してやる気になる。刺激があったり、変化に富んでいたり、創造的であったりする仕事を重視する。平凡な業務が多すぎると意欲が低下する。
柔軟にできる仕事に対してやる気になる。型にはめられることのない流動的な環境を好む。曖昧さにかなり寛容で、むしろ整い過ぎた環境では意欲的になれない。
自主的に働けるとやる気になる。自分で仕事のやり方を考えるのが好き。細かく管理されると意欲が低下する。
行動特性
行動特性とは典型的な考え方や行動の仕方のことです。パーソナリティ検査OPQで測定できます。
機会を作るために積極的にリスクをとる。プロジェクトなどの目標に影響を与える責任ある役割を好んで引き受ける。
目標達成のための努力を惜しまない。自己開発のための投資に積極的。
アビリティーの見分け方
SHLはリーダーの役割を以下の通り定義しました。これらの役割を遂行するための2つのリーダーシップスタイルが定義されており、経営幹部としての成功は両方のスタイルをどれだけ強く持っているかにかかっています。
この2つのリーダーシップスタイルとは変革型リーダーと執行型マネジャーです。それぞれのスタイルは異なる4つのコンピテンシーによって構成されています。

変革型リーダー・コンピテンシー
新しいアイデアや経験をオープンに受け入れることが必要な状況でうまく仕事をする。学習機会を求める。革新性と創造性を持って状況や問題に対処する。組織変革をサポートし、推進する。
コミュニケーションをとり、うまくネットワークを築く。人をうまく説得し、影響を与える。自信を持ったリラックスした態度で人と接する。
主導権を握り、リーダーシップを発揮することを自然と好む。率先して行動を起こし、指示を与え、責任をとる。
結果や自分の仕事目標の達成に焦点を当てる。競争心から、ビジネスや商売、財務に積極的な関心を示す傾向がある。自己啓発や昇進の機会を求める。
執行型マネジャー・コンピテンシー
明快で分析的な考え方をする。複雑な問題の核心に迫る。自分の専門性をうまく活用し、新しい技術を素早く取り入れる。
変化に適応し、うまく対応する。プレッシャーのもとで力を発揮し、失敗にもうまく対処する。落ち着いていて楽観的に見え、不確実な時や変化の時に、周囲に安定感や安心感を与える。
人の問題を第一に考え、同僚を支援し、他の人に敬意と前向きな配慮を示す。人に影響を与えるような厳しい選択をすることを難しいと感じる可能性がある。
指示や手順に従い、事前に計画を立てる。エネルギッシュに体系的かつ段取りよく仕事をする。決まった商品やサービスを定められた水準で遂行することに焦点を当てる。
これらのコンピテンシーはパーソナリティ検査OPQ32と認知能力検査Verify Interactiveで測定できます。
エンゲージメントを見分ける
アスピレーションとアビリティーに加えて、個人のエンゲージメントを評価することは不可欠です。ハイポテンシャル人材プログラムは有望な人材への大きな投資です。組織に留まる可能性が高い人材に投資を集中させるべきです。エンゲージメントの高い人材は、エンゲージメントの低い人材に比べて組織に留まる可能性が2倍高まります。
エンゲージメントの評価は上長による面接と行動観察によって行います。
評価の観点は現在と未来、合理的と感情的の2つ。現在のエンゲージメントとは、今の仕事や組織、周囲の人に対するやりがいや満足感です。将来のエンゲージメントとは、会社のミッション、ビジョン、バリューに対する共感であり、将来を託せるという期待です。合理的なものは成長や報酬など、感情的なものは帰属意識や仲間意識、共感などのことです。
今の仕事にやりがいと成長を感じており、職場環境や人間関係に対して帰属意識や共感を示している人は、現在の満足度が高い人です。加えて、将来のこの会社でのキャリアに希望があり、組織のミッション、ビジョン、バリューに共感している人は未来の満足度が高い人です。両方が高くて初めてエンゲージメントが高いと言えます。
現在と将来のエンゲージメントを面接で確認するためのチェックリストは以下の通りです。
現在のエンゲージメント
将来のエンゲージメント

おわりに
今回はハイポテンシャル人材に求められる3つの要件と各要件の構成要素を詳しく説明しました。ハイポテンシャル人材プログラムを成功させるポイントは、適切な人材の選抜にあります。なぜ適切な人材選抜が難しいかというと、顕在化していないポテンシャルを評価しなければならないからです。
この問題を解決する最適な方法は、アセスメントを導入し、ポテンシャルを客観的に測定することです。
ハイポテンシャル人材の選抜育成についてより詳しく知りたい方は、ハイポテンシャル人材の発掘と育成に関するご提案(無料)をご覧ください。 2024年6月27日に、恒例の採用シンポジウムをLIVE配信しました。実務も把握する採用マネジャーの方々が赤裸々に自社の取り組みをお話いただき、毎年ご好評いただいております。今年は、SMBC日興証券株式会社、住友商事株式会社、日本電気株式会社の3社をお招きし、自社の取り組みや今後の展望について率直に意見交換を行いました。配属先決め採用、ジョブ型採用、採用要件定義の見直しなど、旬の話題から採用担当者を悩ます永年の課題まで、充実した講演とディスカッションでした。
このシンポジウムのLIVE配信では、採用担当者である視聴者の皆さんに以下2点質問しました。
・前年と比較し、現在の内定受諾率は?
