激化するグローバル競争を勝ち抜くため組織体制を強化するジェイテクト。
タレントアセスメントを用いた経営人材の発掘と育成の取り組みをご紹介します。

※本取材は2020年9月に行いました。内容は取材時のものです。

株式会社ジェイテクト

担当部署名

人事部 人事企画室 企画グループ

事業内容

ステアリングシステム、軸受、駆動部品、工作機械、電子制御機器などの製造・販売

業種

製造業

従業員数

49,933名(2020年3月 連結)

タレントマネジメント課題

グローバルに活躍できる経営人材の発掘、育成
現在の業績と行動評価だけではなく、上位職におけるポテンシャルを加味した登用審査の実現
複数事業部門で、横串を通した人材評価制度の構築

導入したタレントマネジメントソリューション

管理職及び管理職候補者へのタレントアセスメントの実施(タレントセントラル:知的能力テストVerify、パーソナリティ検査OPQ、意欲検査MQ)
管理職のコンピテンシーモデリング (マッピング、データ分析)
OPQによる自社独自の管理職適性尺度の開発

得られた成果

管理職としてのポテンシャルを勘案した科学的な登用検討が、できるようになった。
どのような特性を持つ人材が管理職として活躍するのかを、データで明らかにすることができた。
事業部門独自の人事施策にもデータ活用が広がった。

目的/課題

ジェイテクトは、軸受メーカーの光洋精工と工作機械メーカーの豊田工機が合併し、2006年に発足した会社です。ステアリング、駆動、軸受、工作機械・メカトロなどの多様な領域でナンバーワン製品・オンリーワン技術を保有しているグローバルメーカーですが、グローバル企業としての組織基盤や体制が整っていませんでした。自動車関連事業を始めとして各事業ともグローバル競争は激化しており、事業をリードする強い経営人材の発掘育成が喫緊の課題でした。
 一方で、これまでの管理職登用は各評価実績を中心に登用しており、「複雑化する社会のニーズに応え、事業をリードする管理職として相応しい資質を持っているか」という点を踏まえた登用ができていないという課題がありました。

導入/経緯

「管理職としての資質」を測定するアセスメントツールの選定にあたって、予測妥当性の高さやグローバル対応(多言語で実施可能、世界中の比較データを持つこと)、育成施策への展開の容易さなどの観点で検討がなされました。グローバル対応ができる海外のアセスメント会社も検討した上で、アセスメントツールの品質の高さと日本での活用支援体制が整っているという点からSHLのアセスメントツール「タレントセントラル(知的能力検査Verify、パーソナリティ検査OPQ32、モチベーション検査MQ)」が選ばれました。
登用審査の導入前に、現管理職に対してタレントセントラルを実施し、第一線で活躍している人材の特性をデータで明らかにしました。全社共通の価値観「ジェイテクトウェイ」との対応関係も整理した上で、管理職の人材要件定義を行いました。
アセスメント結果から自社独自の管理職適性得点を算出し、各事業部門に共有することで、登用検討に客観的なポテンシャル情報を組み込む事ができるようになりました。

成果

事業部門に関わらずジェイテクトの将来を担う管理職の人材要件を明確化でき、科学的手法を用いた測定の仕組みを構築できたことが成果でした。この取り組みをきっかけに、これまで目的毎に異なっていた新卒採用から人材育成に関わる全てのアセスメントツールを一本化しました。これにより、各人事施策で比較可能なデータを入手・蓄積することができ、横断的にタレントマネジメントを改善していくことが可能となりました。
また、各事業部門で独自に行っている人材育成施策にもSHLのアセスメントが活用されるようになり、人材データの活用が活発になったのも大きな成果の一つです。

「新しい楽しさ・豊かさを お客様に発見していただけるモノ造りを」を経営理念とするサッポロビール。
変革を推進する経営リーダーを継続的に生み出す人財育成の仕組みづくりに取り組みました。