・26卒採用の検討事項として、関心が高いものは?
今回は、この視聴者アンケートから見えてきた各社の来期採用に向けた課題と、当社でご支援できる対応策について解説します。

25卒採用の現状と26卒採用に向けた課題とは?
シンポジウムのパネルディスカッション冒頭に回答いただいた、2つの質問の結果です。Q1.前年と比較し、現在の内定受諾率は?

少子化と人材流動性の高まりを受けて、新卒採用が売り手市場と言われている昨今、早期に多くの学生が内定を持っていることが度々話題となっています。各社の実際の内定受諾状況はどうだったのか。回答は見事に分かれました。変わらないが全体の4割、高くなった/低くなったがまったく同じ30%。内定受諾率が世の中全体で特定の傾向を持っているとは捉えられませんでした。6月末時点での内定受諾率は各社各様であり、業界、企業規模、選考スケジュール等の様々な要素が影響しているだろうことが推測されます。
Q2. 26卒採用の検討事項として、関心が高いものは何ですか?

一方、来期に向けた課題は一定の傾向が見られました。関心事項の高い上位3項目はインターンシップ、母集団形成、内定者フォローでした。多くの学生と企業にとって最初の接点となるインターンシップ、そのインターンシップも含まれる母集団形成全般、そして工夫を重ねた末に確保した内定者を入社まで導くフォロー施策。採用活動の「始め」と「終わり」が特に課題として認識されており、まさに人材獲得競争の激化が背景にあることがうかがえます。
3つの課題と対処法
上位3つの関心事項は、アセスメントを主力とする当社事業は一見関係が薄いように見えるかもしれません。しかし、それぞれアセスメントの活用が可能です。- インターンシップ
- 採用選考は、ひと昔前の「企業が学生を選抜するもの」ではなくなっています。「選び選ばれる関係」「学生のキャリア観に寄り添う」といったキーワードがシンポジウムでも挙がりました。まさにこの考えに基づき、インターンシップは職務体験による仕事や会社理解を促す機会を提供しています。マッチングという観点では、企業側の情報を理解するだけでなく、応募者も自分自身を理解していることが重要です。自分はどんなことが得意で、何をしたいか。インターンシップの機会にOPQやV@W、MQなどを実施し、ぜひ学生にフィードバックしてあげてください。学生自身の行動特性、価値観、モチベーションリソースが可視化され、就職活動に大いに役立つことでしょう。加えて、自社の業務や組織風土などもうまく言語して、各種アセスメントの項目と結びつけながら解説することで、向いている人の背中を押し、またそうでない人のセルフスクリーニングを促す効果も期待できます。
- 母集団形成
- 人材獲得競争が激化している現状では、そもそも欲しい人材が応募してくれない、選考に進んでも辞退してしまう、という課題があるかもしれません。一見アセスメントでの解決が難しそうですが、改めて、この「欲しい人材」を見直すことが母集団形成における課題解決の糸口になるかもしれません。画一的な人物像が採用活動において機能しなくなっているのであれば、人材像をスキルベースで定義するのも一手です。人物像をスキルに分解することで、これまでターゲットとみなしていなかった集団が特定のスキルを持つ新たなターゲットになるかもしれません。今までの型にあてはまらない人たち、取りこぼしていた人たちを見直し、新たな母集団形成につなげられる可能性を秘めています。仕事に必要なスキル、応募者のスキルの可視化はアセスメントが活用できます。
- 内定者フォロー
- 内定後、入社までの期間も継続的な「相互理解」の機会が必要です。インターンシップの対応策でご紹介した、各種アセスメントでの自己理解促進はこの場面でも役に立ちます。さらに、細やかなフォローをするために、リクルーターや先輩社員との相性を各種アセスメントから予測することも可能です。相性の考え方は大きく2つあります。「①自分と似たコミュニケーションをとる」、「②自分と相互補完的な特徴を持つ」です。 実施にあたって、学生と面談する社員やリクルーターに事前にOPQを受検してもらいます。学生のアセスメント結果から、希望する職種やキャリア、性別など属性情報のほか、個人特性の相性もふまえて、より個別的なコミュニケーションが可能になります。

おわりに
25卒の採用選考が続いている中、すでに多くの企業が来期の採用に向けても計画を進めています。他ではなかなか聞けない各社の事例とともに、本コラムが採用活動の改善のヒントになれば幸いです。「リーダーシップ」
近年、多くの企業が社員に対して「リーダーシップ」を求めています。リーダーシップと一言で言っても、それは具体的にどういったものでしょうか。・「チームや組織を引っ張りリードする」
・「影響力を行使し、周りの人間を巻き込み変革していく」
・「自ら行動し先導する」
など、なんとなく意味合いを理解しつつも、リーダーシップの具体的な定義ができていない(あるいはできない)のが実情かと思います。それでも、多くの企業は人材の重要な要素として捉えているのは間違いないでしょう。
多くの有識者が様々な研究や定義付けを行っておりますが、本コラムではKen Blanchard氏によって開発されたリーダーシップ理論、SLⅡ®理論のリーダーシップをご紹介するとともに、そのリーダーシップを現実的に実践する助けとなるような当社アセスメントの具体的な活用例を提示したいと思います。

SLⅡ®理論概要
この理論は端的に、部下の状況(パフォーマンスや意欲)に合わせて上司としてのサポートも変えていく必要があるというものです。下図に理論の全体像を示します。
- 部下のパフォーマンスが低い×意欲が高い
➡指示型:新入社員や新たな職務を与えられた部下等が当てはまり、きめ細やかなサポートが必要です。意欲は高いため、うまくその気持ちを行動に起こせるようサポートします。 - 部下のパフォーマンスが低い(~中程度)×意欲が低い
➡コーチ型:成長を促し意欲を高めるために、しっかりとサポートしながらも部下の主体的な行動を促すことが必要です。 - 部下のパフォーマンスが中程度(~高い)×意欲が不安定
➡支援型:部下自身が主体となって目標を達成するサポートをしながらも、部下の意欲をしっかりと見極めることが重要となります。 - 部下のパフォーマンスが高い×意欲が高い
➡委任型:パフォーマンスも良く意欲も高い部下には、積極的に自身が意思決定を行い、責任を持って自主的に動いてもらうようにします。
SHLアセスメントの活用
前述のSLⅡ®理論は理解しても、言うは易く行うは難しです。この理論を実践するには、次の3つのステップが欠かせません。- 部下の状況把握(パフォーマンスと意欲)
- 上司の適切なリーダーシップ(部下に対する接し方やフィードバック)
- 継続的なフォローアップ(部下の状況変化に応じた上司の適応)
例えば①は、実際に部下のパフォーマンスはある程度把握できても、意欲まではなかなか把握しきれないことがこの理論を実践する難しさの一つではないでしょうか。最初のステップで認識を誤ってしまうとその後適切なリーダーシップスタイルを形成することも難しく、誤ったサポートの結果、部下のエンゲージメントも下げてしまう可能性もあります。
そこで上記3つのステップを現実的に実践する助けとして、当社アセスメントの活用をおすすめいたします。
3つのステップの中で「① 部下の状況把握」に有用なアセスメント360度評価ツール「無尽蔵」です。「無尽蔵」はコンピテンシーの客観的な測定により部下のパフォーマンスを把握するのに役立ちます。
➡360度評価ツール「無尽蔵」:コンピテンシーの「重要度」の認識と、他者評価におけるコンピテンシーの発揮レベルを測定することで現職におけるパフォーマンスや能力開発課題を明らかにし、能力開発などに利用することが可能です。
次のステップである「②上司の適切なリーダーシップ」に有用なアセスメントは意欲リソース検査「MQ」です。「MQ」は個人の意欲の高低を直接測定するものではありませんが、部下がどのような環境や条件で意欲的になり、意欲を失うかを定量的に把握するために役立ちます。今、部下が意欲的である(意欲を失っている)要因を把握し、主体的行動を促すための最適な動機付け戦略を検討するための情報を提供します。