※本取材は2023年8月に行いました。インタビュー内容は取材時のものです。

サッポロビール株式会社

事業内容

ビール・発泡酒・新ジャンル・ワイン・焼酎などの製造販売、洋酒の販売、他

業種

食料品

従業員数

約2,400名(2023年5月)

インタビューを受けていただいた方

小林 志野 様 小山 祐介 様

サッポロビール株式会社
人事部 キャリア形成支援グループ グループリーダー 兼 サッポロホールディングス株式会社 人事部 (写真右)
サッポロビール株式会社 人事部 キャリア形成支援グループ 兼 キャリアサポーター (写真左)

インタビューの要約

人事制度改革に伴い、サクセッションプランへの課題意識が高まり、サッポログループ内で先駆けて仕組みづくりに着手。
将来の経営者に求める要件を明確化し、次の経営者候補を対象にアセスメントを実施。
結果のフィードバックから、戦略的配置、社外研修への派遣、継続的な1on1によって対象者を育成。
今後も継続的な改善を行い、グループにも展開していく。

次世代の経営人財候補を育成するサクセッションプランを構築する。

私達は、人事部キャリア形成支援グループに所属し、人財育成やキャリア開発の支援がミッションです。サッポロビールの行動規範である「自分のキャリアは自分で切り拓く」という人財育成ビジョンにそって、経営人財育成に取り組んでいます。

2020年の人事制度改訂により、支援型のマネジメントをキーワードとする様々な施策を開始しました。その1つ、「人財育成会議」では、半期に1回各部署の役職者が一堂に会して、メンバー一人ひとりの強みや育成課題を話し合い、育成方針を決めています。従来、各事業会社の社長に経営リーダー候補を年に一度確認していましたが、組織としての体系的な育成施策はなく、経営全体で共有することもほぼありませんでした。変化の激しい時代、次世代の経営人財候補にも「人財育成会議」と同様の取り組みが必要という課題意識が高まり、将来的にはサッポログループ全体での取り組みも視野に、まずはサッポロビールにおいて経営人財育成の仕組みづくりに着手しました。

次世代の経営人財候補を育成するサクセッションプランを構築する。

要件定義とアセスメントの実施により、コンピテンシーポテンシャルを可視化。

具体的には、8つのステップで実施しました。ステップ1は全体構想の検討。年2回の経営人財育成会議を軸とし、対象層を喫緊の課題である次の経営者候補としました。会議体の委員長を社長、委員長代行を人事担当役員、事務局を人事部長、人事グループリーダー、キャリア形成支援グループリーダーが担当します。当時の人事担当役員はサクセッションプランへの課題意識が強く、この取り組みを強く牽引してくれました。

ステップ2は人財要件の策定。経営人財に求める要件の明確化のため、役員全員で他社事例やSHLから提供された情報などをもとに様々な議論をしました。最終的にサッポロホールディングスで既に策定されていた経営人財に求められる6 要件を採用しました。数年前に作成されていますが、検討の結果、有効な要件であると判断しました。

ステップ3は選抜プロセスの策定。まず候補者案を人事部で作成し、役員一人ひとりと個別に検討を行い、第一回目の経営人財育成会議で共有し、最終的な候補者を決定しました。

ステップ4はアセスメント実施。ステップ3で決定した候補者に対し、SHLのタレントセントラルでパーソナリティ検査とモチベーション検査を実施しました。外部アセスメント導入の目的は、2つ。1つ目は候補者の自己理解促進です。これまで社内の指標のみだった評価指標から、世間の同等職務レベルのデータと客観的に比較することで、より成長を支援できると考えました。2つ目は経営や人事が、候補者の顕在化されていない行動特性やモチベーション傾向を把握し、より適切な配置・育成・登用に繋げることでした。SHLコンピテンシーと当社の経営人財要件との紐づけも行い、アセスメント結果からコンピテンシーの可視化ができるようになりました。