➡意欲リソース検査「MQ」:意欲の傾向を4領域18尺度で測定し、意欲に影響を与える要因(意欲リソース)を明らかにします。何によって動機づけられ、何によってやる気を失うかを把握することが可能です。
上記2つのアセスメントを実施することで、部下のパフォーマンスと意欲リソースを定量的に把握することが可能となります。部下の現状について正しく把握することは、その後の上司の取るべきリーダーシップスタイルを決定する際の根拠となります。さらに、それぞれのリーダーシップスタイルを習得するための上司向け研修などにも繋げることが可能となるでしょう。

最後に
現状、「リーダーシップ」について数多くの研究やモデルがありますが、未だに最適解は見出されておりません。今後も画一的なリーダーシップは確立されず、あるべきリーダーシップ像が絶えず変化することも十分考えられるでしょう。ただ、その中でも組織をより良くするために企業は行動を起こさなければいけません。本コラムでは、SLⅡ®理論を実践レベルに落とし込むための当社アセスメントの活用について述べてきました。この理論が読者の組織に適応しており、社員にもっと浸透させたい、しっかりと現場で実践してほしいとお考えであれば、ぜひ当社アセスメントの活用をご検討いただけますと幸甚です。

未来の組織の労働力を支える若い世代のモチベーションを理解し、職場でのニーズに効果的に応えるヒントを探ります。
調査概要
SHLグループは、意欲検査「MQ」の特別版を利用して、Z 世代のモチベーションに関する広範な調査研究を実施しました。具体的には、2020 年以降にZ 世代10,000 人以上を対象に調査を行いました。MQ は、個人の意欲を評価するツールで、個人の意欲を向上または低下させる要因を特定することを目的としています。あらゆるレベルを対象として測定可能で、パーソナリティ検査OPQなどの他のツールを補完することもできます。MQは、職場の成功に貢献する 18 の重要な要素を効果的に評価します。調査結果から、将来の労働力を構成する世代である Z 世代の意欲とそれを失わせるものについて、貴重な洞察が得られました。

Z世代の職場におけるモチベーショントップ3
成長:Z 世代は個人の成長を非常に重視しています。回答者の99% が、会社が社員の成長も優先してくれるとやる気が出ると答えています。彼らはトレーニング、能力開発、新しいスキルの習得の機会を重視します。上司が従業員のキャリア目標を優先し、適切な成長の機会を提供すると、Z 世代の従業員のエンゲージメントが高まり、離職する可能性が低くなります。調査によると、職場で大切にされていると感じている Z 世代の従業員は、出社することを楽しみにしている可能性が 3.3 倍高いことがわかっています。上司は個人の成長を優先することによって、自分の成長が組織の成功に影響すると考える、やる気ある従業員を育成できます。
自主基準:自主基準を非常に重視しています。この尺度は、理想を守り、高い倫理基準と品質基準に従う度合いを測定します。Z世代は、企業についての意見を形成する際、倫理的で質の高い基準を守ることを優先し、事業が健全であることを求めます。組織がZ 世代の従業員を惹きつけ、維持するために、自社の行動がこれらの原則に沿っていることを確認することが重要です。
昇進: Z 世代を動機づけるもう 1つの要因は、キャリアアップです。彼らは、良好な昇進の見通しとその機会を持っていることが原動力となっています。自分のキャリアが停滞している、または昇進が不公平であると感じている場合、モチベーションが低下する可能性があります。Z世代は、職場での継続的な学習を積極的に取り入れている集団として際立っています。彼らは知識とスキルを拡大する機会を積極的に求めており、そのことはLinkedInなどのオンライン学習プラットフォームへの参加が増えたことによって示されています。67%のZ世代が、2019年よりも2020年にLinkedInのプラットフォームでの学習時間が増えました。また、オンラインコースの視聴時間は、他のどの世代の学習者よりも50%多くなっています。
Z世代のやる気を失わせる主な要因
没頭: Z 世代の最大のモチベーションを低下させる要因は没頭、つまり仕事と私生活の境界があいまいになることです。彼らは明確な境界線を持つことを好み、通常の勤務時間を超えて仕事に浸食されることを望んでいません。彼らはワークライフバランスと柔軟性を重視します。Z世代は私生活を優先することで知られており、人生を楽しみ続けられるキャリアを持つことを望んでいます。組織はこれらの好みを考慮し、境界を尊重し、従業員の私生活をサポートする職場文化を構築する必要があります。失敗の恐怖:Z世代の大半は、批判や否定的な評価によって非常にやる気をなくすと回答しており、Z世代の56.74%が、失敗の恐怖が強く意欲を低下させると認識しています。上司や人事担当者は、思いやりのあるアプローチを採用し、チーム内で共感を培うことが重要です。Z世代の従業員のモチベーションを高めるには、批判よりも肯定的な強化が効果的であることが証明されています。Z世代が成長し、ポテンシャルを最大限に発揮できるような支援的な環境を作ることが重要です。
おわりに
「世代」によるラベリングはともすると、ステレオタイプに陥り、個人の特徴を適切に把握することを妨げる可能性があります。それでもなお、このような視点から世代の特徴を把握することは、社会の変化を理解し、異なる世代間でのコミュニケーションや理解を促進する手段となり得ると考えます。このコラムが、人事担当者やマネジャーにとって、若手社員のモチベーションを効果的に高め、組織内での長期的な定着を確保するためのヒントになれば幸いです。参考:From Pool Tables to Coffee Shots: Decoding the Motivations of Gen Z in the Workplace
自ら学び、行動変容するためには何が必要でしょうか?
日本企業はこれまでも人材育成に多くの時間と労力を割いてきました。役割の定義をあえて曖昧にして、OJT中心の教育を通じて徐々に業務の範囲を拡げていくことで、時間をかけながら未経験者を熟達者に育てることに成功してきました。一方で、首相が所信表明演説で取り上げて予算化を宣言するほどリスキリングの重要性が高まっています。リスキリングの説明については、多くの識者が整理しているため本稿で言及する事は控えますが、学びの対象が現在の職務・スキルと非連続である点が最大の特徴です。現在の仕事の延長線上にあるスキルではないため、そのスキルを獲得した際には仕事のやり方が一変してしまう可能性があり、既存のやり方の熟達者が教えることが難しいのです。リスキリングの対象が、主にデジタルに関するスキルとなるのは、デジタルスキルが非連続な変化を引き起こす可能性が非常に高いからです。
リスキリングが必要なのは全社員であると様々な場で論じられていますが、既存のやり方の熟達者である40代、50代が肝になるのではないかと筆者は考えています。本コラムでは、この層を含めた全社員がリスキリングに成功するための条件を考えてみたいと思います。
人が物事に熱中する構造
人の行動が変容し、学び続けるためには熱中する必要があります。我を忘れるほどに物事に熱中する構造を研究した人に、M.チクセントミハイという心理学者がいます。チクセントミハイは、人が時間を忘れ、我を忘れて課題に取り組んでいる状態をフロー状態と定義し、「フロー理論」として整理しました。この理論をヒントにリスキリングに必要な要素を考えて見たいと思います。フロー状態に入るためにはいくつかの条件があるとチクセントミハイは言っています。課題への取り組みに特に関連する条件を筆者なりに整理すると以下のようになります。
1.明確化された課題
取り組むべき課題が明確で、課題そのものに意味を感じているかどうかです。
2.適切な難易度
課題の難易度は易し過ぎても、難し過ぎてもいけません。易し過ぎると退屈をもたらし、難し過ぎると不安をもたらします。
3.素早いフィードバック
自分の行動が良かったか悪かったかが素早くフィードバックされることが大事です。
4.集中できる環境
課題と関係がない雑音が無いということです。
上記の4項目について、リスキリングの文脈においてどのように重要か、失敗要因という逆の観点から詳述します。