本人に育成計画をフィードバック。成長を促すために異動や外部研修を実施。

ステップ5はフィードバック。各役員から、アセスメント結果と経営人財育成会議内で話された各候補者の育成計画を本人にフィードバックしました。以降は経営人財会議の合間に定期的に1on1を実施して、継続的な成長支援をしています。フィードバック実施にあたり、日本エス・エイチ・エルに依頼して事前に役員向けのフィードバック研修も行いました。アセスメント結果をよく理解するために、役員も全員アセスメントを受検しています。

ステップ6は戦略的異動。経営人財育成会議では、候補者を育成するための経験や配置案が話題に出てきます。異動は別のセクションが担当していますが、定期異動では前年の経営人財育成会議の内容を踏まえた、大胆な異動が行われたと感じました。

ステップ7は外部研修派遣。ステップ6の戦略的配置とほぼ同時並行に行いました。経営人財育成会議で議論し、必要と判断した人には、適切なプログラムを選定して研修に派遣しています。

本人に育成計画をフィードバック。成長を促すために異動や外部研修を実施。

最後のステップ8は対象者層の拡大です。初回である2021年は次の経営者候補を対象に1年間実施してきましたが、2022年は次の次の経営者候補を対象とすることにしました。2年目はステップ3からのサイクルを、もう1回転行いました。
今年で3年目ですが、今後もこの年間サイクルを確実に回し改善していくことが重要だと感じています。また、次の経営者の計画的な育成はサッポログループの共通課題ですので、サッポロビールの取り組みで上手く行っている部分を他の事業会社に役立てていただけるように、協力していきたいと考えています。

エス・エイチ・エルのコンサルタントには、当社の要望を聞きながらいろいろなご提案をしていただきました。ウェビナーを通じた他社情報の提供や、個別の情報交換会のセッティングなど様々な面でのサポートもありがたかったです。グループ企業への横展開や新入社員のオンボーディングなど、新たな始まった取り組みも引き続きご支援いただきたいと思います。

担当コンサルタント

日本エス・エイチ・エル株式会社 HRコンサルタント

清水 智昭

今回のお取り組みはサクセッションプランニングを新たにスタートされる企業様にとってガイドラインとなる好例です。会議体の発足からアセスメントフィードバックの一連のプロセスに加え、実際の異動配置や研修派遣など具体的な施策が展開された点は特筆すべきポイントです。重要なのは「ボードメンバーの巻き込み」と「人財に関する対話機会の創出」です。会社のボードメンバーが自部門の管轄を越えて、次世代を担う人財をどのように創出していくか対話することが、施策実施までのプロセスにおいてキーポイントであったと感じています。次世代リーダーの戦略的な発掘/育成は多くの企業様での喫緊の課題であると思います。手始めに、一度膝をつきあわせて「次の担い手」を話し合う。すると自然とそれがサクセッションプランニングの入り口になるのではないでしょうか。

課題・テーマから探す

配置・登用

各ポストの人材要件と従業員の人材情報を結びつけ最適な配置や人材選抜をサポートします。

配置・登用で適材適所を実現

社内の各ポストに求められる人材要件と社員の人材情報を結びつけ最適な配置を実現します。組織の生産性向上と社員一人ひとりのポテンシャル発揮とエンゲージメント向上を実現します。
階層、部門、職種に求められる人材要件を定義するための調査分析、社員の個人情報(業績、コンピテンシー、ポテンシャル)を収集するためのアセスメントの実施、各人材要件と個人情報との関連付けによる活躍予測モデルの作成、人材配置の仕組みづくりと運用を支援します。

配置・登用に役立つサービス

課題・テーマから探す

イノベーション人材

新入社員が組織になじみ、戦力化するためのサポートにアセスメントが活用できます。

イノベーション人材の発掘と事業創造

SHLグループの知見を活用し、新規事業を創出したり新たな価値創造を行う人材の特徴を捉え、アセスメントで可視化します。すでに自社内にいるイノベーション人材の定量化やこれから必要となるイノベーション人材の要件をクライアントの文脈で定義するコンサルティングも提供します。

課題・テーマから探す

テスト

パーソナリティから知的能力まで、あらゆる目的に合わせて多様な適性テストを提供しています。

「良い適性検査」とは?