失敗要因①:課題が明確化されていない
「DX推進のため、全社員のデジタルリテラシーを向上させる」と各社が取り組んでいますが、デジタル技術と自社の事業の関連性・影響を認識している度合いについてはバラツキがあると推測されます。当然、デジタル技術は業界の垣根を溶かし、想定外の変化をもたらす為、予め自社への影響を明確に捉える事は困難な側面があります。しかし、そうした危機感を社員と共有しているかどうかによって課題認識の解像度は異なります。お題目としてのDXではなく、日々の活動の中に溶け込んだ課題になっている事が学びを促進する為には必須です。失敗要因②:難易度が適切でない
コーディング未経験者に対してソフトウェア開発も含めてデジタル技術を生かした新規事業提案を求めたとしても、学び続ける意欲を維持できる人は限られており、思ったような成果を上げられる可能性は低いでしょう。市場ニーズの検討や潜在ユーザーへのインタビュー、ビジネスモデルの検討と収益性の検証など多岐に渡る新規事業に関するスキルの習得とデジタルスキルを同時に身に付けなければいけないような状況では、多くの人は学びを諦めてしまうのではないでしょうか。失敗要因③:フィードバックがない
人は周囲からのフィードバックによって、自分の行動を修正します。資格を取得したり、業務プロセスを変更するような提案を行ったりした際に、その行為に対して周囲が無反応だった場合、人はその行動を継続する意欲を失います。その行為そのものに動機づけられている(内発的動機づけを有する)人はすぐに意欲を失うことはないにせよ、その努力の方向性が適切なものかどうか不安を覚える事が考えられます。失敗要因④:雑音が多い
学びを職場で実践するような場面において、課題とは本質的に関係ないことに多大な労力を割かなければいけない環境では、人は課題に熱中することができません。例えば、新しい企画を実行する際に、社内政治のために他部署のキーマンに根回しを行わなければいけないであるとか、同じプロジェクトメンバーの人間関係の問題に対処しなければいけないなど、課題の本質とは異なる雑音は学びの継続の大きな障壁となります。
最後の1ピース
>ここまではフロー理論の観点から、学びが継続される環境要因について考察してきました。では、これらの失敗要因を排除した環境をすべて整えれば、あらゆる人が学びを継続することができるのでしょうか。そうは問屋が卸さないでしょう。同じ環境を用意したとしても、おそらく積極的に学ぶ人とそうでない人に分かれるはずです。特に経験を積んだ40代、50代の層ほど反応の仕方の差が顕著になると推測されます。この背景には「学ぶ動機」が関連していると考えられます。紙幅の関係上、詳細は「モチベーションリソース:個人の原動力を理解し、成果を最大化する」に譲りますが、個々人は異なる意欲源を持っており、学ぶ動機も様々です。よりチャレンジングな仕事に挑戦するために学ぶ人もいれば、報酬を増やすための人、周囲がやっているから学ぶ人など、学ぶ動機は人それぞれです。自社にどのような意欲源を持つ人が多いのか、自社の中で典型的な意欲源を持つ人たちの動機を維持するような施策が用意されているかなど、自社の特徴を深く理解している企業ほどリスキリングを成功させるのではないでしょうか。
はじめに
コロナ禍で私たちの働き方は大きく変化しました。この変化は少なくない人に自分のキャリアについて考えるきっかけを与えました。例えば、リモートワークの増加により、オンラインコミュニケーションの利便性を実感したり、会社の仲間や顧客との対面コミュニケーションの重要性を実感したり、家族との時間が増え家庭生活の幸せを実感したり、といったことに気付き、自分が求めているものが何か、それをかなえる仕事や働き方はどんなものなのかが今までよりもはっきりしてきたのではないでしょうか。さらに深く仕事や働くことに対する自分の考えを探索していきたいと考えている方にぜひご紹介したい概念があります。キャリア・アンカーです。
本コラムでは、働くことに関する自分の拠り所となるキャリア・アンカーについて述べます。
キャリア・アンカーとは
キャリア・アンカーとは、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院で教授を務めておられたエドガー・シャイン博士の提唱したキャリアに関する概念です。キャリアを選択する上での拠り所となるもので、得意なこと、やりたいこと、意味と価値を感じられることについての自己概念です。この自己概念は仕事経験を通じて成熟し、確固たるものに育ちます。自らの能力、動機、価値観をよく理解できるようになるまでには10年以上の職務経験が必要と言われています。人は仕事の経験が増えると選択の機会が増えます。この選択を通じて自分の持ち味や動機と重要な価値観に気付くのです。職務経験のない人でも自分のパーソナリティや興味関心、やりたいことはわかっていますが、自分のどの能力、動機、価値観がどの程度重要であるかは実際に複数の仕事を経験しなければわかりません。難しい選択を迫られてはじめて自分にとって本当に大切なものを判断できるようになるのです。
仕事の経験とフィードバックを繰り返すことにより自己洞察が進むとキャリアに関する強固な自己概念が作られます。そしてこの自己概念はキャリア・アンカーとして長期的なキャリアの拠り所となります。
キャリア・アンカーは何が私で、何が私ではないという感覚を与え、自分が本当にやりたいことは何かを考えるための手助けをしてくれます。また、キャリア・アンカーはどんな難しい決断を迫られても放棄することのない自己概念です。人は様々な事情を抱えて仕事をしていますので、必ずしもキャリア・アンカーに即した仕事をしているわけではありません。本当は自分らしくない仕事、本当にやりたいこととは異なる仕事であることを自覚しながらも現実のニーズを踏まえ折り合いをつけながら仕事をしています。だからといってキャリア・アンカーが無意味なわけではありません。人は外的な制約がなくなるとキャリア・アンカーを実現しようとするからです。
キャリア・アンカーはシャイン博士の行った管理職のキャリア形成に関する研究から導き出されました。人のキャリアにおける選択や出来事に対する感じ方に一貫性があり、自分に適していない仕事につくと自分に適した何かに引き戻される経験をした人が多くいたことからアンカー(錨)と名付けられました。
キャリア・アンカーの種類
キャリア・アンカーには8つのカテゴリーがあります。どのカテゴリーも大切なものですが、人によってどうしてもあきらめることができない重要なものが異なります。1.専門・職能別コンピタンス
このカテゴリーをアンカーとする人は特定の仕事に対する才能と高い意欲があり、専門家であることに満足感を持ちます。専門外の分野に移されると満足感が低下し、元の分野に戻りたいと考えます。
得意な専門分野と職能分野によってアイデンティティーを形成し、その分野での能力に磨きをかけます。自分の才能を生かせる挑戦的な仕事を好みます。
専門職として昇進したいと考え、ゼネラルマネジャーになりたいと思いません。
ボーナスやストックオプションより絶対的な給与水準をはっきりと決めて欲しいと考えます。
2.全般管理コンピタンス
このカテゴリーをアンカーとする人は経営管理そのものに関心を持ち、ゼネラルマネジャーになりたいと考え、そのために必要な能力を身に着けてゆきます。組織の責任ある地位に就き、全体の方針を決定し、組織の成果を左右してみたいと考えます。
高い立場でリーダーシップを発揮し、組織の成功に貢献し、高い収入を得ることが喜びです。
自分の立場を序列、肩書、給与、部下の数、予算の大きさで判断します。ボーナスやストックオプションのような報酬を好みます。高いレベルへの昇進のため上司から認められることを重要と考えます。
3.自律・独立
このカテゴリーをアンカーとする人はどんな仕事をする時も自分のやり方を優先する人です。組織での生活を非合理的で自分のプライベートを侵害するものと考え、会社から独立したキャリアを求めます。組織に所属する場合でも自律的な専門職を指向し、自律的に仕事ができる環境に落ち着こうとします。
自分の専門分野を明確にして時間を切って仕事をします。細かく監督されることには耐えられません。目標が明示され達成の方法が一任されることを望みます。