良いテスト、良い適性検査の必須条件は「信頼性(測定の精度が高いか)」と「妥当性(測りたいものが測れているか)」です。アセスメントのリーディングカンパニーであるSHLは、これらを備えた質の高い適性検査を幅広く提供しています。パーソナリティ、価値観、意欲、知的能力など、人材要件や目的に応じて最適なアセスメントをご提案します。

テストに役立つサービス

課題・テーマから探す

デジタル人材

アセスメントを活用して、デジタル人材のポテンシャル(潜在能力)を見極めます。

デジタル人材の発掘・育成

経験やスキルを持つデジタル人材をめぐる競争は激しく、採用が難しくなっています。アセスメントを活用して、未経験でも見込みのある人材の採用や育成をしませんか?SHLの科学的な知見を活用し、デジタル人材に必要なポテンシャル(潜在能力)を見極める支援を行います。

課題・テーマから探す

リーダー育成

マネジャーや管理職のスキルの棚卸、育成計画、個々のアセスメントと能力開発ポイントのフィードバックまで支援します。

組織的なリーダー育成とは

組織の鍵となるマネジャーのスキルや個々の強み・弱みを把握、能力開発ポイントと育成計画をアセスメントを用いて科学的に支援します。今いるリーダーの現状把握と育成計画をセットで準備することで、組織的なリーダー育成を実行できます。オンラインアセスメントからシミュレーション演習、それらを複合したアセスメントセンターなど、多様な手法を用いて初級管理職から上級管理職まであらゆる範囲のリーダー層の育成をサポートします。

リーダー育成に役立つサービス

課題・テーマから探す

ハイポテンシャル人材

次世代の経営や事業を担うハイポテンシャル人材の発掘と育成を支援します。

ハイポテンシャル人材とは?

ハイポテンシャル人材プログラムの設計と運用を支援します。ハイポテンシャル人材の要件定義、選抜基準の設定、選抜方法の開発と設計、アセスメントの実施、アセスメント結果のフィードバック、選抜された候補者への能力開発施策の立案と運用などを行います。SHLグループの研究により確立されたハイポテンシャル人材モデルと、数万人規模の世界の管理職・経営職のデータとの比較分析により、最適なハイポテンシャル人材の発掘と育成が可能です。

課題・テーマから探す

選考設計

人材要件を元に適切な基準の運用と選抜方法をご提案します。設計から選抜手法の提供支援も行います。

成功確率を上げる選考設計とは?

人材要件を元に、適切な選抜方法とそのプロセスを設計し、実行と運用を支援します。タレントアセスメントツール(テスト、演習など)を提供するだけでなく、クライアントが自立的に選抜(タレントアセスメント)を改善できるよう面接官や社内アセッサーの訓練もサポートします。妥当な基準と選抜方法を用いることで人材選抜の成功率を高めることができます。

選考設計に役立つサービス

課題・テーマから探す

サクセッションプラン

SHLグループの知見を活かし、重要なポジションや役職の後継者の戦略的配置、育成を支援します。

サクセッションプランとは?

重要なポジションや役職の後継者の育成や人材配置を計画的に行う組織戦略を指します。アセスメントによるポテンシャル測定、ポジションごとに求められる要件と候補者の経験を可視化し、適切な後継者計画のサポートをします。SHLグループの研究から得られたリーダーシップの成否を分けるコンテクストを元に、リーダーシップの経験とポテンシャルの情報を駆使して、ポジションに最適な候補者リストを可視化するプラットフォームを提供します。

サクセッションプランに役立つサービス