昇進のメリットを自律性の幅が広がることと捉えているため、自律性が制限される昇進を断ることがあります。
4.保障・安定
このカテゴリーをアンカーとする人は安全を感じ、将来を予測でき、ゆったりとした気持ちで仕事をすることを最優先する人です。
終身雇用で不況でも人員削減をしない会社を求めます。自分の将来を進んで会社に委ね、終身雇用の代償としてどのような会社の指示にも従います。年功制の報酬昇進制度を好みます。仕事のやりがいなどの内発的報酬よりも、給与や福利厚生などの外発的報酬に関心を持ちます。
安全の保障が得られさえすれば、到達できる職位がどのレベルであっても満足します。また、自分の才能が生かされない仕事をしていても仕事以外でその才能を発揮できればよいと考えます。
5.起業家的創造性
このカテゴリーをアンカーとする人は新しい事業を起こしたいという欲求を人生の早い時期から持っている人です。新しい組織、製品、サービスを創造したいという衝動を持ち、自分の生み出したもので経済的に成功することを重要と考えます。
オーナーになることが最重要課題です。自分が成し遂げたことを世に知らしめるために富を求めます。
権力と自由を欲し、創造性を発揮できる役割として研究開発のトップや取締役会の会長などを望みます。自己中心的なところがあり、自分が目立ち世間から認められたいと考えます。
6.奉仕・社会貢献
このカテゴリーをアンカーとする人は自分の大事にしている価値観を具現化するために仕事をします。世の中をよりよくしたいという欲求で仕事を選びます。医療、看護、社会福祉、教育、聖職など人を助ける専門職を好みます。
組織や社会をよくするため、影響を与えることが可能な仕事を求めます。金銭的な報酬よりも影響力のあるポストに就きたいと考えます。自分の価値を組織のできるだけ高い地位の層に理解されることを望みます。
7.純粋な挑戦
このカテゴリーをアンカーとする人は何事にも誰にでも打ち勝つことができると考えている人です。
皆が出来ないと言っていることをやり遂げることにやりがいを見出すため、困難な問題に直面する仕事を求めます。競争し勝つことに価値を置き、挑戦することが唯一のテーマです。
自己を試す機会に満ちた組織には忠誠を尽くしますが、挑戦の機会がないと退屈しイライラします。野心を持っていない人とはうまくやっていけません。
8.生活様式
このカテゴリーをアンカーとする人は生き方全般の調和がとれていることを重視します。単にワークライフバランスをとれるだけでなく、生活様式全体を調和させたいと考えます。
自分の都合に合わせた働き方を可能にしてくれる組織のために仕事をしたいと考えています。単に柔軟性のある勤務形態を求めているのではなく、組織が個人と家族を尊重し、対話する姿勢を持ってくれることを望んでいます。
個人や家族を含む生活の調和のため転勤を嫌がることがあります。
キャリア・アンカーの使い方
まずは自分のキャリア・アンカーが何かを把握します。方法としては専用の質問票とインタビュー手法を使います。次に現在の職務を分析し、自分のキャリア・アンカーとどのような関係を持っているかを明確にします。自分の能力を活用できているか、自分の欲求を満たしているか、意味と価値を感じているかを確認します。
そのうえで将来を充実したものにするための計画について考えます。現在の仕事をどのように調整すればキャリア・アンカーとの適合度が高まるか、どのような教育や経験が必要か、などについて検討します。
おわりに
社員のキャリア開発はタレントマネジメントにおける重要な取り組みの一つです。近年日本においても1on1ミーティングなどを通じて実践している企業が増加してきました。キャリア開発を進めていく上でキャリア・アンカーは参考になる概念です。そして、この自己概念は能力、動機、価値観によって構成されていると申し上げました。
当社のアセスメントツールであるパーソナリティ検査OPQ、モチベーション検査MQ、価値観検査V@W(ヴァリューズアットワーク)は、まさにコンピテンシーポテンシャル、モチベーションリソース、価値観の自己概念を定量的に捉えるツールです。これらツールがキャリア・アンカーとともにキャリア開発の一助になれれば幸いです。